僕の艦隊これくしょん ~提督になれば艦娘とイチャラブできると思っていた~ 作:荒井うみウシ
今回はそれっぽいシーンがありますが、おそらく大丈夫でしょう。
ダメだったら修正します。
「…提督」
執務室で榛名と二人きりにさせてもらった。
「いろいろしたい話はあるけれど…。久しぶり、でいいのかな?」
指輪に触れた途端に繋がった感覚が教える。
この榛名は僕の
「はい。お久しぶりです。そして、お帰りなさい!」
感極まったかのように身体を震わせながら涙声の榛名。
そっと近寄ってくる榛名に、きっと大丈夫と自分に言い聞かせながらこちらからも近寄る。
僕が、僕みたいなのがこんなことしていい資格なんてないはずだが、それでも彼女なら、この榛名なら、僕の榛名ならそれをしても良いと、むしろそれを望んでくれていると自身を鼓舞する。
そうして近づいていき、目の前に榛名が。
そっと
手を伸ばし
ゆっくりと
しっかりと
抱きしめる
「あぁ…ていとく…」
あぁ、暖かい。
初めてする抱擁のはずが、なぜか懐かしく感じる。
そしてとても心地が良い。
「提督」
腕の中の榛名が声をかけてくる。
「ん?どうし──」
顔を見て話を聞こうと下を向いた。
そのはずだったのに言葉が紡げない。
理由は単純。物理的に口が塞がれているからだ。
徐々に理解が出来てくる。
目の前にあるのは榛名の顔。
それもものすごく近くだ。
唇に感じるのはとても暖かく、いや、むしろ熱ささえ感じる湿り気のある柔らかなもの。
僕の唇を塞いでいるのは榛名の唇だった。
そっと優しく。それでも離れないように強く。
ただただあわせるだけの接吻。
どれほどの時間だろうか。
長いような短いような。
感覚が狂っていく。
いや、もう既に狂っているのだ。
柔らかで心地の良い感触が、いつまでもこうしていたいような、でも物足りないようなそんな感触が続く。
そしてまた感覚がつげる。
"榛名はこれでも我慢している"
提督を、僕をもっと欲しているのが伝わってくる。
でもそれをしない。
それは艦娘であるが故の受動的な本能と、奥ゆかしさともいえる榛名の性格と、そして何より僕に拒絶されることへの恐怖で。
だからここからは僕も動かなければならない。
榛名を拒絶するなどありえないと伝えるために。
優しく触れ合うその
だが榛名は動かない。少しだけ震えてはいるが、それをなだめるために、安心させるために抱きしめていた腕を片方腰から肩そして後頭部へと動かす。
それはなだめるためでもあるがもう一つ。榛名に伝えるためでもある。
"
優しく頭を撫でつつ、塞がれている口を開き、榛名を求める。
塞いでいる唇が開かれる際に榛名は驚いた様子だったが、こちらが舌を這わせると榛名も唇を開く。
そしてその隙間に舌先を入れようとするや否や
こちらが榛名を求めること、いや、榛名を受け入れることを感じて榛名のタガが外れたようだ。
それまでのお淑やかを感じさせる優しい柔らかな口付けは跡形も無く、今や獣のように僕の唇を貪る榛名。
伸ばした舌を引き戻せられないほど強く吸い上げ、しゃぶり、かと思えば今度は榛名の舌をこちらの口内へ押し入れ、蹂躙するがの如く嬲りまわる。
互いの口の中はどちらの唾液か分からないほど混ぜられたそれで満たされ、時折榛名が飲み込む。
そして押されたままでいるのも男の矜持が許さない。
僕にも多少はあるプライドで、榛名に反撃をする。
榛名の舌を奪い、しゃぶり、嘗め回し、唇を食みながら歯茎を撫でめぐる。
しかしどの行為も榛名を喜ばせるだけで、どんどん榛名の勢いが増していくばかりだ。
終始榛名に圧倒されっぱなしで、榛名を圧倒することはもうあきらめた。
プライド?知らないね。
こんなにも榛名が喜んでいるのだ。ならもっと喜ばせてあげるのが
数秒か、数分か、どれほど貪りあっていたか分からないが、榛名の勢いが納まり始めたタイミングを見て徐々に宥めていく。
そしてやがて互いの唇が離れた。
ほぅと小さく息をつく榛名だが、それでも息は荒く、頬は紅潮している。
腰に残していた腕を肩に、後頭部に当てていた手を頬にあて、ゆっくりと優しく撫でて落ち着かせる。
やがて息も落ち着いてきたところで話を始める。頬はまだ紅潮していた。
「まだ足りないだろうけれど、これからはまたできる。だから少しお話してもいいかな?」
「…はい。その、すみませんでした」
しゅんとする榛名。
先ほどまでの獣の様な荒々しさは無く、お淑やかで少しだけ引っ込み思案な榛名の姿であった。
