僕の艦隊これくしょん ~提督になれば艦娘とイチャラブできると思っていた~   作:荒井うみウシ

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ナァカチャンダヨゥ、ヨッロシクゥ!



那珂ちゃんとお茶

まずい。何が一番まずいって原因がわからないことだ。

 

今、うちの鎮守府は非常にまずい空気が漂っている。

空気を読むということが不得手な僕でさえ感じ取れるのだから余程だろう。

この空気を前提に注意深く彼女たちを見ていると、駆逐艦が中心になっている様だった。

 

さて、行動を起こす前に状況を整理しよう。

具体的に何が起きているのかわからないが、艦娘たちにぎこちなさと何かに対する怯えがあるようだった。

発生時期は榛名が来てくれた後。あくまでこれは僕が気づいたタイミングだから原因はそれ以前の可能性が高い。

仕事には今のところ影響はでていない。アイテム屋さん(明石)の見解では肉体面での不調はないとのこと。

こんなところだろうか。

 

整理が終わり、二口ほど水を飲んだあたりでノックの音がなった。

 

「どうぞ」

 

「失礼しまーす、提督、那珂ちゃんにご用事ってなあに?」

 

呼び出していた那珂ちゃんが元気よく入ってきてくれた。

那珂ちゃんはうちの所属艦唯一の癒し枠とも言える娘だ。全体的に手が足りなかったり、本人が仕事熱心なのもあってなかなか都合がつかないが、時折お茶に付き合ってくれる。アイドルだから~といって彼女にその気はないようなので、それ以上の仲にはなれそうにないから、これ以上踏み込むことは残念ながら難しいだろう。ただ相談に乗ってくれるだけで現状とても助かる。

 

「とりあえず、扉を閉めてこっちに座ってもらえるかな?」

 

那珂ちゃんに執務室のソファに掛けるよう指示しながら緑茶を用意する。

那珂ちゃんははーいと返事をしてソファに腰掛ける。

 

「はいこれ、那珂ちゃんはこしあん大丈夫かな?」

 

そういってお茶とお茶請けの最中を置く。

 

「こしあんも好きだからいいんですけど、改まってどうしたんですか?」

 

明るい調子はそのままだが、ちょっとだけ仕事中のしっかりした様子を覗かせる那珂ちゃん。

僕の様子からただお茶に誘ったわけではないことを察しているようだった。

 

「うーん、誘った一番の理由は最近ごたついてしばらく那珂ちゃんを誘えなかったってことなんだけど、ちょっと聞きたいことというか相談したいことがあるんだよね」

 

そういって那珂ちゃんの向かいに腰を下ろす。

 

「もぅ、そんな事言って~。那珂ちゃんはみんなのアイドルなんだからあんまり独占しちゃだめなんだゾ?提督だから特別なんだからね~。それで相談って?」

 

こちらの軽口もいなしつつ、ちゃんと本題を促してくれる。

こういうのはなんだかんだ川内型、頼りになる。

 

「まず聞きたいんだけど、最近、特に榛名が来てくれたあたりから駆逐の娘たちの様子が妙な気がしてね。僕が感じるくらいだからよっぽどのことだろうけれど、那珂ちゃんは何か知らない?」

 

素直に聞くのが吉だ。

うーん、と可愛らしく小首をかしげながら考える那珂ちゃん。

 

「様子がおかしいのは知っているのですが、何でかはわからないかなぁ。正直那珂ちゃんもちょっと気になってたんですよねぇ。はじめは榛名さんにヤキモチ妬いてるのかなぁって思ったのですけど、違う気がするんです。どう違うのかははっきりとした言葉にできないのですが、こう、必死さというかそういう類の何かがある感じですね。それにあんまり榛名さん自身を気にしている様子はない気もしますし」

 

だいたいは僕が感じているものと同じようだった。

 

「あ、でも時期は提督と同じですね。榛名さんが来た直後だったと思います」

 

那珂ちゃんも真剣に考えてくれているのだろう、作戦前のブリーフィング時のように普段の軽い感じは控えている。

 

「そっか。ありがとう。個人的に霞、曙、満潮が要注意なんだけど、那珂ちゃん的にはどうかな?」

 

この娘たちは特に重苦しい感じがする。かといって僕が直接尋ねても霞はともかく残りの二人は答えてくれそうにないし。

 

「那珂ちゃん的にもちょっと危ないかなって思うの。でも那珂ちゃんは曙ちゃんよりも叢雲ちゃんと潮ちゃんの方が危ないかなって。逆に比較的大丈夫そうなのは磯波ちゃんと白雪ちゃん、敷波ちゃんかな?新し目の娘が大丈夫そうだけど、別段着任順とかではないですよね?」

 

