IS~紅の戦乙女~   作:ピーナ

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久しぶりの戦闘回です。何とか、八月中に仕上げれました。


第三十話 「貴女は私達の掌の上よ」

「着きましたよ」

「はぁ、はぁ……。ど、どうも……」

 

一夏が出店で接触してきたIS関連企業の女性、巻紙礼子と一緒に着替えた体育館の更衣室に逃げて来ていた。

 

「あ、あれ? どうして、巻紙さん? どうしてここに?」

「はい。この機会に白式をいただきたいと思いまして」

「……は?」

 

言葉はともかく、笑顔は崩さない。

 

「いいからとっととよこせよ、ガキが」

「そこまでよ」

 

第三者が登場する。水のヴェールを纏った蒼のIS。IS学園の生徒達の長、生徒会長の楯無だ。

 

「誰だ!」

「ん~ 正義の味方かしらね? もちろん、よろしくなんて言わないわよ?」

「てめぇ、何処から入ってきやがった! 今ここには全システムをロックしてんだぞ。…まあいい。見られたからにはお前は『亡国機業』のオータム様がこのIS『アラクネ』で殺す!」

 

オータムはISを纏い攻撃を開始する。

 

「楯無さん!」

「私が一人で来ると思うの?」

 

そこに紅い影が踊り出て、射撃を全て切り払う。

 

「何⁉」

「残念、まだいるんだよね」

「なんだと⁉」

「貴女は私達の掌の上よ」

 

 

 

時間は戻り10日ほど前、生徒会室。いつものメンバーが集まっていた。

 

「策の説明をする」

 

そう切り出した、ルルーシュ。

 

「まずは敵だが…恐らく単機、多くとも三機程度だ」

「根拠は?」

「まず、ISそのものの絶対数が少ない。それにかなり注目度の高い文化祭だ。表だって動きにくい。クラス代表戦のような無人機の強襲は無い。無人機、有人機の暴走で失敗してきている。そろそろ、しびれを切らすだろう」

「少数精鋭の奇襲と読んでいるの?」

「一番可能性が高いと俺は考える。そこでだ、あえて敵に隙を作り、そこに誘い込む」

「具体的には?」

「生徒会主催の演劇があるだろう? 文化祭中だからIS学園はどこでも人がいる。しかし、体育館の舞台裏には人は居ない。更に言うなら、ここだ」

 

机に置かれた学園の全体図の書かれた紙の一か所を指す。

 

「更衣室…」

「ああ。一夏が着替える予定のここなら、女子も入ってこない。人が一番少ない所だ」

「閉所での戦闘になるわね」

「…私と打鉄弐式は戦う場所に合わない」

「俺もだな。だから、ここにはカレンと楯無を伏せる」

「分かったわ」

「了解」

「俺達残りの4人は非常時の避難誘導のために、待機だ」

「私とルルーシュは外の襲撃の可能性も考えないとね」

「そうだな。俺達のISは広域防御も出来るからな」

「これで行きましょう。良いわね、皆」

「「「「「了解」」」」」

 

全員が頷き、その日の会議は終わった。

ちなみにこれは生徒会のみで、他の誰にも話していない。「敵を欺くにはまずは味方からと言うだろ?」と言ったのはルルーシュ。

「織斑君には腹芸なんて出来ないでしょ?」と言うのは楯無。

 

 

 

「ちっ、面倒だが二人とも倒せば良いだけだろ!」

「前は任せるわよ、カレンちゃん」

「後ろは任せます、楯無さん」

 

オータムはIS『アラクネ』の背中の装甲脚での攻撃を始める。

 

「その程度!」

「当たらないわよ!」

 

回避し、一気に距離を詰めていくカレンと、ナノマシンを含んだ水で全てを防ぎながら、蒼流旋に内蔵されたマシンガンで牽制する楯無。

 

「お、俺も「「邪魔だから来ないで」」何で!」

 

即答で二人に断られ、思わず大声で聞き返す一夏。

 

「楯無さんお願いします」

「…分かったわ。織斑君、私達はこういう事を見越して夏休み中も急用で国に呼び出されない限りここで、訓練して来たわ。そのおかげで今の私達はある程度以心伝心と言ってもいい位にはお互いがどう動くかが分かっているわ。新学期が始まってからはコンビネーションの特訓もしたわ。それを今乱されると困るの」

「で、でも!」

「はっきり言わないと分からない? 織斑君、今の貴方は足手まといよ。引っ込んでなさい」

 