「どうして謝るんだい?」
「許しも無く提督を襲うようなマネをしてしまって。でも、受け入れていただけて、榛名感激でした」
恥ずかしそうにありながらうれしそうにしている。そんな表情をされたら何も怒れないさ。
「いいよ。そもそも怒っていないし。それに、謝るべきことは僕のほうが多いだろうしね」
それだけの欲求を抑えさせていたのも僕の所為だろう。
「いえ、提督が。提督の傍に置いていただけるだけで榛名は満足…できるつもりで居たのですが、これからはできないかもしれないです」
ちょっとだけ茶目っ気のある感じで言う榛名。
あぁ、僕だってただ見ているだけしか出来ない前と違って触れ合えるようになった今、傍に榛名が居るだけというのでは物足りさを感じてしまうだろう。
「出来ることなら榛名が満足できるよう僕も動くよ。榛名が喜んでくれる方が僕も嬉しいからさ」
怒っている榛名も、泣いている榛名も、拗ねている榛名も、落ち込んでいる榛名も、いろんな榛名も好きだけれど、やっぱり喜んで笑ってくれている榛名が大好きなんだ。
「提督…」
「立ったままではなんだろう?座って話そう。これまでのことと、これからのことを」
いつまでも榛名とこうしていたい気もあるけれど、悲しいかな、好奇心や多くの理性がそれを許さない。
それを無視し続けられるほど僕は感性に寄った性格ではないのだ。
―・―・―・―・―・―
「さて、どこから話そうかね…」
榛名のこれまでのこと、特に榛名がどうしてこちらに居るのかという点が気になる。
それと榛名もどうして僕だと分かったのかという点やひょっとしたら僕に何が起きているのかについても何か知っているのかも知れない。
「…提督はこちらに来る際のことや来る前のことをどれほど覚えていらっしゃいますか?」
ふむ。何かしら僕に起きたことについても知っている可能性が高い言動だね。
「ある程度は。ただ
そう。僕は僕であるのは確かだ。だけれど、この
未だにわからないことだらけだ。
ただただそれでもそれを感受しているのは
だから僕は提督としての能力が無くなり、彼女らに見向きもされなくなったらこの場から退場するつもりで居る。
「提督は提督です。榛名の大好きな提督です。それは確かなので安心してください」
榛名が聖母に見えるぜ…
ギャグはともかく。
「ありがとう。正直自分が何なのかはあんまり気にしていないんだ。君たちから必要とされている。それだけで充分だと感じているし」
「よかった。提督がお元気そうで何よりです」
「聞きたいのだけれど、
ここはかなり核心をつくための前提として重要な要素だ。
「…榛名は、榛名たちは自分たちが
…画面の向こうではキャラクターが自我を持っている。ねぇ。オカルト染みているがもっとオカルトな現状を見るとすんなり受け入れられる。
「そして画面越しに提督を見続けていました」
見られていた認識はないよ。そりゃ当時はただのプレイヤーだもの。
「提督がゲームをしていらっしゃる最中でしたら榛名たちも提督を見ることができたんです」
「それは逆に言うとゲーム中でなければ僕らプレイヤーを見ることはできないということかい?」
「はい…。ですからしばらくお目にかかれなかったときは寂しかったです」
「そっか…、ごめん」
ゲーム…艦隊これくしょん。艦これ。
ブームになり、盛んに同人でも持て囃された作品だ。
僕も元々は同人で作品を知り、そしてある二次創作の動画、榛名たち金剛型と電たち暁型の娘たちがダンスをしているものだ。
これがきっかけでゲームをやろうと思った。
惚れこんだ榛名が欲しいなとか、そんな感じのノリで。
きっかけがきっかけだったから当然初期艦は電。
初の戦艦建造が榛名だったため、その時はバカみたいにはしゃいだ覚えがある。
ゲームを始めた頃は大学生だったが、就職を機に徐々にゲームから離れていき、やがてイベントにおけるギミックの難解さにゲームを投げた。
それから一切ログインしなかった時期があるのだ。
榛名の言うしばらく会えなかった時期はおそらくそれだ。
「ようやくお目にかかれてとてもうれしかった…。でも提督はとてもやつれていて…」
艦これを再開したのは仕事をやめたからだ。
仕事で疲れきった僕は会社のやり方についに痺れを切らして辞表を叩きつけた。
同人では追っていたので、気晴らしに久々にやってみるかとログインし始めたのだ。
ただ艦娘の保有数を増やす気にもなれなかったため、イベントにも参加せず、ただただ任務をこなすだけ。
