僕の艦隊これくしょん ~提督になれば艦娘とイチャラブできると思っていた~   作:荒井うみウシ

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ずいずいのターン。


瑞鶴さんと呼び方

「提督さん!暇!」

 

この娘は唐突に現れて何を言いだしているんだ?

こちらが驚いているとズカズカと近づいてきて、机に手を置きこちらに身を乗り出す瑞鶴。

 

「提督さん、ゲームしようよ。ほら!」

 

「瑞鶴さんや、今僕は見ての通りお仕事中なんですわ。それと、君が暇なのは僕の責任だ。だが私は謝らない」

 

資材ためなきゃいけない時期に資材ガン食いする正規空母は動かし辛い。

そもそも瑞鶴の練度は赤城よりもあって、近海の深海棲艦に対して過剰戦力だ。

攻略海域を広げるときに働いてもらうけれど、今は控えててもらうのがベストなんだ。

ちなみにほぼ同様の理由で北上と榛名も出撃はしていない。

 

「本当にわけの分からないボケをするのね。そんな具合なら少しくらい構ってくれてもいいでしょ?」

 

ぶっちゃけかなり安定してきたから時間は取れるし、むしろそろそろ一休みしようかなとか思っていたところなんだよね。

 

「実は大淀さんから山場は越えたって聞いたけど?それと提督さんはのめり込むタイプで、外から強制して止めないと倒れるまで動くからこっちで気をつけてないと」

 

どこでそんなことを知ったんだか。

そこまで付き合い長く無いのに…

 

「ちなみにこれは榛名さん情報。納得した?」

 

腕を組み、胸を張って得意げな瑞鶴。

よく貧乳と揶揄されることが多いけど、間違いのようだ。

大きくはないが、しっかりと膨らみを持っている。

背の高さもあるし、均整の取れたモデル体形というのはこういう体つきのことを言うのだろう。

はてさて、このままでは思考が瑞鶴のボディで一杯になってしまうから、そろそろ話を戻そう。

 

「で、なんのゲームやりたいの?」

 

「提督さんのオススメで。私ゲームとかしたことないし、よくわからないのよね」

 

ゲーム自体が初心者か。

ルールがわかりやすいのがいいな。

 

「ちょっと待ってて」

 

そう言い残してゲームを取りに自室へ行く。

 

―・―・―・―・―・―

 

「おまたせ」

 

手にはボードとコマを持ち、戻ってきた。

 

「あれ?テレビゲームじゃないんだ?」

 

「希望があったのか?なら取ってくるけど?」

 

僕が持ってきたのはオセロだ。

だけど瑞鶴はテレビゲームがしたかった様子。

 

「ううん。いいよ。時間が勿体無いし。提督さんがゲーム好きだって聞いたからやってみたかっただけだし。せっかく提督さんが選んできてくれたんだからそれやりたい」

 

む?

 

「瑞鶴さん自身はゲームに興味ないの?」

 

瑞鶴の言い方だとまるで僕がゲーム好きだからゲームがしたいと聞こえるんだけど、そんなことないよね?

そんなラブコメ風イベントないよね?

あったとしてももっと好感度上げたあとの話だよね?

 

「あるよ?提督さんの趣味なんだし」

 

わぁお、この娘さらっと攻撃力高い発言するね。

おかげでスタンしてるぜ。

 

「提督さん?急に固まってどうしたの?」

 

むしろ君がどうしたんだよ!

あれ?瑞鶴ってもっとツンデレキャラしてるもんだと思ってたよ。

なにこの正統派幼馴染系ヒロイン、超好みなんだけど。

ただ高火力過ぎて体はフリーズしたままです。

 

「ナ、ナンデモナイデスヨー?」

 

「何で急にカタコトなの?変な提督さん」

 

クスクスと笑う瑞鶴の方を見れないです。

根暗な非モテには刺激が強すぎるんです。

とりあえず下を向いてオセロの準備をする。

ボードの上に4つコマを置く。

 

「先行と後攻どっちがいい?」

 

とりあえずゲームをしよう。ゲームに集中すれば落ち着くはずだ。

 

「提督さんのオススメは?どっちが有利とか」

 

「後攻をオススメするよ。一般的にオセロは後攻有利だし」

 

と言いつつオセロはそれほど詳しくないし、強くもない。

まぁ勝ち負けより楽しむこと、楽しませることを優先しよう。

 

「じゃあ私後攻にするわ」

 

やるからには勝つぞという雰囲気がでてる。

うん、読みやすいタイプみたいだ。

人の感情の機微を捉えるのは苦手だけど、ゲーム上で勝利を目指す相手の戦術を読むのは苦手でない。

素直な瑞鶴相手なら読み解けるだろう。

それとなく接戦で負けるようにしたいけど、オセロだとそこまでやれる技量がないのが不安だ。

大敗にならない程度を心がけてやろう。

 

