僕の艦隊これくしょん ~提督になれば艦娘とイチャラブできると思っていた~ 作:荒井うみウシ
いろいろ中将に交渉して、中尉が狙っているタウイタウイ泊地と中将たちが居る横須賀鎮守府への研修を進めてもらえるようになった。
相手の内情を探るという名目ではあるが、実際は僕の艦娘がどれほどいるのか、それらの回収は可能かといったことを探ることが目的だ。
だが何か含みがある物言いを中将はしていた。それがどうにも引っかかる。
一応敷波に会話をメモするよう指示をしていたから、それを振り返って後日再考することにしよう。
「ただいまぁー。あーちかれた」
自室に入ると敷波が待機していた。
傍らには紙とペン、そして通信機。頼んでいたとおりメモを取っていてくれたようだ。
「おかえり。一応あたしのほうで聞き取れた分はメモしておいたよ。それにしてもなんだかすごいことになってきたね」
確かに。内部抗争とかごめんなんだけどねぇ…
「ほんとにねー。でもうちに来てくれるはずの娘が居るって言う話だから放っておけないんだよねぇ…」
他所の問題は他所で終らせてほしい。だが僕の艦娘が居るということなら話は別だ。
服を緩めて部屋に備え付けてある椅子に座る。
「お疲れ様。お茶でも飲む?」
「あー、冷たいお水でお願いします」
「わかった」
氷入りの水を敷波が渡してくれた。
「ありがと」
疲れた身体に水が染み渡るぜぇ。
あ、一応敷波にも所感を尋ねておこう。
「それにしても敷波さんは今回の件どう思う?」
「どうって?」
「何か思うところはないかな?僕はなんだか引っかかるものがあったんだけど、上手く表現できないんだ」
少し悩んだ様子の後、敷波は口を開いた。
「うーん。なんで急に司令官が本営の部隊を指揮することになるんだろうね?」
その疑問は正しいな。おそらくそれも不信な部分の一因だろう。
言葉に出して整理することで明確になることもある。
敷波に感謝しよう。
「確かにそこも変なところだよね。もっと適当な人は居るだろうし、具体的には中将自身とか。話の持っていき方も急だった。ここになにかあるのは間違いないだろうけど、それ以外にも何かありそうなんだよね…まぁ、ありがとう」
「あっ、もう一つ。他所の鎮守府って司令官・・・えっと提督をやっている人以外にも人がいるのが普通なの?うちには
ふと敷波が聞く。
いつか誰かに聞かれそうだなとは思っていたことだ。
とはいえあまり他所と交流をもたない僕だからなかなか気づかれなかった内容だろう。
「いいところに気づいたね。まず、普通は他にも人…
他所では事務や食事、雑用なんかをやる人が居る。
ただ、この人たちは提督の適正がない。そうすると、鎮守府の妖精さんと交流を持ち辛くなってしまうのだ。
具体的な理由はわからないが、妖精さんたちは多数の人間、特に提督でない人間がいる場に出たがらないからだ。
現状食事や雑用は妖精さんがやってくれるため不要だし、そもそも僕が他人を自身のテリトリー内に入れたくないということもある。
中将あたりはどうもこれを勘違いして誰かが僕のところに人員が行かないよう嫌がらせをしていると思っているみたいだが、僕自身が拒否しているのだ。
「えっと、あたしが聞いてもいい範囲で教えてくれる?」
言いふらすことではないが、彼女らに聞かれて困る内容ではないし、伝えておこう。
「別に隠すような理由じゃないからかまわないよ。単に僕が他人を鎮守府に入れたくないだけ。
人は人を裏切る。背中を気にして過ごすのはもうごめんだ。
「…じゃぁ、あたしたちもできれば一緒にいたくない?」
もじもじと小さくなりながら敷波が言う。
単に一人が良いというわけではないからそこは訂正しておこう。
むしろ艦娘らとはお近づきになりたいしね!
