僕の艦隊これくしょん ~提督になれば艦娘とイチャラブできると思っていた~   作:荒井うみウシ

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ナァカチャン、キョウモカッワイイッ!


那珂ちゃんとお茶_裏

「♪~」

 

いけないいけない、無意識に鼻歌を歌っちゃた。

誰かに聞かれたりしたら誤魔化さなきゃいけないから気をつけないと。

 

久々に提督がお茶に誘ってくれた。

最近は海域の解放後の事後処理や神通ちゃんのわがまま聞いたりいろいろと忙しかったみたいだけど、一息ついたみたいでよかった。

でもただのお茶じゃなくてどうも他にも話したいことがあるみたいだったな…。

たぶん、最近の艦娘についてだと思う。

 

なんだか皆様子がおかしい。

皆といっても私たち川内型を除いて、だけど。

重巡以上の娘らはきっと榛名さんへ嫉妬してるんだろうな。

私が着任した時の駆逐たちみたいな感じだし。

こっちはたぶんそんなに重要視しなくても大丈夫なんだけど、問題は駆逐の娘たち。

まだ戦闘中は割り切れているみたいだけど、それ以外のときはなんだか焦っているような感じがする。でもこの調子だといずれは良くない事が起きてもおかしくなさそう。

でも思い当たる節がない。時期的には榛名さんが来たときと重なるけど、それほど彼女たちが榛名さんを意識している様子もないし…

 

とと、考えてたら執務室を通り過ぎそうになっちゃった。

んん、那珂ちゃんはアイドル。みんなに元気をあげるのがお仕事!

よし、提督にも元気をあげなきゃ!

 

「どうぞ」

 

ノックをすると提督の返事が来た。

 

「失礼しまーす、提督、那珂ちゃんにご用事ってなあに?」

 

お茶とはわかっているけれどね。

部屋に入ると提督はコップを片手にソファに座っていた。

すぐにコップを置いて立ち上がるとにこやかに招いてくれた。

 

「とりあえず、扉を閉めてこっちに座ってもらえるかな?」

 

戸棚にあるお茶を取り出しながら提督が言う。

はーいと返事しておとなしく指示に従って座る。

 

「はいこれ、那珂ちゃんはこしあん大丈夫かな?」

 

今回出してくれたお茶請けは最中だった。

提督の言から中はこしあんなのだろう。

 

「こしあんも好きだからいいんですけど、改まってどうしたんですか?」

 

にこやかにはしているけれど、やっぱり普段より少し表情に影がある。

早めに話を聞いておくべきだよね。

 

「うーん、誘った一番の理由は最近ごたついてしばらく那珂ちゃんを誘えなかったってことなんだけど、ちょっと聞きたいことというか相談したいことがあるんだよね」

 

提督の冗談にドキっとしてしまった。でもがんばって押しとどめる。

那珂ちゃんはアイドルだもん、まだスキャンダルはおこしちゃだめだもん。

 

「もぅ、そんな事言って~。那珂ちゃんはみんなのアイドルなんだからあんまり独占しちゃだめなんだゾ?提督だから特別なんだからね~。それで相談って?」

 

なんとか隠しきれたみたい。でも元々提督は鈍感だから隠さずとも気づかないかもしれない。

 

「まず聞きたいんだけど、最近、特に榛名が来てくれたあたりから駆逐の娘たちの様子が妙な気がしてね。僕が感じるくらいだからよっぽどのことだろうけれど、那珂ちゃんは何か知らない?」

 

口調は柔らかいけど、結構深刻なことだと雰囲気で感じ取る。

うーん、やっぱりさっき考えていたことであってそうだなぁ。

 

「様子がおかしいのは知っているのですが、何でかはわからないかなぁ。正直那珂ちゃんもちょっと気になってたんですよねぇ。はじめは榛名さんにヤキモチ妬いてるのかなぁって思ったのですけど、違う気がするんです。どう違うのかははっきりとした言葉にできないのですが、こう、必死さというかそういう類の何かがある感じですね。それにあんまり榛名さん自身を気にしている様子はない気もしますし」

 

提督はやっぱりか、といった感じの表情をしている。

あ、これは付け足しておいたほうがいいかな。

 

「あ、でも時期は提督と同じですね。榛名さんが来た直後だったと思います」

 

提督のことだからきっと自分が感じ始めるよりずっと前から予兆があったのに気づけなかったという風に思ってそうだし。

 

「そっか。ありがとう。個人的に霞、曙、満潮が要注意なんだけど、那珂ちゃん的にはどうかな?」

 

言われてみてどうだったかを思い返してみる。

確かに三人ともすごく情緒不安定な感じがした。

霞ちゃんは酷く落ち込んでいるみたいだし、満潮ちゃんにいたっては何かをあきらめかけているようにすら見える。

でも曙ちゃんはただの自己嫌悪って感じかな?正直なところ叢雲ちゃんも酷いと思う。

叢雲ちゃんは霞ちゃんに近いけど、たぶん自分が駆逐たちのまとめ役って思っている責任感からか表にださないようにしている風がある。こういうのは抱え込む方が危ない。

あと言うなら潮ちゃんかな?

何か不安になっているみたいだけど、あの娘は提督の前だと緊張しちゃっておどおどしちゃうから、提督から見るとそれほど差異がないようになってしまうかもしれない。

 

逆に落ち着いてるのは磯波ちゃんや敷波ちゃん、白雪ちゃんかな?

