僕の艦隊これくしょん ~提督になれば艦娘とイチャラブできると思っていた~   作:荒井うみウシ

40 / 64
今回と次回で健康診断編終了予定です。


健康診断_二日目

「んにゃあああああああああああああああああああああ!!!!!!んげっ!」

 

「!?な、なに!?なにがあった!?」

 

唐突な大声で目が覚めた。

まだ混乱している状態でありながらもどうにか状況把握に努めるべく周囲を見渡す。

すると顔を真っ赤にしてベット脇にひっくり返っている敷波がいた。

 

「えっと…大丈夫かい?」

 

「イタイ…」

 

肩から首の付け根辺りをさすりながら立ち上がる敷波。

たぶん"んげっ"のところで落っこちたのだろう。

 

「頭打ってないかい?そうだ、氷はあるだろうから袋探して氷嚢作ってくる。ちょっと待ってて」

 

「頭打ってないから大丈夫。左肩の辺りがちょっと痛いけどしばらくすればおさまるから、ちょっと放っておいて…」

 

「でも…「放っておいて!」アッハイ」

 

意識も呂律もしっかりしているし、頭を打っていないというなら大丈夫だろう。

しかし一体なにがどうしたのだろうか?

放っておいてっていうからしばらく聞かないほうが良さそうだな。

昨日の夜風呂に入り損ねたからシャワーだけでも浴びよう。

時計を見るとまだ○五二五。まだまだ余裕があるね。

 

「ちょっとシャワー浴びてきますね」

 

「あ、う、うん。あたしも部屋に一旦戻る…」

 

未だに顔が赤いままの敷波がとぼとぼと部屋を出て行った。

 

―・―・―・―・―・―

 

「さて、敷波。朝食どうする?僕を待つと結構遅くなるし、先食べるかい?」

 

「司令官を待ってる」

 

「そっか。わかった」

 

そっけない敷波。

沈黙で空気が重いぜ。

 

何かまずいことしたかなぁ?

見に覚えがないけどさわらぬ神にタタリなしっていうし。

 

とりあえず持ってきていたゲームを起動して時間を潰すことにする。

やっているのは少し古いゲームで、本当はカードゲーム主体のはずが、一部の界隈にてミニゲームのカードゲームが充実しているギャルゲーとか言われている奴だ。

アニメ版主人公の扱う龍に装甲がついているやつを主体とするデッキを使って、雑魚NPC相手に無双する。

紙のカード使うとお金がなくなるので、デジタルで遊ぶに限る。

決して一緒にやる友達がいないからじゃないもん!一人で二つのデッキ組んで擬似対戦するのも充分楽しいもん!!

 

なんだか背中から視線を感じる。

 

「…それ、おもしろい?」

 

「うん、結構」

 

「ふーん」

 

「敷波は何か暇つぶし道具持って来てないの?」

 

「特に。一応あたしはお仕事だし」

 

「それもそっか。うーん、あと一時間半あるんだよね。斉藤のところに行って暇を潰しに行くのもありかも知れないけど、他の娘たちがかわいそうだしなぁ…」

 

「別にここでのんびりしてるよ。司令官もゲーム続けてれば?」

 

「そう?でも暇じゃない?」

 

「いいよ。気にしないで」

 

これは本当に気にしないでいいのか、気にかけた方がいいのかわからないな。

と考えているとノックが聞こえた。

 

「どなたですか?」

 

「おはようございます、榛名です。入ってもよろしいでしょうか?」

 

「ちょっとまってねー」

 

「あ、いいよ、あたしが行く」

 

鍵を開けに行こうとすると敷波が行ってくれた。

 

少しすると榛名を連れて戻ってきた。

 

「おはよう」

 

「はい、おはようございます。少々早かったですが、大丈夫ですか?」

 

「うん、楽にしてて~」

 

どうにも普段以上にニコニコしているような気がする。

何か面白いことでもあったのだろうか?

いや、ようやく自身の提督に出会えたのだから機嫌が良くて当然か。

 

「提督、昨晩は()()()()できましたか?」

 

お楽しみ?

 

「ん~っと、ごめん。何か楽しめるようなことってあったっけ?」

 

「フフッ。ならそういうことにしておきますね。ね、敷波さん」

 

敷波を見ると真っ赤になって沈黙していた。

いまにもぷすぷすと煙が出そうなぐらいだ。

 

ん?敷波に関係がある?

