僕の艦隊これくしょん ~提督になれば艦娘とイチャラブできると思っていた~   作:荒井うみウシ

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前回の翌日です。


健康診断_準備4

摩耶に健康診断から帰ってきたら料理を振る舞う約束をした翌日、僕は早朝から弓道場に向かった。

目的はもちろん赤城。

あの仕事一筋の娘が榛名の扱いどうのこうので揺らぐことは想像できないが、那珂ちゃんの忠告には従うべきだ。

 

弓道場に近づくと独特の風を切る音が鳴っていたが、入ろうとする頃には音は止まっていた。

 

「おはようございます、提督」

 

「おはようございます、赤城さん」

 

どうやら僕が近づいてくることに気がついていたみたいだ。

すごい察知能力だ。流石は一航戦。

 

「今朝も見に来ていただいた…わけではなさそうですね。どうかなさいましたか?」

 

別段何か意識していたわけではないが、顔に出ていたのだろうか?

色々先読みされている。

 

「あはは。まぁ一言で言うと様子見なんですけどね。赤城さん最近調子どうですか?」

 

仕事上は問題ないことは承知しているし、彼女ならば何かあれば報告してくれるだろう。

だから何もないことは理解しているが、その上で聞くのは単に僕に他の話題がなかっただけなのだが。

 

「そうですね。特に問題はありません。お気遣いありがとうございます」

 

さて、ここからどうやって話をつなげるか。

申告上は問題ないと言うし、僕から見ても何か問題があるように見えない。

でも那珂ちゃんが気にかけろというのだから何かしらフォローすべきなんだけど。

本当に彼女と出会う前に想像していたテンプレ通りの娘だったら食べ物で釣れば機嫌取れそうなんだけどなぁ。

ダメ元でそっちでいってみるか。

 

「赤城さんって、クッキーとパンケーキどっちが好きですか?」

 

「?えっと、急になんですか?」

 

まぁそういう反応が普通だよなぁ。突然変な質問されたら大体はこうなるって。

 

「まぁ今後の参考までに。あ、その二つ以外でも何か好きな食べ物教えてもらえます?」

 

「は、はぁ…。えっとクッキーもパンケーキも好きですよ。好きな食べ物ですか…。すぐには思いつきませんね。申し訳ありません」

 

「いや、急に聞いた僕が悪かった。逆にこういうのは苦手だーっていう食べ物はあります?」

 

「そうですね…。今まで食べたことのある食べ物は苦手と感じたことがないので分からないです」

 

「そうですか。ありがとうございます」

 

なるほど、好き嫌いはなしと。

話にも上げたし、今度クッキーを作って差し入れよう。

お菓子になっちゃうけど、手作りの何かをうちの娘らにあげたことなかったし。

 

さて話終っちゃったよ。どないしよう?

 

「そういえば提督、先日潮さんと何かあったのですか?」

 

「潮と?えっと、何のことでしょう?」

 

何だ?潮関連で何かあったっけ?

 

「食事中になんだか、その、色々お話していたみたいだったので」

 

食事中…ああ、この前の勘違いを正したときのことか。

そういえばあの日赤城も食堂に居たな。

 

「あぁ、うん。ちょっと色々勘違いさせちゃってね。それでちょっと不安に思わせちゃったんですよ。だから大丈夫だよーって話していただけです」

 

「は、はぁ…」

 

ちょっと抽象的すぎたな。

 

「うーんちょっとややこしい話なんですけどいいですか?」

 

「はい」

 

一応情報共有くらいはしておいて良いだろう。

別に知られて困ることはないし。

 

「えっと、まず赤城さんって艦娘の最大保有数について何か知っています?」

 

「最大?」

 

「あぁ、知らないなら良いんですよ。どれくらい艦娘が自分を提督と判断してくれるかっていう数なんですが、これを提督がどれくらい艦娘を抱えられるのかっていう数だと勘違いしちゃったみたいで。それで今後もっと優秀な娘が来たら解体されるんじゃないかと不安がっていたんですよ。まぁ解体なんてする気はないんで、勘違いを直してそう伝えたら安心してもらえたんでよかったんですけどね」

 

「えっと、どれだけ艦娘が部下になるかっていうことですか?」

 

「うーん、その言い方だと間違っちゃいないけれど、駆逐の娘らがした勘違いをしそうな感じがする。けど平たく言うとそうなっちゃうんですよねぇ」

 

「ややこしいですね。ですがなるほど、確かに勘違いしかねませんね」

 

理解が早くて助かる。

 

「それでちょっと空気が重かったからさ。まぁ叢雲さんたちが誤解を解いてまわってくれるって言ってたし、すぐに元に戻ると思うよ」

 

