時が流れ、気が付いたらクラス対抗戦の日になっていた。
さて、原作を読んだ方なら知っていると思うが、この間にking of 唐変木こと原作主人公、織斑一夏とチャイナ娘、凰鈴音との間のささやかでないすれ違いがあったのを知っていると思う。
カレン達は試合当日にそれを知る事になる。
カレンが鈴と会ったのは、簪の応援に本音と一緒に第三アリーナのBピットに来ていたからだった。今回、奇数のクラスはAピット、偶数のクラスがBピットを使用している。
つまり、簪と鈴が一緒に居るという事だ。そして、鈴の機嫌が例の件でとてつもなく悪い。
「…なんか、ここ空気悪いね」
「…正直、カレンと本音が来てくれて助かった」
「うーん、聞いてみるよー。りんりん~」
どんな空気も持ち前のマイペースさで壊してしまう、IS学園1の癒し系の本音が鈴に話しかけた。
そして、鈴は話す、過去の事、IS学園に来てからの事、そして、昨日の事。
まず過去の事についての三人の反応。
「あー、なんというか、ご愁傷様?」
「…どんまい」
「おりむーは鈍感さんだねー」
「そう思うでしょ!」
「なら、もう少し具体的に言えばいいのに」
「それは…、恥ずかしいじゃない」
「「「へたれ」」」
同情こそするものの、見事一言で切り捨てる三人。
次にIS学園に来てからの事については、
「自分勝手すぎるんじゃない?」
「…わがまま」
「二人の言葉が的確過ぎてかばえないよー」
「うっ、で、でも…悪いのは一夏だし…」
「いや、大部分悪いのはあなた」
「後さ、告白できなかったのに、同居してもあんまり意味ないと思うんだけど」
「それは…」
「なにも考えてなかったんだねー」
「はい…」
最終的に何も言い返せなくなった。
昨日の貧乳事件は、
鈴と同じ人間(簪)の場合
「…死ね」
冷酷な声で一言で切って捨てた。
鈴とは違う人間(カレン、本音)の場合
「おりむーひどいよー。女の子の気にすることを言っちゃうなんて」
「そうだね、デリカシーって物がないのかね」
この反応に残りの二人は、
「「持ってる人には分かんないのよ!」」
だった。
ちなみに、カレンと本音は大声を出した簪にとても驚いていた。
そして、鈴とも仲良くなり、「凰さん」から「鈴」に呼び方が変わっていた。
時間が来て、鈴はアリーナに出撃していった。
「かんちゃん、つっきー、おりむーとりんりんどっちが勝つと思う?」
「…今は七割は鈴が勝つと思う。でも…」
「どうしたの?」
「まあ、このままだと簪の予想通りだけど、一夏は初心者だし、クラス代表決定戦の事があるからね。予測し辛いんだよね」
「私もそう思う。それを考えると五分五分位だと思う」
「後は鈴の機体がどういうタイプかによるね。知ってる?」
「『甲龍』は中国の第三世代機。どちらかというと格闘型なんだけど、衝撃砲が厄介」
「衝撃砲?何それ」
「簡単に言うと、見えない砲身から見えない砲弾を飛ばす武器だよ」
「そんなの避けれないじゃん」
「カレンならよけそうだけど…。私も話に聞いただけだから実物を見てみないとどんなのかは分からない」
「うーん、それを聞くと一夏不利だね」
4組のクラス代表で日本の代表候補生の簪と恐らく1年最強であろうカレンの戦前の勝敗予想はこんな感じだった。
ふたを開けてみれば、戦いはワンサイド、完全に鈴のペースだった。
といっても、一夏もなんとか攻撃についていっているので、まだどうなるか分からない。
「どう簪、衝撃砲を見た感想は?」
「そうだね、鈴のあの使い方ならまだ対処できると思う。もっと、嫌な使い方されたら面倒そうだなとは思うね。カレンはどう?」
「うーん、あれなら避けれるかな?」
「やっぱり、つっきーはけた外れだね」
「そうだね…。あっ、試合が動きそうだよ」
簪の言った通り白式が瞬時加速を使い、肉薄しようとした瞬間、アリーナ全体が衝撃が襲った。
「一体何!?」
「…!あれ!」
アリーナ内を映していたモニターに白式と甲龍以外の真っ黒なISが映っていた。
唖然とする、簪と本音。しかし、カレンは、
「織斑先生、聞こえますか?」
『聞こえている。紅月。というより、お前、何故Bピットにいる?』
「寮監の織斑先生、私のルームメイト知っていますよね」
『ああ、なるほどな』
「それはいいんです、一体どうなっているんですか?」
カレンの疑問に織斑先生は簡潔に答えた。
曰く、謎のISに襲われた。ハッキングされて、救援が遅れている。だそうだ。
「私達は、どうすれば良いですか?指示をお願いします」
『やけに慣れているな紅月』
「まあ、これくらいなら。ちょっと前まで日常茶飯事でしたし」
ブラックリベリオンからゼロ復活までのおおよそ1年間カレンを含む、黒の騎士団は逃亡生活を強いられた。その頃に比べればこれくらいはどうってことはない。
『…その辺後でじっくり聞かせてもらおうか』
「…分かりました。でも、その時に、簪と本音も同席させてください。それが条件です」
『何故だ』
「もう、友達に隠し事はしたくないですから…。他の人には時期を見て自分で話すつもりです」
『そうか。その判断はお前に任そう。で、指示だが更識と布仏はそこで待機させろ。紅月、お前は好きに動け』
「了解」
通信を終え、カレンは簪たちの方を向き、
「という訳だから、行ってくる」
「わ、私も、行く…」