「じゃあ僕が先攻だ。初めはルール確認もしながら進めるね」

 

黒を上にしてコマを持つ。

 

「オセロならルールわかるから初めから平気よ。やったことはないけど」

 

「そう?じゃあ特に説明無しで進めるね」

 

本人がいいと言うのだ。黙ってコマを置き、間のコマをひっくり返す。

 

「どこがいいかしらねぇ」

 

さて、久々の対戦ゲームだ。楽しもう。

 

―・―・―・―・―・―

 

「…提督さん。手加減してるでしょ」

 

瑞鶴が声のトーンを低くして言う。

 

「全力だよ。どうして?」

 

全力なのは本当。でも勝ちに行くとは言っていない!

という詭弁で嘘はついていない。

如何にギリギリの勝負をするのかということに全力で挑んでいる。

 

「途中わざと取らせたり、絶対に別の場所のほうが良い手なのに違うところに置いたりしてたらそう思うでしょ」

 

不機嫌さは感じられるけど勝負を投げた感じはしない。

まだまだ続けるべきだと思いコマを置く。

 

「そう?終わりの形をイメージして、そこに持っていく最善の手を選んでいるつもりだけどな」

 

数個コマをひっくり返して番手を変える。

 

「むぅ、でもさっきそれで私が勝ったじゃない?つまり提督さんは負ける形をイメージしてたってことじゃないの?」

 

コマを持った手をフラフラさせながら瑞鶴が言う。

 

「いや、その上を行かれたんだよ。でも結構接戦だったと思うから今回はどうなるかわからないよ?」

 

置ける場所全てに一度コマを持って行ってどうなるのか想像している様子の瑞鶴。

そういうのは頭の中でやらないと思考がだだ漏れなんだよね。

 

「誤魔化されてる気がするんだけど…」

 

一番多くひっくり返せる場所に置く瑞鶴。

戦況次第ではそれは悪手なんだよね。

 

「毎回の手番で最大数ひっくり返すのは必ずしも好手とは成り得ないのがオセロの面白いところだよ」

 

今回の手番ではあまりひっくり返せない場所に置く僕。

 

「結局は多く取ったほうが勝ちなんだから、取られない箇所を取れるようにするものじゃないのかしら?」

 

角を取る瑞鶴。角を取るのは基本だけど、タイミングというものがあるのさ。

 

「考え方は間違ってないよ。ただオセロのルール上、ダメージトレードでどれだけ利を得るかが重要なのさ」

 

「ダメージトレード?」

 

「戦略の一つ。勝負で無傷はまず無理だから、どれだけの被ダメージを許容して、どれだけの与ダメージを出すかを考えることだよ。オセロならひっくり返す量を増やすためにあえてひっくり返される場所にコマを置くとか。艦隊運用でも重要な考えの一つだよ。ただ注意点として、単に先に多くダメージを与えれば良いというダメージレース、つまりは殴り合いに持っていくのは下策ってことを理解して、コントロールすることかな」

 

例えるならダメージトレードはカウンターを決めるために相手のジャブは食らってストレートを誘うというもので、ダメージレースは真っ向からの殴りあいだ。

これを履き違えないようにしておかないと被害の採算が合わなくなる。

 

「で、その戦略を持ってしても私が勝つってやっぱりおかしくない?私はそこまで戦略をねられないわよ?」

 

しまった。墓穴を掘ったようだ。

 

「線引きを見誤ったってことだね。誘いすぎて反撃しきれなくなった。勝負中に瑞鶴さんが強くなっていって計算が狂ったんだよ」

 

まぁ当たり障り無いだろう。

 

「まぁ、そういうことにしておいてあげる」

 

パチパチとゲームを進めながら雑談をしているとふと瑞鶴が切り出した。

 

「話は変わるんだけどさ、艦娘の呼び方の差って何か意識してることあるの?」

 

呼び方の差?

 

「どういうこと?質問がよくわからないんだけど」

 

「例えば私のことは瑞鶴()()って呼ぶじゃない?最初に呼び捨てで呼ぶような話をしてたのに結局さん付けになってるわけで。全員をそう呼んでいるならまだわかるんだけど、榛名さんや潮ちゃんみたいに呼び捨てにしている娘がいるからさ。どうしてなのかなって」

 

そういえばそういう話があったような気もする。

 

「あー、別に責めているわけじゃないのよ?無理に答えなくてもいいからさ」

 

どうも僕は困った表情をしているようで、それで勘違いをさせてしまったようだ。

実際は結構気にしていることなのだろう。今思い出したけど最初あったときも呼び捨てにして欲しがっていた様子があったし。

 

「んー、瑞鶴…には話してもいいかな」

 