そういえば危ない感じの叢雲ちゃんや霞ちゃんは私よりも前から着任してて、安定してる感じの磯波ちゃんや敷波ちゃんはわりと最近に着任してる。ここも話にあげたほうがいいかもしれない。

 

「那珂ちゃん的にもちょっと危ないかなって思うの。でも那珂ちゃんは曙ちゃんよりも叢雲ちゃんと潮ちゃんの方が危ないかなって。逆に比較的大丈夫そうなのは磯波ちゃんと白雪ちゃん、敷波ちゃんかな?新し目の娘が大丈夫そうだけど、別段着任順とかではないですよね?」

 

「白雪さんが比較的落ち着いているなら関係ないと思う。一応着任順を伝えておこうか。那珂ちゃんは満潮さん以降の着任順は知ってるよね?」

 

そういって私が来る前から居る娘らの着任順を教えてくれた。

提督の言うとおり白雪ちゃんが結構古くから居るみたいだけれど安定してる感じからしてやっぱり関係ないかぁ…

 

うーん、これ以上はこっちで勝手にあれこれ考えても進展なさそうだなぁ。

 

「那珂ちゃんの姉妹艦は大丈夫そう?」

 

そんなことを考えていると提督も同じなのか話題を変えてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姉妹艦。川内ちゃんと神通ちゃんだ。

二人も含めて提督は私たちに対して非常に好意的に扱ってくれる。

川内ちゃんに対しては、他の娘たちに制限をかけている夜間の活動を警備という名目で認めてくれているし、神通ちゃんはこの間もっと出撃したいって言うわがままを聞いてもらったとうれしそうに教えてくれた。

私にもこうして時折お茶に誘ってくれたりする。はじめは私を特別扱いしてくれているのかと勘違いしちゃった。だけど提督はただみんなとも仲良くしたいみたいで、いろいろ考えたけどうまくいかないってことを話してくれた。他の娘たちも提督と仲良くはしたいけれどどうも噛み合わないみたいで、うまくいっていないみたいだった。

私は軽くアドバイスをしたりはしたけれど、どうしても仲介人になる気にはなれなかった。

理由は未だによくわからないけれど、深く考える気にもなれなかった。

ただ、もうちょっと提督の相談を受ける役を他の娘に譲りたくないかなぁ…

 

 

 

 

と、いけない、質問に答えないと。

 

「う、うん。神通ちゃんは出撃が増えてよろこんでいる感じだったし、川内ちゃんは相変わらず夜間警備が楽しいって言ってたし」

 

少し変に間が空いちゃったかもしれないけれど、提督は特に変に思ったりはしていないようだった。

 

「夜間警備が楽しい?特に何も報告は受けてないけど?」

 

川内ちゃんのことでちょっと違うことを連想しちゃったみたい。

 

「いやいや、そうじゃなくて。提督が思っているような悪いことは起きてないよ?ただ単に夜が好きだから、夜に散歩してるのが楽しいみたい」

 

そう伝えるとほっと安心したみたい。

よかった。

コップに口をつける提督。心配事はこれで全部といった様子。

でも提督、ここに居る艦娘は駆逐と私たちだけじゃないよ?

 

「あ、でも提督。重巡以上の娘らのフォローはしたほうがいいと思うよ?あれは榛名さんに対するヤキモチだと思うから」

 

そう伝えると、提督はうっと小さくうめき、頭を抱える。

これは気づいていないわけじゃなく、後回しにしようとしてたみたい。

 

「ヤキモチ、かぁ…。えっと、具体的にどの娘がどんなことにヤキモチ妬いてる?」

 

ちらりとこちらをのぞきこむようにしながら提督が言う。

頼ってくれるのはうれしいけれど、女心をもう少し考えたほうがいいと思うなぁ。

 

「提督、そういうのは自分で考えたほうがいいと思いまーす」

 

うぅーとうなだれる提督。

本当、お仕事は上手くやるのにこういうのは苦手なんだなぁ。

なんだかかわいい。

しかたない、那珂ちゃんが少しだけ手助けしてあげちゃおう。

 

「那珂ちゃんはあんまり詳しく知らないけど~、榛名さんに何かしたんじゃないかなぁ?それを他の娘にもしてあげるとか、もっといいことをしてあげるとか。そうすればきっと機嫌直るんじゃないかな?」

 

駆逐たちが私の着任当初、頻繁にかまうことに関してヤキモチを妬いたことをおぼえていないかな?

たぶん似たようなことをまたしたんだと思う。

結局それ以来あんまり表立って二人きりにならないようにこちらが気を使っているのがちょっとバカらしく感じる。そのお陰で未だに私が提督とお茶してることを知っているのは川内ちゃんと神通ちゃんだけだし。これが知られたらもっと酷くなるんじゃないかな?

 

「身に覚えがなぁ…あ、あれか?」

 

たぶん違う。そんなすぐに思いつく人ならこっちももやもやしたりしないもん。

 

「あるんだったらきっとそれだよ。拗れる前に何とかしたほうがいいよ。駆逐の娘たちも心配だろうけど、そっちだけじゃだめだからね」

 

でももうこれ以上は手を貸してあげない。

女の子は教えてもらったことだけで仲良くできるわけじゃないんだよ?

 

「さてと、那珂ちゃんこれからレッスンあるからお暇してもいいかな?」

 

あんまり長い間こうしていると誰かが来てしまうかもしれない。

この後一緒にレッスンする予定の娘とか。

そうするとまた拗れちゃうから早々に退却しよう。

 

「あぁ、時間とってくれてありがとう」

 

「駆逐の娘たちについては那珂ちゃんもいろいろやってみるから安心してね!」

 

さて、那珂ちゃんは那珂ちゃんのできることをがんばりましょうか!

 




久々のセット投稿です。

那珂ちゃんはプロのアイドル感あると思います。アイドル艦だけに。
スミマセン

あ、あと僕は餡子はこしあん派です。粒あんも好きですけどね。
しっとり滑らかな感じが好きです。

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