僕の艦隊これくしょん ~提督になれば艦娘とイチャラブできると思っていた~ 作:荒井うみウシ
日本人の朝食なら白米一択やろ!
とか思いつつ朝食のおかずを考える。
自室で納豆と溶き卵を掛けたのでいいかと思っていたが、食堂で食べるよう言われたことを思い出して、食堂へ向かう。
食堂に着いたらメニューとにらめっこして、また悩み始める。
生姜焼き定食…いや、豚肉って気分じゃあないな…
「提督、おはようございます」
悩んでいると挨拶をされた。声のほうをみると榛名がいた。
「榛名さん。おはようございます」
「朝食、何になさるんですか?」
「それを今悩んでいましてね。定食系を食べようと思っているのですが、ブリの照り焼きとカツオのタタキ、どちらにしようかなぁと」
「どちらも魅力的ですよね。そうだ、もしよろしければ一方を提督が、もう一方を榛名が頼んで一緒に食べるのはどうでしょう?」
なん…だと…?
「ほわっつ?」
「ほわ?えぇと、どうかなさいましたか?」
「いや、その、それはおかずをご一緒させていただけるという意味ですか?」
「提督がお嫌でなければですけど…。やっぱりやめましょうか?」
「いえいえいえいえ。ぜひともお願いします」
榛名とおかずシェアだとぅ!?
うん。今後も積極的に食堂を利用しよう。
「あ、榛名さん、おはよー」
榛名の向こう側から声がかかる。
声に気づき榛名が振り向く。
「あぁ、敷波さん。おはようございます」
「あ、司令官もいたんだ。おはよ」
いたんですよ。
「あぁ、おはよう」
「敷波さんも朝食ですか?」
榛名さんが聞く。まぁこの時間にここに居るのだからそうだろうけど、まぁそう言っちゃったらお終いだけどね。
「うん。そだよ」
「でしたらご一緒にどうですか?よろしいですよね提督?」
拒否する理由は無い。べつにいたんだっていうのに傷ついてないし。
ホントダヨ?全然傷ついてないし。ウン。ちょっと学生時代のことを思い出して悲しい気持ちになっただけだし。
なんにも問題ないよ。
「…かまわないよ」
「ではそうしましょう。一緒に食べる人が多いほうがおいしいですしね!」
榛名は元気でかわいいなぁ。
敷波は割りと戸惑っている様子だ。
「いいの?」
「もちろんです!ね、提督」
「遠慮する必要はないぞ。まぁ上官と一緒なのが気になるなら断ってもいいし」
仕事以上の付き合いの無い上司と一緒に食事とか進んでしたい人はそう多くないだろう。
敷波は口調は砕けてはいるが、性格は真面目な娘だ。
あまりフランクな関係は好まないらしく、仕事以外の何かを誘おうとしたりすると断ることが多い。
好まない娘を無理やりどうこうするのは好みじゃない…というかダメ絶対だから必要以上に近づかないようにしている。
「…じゃあ一緒に食べようかな」
あらめずらしい。と口からでそうになるのを何とか押さえられた。
こういうのは思ってても言っちゃだめだからね。
三人で券を発行する。
敷波はタマゴサンドを頼んだようだ。
食事を受け取り、空いているテーブルに座る。
ちなみに僕の隣に榛名、榛名の向かいに敷波といった感じで座ってる。
「では、いただきます」
僕がいうと二人も倣った。
「提督、半分ほど交換しましょうか」
「うん、ありがとう」
榛名がカツオの乗った皿をこちらに近づける。
そこからカツオを少しもらい、こちらのブリを半分ほど乗せて返す。
「…変わったことするね」
敷波さんがボソりと言う。
「あぁ、僕がどちらにしようか悩んでたら、榛名さんが二人で両方頼んで、半分ずつ食べようって言ってくれてね」
「榛名も食べるものを悩んでいたので、ご一緒させていただきました」
「ふーん。まぁいいけど」
そういってはむっとサンドイッチに噛み付く敷波。結構一口が小さく、小動物的でかわいい。
「あ、そうだ。榛名さん、今度僕が健康診断を受けに行くのですが、榛名さんも来ていただけますか?他の提督も何人かは来るはずなので、ひょっとしたらキミの提督もいるかもしれないので」
呼び出しをされているのは僕だけじゃないはずだ。
彼女の提督が見つかる可能性は低いが、別にデメリットがあるわけではないので、ダメ元で連れていってみる。
決してただ榛名といたいなぁっていう下心じゃないよ?
ホントダヨ?