 

「でも今度から一言ご連絡をくださいね。私と敷波さんは同室なのに戻ってきてなかったから、ちょっと心配しましたよ?」

 

「えっと、スミマセン」

 

確かに敷波と同室の榛名にはこっちで敷波が寝ちゃったことを伝えておくべきだったな。

 

「フフフッ。それにしてもよかったですね敷波さん」

 

ニコニコしたまま敷波に話を振る榛名。

 

「その、榛名さんこっち!」

 

急に榛名の手を取り行ってしまう敷波。

なにやら二人で話したいのだろう。とりあえずゲームして待っていよう。

 

―・―・―・―・―・―

 

時刻はもうすぐ一○○○。採血などの食前に行う検査は終った。

なので朝食を取るために食堂にやってきた。

 

「で、なんで君がいるのかね、キハラ君」

 

「斉藤だ。様子見だよ。それとちょっと聞きたいこともあってな。こっちは茶でも飲んでるから食いながら話をさせてくれ」

 

「へいへい」

 

「あとタイミングが良かったら中尉も顔を見せるってさ。結構気に入られたみたいで良かったな」

 

良くない。

どうも面倒なタイプに見えるからああいう人と関わりたくないのだけどね。

 

「腹減った。飯食って良いか?」

 

そういって中に入る。

 

―・―・―・―・―・―

 

艦娘たちは艦娘たちで、野郎は野郎二人で固まって食べることとなった。

斉藤の娘たちはもう朝食を食べていたので、アイスやプリンなどを食べている。

敷波と榛名は僕に合わせて食べていなかったため、朝食を食べている。

 

「朝から揚げ物とか良く食えるな」

 

頼んだものはから揚げ定食。

 

「体質によるものだろ。それにもうそんな朝早くでもないしな。検査終ってすぐ帰ることを考えたら昼飯はしっかりとしたもの食べられないだろうし、今のうちに食べておこうってだけだよ」

 

「検査、あとどれくらい?」

 

「覚えてない。3,4ぐらいかな?」

 

「アレはどれくらいだった?」

 

「アレってなんだよ?」

 

「アレはアレだよ。艦娘の数」

 

アレアレ言うから何か卑猥なものかと思ったが、最大保有数のことか。

 

「まだ検査してない。聞きたかったことってそれか?」

 

「ああ。お前がどれほどなのか気になってな」

 

「さぁ?訓練生時代の最後に計ったときはそれなりだったけど、今はどれくらいかな?ひょっとしたら減ってるかもしれないぞ?」

 

あの頃たしか100超えと言われたけど、実際いくつなんだろうな。

 

「でも一人で鎮守府動かせるぐらいなのだからもうそれなりに居るのだろう?」

 

「いや、全然。かつかつで苦しいよ。榛名さんを持っていくのが私情を除いても恨めしいぐらいには」

 

マジ榛名カムバックプリーズ。

 

「私情を控えろよ!それにしても嫌がらせが酷いな。よく耐えられるもんだ」

 

「こういう類の手法には慣れているからね。それにうちの艦娘たちは優秀だからやってられるんだよ」

 

()は人手を削られて作業させられるなんていつものことだった。

()は自分でどうにかできない部分が多いのはつらさを感じなくはないが、優秀な娘たちが支えてくれるからこっちのほうが楽だ。

大淀や妖精さんたちには頭が下がる思いだよ。お土産に甘いものでも買って帰ろう。

 

「へいへい。さて、そろそろ本題。昨日中将とどんな感じだった?」

 

ま、それが気になるところだよな。

 

「値踏みされまくったね。評価はわからんけど。とりあえず今回の件は娘…えっと中尉を上手く手助けしてやれってさ」

 

「そうか。艦娘はそれぞれの提督の裁量によって扱いが決まる。だから他所に口出しするのはまずいとわかっていても、流石に黙っていられない。今回、上手くやろうな!」

 

まったく、正義感漏れだしすぎだ。人として良いことなのだろうけど、それで進み続けることは難しい。

願わくば、このバカみたいに真っ直ぐな友人が僕みたいに腐らないでほしい。

 

「そうだな…僕のほうでもそれなりに動くつもりだ。上手くそちらのフォローにまわれるようがんばるが、期待しすぎないでくれよ?」

 

「できる範囲で良いさ。お前ならそれで充分上手く行くだろう」

 

それが期待しすぎだと言いたいんだよ。まったく…仕方のない奴だ。

 

「へいへい。じゃ、うまくいかなきゃキミの所為ってことで」

 

「へっ。それでいいぞ。必ず上手くいく。いや、上手く行かせる作戦だからな!」

 

「…あぁ。そうだな」

 

まったく。ほんとバカみたいなやつだ。このバカのために、懲りずに少しはがんばってやろうって思ってしまう僕もバカなんだろうな。

 

「私もご一緒してもよろしいですか?」

 

声の方をみると中尉がアイスを片手に立っていた。

 

「どうぞ、こちらへ」

 

斉藤が席を詰める。

 

「ありがとうございます。失礼しますね」

 

空いた席に座る中尉。

 

「昨夜は良く眠れましたか?」

 

「えぇ」

 

「それはよかったですわ」

 

そしてアイスを食べ始める中尉。

何か用があったわけじゃないの?この人何しに来たんだ?