「それは良かったです。確かに最近駆逐の娘たちがちょっとピリピリしていましたからね」

 

やっぱり赤城も感じていたようだ。

 

「それもあって、じゃあ他の娘らはどうかなぁって様子を見てまわっているんだ」

 

「だから昨日は山城さんたちと夕食を摂っていたのですね」

 

気づかなかったけど見られていたのか。

 

「まぁそんなところです」

 

「では今日は私のところですか?」

 

「あはは、はい」

 

ここではぐらかしても無意味だし、素直に肯定する。

ちょっとバツが悪いけどね。

 

「お心遣い感謝します。ですが私はご覧の通り問題ありませんよ」

 

「の、様ですね。よかったです」

 

まぁ本人がこう言っているのだ。深く突っ込まず、気にかけていることだけ伝えておけば良いだろう。

 

「あ、そうだ。この際だから一つ良いですか?」

 

何か悪戯が思いついたように言う。

赤城にしては珍しい表情だ。

 

「できることならどうぞ」

 

「では、次の的前練習…えっと矢を打つのですが、それで皆中…すべて的にあたったらご褒美、もらえませんか?」

 

「ご褒美、ですか?具体的には?」

 

おねだりとは珍しい。よほどのものでなければあげよう。

 

「その…、前に潮さんにやっていたみたいに、頭を、撫でていただけないでしょうか?」

 

「…」

 

イマ、ナントオッシャイマシタカ?

 

 

え?マジで?いいの?

女の人って頭というか髪触られるのってすごく嫌だって聞いたんだけど。

マジで撫でていいんかい!?

 

「だめ、でしょうか?」

 

普段の凛とした姿ではなく、可憐な少女のように問う赤城。

え?この娘って綺麗系じゃなかったっけ?こんな可愛い系もやれるの?

 

 

「いや、むしろよろこんでやらせていただきます。なんだったらハグしながらしちゃいましょう!」

 

ヒャッハー!言ってやったZE☆

 

「ハグ?」

 

あ、しまった。言い過ぎた。欲望駄々漏れや。

 

「あ、いえ、気にしないでください。無しにしますんで」

 

「ハグとは何でしょう?」

 

「いやぁ。ちょっと欲望がポロリしちゃっただけなんで気にせずに「提督」はい」

 

ちょっと真顔は怖いです。

 

「ハグは抱擁。抱っこです。ハイ。スミマセン」

 

「…では、それもお願いいたします」

 

なにこの顔を赤くしてもじもじする美少女。

いやマジでご褒美とか言うけど僕のほうがご褒美なんですが。何が何でもあててほしいものですわ。

 

「えっと、こっちが勝手に調子のっただけなんで、嫌なら「嫌じゃないです」まじすか?」

 

即答の嫌じゃないですからの首肯。

え?いつの間にこんなに好感度上がってたの?

いや、焦るな。一人先走らず、冷静に、落ち着いて。

無理ですね。ハイ。

 

「その、準備しますね」

 

そういって的前に移動する赤城。

切り替えもしっかりしているのかさっきまでの乙女感はなく、凛とした僕の知っているカッコ綺麗系美人が居た。

僕も邪魔をしないように気配を抑え、静かに見守る。

空気を汚さないように落ち着かせ、ただそこにある一つのものとなる。

 

静かで澄んだ空気が弓道場に広がる。

その中で赤城が弓を持つと、それは鋭さを持った張り詰めたものに変わった。

 

ゆっくりと矢を番え、引き始める。

ピリピリと緊張が高まるのが伝わる。

ヒュッと独特の風きり音と共に矢が放たれ、小さくトスと的に刺さった。

だがまだ空気は張り詰めている。

しっかりとすべてを見届けた後、ようやくそれは緩み始めた。

そして小さく一呼吸。

次の矢を射るために再び空気が張り詰め始める。

まるで同じ動画を再生しているかのごとく、同じ動作をする赤城。

2本目の矢も同じく的に刺さる。

1本目より少しだけ右に反れたようだ。

しかしその程度で動揺などはない。

しっかりとその事実を受け止めながら、次のために切り替える。

3射目。モーションは変わらず。

また刺さる。今度は上にずれた。

4射目。これは良くない。これが最後だからと呼吸のリズムがずれている。

短い呼吸を多くしている。もっと落ち着いて。

そう思っても口出しはできない。

これは彼女が彼女自身との競いなのだから。

ただただ見届ける。

放たれた矢は1本目のすぐ傍に刺さった。

 

 

 

「ご褒美、あげないとですね」

 

