IS~紅の戦乙女~   作:ピーナ

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文化祭始まります。かなり色々詰め込んでいます。


第二十九話 「なんてったって『正義の味方』だからね」

文化祭当日、男性操縦者の居る一年一組の『執事&メイド喫茶』は大盛り上がりだった。しかし…

 

「何で、ルルーシュが居ないんだよ!」

 

一人、世界最初の男性操縦者、織斑一夏はそう叫んだ。もう一人の男性操縦者、ルルーシュ・ランペルージが教室に姿を見せないからだ。

 

「るーるーは警備の方に行ってるからね~。仕方ないよ」

「ちなみに、終日警備だから、ここには来ないよ」

 

メイド服に身を包んだカレン&本音の生徒会組に言われて打ちひしがれる一夏。

まだまだ文化祭は始まったばかりだ。

 

 

 

一方その頃ルルーシュは警備室で一人監視カメラの映像を映したモニターと蜃気楼をパソコンに接続し、何かを表示したものを見続けていた。

 

「ん、反応ありか…。ふむ、こいつか。虚」

『はい、何ですか? ルルーシュさん』

「さっき入場した銀髪の女性の入場チケット、配布者は分かるか?」

『さっきの方ですね…。ラウラ・ボーデヴィッヒさんですね』

「となると、ドイツ軍の関係者か…。ありがとう」

『いえ』

 

ルルーシュが一人呟いた『反応』とはISコアの反応である。コアネットワークは潜伏モードにすることによって位置情報の把握などを出来なくするが、コアそのものをなくす事はISがISである限り出来ない。ルルーシュは警備の一環としてそれを探知するプログラムを組み上げたのだ。

 

「俺の読みでは単機、もしくは少数での奇襲。隠密作戦だから、訓練機や量産機ではなく専用機を持ち込むはず…。また、反応か。虚、次はスーツ姿のロングヘアーの女性だ」

『あの人は企業から来た人みたいです。恐らく営業の方でしょう』

「そうか…。その女にISコアの反応が有った。そいつが襲撃者だ。俺は監視カメラでマークする」

『分かりました。…学園の事お任せします』

「出来る限りの事はするさ。……さて、確実に追い込んでいこうか」

 

その言葉を呟いたルルーシュは美しくも恐ろしい笑みを浮かべていた。

 

 

 

その頃一年一組では…

 

「お茶しに来たわよ~。あっ、メイドさんはカレンちゃんと本音ちゃんで」

「お、お姉ちゃん」

 

何故かメイド姿の楯無と、いつも通りの制服…ではなく、何故かセーラー服姿の簪が現れた。

 

「いや、色々ツッコミたいんですけど! 二人の服とか!」

「私は借りたわよ? ちゃんと許可を取って」

「…私はクラスの出し物で一緒の喫茶店だったんだけど、ユニホームがこれになっちゃった。四組の皆着てる。宣伝のためにこのままなの」

「何ともいえない物を…」

「でも、IS学園はセーラー服じゃないから新鮮だよね~」

「二人は接客しないの?」

「「休憩中です」」

 

二人は同時に言った。

 

「なので、紅茶は持ってきましたけど、自分の注いで飲んでください」

「扱い酷い~」

 

そう言いながらも自分のカップと簪のカップに注ぐ楯無。

 

「あっ、美味しい」

「それはね~おねえちゃん直伝だからね~」

「…なるほど、虚さん直伝なら納得」

 

と表向きでは話しているが、

 

『ルルーシュが怪しい人物を一人発見したらしいわ。このままだと襲撃は十中八九あるわね。その時は簪ちゃんと本音ちゃんは、虚ちゃんと一緒に避難誘導をよろしくね』

『分かってる。…お姉ちゃんも怪我しないでね?』

『了解です~』

 

と、プライベートチャンネルを使って、かなり物騒な打ち合わせをしている。

何故、専用機を持っていない本音がプライベートチャンネルで会話出来ているか? これは、ルルーシュがISに居た頃を擬似的に再現できる小型通信機を本音が持っているからだ。開発案はルルーシュで改修の合間に虚と二人で作り上げたものだ。

作った本人曰く「範囲が半径5m以内じゃないと使えないから、ちょっとした内緒話くらいにしか使えん」とのことだが、隠密性に優れるので、盗聴の心配はない。

 