適当にネットサーフィンしながらつけっぱなしにしていた。
「生気の感じられない提督の姿を見て、どうすれば元の元気な提督に戻っていただけるかと皆で悩んでいたのです」
「気苦労を背負わせていたみたいだね…」
榛名たちには悪いことをしたな…
「いえ、それでもみんなは提督に会えて、提督の指示を受けられるだけで幸せでしたから」
ん?何かは分からないが、引っかかる言い回しだな。
「どういう意味だい?」
「…榛名は…。榛名は提督がそうなっているのがすごく嫌だったんです」
真剣な瞳で見つめる榛名。
そうか、『榛名たちは』ではなく『みんなは』と言ったから違和感があったのか。
「あるとき、見かけない妖精さんが急に現れたんです」
話が急に変わった。だが聞こう。
「その子はこう言いだしたんです。『他の艦娘たちに嫌われても、怨まれてもいいなら、君の願いを叶える方法はある』と」
嫌われても怨まれても…ね。
「榛名は悩みました。そして提督のためなら榛名がどうなってもいいと覚悟を決めました」
一旦止める榛名。
「妖精さんは『その為の対価は不当に高いけれど良いか』と確認をしてきました。でも榛名は引きませんでした。妖精さんの言う対価は『戦い続けること』と『榛名にとって大事な物の一つ』そして『提督が築き上げてきた多くの物』でした」
「提督を助けられるなら榛名はいくらでも戦いますし、榛名の物ならいくらでも差し出すつもりでした。ただ提督の物となると榛名はとても躊躇しました」
「それについて妖精さんは話し始めました。曰く『こことは別の世界で、同じように艦娘と深海棲艦が戦っているところがある。そこに提督やキミを送る。だけどキミたち自身以外を送ることは出来ない』ということでした。それで榛名は怨まれるということの意味がわかったのです」
「提督と榛名がその世界に行くと、ここに居る他の艦娘たちはもう提督に会えない。それはどう考えても嫌われますし、怨まれます。どうして榛名だけって。逆だったら榛名もそう思うでしょう。でも今のままだったら提督はいつしか自殺でもしてしまいそうで。だったらいっそ別の世界でもなんでも提督が元気になっていただける道を榛名は選びました」
「もちろん大将という地位や、多くの資材や装備などの今まで提督が築き上げてきた多くの物も大事な物ですが、提督自身より大切なものなどありませんから…」
別の世界…ね。
やっぱりそうなるよな。薄々はそう思っていた。そういう物語が好みだったのもあるけれど。
ゲームの世界に来たというなら提督という存在がおかしくなる。
なぜならゲームでの提督は
他の提督は明らかにプレイヤーとは思えない。
それにシステムが違いすぎる。
同じところ、いや同じと断定するのは危険だから似通っているといったほうが正しいが、そういう部分は多数ある。
が、異なる部分が決定的にゲームとは別物とさせてしまっている。
ゲームの世界といわれるより別の似た世界といわれたほうが納得はしやすい。
あくまで比較したらというレベルで、どちらも非現実的。
だが起こってしまったなら知りえる情報で考えなければならないし。
それはそれとして一つ確認したいな。
「榛名。僕が築き上げてきた多くの物って言うのはその資材やら地位やら装備やらのことかい?」
「もちろん他の艦娘たちのことも含めています。みんなには悪いとは思いますけれど、提督のほうが榛名には大事なんです…」
…。
なるほど。そこはゲームのキャラクターたる所以か。
僕が、僕自身だけがこの世界に来たということは、元のリアルで持っていたものや友人、家族なんかのことも含めて"築き上げてきた物"なのだろう。
正直たいした財産もないし、社会人になってからは交友関係もほとんど連絡取らなくなった。
家族とも不仲とは言わないが、それほど仲が良かったわけでもない。
それほど前の世界に残してきたものに未練はなかった。
しいてあげるなら、こちらでは僕の好んでいた所謂美少女コンテンツ、それも特に立体物の供給が極端に少ないことに不満は感じているが、リアル艦娘が提督として自分を慕ってくれるというリターンを考えればお釣りで大儲けだ。
榛名がそれに気づいていない点を指摘する必要もないからここは教えないけれど。
むしろ色彩の無くなった世界からこれだけ魅力ある世界につれてきてくれて感謝だ。
こちらはしっかりと感謝しよう。
「そうか…。ありがとう。榛名が僕をこちらに連れてきてくれてとてもうれしいよ」
「提督…。お気遣いありがとうございます」
