もう一度原作IS読み直そうかな。
翌朝、それなりに早い時間にカレンは起きた。
彼女は学生だし、何より家の事は自分で一年間してきた。自然と早起きにも体が慣れていったのである。
さっぱりするためにシャワーを浴びて、出てくると千冬がやって来た。
「起きていたか」
「はい、早起きはもう習慣になってますから。それよりも朝ごはん食べたいんですけど…」
そう言うと、カレンのお腹の虫が鳴いた。
それに、カレンは顔を赤くした。
「こっ、これはですね!」
『気にするな。人間の生理現象だ』
「ルルーシュは黙ってて!」
「お前たちは仲が良いな。付き合っていたのか?」
「『違う(います!)』」
「そうか。まあいい、まずは朝食だったな。食堂に案内…と行きたいところだが、関係者以外がここに居るのをまだ知られたくない。食事は私が持ってくる。何が食べたい?」
「好き嫌いは無いのでなんでもいいです。千冬さんのおすすめをください。後、量は多めで。朝はしっかり食べたいんで」
「気が合うな、私もだ。その方が健康に良いし、体型管理も楽だからな」
「私はそんな立派な理由じゃなくて、寝たきりの母との二人暮らしで家の事も私一人でするからしっかり食べないと体がもたないんですよ」
「そうか…。悪い事を聞いたな」
「良いんです。それに少しずつですが回復もしていましたし」
「それは良かったな。では、食事を持ってくるから、少し待っていてくれ」
そう言って千冬は部屋を出て行った。
残されたカレンにルルーシュは、
『カレンのお母さん、回復しているのか?』
「うん、大分と。半年もしたら普通に生活できるって医者にも言われたし」
『そうか、良かった』
「…ルルーシュ、ありがとね」
『どうした、突然?』
「あなたのゼロ・レクイエムのおかげで私は今、お母さんと一緒に過ごせてる。良い機会だからお礼を言いたくて」
『そうか…。俺の、俺達のした事も無駄ではなかったんだな』
そこで会話は終わった。タイミングよく千冬が入って来たのでそのまま朝食となった。
食事の後、ISについて軽く説明を受けた後、今回の試験会場に二人、いやある意味三人は向かった。
「そう言えば織斑さん、今回の対戦相手って誰になるんですか?」
「本当は教師の誰かにやってもらう予定だったのだが、生憎全員忙しくてな、仕方ないから生徒会長に頼んだ」
「生徒会長って、強いんですか?」
「この学園の生徒の中で一番強い。というより、教師を含めても私の次に強い」
「それは無理があるんじゃ…」
「まあ、どの程度動けるかを見れればいいから勝つ必要はない。普通にやって一年で一人倒せればいいくらいだ。誰も倒せない年もあるしな」
「じゃあ、気楽にいきます」
ISを装備してカレンはフィールドで待っていた。
カレンのISは彼女の髪の色に似た紅色の装甲で特に変な所は無かった。千冬曰く「『フォーマット』と『フィッティング』がまだ」だかららしい。
『カレン、動いた感じどうだ?』
「追従性がいまいちね。グラスゴー乗ってた頃を思い出すわ」
『懐かしいな。というよりカレン、あの頃そんな事思っていたのか』
「うん。ブリタニアの騎士はよくこんなので戦えるなって思ってた」
『そうか…』
そんな会話をしていると、反対側から一機のISが現れた
水色の装甲を持ったISを纏った目の前の少女は装甲と同じ髪の色だった。
「初めまして。私が今回の試験官を務めます、この学園の生徒会長、更識楯無です。私の機体は『ミステリアス・レイディ』ね」
「あ、紅月カレンです。機体名は…一応『紅蓮』です。よろしくお願いします」
『挨拶は済んだか。では、はじめ!』
開始の合図が出るが、どちらも動かない。
紅蓮は言うなら近接戦がメインの機体。左手に付いている、マシンキャノンとスラッシュハーケンくらいしか遠距離で使える武器は無い。それも牽制程度しか使い道が無い。
対するミステリアス・レイディの装備武器、蒼流旋は四門のガトリングガン内臓のランスで戦う距離を選ばない。
「でも…行くしかない!」
ブーメランの様な形の武器―呂号乙型特斬刀を装備した状態で突っ込んでいくカレン。
「無策で突っ込むなんてがっかりね…」
内蔵されたガトリングガンで迎撃する楯無。
「そんなの、当たらない!」
回避しつつ距離を詰めていく。時折マシンキャノンやスラッシュハーケンを交えながら確実に距離は確実に距離が近付いていく。
しかし、纏っている水でダメージはそれほど無い。
「避けるの上手いわね…」
楯無はそう呟いた。
実際、カレンは直撃をまだ、食らっていない。
基本、数は劣勢の戦いが多かったカレンにとって四門のガトリングの弾幕を避けるのは難しくない。
しかも、KMFよりも小さいのだから、なおさらだ。
つまり、現在の戦況は少しカレンが優勢に見えるが、事実上こう着状態である。
「かれこれ、30分ね…これで決めるわ!」