「簪は本音のそばにいてあげて。まだ、怖がって動けないみたいだし」
二人は本音の方を見る。突然の出来事にまだ動けなかった。
「ね、あの状態の本音は置いておけないよ。一緒に居て守ってあげて」
「…うん、分かった。カレンも無事に帰ってきてね。それで、秘密聞かせてもらうから」
「もちろん。任せてよ」
そう言って、ピットを後にした。
『良いのか、カレン?』
カタパルトに向かう道でルルーシュはカレンに聞いた。
『何が』
『俺たちの事を話すのをだ』
『うん、ブラックリベリオンの時みたいなのは嫌だからさ。それに別世界なんだしね』
『もし、話して距離をとられてもか?』
『…覚悟はできてる』
『…分かった。お前が決めたんだ、俺は反対しない。それに、俺の事もついでに話してしまえ。そこまで来たら隠す必要はない。表だって協力出来るからな』
『了解。…ありがとうね、ルルーシュ』
『しかし、布仏本音はともかく、更識簪は戦力になったのではないか?』
『ああ、その事ね。もうこれはISを使った戦いだよ。それを何も知らない女の子がする必要なんてない。ルルーシュも言ったでしょ。撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだって。彼女たちにそれが出来てるとは思えないんだよね』
『なら、覚悟の出来ているお前だけが背負えばいいと思ったのか』
『まあ、そうだね。完全に自己満足だけど』
『良いんじゃないか?俺もそうだが、守りたいもののある人間は強い』
そう言ってルルーシュは生前出会った人を思い出した。
自分に忠を尽くし、汚名を甘んじて受けた騎士を。
一人の女性を永遠に守る事を誓い、その命を賭して戦った男を。
カタパルトに着くが、当然使用は出来ない。
『どうするつもりだ?』
『決まってるじゃない!』
そう言ってISを展開、右手をドアに当てる。そして、輻射波動を起動。
『…突破方法がナリタの時のスザクみたいだな』
『懐かしいね。じゃあ、紅月カレン、紅蓮、行きます!』
入った瞬間、謎のISはセシリアの攻撃で沈黙していた。
『何だ、終わってる…』
『どうした?』
『嫌な予感がする…』
次の瞬間、謎のISは再起動し、近くで動けなくなっていた一夏に攻撃しようとしていた。
それを見たカレンは瞬時加速で一気に距離を詰め、敵の胴体を掴み、そのまま押しながら輻射波動を発動させて破壊した。
「カレンか?助かった、ありがとう」
「まあ、当たり前の事をしただけだしね」
『カレン!のんびりしている暇は無い!上からさらに3機来ている!』
ルルーシュの言葉に上を見るカレンそこには3機のISの姿が。
「一夏、鈴を連れて下がって!早く!」
「でも!」
「どうせ、エネルギー無いんでしょ。そんなのいたって足手まといなだけだから。私がBピットのカタパルト口を壊して入って来たから、そこから下がって」
「…分かった」
渋々といった様子で下がる一夏。
『言い過ぎでありませんの?』
プライベートチャンネルでセシリアはそう言ってきた。
『どこが?あのまま戦ったって怪我するだけだよ。下手したら死ぬよ。退かずに戦うのは勇気かもしれないけど、退くタイミングを見誤って戦うのは無謀だよ』
『…そうですわね。すみません、紅月さん』
『カレンで良いよ。オルコットさん』
『カレンさん、私もセシリアで構いませんわ』
『それじゃ、セシリア。私が突っ込むから援護よろしく』
『了解しましたわ』
カレンは自分から一番近い敵機に向かい一気に距離を詰める。
他の二機はそれを邪魔しようとするが、セシリアの的確な援護で中々それが出来ない。
カレンのターゲットになってる機体は紅蓮に向けて、バリアを破壊したビームを撃つが、カレンはセシリア戦と同じ要領で避ける。
格闘の間合いに入った瞬間、近接ブレードを呼び出し、両腕を破壊し、さらに接近していく
「弾けろ!」
胴体を右手で掴み。輻射波動を発動させた。
少しして破壊される機体。
『後、二機!ルルーシュ残りのエネルギーは?』
『残り4割と言った所だ』
『入口の破壊に思った以上に使ったね』
『だな』
「それでも!」
紅蓮には決定打を与えられる武器は輻射波動しかない。
極論を言えばそこさえ警戒すればいいのだが、カレンも歴戦のエースであり、紅蓮を使い続けてきたのである。警戒されても、よほどの事が無い限り、最後には当てる。
まあ、これはカレンの腕がとんでもない、というのが分かっていただければそれでいい。
再び一気に距離を詰める。
敵機はさっきの機体と同じ対処をしようと、左腕を前に出す。しかし、カレンは次の瞬間、スラッシュハーケンを発射し、相手の左肩の関節部分に当てる。そして、
「ぶっ飛べ!」
無理やり、もう1機の方に投げ飛ばした。それと同じタイミングで右手を前にだし、輻射波動砲(収束)を撃った。
後に残ったのは、動かなくなった2機のISだけだった。
個人的にコードギアス最大の名言である「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」を出せただけで満足です。
この頃はまだISがスポーツの物というのが登場人物の心の中で存在している気がします。
さて、次回はカレンが簪、本音、織斑先生に自分の秘密をばらします。それで一巻の内容は終わりになります。