僕の艦隊これくしょん ~提督になれば艦娘とイチャラブできると思っていた~ 作:荒井うみウシ
「さて、まずは集まってもらった理由をはじめに話したいと思う」
17隻の艦娘を前に説明を始める。
「健康診断に行った際に、上層の人物よりある依頼をされた。内容はある鎮守府において艦娘が不当な扱いを受けていることについてだ」
適度に区切り全員が内容に付いてこれるよう配慮する。
「それに対して救出作戦を実行する。我々もそれに参加してほしいとのことだ。通常各鎮守府における艦娘の扱いはその鎮守府にて管理される。しかし、今回はそれが行き過ぎているとのことだ」
納得いっている様子の者も居れば、そうでない者もいる様子。
事前に実情を伝えていた娘らは無反応だ。
「不当に所持している艦娘に不当な扱いをしているという情報もある。そのため、今後は横須賀鎮守府の方々と連携しながらその艦娘たちを救出、保護することを目的とした作戦を実行する」
不当な扱いをされている娘がいるということで少々の動揺を感じた。
「対象はタウイタウイ泊地。我々は救出された後の艦娘たちを保護することを主な任務として任されている。そのため、今後は資材回収をより多くこなすことと、少ない艦数で南西海域に航行できるよう訓練をすることに重点を置く。具体的な内容は後日資料を配布し、各個に指示を出す予定だ。ここまでで質問がある者はいるか?」
一旦区切り、周りを見渡す。
突然の話でまだ飲み込みきれて居ないのか少々艦娘間で話がされている。
落ち着くまで少し待とう。
やがて摩耶が手をあげた。
「摩耶」
「事情はわかるし、できることなら助けたいとは思う。けれどさ、うちらに他所を気にするゆとりや、そもそも他所に口出しする理由ってあるのか?」
まっとうな質問だ。
「その通りだな。正直ゆとりも理由も大してない。だが、今回は僕のわがままだと受け取ってほしい。もちろん君らの反対が多ければ辞退を申し込もう。しかし、虐げられている艦娘が居るのを知って、見過ごすことはできない。確かにゆとりはないが、そのための準備をこれからすれば多少の期間だけ受け入れることぐらいはできるはずだ」
「ふーん。まぁ提督がそう言うならあたしは受け入れるよ」
情報を伏せて伝えるのは心苦しいが、現状はそう答えるしかない。
実際にはうちの娘になってくれる娘が居る可能性があるからだし。
だがその本心を伝えるわけにはいかない。
「ありがとう。そういってくれると助かる。さて、他に質問がある者はいるか?」
艦娘たちを見渡す。
が、特に誰も反応しない。
「先ほども言ったように、君らの反対が多ければ辞退する。どうだ?反対する者は手をあげてくれ」
誰も手をあげない。
まぁ提督がこうすると言えば従うのが艦娘というものだし、当たり前といえば当たり前か。
「では先ほど話したように、詳細は後ほど通知する。今後の方針としては資材収集を主に、あまり積極的に深海棲艦を殲滅する行動はしないことにする。また、作戦用の特殊な訓練を実施するが、皆参加して欲しい」
そう伝えると皆承諾してくれた様子だった。
「さて、小難しい話はおしまい。みんな、ただいま。お土産を持ってきてるから仲良く分けてね」
そういって饅頭が入っている箱を開ける。
「一人一つね。順番に取っていってねー」
箱を持って順に受け取れるようみんなの前を歩く。
一人ひとり礼を言いながら受け取っていく。
なんだか中には礼なのか微妙な言もあった気がするが、受け取っていたのだし、気にしない。
「これで全員渡ったね。余った分は談話室において置くから早いもの勝ちね。でもあんまり一人で占領しないように。イイネ?」
いくらかは執務室にも持って帰ろう。僕も食べたいし。
―・―・―・―・―・―
会議を終えて、執務室に戻る。
叢雲たちがうまくやってくれていただろうけれど、確認をしたり、僕の判断を必要とする案件もあったりするからだ。
「で、何かご用事でしょうか?霰さん」
「んちゃ」
なぜかついてきた霰。
何か用でもあるのだろうか?
「いや、うん。んちゃ。じゃなくて、用があるなら聞きますけど?」
「別に」
「左様ですか」
今までこういうタイプの娘はうちに居なかったから良くわからない。
何かしたいのか?してほしいのか?