「何か来る!?」
「遅いわ!清き熱情!」
次の瞬間、カレンの居た空間が爆発に包まれた。
決着がついたと思われたが、
『カレン、フォーマットとフィッテングが終わった。紅蓮の本当の力を見せろ!』
「了解!行くよ、紅蓮!」
一次移行を終わらせた紅蓮がそこにいた。
右腕が大きく、禍々しく変化し、背中にミサイル発射機構、そして足元にランドスピナーが付いた。
カレンは一次移行を経て、性能の上がった紅蓮の能力を十分生かして、一気に距離を詰める。
「速い!?でも!蒼流旋」
持っていたランスを振るが、カレンはそれを変化した右腕で受け止め、
「吹き飛べ!」
「マズイ!」
右腕に仕込まれた輻射波動機構を使い、ランスを膨張させ、破壊した。
楯無は咄嗟に蒼流旋を離したので、被害は無かった。
輻射波動機構とは、マイクロ波誘導加熱システム。どんなものでも急速に加熱して爆発や膨張をさせ、破壊するものだ。
原理は分かりやすく言うと電子レンジなのだが。
「嘘!?」
武器をあっという間に破壊した事に驚く楯無。
しかし、驚いていたのはカレンも同じで、
『輻射波動って、あんなに強かったっけ?』
『いやあのIS、武器も機体も水を纏っている様だから、輻射波動と相性が良くない』
『でも、それって至近距離で輻射波動叩き込んだら、こっちもダメージ受けるんじゃない?』
『多分そうだろうな』
そう彼らの言っている通り、このままだと、恐らく相討ちになる。
なぜなら、輻射波動と水は相性が良すぎる。
初期のものでさえ、地下水脈を加熱して地滑りを起こせるほどの水蒸気爆発を生むのだ。
近距離で叩き込んだら、双方に大ダメージだろう。
「なら!」
一気に距離を詰めていく紅蓮。
マシンガンに武器を変えて距離を取ろうとするミステリアス・レイディ。
ランドスピナーも使い、陸と空をうまく使いながら、マシンガンの弾を避け、時には切り払い、どんどん距離を縮めていく。
そして、ある程度の距離に近づいたとき、
「今!」
紅蓮は右手を前に突き出した。
「距離を見誤ったわね、当たらないわ!」
「当たるよ」
次の瞬間、紅蓮の右手から円盤状に広がった赤い光が。
輻射波動砲、向こうの世界では紅蓮可翔式から内蔵されたもので、至近距離でしか使えなかった輻射波動を離れた距離でも使えるようにした物だ。
収束させての遠距離攻撃、拡散させての広域攻撃が可能だった。
今回は本来、一対多に使う拡散の方を使ったのは、楯無の能力の高さと、周りの水をすべて蒸発させるためだった。
そして、すべての水を水蒸気爆発させるので自分の被害も抑えるための拡散だったのだ。
その結果…
『そこまでだ。勝者、紅月カレン』
「カレンちゃん強いねー。驚いたよ」
「ありがとうございます。更識さん」
「楯無で良いよ、カレンちゃん」
試験も終わり、ピットでのんびりしていたカレンに試験官だった、楯無が会いに来ていた。
「そうだな、私も驚いた。で、紅月、試験はもちろん合格だ」
「良かった…」
「で、これが入学手続きなどに必要な物だ。後、流石に新入生がこのままここに居るのはあまりよくないのでな、ホテルを用意した。入学式までそこに居ろ。当分の金は学園が出す」
「色々ありがとうございます」
「では、私が送るから少し待っていろ。後、更識、布仏が呼んでいたぞ」
「はーい。じゃあねカレンちゃん」
そう言って、二人はピットを後にした。
『カレン、ISはどうだった?』
『それなり、かな。聖天八極式に比べると流石に見劣りしちゃうけど、可翔式位の性能はあるかな?』
『ふむ…、何処か調整の必要な所はあるか?』
『そうだね…、追従性だけでも底上げしておいて欲しいかな。聖天八極の時の感覚でどうしても動いちゃうから、それに近いくらいの反応が出来ないと困るかな』
『了解だ。ゆっくりやっておく』
『それとね…』
二人の会議は結局千冬が戻ってくるまで続いた。
こうして、カレンとルルーシュはIS学園に入る事が決まった。
それが、今後にどのような影響があるか、それはまだ誰も知らない。
試験終わりました。
カレンを勝たせましたが、楯無さんが代表になった時期が描かれていませんし、カレンの実戦経験の密度も考えると妥当なのではないでしょうか?
現在の紅蓮(一次移行後)の能力、武装は基本、可翔式です。しかしAIルルーシュによる改造がなされているので、かなりのじゃじゃ馬になります。
ISとKMFの戦力比較についてですが、
量産機(打鉄、ラファール)=グロースター(第五世代)
専用機(ブルーティアーズなどの第三世代)=ランスロット(第七世代)
専用機(白式、紅椿などの第四世代)=ナイトオブラウンズ専用機(第八世代)
となります。あくまで、機体の強さなので乗り手でこれはひっくり返ります。
現在の紅蓮は白式相当になっています。
次回はついに入学、あの鈍感野郎がやって来ます。