僕の艦隊これくしょん ~提督になれば艦娘とイチャラブできると思っていた~   作:荒井うみウシ

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満潮視点です。


榛名と山城と満潮と_裏2

side:満潮

 

───提督の励みになっていただけませんか?

 

そんな一言からそそのかされて、私はなんてことをしてしまったのだろう。

 

───提督に求められる。そしてそれに応える。これは正しく表現できる言葉が見つけられないほど甘美なものですよ?

 

想像してしまった。

彼が自分を求め、それに応えられたときを。

 

───兵器として、部下として。それによるものでもいいものですね。でももう一つ、女として。そう考えてみたことありませんでしたか?

 

女として。自分にその方面では魅力が乏しいことは理解している。

スタイルが良いわけでもなければ性格も好かれにくいものだ。

それでも…考えてしまった。

 

彼が女として自分を求める姿を。

ただの妄想だとはわかっている。

それでも一度考えだしてしまったら止まらなかった。

それはとてもとても良いもので、確かにうまく表現できる言葉が見つからないほど甘美で魅力的なものだった。

 

 

自分でもどうにかしているのではないかと思っている。

そそのかされたのもある。

けれどもありえそうもない妄想に振り回されて、上官に対して非常に失礼なことをした。

 

それよりも…

 

「満潮じゃない。…どうしたの?」

 

角を曲がると曙と出会った。

 

「どうしたって、どうもしないけれど。なにかしら?」

 

急にどうしたのかと尋ねられても見当がつかない。

 

「顔、綻んでいるわよ。別に機嫌がいいのは良いことだし、そういう顔しているのも悪くないと思うわ。けれど満潮がそういう表情をしているのは珍しいからね。なにかあったんじゃないかと思っただけよ」

 

やってしまった。

上官に対して失礼なことをしただけでなく、その結果に妄想以上の、現実になったかのような魅力を感じている自分が嫌になるのに。

さらには、その時の彼を思い出すだけで顔が綻ぶなんて…

 

「べつに良いことではないわ。むしろ…いえなんでもないわ。気にしないでちょうだい。そうしてくれると助かるわ」

 

「そう?ま、別にいいけれど。それじゃ、私は急いでるから行くわね」

 

曙はそう言って去っていった。

そういえば那珂さ…ちゃんが慰安目的のミニライブを開催するって言っていたわね。

それの手伝いを曙がすることになっていたんだっけ。

本人は嫌々ながらも仕方なくといった風に見せかけてるつもりみたいだけれど、どう見てもやりたくて仕方ないって感じだった。

 

そういえば那珂ちゃんと言えば司令官からすごく好意的にされている。

アイドル活動とやらもどんどん認可されているし、艦娘の中でちゃん付けで呼んでいるのは彼女だけだろう。

まぁ私みたいに可愛げのない娘よりもよっぽど好ましいのは当然のことなのだろうけれどね。

 

「お、満潮じゃん。お疲れ~」

 

声の方を見ると川内さんがいた。

珍しい。まだ日が高い時間なのに。

 

「あ、今昼間にわたしが起きているのが珍しいって思ったでしょ?」

 

「ええ。事実、いつも司令官の招集とか那珂ちゃんのイベントとかがなければ日中は活動していないじゃない」

 

ここでうまくごまかした方が正しいのだろうけれど、そうわかっていてもこうなってしまうのが私の悪いところだ。

 

「言うねぇ。ま、その通りなんだけどさ」

 

たははと笑う川内さん。こういうところの懐の深さというか計り知れなさはすごいと思う。

 

「神通に警備の打ち合わせがしたいって呼び出されてたのよ。で、そっちは遠征帰りってところ?」

 

なるほど。神通さんと川内さんは鎮守府の守衛に関して多くの権限を持たされている。

本来憲兵がやるような仕事も多くは彼女らに委任されている。

理由はわからないが司令官がここに人を入れたがらないのもあって、そういう采配がなされている。

 

「えぇ。報告が終わって一旦休息するところよ」

 

「ふぅん」

 

まじまじと川内さんがこちらを見つめてくる。

なんだろうか?

 

「なによ、なにか付いている?」

 

「んー、ついてるね。降ろせば?」

 

いったいなんの話だろう?

自分の体を見てみるけれど特に何もついていない。

 

「あぁ、物理的なものじゃないよ。しいて言うなら錘?枷?何を思い悩んでいるか知らないけど、抱え込みすぎるのは良くないよ。ま、物事を深く省みることができるところは満潮の美点でもあるんだけど、それで滅入るのはいただけないかな」

 

…見透かされているのね。

ほんと、計り知れない。

 

「ま、気にするなの一言で気にならなくなる程度のことならとっくに気にしてないのだろうけれど。もう少し気楽にしてていいと思うよ」

 

でも…

いや、川内さんはこれを控えた方がいいと言っているのだ。

 

「やってみるわ」

 

「うむ、よろしい。なんてね。どう?提督のマネしてみたんだけど似てた?」

 

ふざけているときの司令官がいいそうな言い方をする川内さん。

ほんと、気を使わせちゃっているな。

 

「司令官ならもう少し溜めを入れると思うわ。それともっとわざとらしく偉そうなふんぞり方もしながら言うでしょうね」

 

「なるほど、確かにそうかも。参考になったよ。さて、そろそろお互いひと眠りした方がいいかな。じゃあね」

 

川内さんがひらひらと手をふり、あくびをしながら去っていった。

司令官は今資材集めに勤しんでいる。

そのため私たち駆逐艦は遠征で多く資材を持って帰ることを求められている。

部下として、その求めに応えられるよう、今はしっかりと休むべきだろう。

川内さんのいうとおり仮眠をとるのはいいかもしれない。

 




部屋に戻らせてから枕かなにかに顔を埋めてわきゃーさせるのもいいかなと思ったんですが、ニヤついてる満潮を誰かに見つけさせるという公開羞恥プレイの方が魅力的だったのでこうなりました。

とりあえず山城と満潮にアーンをさせるようにそそのかすことができる榛名の話術力が半端ない。

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