僕の艦隊これくしょん ~提督になれば艦娘とイチャラブできると思っていた~   作:荒井うみウシ

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榛名視点です。



談話室にて

夕食をいただいて、後は自由時間と伺い、榛名はまだあっていない方に挨拶をしようかと思って談話室に向かって歩きます。

建造されて、榛名の提督ではなかったのはとても残念ではありましたが、ここの鎮守府の提督はとても優しく丁寧に歓迎してくれました。

その上今日は提督においしい手料理まで振舞っていただき、とてもうれしかったです。

榛名の提督も彼のように優しい方だとうれしいなと思いました。

 

談話室に近づいていくと中から話し声が聴こえます。

声の数からしてそれほど多くは居ないようでした。

 

入り口から顔を覗かせてどなたが居るのか確認をすると、摩耶さん、羽黒さん、山城さん、赤城さん、大淀さんが居ました。

摩耶さんと羽黒さん、赤城さんと大淀さんと山城さんという2組に分かれて団欒している様子でした。

 

こちらに気づいたのか赤城さんが声をかけてくれました。

 

「あら、榛名さん。夕食はもうお済ですか?」

 

湯飲みを両手で包むように持ちながら落ち着いた様子でこちらを向く赤城さん。

その声に他の皆さんも榛名に気づいた様子でした。

 

「えぇ、とてもおいしかったです。皆さんも食後のお茶ですか?」

 

「そんなところです。よかったらこちらでご一緒しませんか?」

 

赤城さんのお誘いはありがたいのですが、摩耶さんと羽黒さんには挨拶がまだなので、そちらを先にするべきでしょう。

 

「はい、榛名でよろしければ。でも少々待っていただけますか?先に摩耶さんと羽黒さんにご挨拶をしたくて」

 

そういって摩耶さんと羽黒さんのほうを向くと摩耶さんが片手をあげて声をかけてくれました。

 

「おう、摩耶だ。よろしくな!」

 

「は、羽黒です。…よろしくお願いします」

 

続くように羽黒さんも挨拶をしていただけました。

 

「榛名です。本来はこちらの所属ではないのですが、しばらくの間お世話になります。よろしくお願いいたしますね」

 

頭を下げて挨拶をする。

 

「書類はもう提出していますので、1週間ほどで捜索がはじまるかと思われますね」

 

大淀さんが教えてくれる。

 

「はい、わかりました」

 

「榛名さんってなにを飲む?こっちにいろいろあるから見てみるといいわ」

 

山城さんがマグカップを取り出しながら奥の戸棚を指差しました。

その戸棚に近づき中を確認してみると、茶葉やインスタントコーヒー、ココアのパックと並んでダージリンのティーパックをみつけました。

 

「ではこちらをいただいてもよろしいでしょうか?」

 

「ここにあるのは支給された共有品だから好きにしていいのよ。給湯器はそこに。はいこれ、ティーカップじゃなくて悪いわね」

 

そういって山城さんがマグカップを渡してくれます。

 

「ありがとうございます。いただきますね」

 

「そのマグは飲み終わったらそこの食洗器にセットしておいてくれればいいから」

 

"しょくせんき"とはいったい?

 

「しょく?」

 

「食器洗い器です。中に入れてボタンを押せば勝手に洗ってくれる優れものです」

 

赤城さんが教えてくれます。

便利なものがあるようですね。

 

「そんな便利なものを使ってよろしいのでしょうか?」

 

きっと高い機材でしょう。

 

「提督が用意してくださったんです。私たちも最初そんな高価なものをいただくわけにはと断ったのですが、そんなに高くないし、多少のお金で楽ができるならその方がいいだろうって自腹で導入してくださったんです」

 

赤城さんがそのときの様子を思い出したのでしょうか?

誇らしげにしています。

 

「後ほど調べてみたら実際個人でも買える値段ではありましたが、それなりの値段でした」

 

大淀さんが眼鏡の位置を直しながらしみじみと教えてくれます。

 

「他にも提督は私たちにいろいろ援助してくださるんですよ?ここの飲み物とかもそうですし」

 

羽黒さんもとてもうれしそうに教えてくれます。

 

「ほんと、本来戦うためだけのあたしらにすごくよくしてくれるんだよな。だから提督のためにももっとがんばろうって思えるんだ」

 

摩耶さんが明るく言います。

あぁ、皆さん本当にいい顔で提督の話をしてくれます。

良い方だとは感じていましたが、話を聞くと本当にすばらしい方のようです。

本来負担になるだろう榛名も好待遇で受け入れてくださいますし。

 

「みなさんが、少しうらやましいです。榛名にはまだ提督がいませんから。みなさんの提督のように良い方だといいんですが…」

 

もし、このままここの艦娘になれたら。なんてことも少し思ってしまいます。

でも、榛名には榛名の提督が、榛名のすべきことがあります。

そのときのために今は今できることをしましょう。

 

「そういえば榛名さんってなにを食べたんですか?食堂では会わなかったと思いますが」

 

羽黒さんがふとそんなことを尋ねてきました。

 

「あ、ひょっとしてインスタント食品を食べたりしたか?ああいうのを食べると提督が君たちは体が資本なんだからもっとちゃんとしたものを食べなさーいってうるさいぞ」

 

摩耶さんが楽しそうに言います。

きっと実際にそういうやりとりをしたのでしょう。

 

「そのくせ自分のは適当なのよね。栄養的には大丈夫だからとかいってパック入りのゼリーで済まそうとしたりするし」

 

しかたないなぁっといった表情で山城さんが言います。

あぁ、本当ここはいいですね。

 

「榛名はパスタをいただきました!」

 

先ほど食べたものを思い出してしまいます。

おいしかったなぁ

 

「パスタ?そういうのもあるんですね。今度頼んでみましょうか」

 

赤城さんがよだれをたらしそうな顔で言います。

パスタ、好きなんでしょうか?