気遣っているわけじゃないんだけどなぁ。
「本心だよ。それに榛名とこうして触れ合えるんだ。その方がすごくいい」
「ていとく…」
世辞でもなんでもなく、本当にそう思っていることが伝わったらしく、榛名は身を捩じらせて照れている。
「でもそうすると
この話が真実だと仮定しても、僕に起きたことのすべてが説明できるわけではない。
僕は別にこの世界に生まれてきた憶えは無い。
かと言ってポッと湧いたわけでもない。
元々この世界に居た人物…
「どういう意味ですか?」
「僕が明確に僕であることを認識したのは1年半ほど前なんだ。気がついたらこちらの世界で提督になるための訓練生だった」
そして同時に記憶…というよりは記録に近い感じで
知ってはいるが、体験をしていない感覚。上手く説明できないがそんな感じで持っている。
「ではその前までは何を?」
「どうやら高卒で鉄板加工職に就いていたみたい。両親も他界してお金が無かったから進学できなかった。学校に来ていた求人の中で給料が高かったものを選んだら鉄板加工だったみたい」
「…えっと、榛名にはよくわからないのですが、1年半ほど前に提督はこちらの世界に来たけれど、提督はそれ以前からこちらの世界に居たということでしょうか?」
榛名自身混乱しているようだ。
だがその言い回しで正しいだろう。
「そんな感じ。そうだな…榛名は僕の名前を知っているかい?」
少し説明しやすくするために情報を確認しよう。
「え?…」
一瞬虚をつかれたように止まり、徐々に顔が青くなっていく榛名。
たかだか名前一つで何をそんなに?思い出せないならそれでも良いのだけれど…
「別に分からないならそれでも良いのだけれど、どうしたんだい?」
「…改めて、榛名は提督のお名前すら知らなかったことにその…、提督は提督ということでよかったのに…それを知ろうとすら思わなかったことがなんだかすごく怖くて…」
…ゲームのキャラクターにはあくまでプレイヤーは提督でしかないってことか。
「気に病む必要はない。今知ればいいし、それを憶えてくれればいい。忘れてもまた聞いてくれれば答えるし」
できるだけ優しく伝える。
少しは和らいだようだが、まだ榛名の顔は青白かった。
「改めて、僕の名前は
「みたらい…よしゆき…さん」
榛名がゆっくり反芻する。
「そう。ちなみにゲームでは"あらい"ってプレイヤー名でやっていたよ」
御手洗から"あらい"だ。
安直?うっさい。
「あらい提督?」
「そうそう。そんな感じ。ちなみにこの名前は内緒ね」
「はい?」
この名前は前の名前だからだ。
下手に違う名前を使われたら他の艦娘たちが変に思うからね。
「こちらでの名前は
「えっと、はい。わかりました」
深くは考えず、提督が言うなら従おう。というところかな?
それでもいいか。
「で、話を戻そう。名前を言ったのは判別しやすくするためだからね。七志野公人はこの世界に21年前生まれた。で、20年近く生きてきたけれど、あるときからは七志野公人の中の人が御手洗義之になったってこと。で、御手洗義之こと僕は七志野君の半生を知っている。という状況なんだ。少しはわかりやすくなったかな?」
「ええ。ですが、それで何が分からないのですか?」
「七志野公人って何者なんだろうってね。そもそも存在していたのかも怪しいし。ま、僕からしたら世界五分前誕生説とかのノリに近いんだけど」
世界は五分前に誕生し、それ以前の記憶はただそう在ったと思わされているだけという説。
自分であるはずなのに自分と感じられないから余計そう感じる。
「…榛名には難しくてよくわからないです。ごめんなさい」
「いいよ。正直僕も疑問に思いはするけど、そこまで真剣に考えていないし。もう起きたことをあーだこーだ言っても変わらないならこれからどうするか考えるようにしているんだ」
あくまで榛名にはこういう疑問も持っていたということを伝えたかった僕の自己満足。
別に答えを得られるとは思っていなかったしこれでいい。
僕の過去はまた話すとして、次は榛名の過去について聞いてみよう。
お久しぶりです。
合間合間に書いていたら区切りが悪く、投稿も遅くなってしまいました。
本当に申し訳ない。(某B級映画に出てくる博士のAI風)
今後も投稿はまちまちなので、ご了承ください。
当初は主人公の提督には名前をつける気は無かったのですが、つけたほうが書きやすいのでつけさせていただきました。
もちろん実在する人物等とは無関係なのでご安心を。