はっきりとそう言い切る、楯無。それを期に戦闘に集中する。

 

『カレンちゃん、私があの脚の動きを止めるから、破壊よろしくね』

『了解です。…でも、なんで脚なんですか?』

『だって、蜘蛛もタコも八本『脚』でしょ? なら、脚で良いじゃない』

『まあ、たしかに』

 

もしここにルルーシュが居たらアラクネの語源を説明をしてくれただろうが、彼はここに居ない。

 

「とっとと当たってくたばれ!」

 

回避を続けているカレンより、防御をしている楯無の方が与しやすと見たのか、脚の何本かを直接楯無に向けて攻撃してくる。

 

「都合よく来てくれたわね~」

 

楯無は水でそれを受け止め、

 

「氷結!」

 

それを凍らせることにより脚の動きを止める。

 

「なあっ⁉」

「今よ、カレンちゃん!」

「弾けろ!」

 

オータムが動揺している内に脚を束にし、カレンは輻射波動を発動させる。

 

「チッ!」

 

オータムは舌打ちと共に攻撃された足をパージする事で本体への被害を減らそうとする。

それを見たカレンは距離を詰める。

 

「この狭さじゃ、機動力なんか役に立たねえよ!」

「普通のISじゃそうかもね。でも、紅蓮なら!」

 

普通ISはPICで浮いている。なので、地面に一度着地してしまうとどうしても失速や減速してしまう。

しかし、紅蓮は元々陸戦兵器だったKMFを元にしており脚部にランドスピナーをもっており、他のISに比べると、そのデメリットが無い。

広い空間なら、地面に接触しない様に気を付ければ済むが、限定的な空間ではそうもいかないのでそれを防げるという効果は計り知れない。

さらにカレンは二機のスラッシュハーケンを使ったトリッキーな機動も用いて回避していく。

 

「何なんだ! 何なんだ手前は!」

「紅月カレン。まあ、別に覚えてもらわなくてもいいよ」

「そこは正義の味方じゃないの? カレンちゃん」

「それは、楯無さんが言っちゃいましたし」

「舐めてんのか!」

 

二人の軽口に激高したのか、攻撃を激しくするオータム。

 

「まあでも、イライラした状態で当たるような私達じゃないですよねえ」

「そうねえ。それじゃ、決めちゃいましょうか。……少しこの部屋暑くなって来たし」

「ああ、確かに。気温がっていうより、体感温度がですけど」

「何言ってやがる!」

「知ってる? 人間の体感温度や不快指数って湿度に依存するのよ?」

「⁉」

 

楯無の言葉に事態を察したオータムの表情はぎくりとしている。

彼女の周りには彼女の機体の周りに纏わりつく異常に濃い霧。

 

「なるほどねえ、彼が相手をハメた時ほど良い物は無いって言ってたけど、その通りだわ」

「これははまっちゃう気持ち分かりますね」

 

微笑みながらそう言う二人。

 

「しまっ―」

「これで終わりよ」

 

楯無が指を弾くと、霧が熱に変換され、爆破される、『ミステリアス・レイディ』の大技、『清き熱情』だ。

 

「まあ、学園を壊せないから威力は抑え目だけど、こういう密閉空間は発動させやすいわ」

「さて、逃がさない様にちゃんと捕縛しに行きますか」

 

警戒の為、ISを装着したまま近付いて行くカレン。

 

「クソがあっ!」

 

叫び声と共に壁を突き破り逃走する、オータム。

 

「ま、待てっ!」

 

ISを展開して追おうとする、一夏。

 

「良いわよ一夏君、別に追わなくて。私達の仕事はIS学園を守る事。悪人を捕まえる事じゃ無いわ」

 

それを止める楯無。

 

「私は他に襲撃者が居ないか、上空で監視してきます」

「お願いね、カレンちゃん。私は先生達に報告してくるわ。政府の報告とかも有りそうね。…また仕事が増えそうだわ」

「そうですね…。それはそれとして、ルルーシュ借りて良いですか? 機体的にも向いてますし」

「うーん、そうね、分かったわ」

「じゃあ、行ってきます」

 

そう言って、カレンはオータムの開けた穴から上空に出た。

 

 

 

その日、カレンとルルーシュはIS学園から姿を消した。




ここからオリジナルに入っていきます。
時間も掛かるだろうし、色々思うところもあるでしょうけど、暖かい目でお願いします。
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