「それはない。君たち艦娘は別だよ。そういう意味では僕は
小さく頷いて納得した様子の敷波。
よかったよかった。
「逆に、その…あたしたち艦娘が司令官の傍に行くのは良いの?」
「大歓迎だね。ただ無理はしないでいいよ。そういうのを嫌う娘もいるだろうし。敷波さんも無理に僕と接触しなくてもいいからね。今回みたいな仕事はその、耐えてもらうけど…」
あんまり敷波は僕と交流するのを好むタイプじゃないからね。
双方合意に基づくことが大事なのさ。
なんて思っているとムスッとしながら敷波が近づいてきた。
「?どうしたの敷波さん?」
どんどん近づき、僕の横まで来る。
「えい」
なぜか左手をつかまれた。
何がなんだかわからない。
つかまれているだけでなく、微妙にいじられている気もする。
「敷波さん?」
とりあえず声を掛けてみる。
「潮にはこういうこと許してたんでしょ?ならあたしもいいでしょ?」
プンッと音がしそうな感じでちょっと顔を背ける敷波。
え?キミ、そういうのしていい娘なん?
「別にかまいませんが、その、突然だからちょっとどうしたのかなって?」
ちょっとそういうことなら早く言って欲しいわぁ。
なんだか僕の手を気に入ったのか機嫌が直った様子でいじる敷波。
「別に。ただしたいからしてるだけ。大歓迎って言ってたのにあたしだとダメなの?」
「いやいやいやいや、大歓迎だけどね。いきなりだとちょっとびっくりしちゃうんだよ」
こっちにも心の準備がね。そんなに女の子慣れしてないのよ。
「ふーん。そういうことにしておく。そういえばさ、なんで潮には最近"さん"をつけないで呼んでいるの?」
ちょっと怪訝そうに敷波が問う。
うーん、さん付けねぇ。
のりで無くしてみたら拒絶されなかったからそのまましているだけなんだけどな。
元々は親しくもないのに呼び捨てはどうなんだって指摘されたからさん付けなんだけどね。
「あぁ、そう呼んでも問題なさそうだったから流れで。あれ?嫌がってました?」
裏で嫌がっていたならやめないとなぁ。
「別にそんなことはないけどさ。逆にあたしは"さん"なんだ」
あ、そういう流れですか。
「敷波さんが良ければ呼び方変えますよ?呼び捨てが良いですか?」
それとも愛称かな?シッキーとか?いや、変だな。
うーん、どんなのがいいかな?
「別に。無理に変えなくてもいいよ」
あ、これは変えろって意味…でいいんだよな?
那珂ちゃんヘルプ!へるぷみー!
「なにさ?」
ここは博打だ!拒否られるのは慣れているだろう!?
「ねぇ、僕も手を握っていいかな?
「え、あ、う、うん。いいよ」
…
どうだろう?悪い感じではないようだし、もうちょっと様子を見よう。
「じゃあ失礼して」
敷波のお手手、アッタカイナリィ~
ハッ、いかん。紳士的に有らねば。
ここは綺麗だねとかそういうことを言って褒めねば。
「敷波の手はあったかくて気持ちいいね」
アアアアアアアアアアアアアア
つい本音が漏れてしもうた。
アカンでこれは。
「あったかいのは司令官のほうだと思うけど」
そういってより手をいじり始める敷波。
よかった、それほど変な感じに取られなかったようだ。
「そ?まぁどっちでもいいや」
お手手をニギニギ~
小さくてあったかくて良いわぁ。
とそうしていると敷波の目がトロンとしていた。
もう夜も遅いし、そろそろ寝たほうが良いかな?
「ん?敷波、眠いのかい?もうこんな時間か。そろそろ寝ようか?」
「んーん…、もーちょっと…」
ナニコノカワイイイキモノ
いや、落ち着け。もっと紳士に行動するんだ。
「そっか、でも立ったままだとつらいだろう?ここに座ろうか」
そういってベッドまで誘導する。
「んー」
素直についてきて、僕の隣に座り、猫のようにくっついて甘える敷波。
アー、提督やってて良かったわ。
軽く手や背中を撫でたりしていると、そのまま敷波はすぅすぅと静かに眠りに付いていた。
いやぁ、まさか敷波がここまで甘えてくれるとは。
とりあえず座った状態なのは負担になるだろうし、横にしよう。
んで、僕も着替えてさっさと眠ろう。流石に同じベッドで寝るのはまずいから椅子か床だな。
敷波が泊まる予定の部屋に行くのも問題あるからね。
着替えようと敷波から離れるとき、何かに引っかかった。
「やー」
やーですか。敷波が僕の服をつかんでいた。
いや、こういうこと現実で起こり得るんですね。
そっかー、やーかぁ…
しわになっちゃうけどそういうのもう気にしなくなっちゃうよね。
そのまま敷波の隣に横になり、丸くなっている敷波を包むようにして眠りについた。
敷波は二人っきりになると甘えてくるタイプだと思います。