そう言われて着任順を思い返す。

駆逐限定で言えば叢雲→霞→白雪→曙→潮→満潮→敷波→磯波だ。

特に叢雲は提督になるタイミングで着任した所謂初期艦に相応する。

 

磯波と敷波が大丈夫そうという話ならば確かに着任順というのは気になるファクターだろうが、最序盤からいる白雪も含まれるなら重要度は下がるだろう。

那珂ちゃんが来たのは潮と満潮の間のはずだ。

そう思って、それ以前の着任順を伝える。

そうすると那珂ちゃんもやっぱり関係ないかぁっとつぶやいて後ろにもたれる。

 

「那珂ちゃんの姉妹艦は大丈夫そう?」

 

こちらからみて軽巡の川内型三姉妹は一番安定している様子だ。

少し考え込む様子の後那珂ちゃんは口を開く。

 

「うん、神通ちゃんは出撃が増えてよろこんでいる感じだったし、川内ちゃんは相変わらず夜間警備が楽しいって言ってたし」

 

「夜間警備が楽しい?特に何も報告は受けてないけど?」

 

楽しいような何かがあったのだろうか?

 

「いやいや、そうじゃなくて。提督が思っているような悪いことは起きてないよ?ただ単に夜が好きだから、夜に散歩してるのが楽しいみたい」

 

那珂ちゃんが補足してくれた。なら問題ないのだけれど。

あの夜戦ニンジャは戦闘が好きな部類の子だから少し心配になっただけだ。

 

「あ、でも提督。重巡以上の娘らのフォローはしたほうがいいと思うよ?あれは榛名さんに対するヤキモチだと思うから」

 

「ヤキモチ、かぁ…。えっと、具体的にどの娘がどんなことにヤキモチ妬いてる?」

 

正直重巡以上の娘らは少々付き合いにくさを感じている。

摩耶は個人的にちょっと苦手だし、最近は先日あしらった事を根に持っているのか特に気が立っている。

羽黒はこちらを警戒している様子で、仕事以上のことに踏み込もうとするとごめんなさいと逃げ出される。もっと時間が経って信頼関係を構築できたら話は違うかもしれないが、しばらくはそっとしておくべきだろう。

赤城はポーカーフェイスが上手すぎて何を考えているか読み取れない。仕事関連には真面目に取り組んでくれるため問題無いが、私的に近づくにはどう切り込めばいいか判断できない。良くあるイメージ通りに食事系で釣ろうと思ったことはあるが、本人はイメージほどがっついていないし、実際に食べる量も大目ではあるがせいぜい毎食2人前程度だ。肉体労働者ならおかしいほどの量ではない。朝、弓を一緒に引くことが時たまあるが、和弓のことはわからないし、鍛錬に水を差すのも悪いと思って談話は控えている。

山城はあまり物事に関心をもっていないようで、その中に僕も含まれている様だ。仕事話以外は受け付けず一人窓際でアンニュイにしていることが多い。唯一扶桑関連はまだ試していないが、今まで一度も出会ったことないし、山城からすれば()()()()()()の僕が扶桑について話したらさすがにおかしく思うだろう。かといって山城から扶桑の話を聞くというアプローチも考えたが、扶桑を知らないフリして聞いていられる自信がない。

まぁ付き合いにくさを感じるのは彼女たちに限らないのだけれど。

 

「提督、そういうのは自分で考えたほうがいいと思いまーす」

 

ジト目で那珂ちゃんが言う。

だけどね那珂ちゃん。自分で考えて下手うって悪化させるよりはましだと思うんですよ。

そんな僕の内心を読み取ったのかため息と共にしょうがないなぁといった感じで口を開く。

 

「那珂ちゃんはあんまり詳しく知らないけど~、榛名さんに何かしたんじゃないかなぁ?それを他の娘にもしてあげるとか、もっといいことをしてあげるとか。そうすればきっと機嫌直るんじゃないかな?」

 

榛名にしたこと…ねぇ。

 

「身に覚えがなぁ…あ、あれか?」

 

建造できたとき非常に喜んだことを誰かから聞いたのかな?

 

「あるんだったらきっとそれだよ。拗れる前に何とかしたほうがいいよ。駆逐の娘たちも心配だろうけど、そっちだけじゃだめだからね」

 

メッとウインクしながら人差し指を立てる那珂ちゃん。

さすがアイドル。そういう仕草も似合ってかわいい。

 

「さてと、那珂ちゃんこれからレッスンあるからお暇してもいいかな?」

 

そういって席を立つ那珂ちゃん。

 

「あぁ、時間とってくれてありがとう」

 

「駆逐の娘たちについては那珂ちゃんもいろいろやってみるから安心してね!」

 

ひらひらと手を振りながらそういい残し、失礼しましたーと元気よく出て行った。

で、結局どないしましょうかね…

 

 




もう那珂ちゃんがメインヒロインでいいんじゃないかな?


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