僕はそろそろ食べ終わりそうだけど、敷波たちを見るとまだかかりそうだった。

 

「そういえば少尉。少尉のご家族はどのようなことをしてなさるのですか?」

 

「家族ですか?両親は他界しています。母方の祖母と叔父が米農家をやっていますね。他の親戚はわかりません」

 

記憶が正しいのならそのはずだ。

 

「それは…。その、申し訳ありませんわ」

 

「気にしてませんよ」

 

沈黙。正直両親については()()()()()()()だから感傷もなにもないのだけどね。

さて、そろそろ逃げようかな。

 

「あ、敷波。僕はこのまま検査に行くけど、キミはこのままその娘たちと居るかい?」

 

「あ、うん。待ってる」

 

「ではそういうわけで失礼しますね。敷波のこと、頼むよ」

 

「えぇ、また」

 

「おう、行ってこい」

 

さっさと検査終らせて帰りたいな。

 

―・―・―・―・―・―

 

"253"

目の前の機器に表示された数値を確認する。

 

「これはすごい値ですね。ここまで多いのは過去に片手で数えられる人数しかいませんよ」

 

白衣を着た医師?技師?が言う。

 

「ありがとうございます」

 

とりあえず礼を言っておく。

 

「んー、本当はもうちょっとうちで調べさせてもらいたいのだけど、上を通さなきゃいけないのよね。キミ、もし通知が来たら受けてくれない?」

 

「仕事がありますので」

 

「そういわずに~っていいたいけど内容が内容だものね。仕方ないわぁ」

 

なんなんだこの人?

とりあえずこの値は僕の艦娘の最大保有数(現状)だ。

この数値は結構揺れ動くことが多いので暫定となってしまうが、思っていた以上に多いな。

この数だとひょっとすると全艦娘+被りがあってもおかしくない量だし、夢が捗る!

でもそれまでに減っていったら悲しみしか残らないので正直夢で終りそうなんだよね。

現実は非情である。

 

「それじゃ、これが最後の検査だから。あとは部屋で荷物をまとめてれば迎えが行くはずよ」

 

「わかりました。失礼します」

 

―・―・―・―・―・―

 

「さて、忘れ物はない?」

 

部屋を敷波と二人で見渡す。

一応持ってきたものはすべてカバンに入れたから問題ないはずだが、確認だ。

 

「大丈夫みたい。そろそろ行こうよ。榛名さん待ってるだろうし」

 

「んじゃ、帰りましょうか」

 

検査も終わり、もう帰る時間だ。

一泊二日だけど、なんだか結構長居した気分だ。

 

「司令官?」

 

「あぁ、今行く」

 

面倒事を土産として持ち帰ることになってしまったのが残念だが、手に入りそうな利益を考えて、前向きに行こう。

 

待ち合わせしていた場所に向かうと、もう車と榛名が居た。

そしてなぜか斉藤も居て、榛名と談笑している。

あぁ、僕の榛名も早く来てくれないかな…

 

「見送りご苦労」

 

「何様のつもりだよ。まぁ見送りだけどな」

 

「暁ちゃんたちは?」

 

「向こうで座っている」

 

斉藤が指差す先を見ると、来客用のソファに座っている暁たちが見えた。

彼女たちからすれば僕はただの変なオジサン、良くてせいぜい司令官(斉藤)の友人だ。

見送ってくれないよね。

 

「手続きやら何やらの関係でもう数日は榛名さんをうちで預かることになるけど、なるべく早くそっちにいけるよう手配を進めるから安心してくれ」

 

「その、ありがとうございます」

 

「助かるよ」

 

「榛名さん、こいつのとこが嫌になったらいつでも帰ってきて良いからね」

 

「おい」

 

そんなやり取りをしているとあははと笑う榛名。

うん。そうやって笑ってくれるならしょうがないかな。

 

「それじゃ、さっさと自陣に帰りたいんで出るけどいいよな?」

 

「あぁ、すぐ会うだろうけど。またな」

 

「また」

 

そう言って来たときと同じように車に乗り込む。

ようやく鎮守府(おうち)に帰れる…

 

「あ、二人とも。僕、また移動中寝てると思うからよろしく」

 

「はい」

 

「ん、わかった」

 

途中のサービスエリアでお土産買わないとな。

 

 

 




さてさて、今後どのようになっていくのでしょうか。
しばらくお待ちください。


以下弁解です。

ちょっと二日目を端折りすぎてしまった感がありますが、許してください。
ここでやりたかったことは大体書けたので、二日目は書くことなかったんです…



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告