空気が緩んだのを確認してから声をかける。

 

「…これではダメですね」

 

だが彼女の言は否定的だった。

 

「当て射、的に当てるための行射でした。まだまだ未熟者ですからご褒美は…」

 

「条件はすべて的に当てたら、のはずですよ?まぁ弓道としては悪いのかもしれませんが」

 

「だからですよ。ちゃんとできた上での皆中でなければ意味がないんです」

 

意気消沈気味の赤城。

ちょっと強引にいってしまうのも手かな。

 

「じゃあ逆に罰を与えるってのはどうかな?」

 

「罰?そうですね。その方がいいかもしれません…」

 

聡い普段の彼女なら僕のやろうとしていることを看破しそうだけれど、今はよほど落ち込んでいるようだ。

 

「じゃあ罰としてちょっと僕の言うことを聞いてもらうよ」

 

「はい。なんなりと」

 

「とりあえず装備はずしてこっちに来てくれる?」

 

弓や道具を置いて、こちらに近づく赤城。

 

「そこで目を閉じてしばらく、そうだな100秒数えるんだ。その間何があってもおとなしくしていること。いいかな?」

 

「わかりました」

 

そういって目を閉じる赤城。

そっと僕は彼女に近づき、意を決して抱きしめる。

 

「はぇっ!?て、提督!?」

 

「しー。ちゃんとおとなしく100秒数えててよ」

 

そのままゆっくりと頭を撫で始める。

 

「あぁ、これは、すごく…」

 

「嫌でも我慢してねー。これは罰なんだから」

 

「…嫌なわけ、ないじゃないですか…」

 

丁寧に撫で続ける。

艶やかでさわり心地の良い髪。これは癖になりそうだ。

それに彼女の体温。弓道をやっていたから結構あったかい。

かと言って嫌な感じはなく、むしろとても心地良い。

それに、なんていうか、とってもやわらかいし良い匂いがする。

もっと強く抱きしめたいという欲求をがんばって抑える。

これ以上強く抱きしめるとなんだか壊してしまいそうで。

だから動かすのは髪を梳かすように頭を撫でる手だけだ。

 

しばらく時間が経った気がする。

 

「さて、100秒数えられた?」

 

「まだ、数え切れていません」

 

そうか、まだか。彼女がそういうなら続けなければ。

 

「じゃあまだこのままね」

 

ゆっくりと愛おしむように撫でる。

時には頭頂部から、時には首元から、時には耳の裏から。

ほとんど髪を梳いているかのような感じで撫で続ける。

いつまでも続けたいとももっと先に行きたいとも思えるもどかしいような心地良いような不思議な感覚で満ちている。

 

「提督、ありがとうございます」

 

「ん?何が?」

 

「とても、心地良いです。またお願いしたいほどに」

 

「そうかい?いつでもこうしますよ?」

 

「ふふっ、それじゃダメになっちゃいそうなのでほどほどでおねがいします」

 

「そっか、じゃあもう100秒になっちゃうのかな?」

 

「えぇ、ひゃーく。はい。100秒数え終わりました」

 

ゆっくりと赤城から離れる。

とても名残惜しいが、今回はここまでだ。

 

「こんな罰が受けられるなら私、悪い娘になっちゃいそうです」

 

チロリと舌を出して言う赤城。

 

「それは困っちゃうなぁ。いい娘だったらご褒美で200秒にしようか?」

 

「あら、でしたら良い娘にしてご褒美いただきますね」

 

なんだかんだ落ち着いているときは彼女のほうが何枚も上手だ。

 

「あはは、お手柔らかにおねがいしますね。それじゃあそろそろ朝食食べましょうか?」

 

「あ、私は片付けてから行くので、提督はお先に召し上がっていてください」

 

「そうかい?じゃあ悪いけど先に行かせてもらうよ」

 

「はい。ではまた後ほど」

 

そう言って彼女は片付けを始めた。

僕も弓道場を後にする。

 

 

「あ、健康診断で留守にすることを伝えるの忘れてた」

 

まぁ後でまた伝えれば良いだろう。

良い気分のまま朝食に向かうことにしよう。




やぁあっと少しだけいちゃつけました。

大食艦だの妖怪食っちゃ寝だの言われていますけど、赤城はなんだかんだ純和系綺麗美人だと思っています。

なのに可愛げがあるって卑怯だと思いません?

それにしても準備回のはずなのにほとんどフォローしに各娘らのところを回っているだけなのでサブタイトル詐欺って怒られますかね?
まぁ細かいことは気にしないようお願いします。

あと弓道関係も適当に見逃してください。ナンデモはしませんけど。
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