『私は楯無さんと一緒に矢面に立つんですね』

『そうよ。…しかし、ルルーシュも鬼畜ね』

『「利を以って之を動かし、卒を以って之を待つ」でしたっけ? 前からルルーシュの戦いを知っていましたけど、敵に回したくないですね』

『…ここまで状況を活かした作戦を思いつくのは凄い』

『魔王は伊達じゃないよね~』

『『『『うん、うん』』』』

 

確実に普通に話していたら、全員の首が縦に振られていただろう。

 

「さて、可愛い女の子侍らしてのお茶も楽しんだし、お姉さんはお仕事に戻ろうかなっと」

「…私もそろそろ交代の時間」

「それじゃ」

「「いってらっしゃいませ、お嬢様方」」

 

そう言って楯無と簪を送り出すカレンと本音。

その言葉を背中に二人はそれぞれの目的地に動いて行った。

 

「あっ、そういや、私ルルーシュに呼ばれているんだった。ちょっと行ってくるね」

「いってらっしゃ~い」

 

 

 

教室を出て、途中色々な所に寄りながら、ルルーシュの所にカレンは到着した。

 

「来たよ、ルルーシュ。これ、適当に出店で買ってきた。お腹すいてるでしょ?」

「ああ、済まないなカレン」

 

ルルーシュはカレンの買ってきた食べ物を食べる。

 

「話はやっぱり…」

「ああ、このまま予定通りに進める。…覚悟は良いな?」

「もちろん。それが皆のためになるんでしょ? それならやるわよ。なんてったって私達は『正義の味方』だからね」

「ハハハ、そうだな。カレンの言う通りだ。ならば世の裏側に蔓延る悪を倒すのが俺達のやるべき事だな」

 

戦いを知る者たちの顔はいつもの日常と変わらない。

 

 

 

所変わって、体育館。ここでは今から生徒会主催の観客参加型演劇『シンデレラ』が始まる。

 

「はあ…こういう役は俺よりルルーシュの方が合うと思うんだけどな…」

 

そう呟くのは王子役の衣装に身を包んだ、一夏。だが、幕は徐々に上がっていく。

 

「むかしむかし、あるところにシンデレラと言う少女がいました」

 

出だしは至って普通だ。

 

「否、それはもはや名前ではない。幾多の舞踏会を潜り抜け、群がる兵士を薙ぎ倒し、灰燼を纏う事すら厭わない。帝国最強の兵士たち。彼女たちに付けられた称号…それが『灰被り姫』! 今宵も皇帝ルルーシュの命を受け、彼女たちは舞踏会という名の死地に舞い降りる。今宵のターゲットは王子の王冠に隠された軍事機密。さあ、血沸き肉躍る物語の始まり始まり…」

『フフフフ…ハハハハ…フハハハハ! 皇帝ルルーシュの名において命ずる! 『灰被り姫』達よ! 情報を盗み出せ! 王子は褒美としてくれてやろう!』

 

楯無のナレーションのあとには王子以上に悪役がはまり役のルルーシュだった。

 

「はぁっ⁉」

 

一夏の驚きと共に物語は動き出す。

 

 

 

「ふう…まさか、こっちに来てまで皇帝をやるとはな」

「今回は劇の役だけどね。本物だけあって、似合ってたけど。…さて、私は準備をしてくるよ」

「ああ、頼んだぞカレン」

 

そう言ってモニターに視線を向けるルルーシュ。

カレンは部屋を出ようとした足を止め、

 

「ルルーシュ」

 

と呼んだ。

 

「なん…」

 

ルルーシュが振り向きながら言葉を発したが、それは最後まで言えない。何故なら、カレンに口を口で塞がれたから。

 

「…前のは決別だったけど、今のはそんなんじゃない。純粋な私のルルーシュへの気持ち。答えは…」

 

カレンも最後まで言葉を言えない。同じことをルルーシュにされたから。

長いようで短い時間の後、

 

「…これの意味を聞きたければ、死なずに全てを終わらせるぞ。カレン」

「…それは、こっちのセリフだよ。ルルーシュ」

 

そう言って二人は二人のやるべき事を始める。

魔王の紡ぐ物語まであと少し。




次回から動き出しますよ~。今週中に更新できたら良いな…。
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