「まぁ、でしたらご一緒させていだたきます!」
「ただ確実に居るとは言い切れないからそれは勘弁してね」
「はい。それは承知の上です。お心遣いありがとうございます」
「いえいえ」
やっぱかわいいわぁ…
早く僕の榛名に会えないかなぁ…
「司令官。鼻の下伸びてる」
「おや、それは失敬」
敷波に指摘された。気をつけねば。
榛名は僕らを見て笑っているし。
「ところで提督。その健康診断のときに行くのは私だけなのですか?」
「いや、もう一人くらい連れていきたいんだけど、ちょっと悩んでいてね。ここの規模が大きくないからさ、基本的に残しておきたい娘ばかりなんだよね」
困ったものだ。
「白雪を連れて行くんじゃないの?」
敷波が問う。
「あぁ、そのつもりだったけど、彼女にはちょっと残ってやってもらいたいことができたんだよ」
敷波もやはり今回の付き添いは白雪が適任と考えているのか。
「では折角ですし、敷波さんを連れて行かれるのはいかがでしょうか?」
「え!?」
榛名の提案に敷波が過剰に反応する。
そりゃ急に振られたら驚くだろうけれど、そこまで驚くものかね?
榛名はニコニコしている。場を和ませる冗談なのだろう。
ここは榛名に調子を合わせておこう。
敷波の性格からして断るだろうし、どちらにしろ断られるなら冗談の流れで断られたほうが傷は浅い。
「あはは、敷波さんが良いならお願いしようかな、なんて。まぁ無理にとは「いいよ。行く」おや?」
いまなんと?
「行くって言ったの。そんなに意外そうな顔しないでよ」
「良いの?」
「良いの」
「その割りにそっぽ向いてません?無理しなくても」
「どこ向くのもあたしの勝手でしょ。それに無理はしてないし」
「提督、良いと言うのですから良いじゃないですか」
くすくすと笑いながら榛名が割ってはいる。
敷波はさっきからそっぽ向いて表情を確認できない。
声は落ち着いているがいつもよりも低めで割りと機嫌が悪そうに言っているのだが…
まぁ本人も良いと言うのだから信じよう。
「じゃあお願いしますね。当日は一○三○に
名目上は護衛だが、四六時中気を張っている必要はない。
ゲームやら本やらがないと暇でしょうがないだろう。
「ん、わかった」
「よかったですね」
榛名が笑顔で言う。
「えぇ、まったく」
敷波が来てくれるのは意外だったが、ありがたい。
「ご馳走様。じゃ、あたしは先行くから」
早々と敷波が席を立つ。
「はい、また後ほど」
それを見送ると榛名が声をかけてきた。
「そんなに敷波さんが来てくれるのが意外でしたか?」
「はい。彼女からはその、上官としてはそれなりに認めてくれているみたいなんですけど、個人としては積極的には関わろうと思っていない様でしたので。今回については護衛という仕事ではありますが、基本ずっと傍にいなければなりませんので嫌がるかなと…」
「逆に提督は敷波さんのことを嫌っていたり、避けていたりしていませんか?」
少し真剣な目つきで問う榛名。
これは真面目に答えるべきだろう。
「嫌ってなどいません。避けては…ない。と言い切りたいですが、嫌がる娘には近寄らないようにしていましたからね。それを避けていると捉えられる可能性は否定しきれません」
「お優しいのですね。敷波さん達もきっと提督を嫌ってなどいないと思います。きっとちょっと緊張しちゃったり、照れちゃったりしてるだけなんだと思います。だからこそもう少し提督から近寄っていただけないでしょうか?」
「…努力してみる。ただね。ちょっと怖いんだ。前にちょっとやらかしたことが有ってね。嫌な人に近づかれるのは誰だって嫌だろう?そして僕は特に人の心を察するのが苦手なんだ。だから
艦娘らに嫌われるなら、迷惑と思われるなら…
僕はそうなる前に必要以上に近寄らず、ただただその場から艦娘らを見守り続けるだけと決めている。
「…提督…」
「なんか、ごめんね。湿っぽくしちゃって。でもそうだね。榛名さんのことを信じて敷波さんにはもうちょっと接するよう心がけてみるよ」
「…はい」
ここで僕が暗くなった榛名の顔を明るくできる方法を知っていて、実践できるような人であればよかったのだろうけれど、残念ながらそうではなかった。
榛名のアシストにより同行者は敷波になりました。
ちょっとリアルが忙しくなり始めたので、また更新が遅くなるかと思います。
合間を見つけては書いていこうと思っていますので、よろしくお願いします。