ひたすらにこちらを見続ける霰。
本人に聞いても特に用は無いとのことだから、気にせず仕事を始める。
「…」
すっごい見られてる。
それぐらいでは仕事に支障はないからかまわないけど、気にはなる。
が、特に話題があるわけでもないので、黙々と作業を続ける。
中尉の作戦に乗る様にみせるため、名目上は出撃を控えて資材収集に勤しむ。
とはいえ近海に敵が現れたら対処せざるを得ないし、後手に回るのはまずいので警邏は普段通り行う必要がありそうだ。
完全に普段通りでは流石に資材が貯まり難いので、遠方は警備が薄くなってしまうのを受け入れるしかない。
あと、最悪の事態…回収すべき艦娘が居て、なおかつこちらの単独で行動すべき事態に向けて少々危険だが必要な行為の訓練を行わなければならない。
これについては中尉だけでなく、中将にも気づかれないようにするのが得策だ。
中将としては僕も含めて解決に動いている者以外にタウイタウイに口出しをさせたくないのだろう。
となると、僕が回収できる艦娘がいるからという理由で動くのも中将から見たら控えて欲しい事案だ。
逆に回収できる艦娘が居なかった場合が僕にとって一番楽だ。
別に僕は中将の直接的な部下ではないし、彼の依頼も正式な任務ではない。
適当に中尉を押しとどめるフリをして、彼女がどう動こうとこちらに関係はない。
やってみたけどダメでしたと中将に報告。それでこちらは依頼を遂行したことになって他は責任をとる必要がない。
せいぜい斉藤にはことを事前に明かして被害を抑えるよう注意喚起してあげれば充分だ。
「…」
そして未だに見続けている霰。
そんなに何か面白いものでもあるのかね?
別段おかしな格好をしているわけではないと思う。
見た目でおかしなところがあれば霞あたりにすぐ怒られるからだ。
「霰さん。見てるのはかまわないけどさ、立ちっぱなしはつらくないかい?」
とりあえず微動だにしないまま立ち続けるのはどうかと思う。
だがふるふると横に首を振って否定する霰。
そういうなら口出しは無用だなとこちらも黙る。
コンコンとノックの音が唐突に鳴った。
特に誰かが来る予定はなかったはずだが、どうしたのだろうか?
「潮です。よろしいでしょうか?」
潮?
「どうぞ、あいてますよ」
失礼しますと入ってくる潮。
そして霰を見て一瞬止まる。
「えっと…霰…ちゃん?」
「ん」
「えっと、霰ちゃんはいったい何を…?」
「…見てるの…」
「は、はぁ…」
正直僕も理由はわからないので、こちらを見られても答えられないです。
「さて、潮は何か用かい?それとも単に会いに来てくれたのかな?ナンチテ」
顔を赤らめて伏せる潮。
え?何その反応。何かまずった?
「その…えっと。はい。おかえりを言いたくて…」
もじもじとする潮。
え?マジだったんすか?
やばい、うれしいわ…
「えっと…うん。ただいま、潮」
「はい!おかえりなさい、提督!」
元気に答えてくれた。
かわいいなぁ
潮っぱいにうもれt…
アカンアカン。ようやく仲良くなり始めたばかりなんだ。
そんないけないこと考えないようにしないとね!
「んんっ。少し待っててね。今区切り悪いから。切り上げたらお茶でも飲もう」
「えっ。そんな、悪いです…。お気になさらずに、どうぞ」
「いや、僕が饅頭たべたいだけなんだ。言い訳になってくれない?」
「そういうことなら…」
「と言っている間に終わり。さて、用意するから二人とも座った座った」
「その…失礼します」
「んちゃ」
二人を座らせ、お茶を用意する。
お茶請けは当然余った饅頭だ。
「はい、お茶。熱いから気をつけてね」
「ありがとうございます」
「ありがとう…ございます」
さて、饅頭をいただこうかね。
「うん。おいしい」
甘いものはいいねぇ…。ただ食べ過ぎに気をつけねば。
「あれ?提督のお茶、冷たいのですか?」
「ん?あぁ、僕は水。というかよく気づいたね」
「湯気が出てなかったので…。お水で良いのですか?」
「うん。結構ミネラルウォーターっておいしいんだよ。あと僕が猫舌っていうのも理由かな」
「猫舌…ですか」
「猫舌です」
硬度やら軟度やら細かい話は正直わからないが、色々飲み物を試していくと、水に落ち着いたのである。
あと冷たいお茶とか用意するの面倒だから自分ではよほど飲みたい気分のときを除けば用意しない。
「…ふふっ」
「急にどうしたんだい?霰さん」
「なんでも…」
急に笑い出したから何かと思った。
どうもツボがわからない。
正直あまり霰という艦娘について詳しくないから余計にわからない娘なんだよなぁ…
せいぜい静か・んちゃぐらいだ。
性能面でもまぁ朝潮型だっていうことぐらいしか意識したことないし…
「提督。私たちがお饅頭を二ついただいちゃっても良かったのですか?」
潮が話しかけてきた。
「ん?あぁ、いいんだよ。余った分は早いもの勝ちって伝えてあるし。こうして独占もしていない。なにも問題ないさ」
ルールは守っている。それに僕が出したわけだから気にする必要なんてないのだ。
潮は優しい娘だなぁ。
「…そうですか。じゃあいただきます」
そういって小さく口を開けて食べる潮。
もっもっもっ とでも擬音がつきそうな感じに食べてて、見てるだけでも幸せになれそうだ。
「おいしいですぅ」
「よかったよかった」
霰の方を見てみると、彼女も黙々と食べていた。
嫌がっている様子はないので、大丈夫かな?
その後もしばらく談笑して過ごした。
ちゃんとお仕事は話の後に終らせましたよ?
作者の探し方が悪いのか、あんまり霰って二次創作で扱われていないイメージがあります。
逆に扱いが難しい娘です…
霰タソはこんな娘じゃない!という方がいるかもしれませんが、あくまでこの作品の霰はこういう娘として見逃してください。