 

「えぇ、今度皆さんもいただけるといいですね。でも、あんまり大勢だと提督が困ってしまいそうですね」

 

手馴れた様子で作ってはいましたが、何人分ともなると大変でしょうし。

 

「…?どうして提督が困るんです?」

 

ふと急に大淀さんが尋ねてきます。

どうしてでしょうか?

 

「?だってたくさん作るのって大変でしょうし、それに提督のお時間をあまり取るのはよくないのではありませんか?」

 

怪訝な顔で何か考えている様子の大淀さん。

榛名、何か変なことを言ってしまったのでしょうか?

 

「榛名さん、いくつか確認したいんですが、質問に答えてもらえますか?」

 

大淀さんがすこし怖い顔をしながらいいます。

一体何なんでしょうか?

 

「えっと、いいですけど、榛名、なにか悪いことでもしてしまったのでしょうか?」

 

「いいえ、私の予想通りなら別に問題がある行動があったわけではないでしょうし」

 

そういってクイッと眼鏡をあげる大淀さん。

他の皆さんもそんな大淀さんの空気に何も言えずにいる様子です。

 

「まず、榛名さんはパスタを食べたんですよね?」

 

「はい、あとサラダとスープもいただきました」

 

「それ、どこで食べました?」

 

場所が気になるのでしょうか?

 

「えっと、執務室、ですけど。ひょっとしてあそこって飲食禁止だったんですか?」

 

仕事場に臭いが残ったりしたら確かによくないですし。

 

「執務室?」

 

摩耶さんが怪訝に繰り返します。

あれ?なんだか皆さんの様子が変わってきました。

ちょっと大淀さんと同じような感じです。

というか榛名、いつのまにか囲まれています。

どうしたのでしょうか?

 

「えーっと…?」

 

「とりあえずまだ質問に答えてもらえますか?」

 

「は、はい!」

 

戸惑っていると大淀さんが念を押してきました。

 

「榛名さんが食べてたとき、提督はどうしていましたか?」

 

どうって…

 

「榛名と一緒に食べてましたよ?」

 

皆さんが一瞬ビクッとした気がします。

 

「提督は何を食べていました?」

 

「榛名と同じもの…ですけど…」

 

「執務室で、提督と、同じものを食べていたのね」

 

山城さん、とっても怖いです。

なんだか物語に出てくる怨霊のような感じです。

 

「で、それはどう調達したんですか?」

 

「調達って…えっと、すみません、質問がよくわかりません」

 

食材の話でしょうか?

提督が作っていたので原産地とかはわからないのですが、たぶん聞きたいのはそういうことじゃないと思いますし。

 

「…榛名さん。夕食は提督に用意させられたのでしょうか?」

 

「いえ、提督が作ってくださいましたよ?折角だからって」

 

ピシッとガラスにひびが入ったような音がした…ような気がします。

 

「提督が?」

 

「はい」

 

摩耶さんもすごく怖い顔です。

 

「…それはつまり、提督が夕食を調理してくださった。ということでしょうか?」

 

羽黒さんが淡々とした声で話します。

急に話し方が変わりましたけどどうしたのでしょうか?

 

「?そう…ですけど…」

 

「…」

 

皆さん、怖い表情のまま固まってしましました。

一体何が起きたのでしょうか…?

 

「えっと、み、みなさん?」

 

「ま、まだ負けてないからなぁああああああ!!!」

 

急にそう叫んで走り去っていく摩耶さん。

 

「…不幸だわ」

 

なにがでしょうか、山城さん。ふらふらと千鳥足で椅子に座りに行きました。

 

「…フフ、フフフフ」

 

小さく笑うようにしているのは羽黒さん。うつむき、表情が見えないのでとっても怖いです。

 

「」

 

固まったままの大淀さん。

 

「…ごめんなさいね。提督に料理を振舞っていただくなんて私たちはしてもらったことがなかったから動揺しているのよ。ちょっと、落ち着くまでそっとしておいてもらえますか?」

 

なんか、皆さん、とても変わった動揺の仕方をするんですね…

赤城さんには頷いて応えます。

 

というより怖くて声がだせないです。

 

榛名、ここでこれからうまくやっていけるのでしょうか…

 




某お湯で溶くお吸い物を茹でたパスタに和えると和風パスタのできあがりです。

1食1杯分で充分味がつきます。
個人的なポイントは茹で上がったパスタの湯をあんまり切らず、水気が多いままお吸い物の粉をかけるといい感じです。

おすすめですよ。
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