なんとか()()を付けずに呼ぶ。

無言で促す瑞鶴。

 

「元々ほとんどの艦娘を呼び捨てにするつもりでいたんだ。だけど、呼び捨てを好まない娘が居てね。その娘に指摘されてからは無難にさん付けで呼ぶようにしているんだ」

 

訓練生のときに叢雲から苦言を申されたのが理由だ。

無闇に原因が誰なのか言うべきではないと思うから伏せて伝える。

 

「んで、呼び捨てで呼んでも問題無さそうな娘や、それなりに仲良くなれた娘は呼び捨てになっていった感じかな」

 

榛名は言うまでもなく、潮はそれなりに好意を持ってくれているようだし。

他の娘たちは上司としては悪く思われていないだろうけど個人としては読みきれないからね。

あと那珂ちゃんはアイドルだから那珂ちゃんと呼ぶ。

 

「あとは状況によってかな。作戦行動中なんかは呼び捨てで統一してるし、他にもコミュニケーションの一環で砕けた呼び方をすることもあるから若干ブレはあるよ」

 

「で、わたしをさん付けにしてる理由は?」

 

嫌がられてさん付けするようになったというのだから、嫌がられて呼び捨てにするのが筋というものだろう。

だけどね…

 

「あー、うん。ちょっと言いづらい話なんだけどね」

 

一旦間を空ける。

瑞鶴はちょっと身構えてる。

悪いことしてるなぁ…

 

「あるタイプの女の子にちょっと苦手意識があってね。瑞鶴もそのタイプに含まれるから…」

 

ぶっちゃけ女性全般が不得手なんだけど、この世界に来る前の学生時代の記憶やら、情報やらで特にミドルティーンの女の子が苦手なのだ。

あと思春期真っ只中、反抗期中ですっていう娘も。

そこまで成長していない娘だったら女の子というより子どもという枠でみるから苦手意識が薄れるし、逆に成長しきってる娘にはビジネスライクに付き合えるからなんとかなる。

間がどう立ち回れば良いのかわからないから苦手なのだ。

艦娘相手となると見た目や言動がどれだけ彷彿とさせるかで判断してる。

瑞鶴は正規空母にしては幼目な顔立ちをしているから、丁度高校生か大学生ぐらいに見えるんだよね。

 

「それでつい余所余所しくなるってこと?…で、今は割かし私に慣れてきたから多少は苦手意識が軽減されてきてる感じかしら?」

 

「御明察。だからこの件に関しては完全に僕に非がある。嫌な思いをさせてたならすまない」

 

頭を下げる。

 

「いや、そこまでしなくても…。そうね、じゃあどういうタイプが苦手なのか教えてくれたら納得してあげる」

 

まぁ話しても問題ないだろう。

それを元に何かされるわけではないだろうし。

 

そう考えて思いつく範囲でどういう娘が苦手か説明する。

 

「なんとなく苦手とする娘がどんなタイプなのかは分かったわ。で、私にはもうなれてきたのならもう少し肩の力抜いてくれてもいいんじゃないかしら?」

 

自覚はしていないけど、強張っているようだ。

 

「どうするのが良いかな?自分じゃちょっとわからない」

 

ふぅ、と溜息をつく瑞鶴。

 

「もっと気楽に自由にしてればいいのよ。例えば北上さんを相手にしてるときみたいにさ」

 

あれは別に気楽なわけではないのだが…

 

「むしろアレは北上さんがフリーダムすぎて成すがままになってるだけなんだけど」

 

「でも結構喜んでいるように見えたけど?少なくとも嫌がっているようには見えないし」

 

北上さんレベルの美少女に寄られるのは戸惑いはしても忌諱感は憶えるわけないからね。

 

「嫌ではないけど結構戸惑っている面が強いよ?女の子の扱いに慣れているわけではないし」

 

「あっ」

 

瑞鶴が声をあげる。

 

「どうしたの?」

 

「そこ置かれちゃったらもう私の負けで決まりじゃない。むぅ…悔しい」

 

話しながらゲームを進めていたが、8割ほど盤が埋まったところで瑞鶴が言う。

確かにここから巻き返すのはほぼ不可能だろう。

あるとすれば僕が明らかなミスをした場合だ。

 

「ほんとだ。どうする?一応最後までやる?」

 

「やる。別に勝つことが一番の目的じゃないし。あくまで提督さんとゲームをしたかったんだから」

 

にっこり笑う瑞鶴。

そういうのに弱いからほどほどにしてほしい。

 

「本当に瑞鶴はいつの間にか近くにいるなぁ」

 

「近くってどういうこと?」

 

ぽつりと漏れた独り言に瑞鶴が返す。

 

「あ、いや。物理的な距離感もそうだけど、付き合い方の距離感の取り方が上手いなって。僕はあんまりすぐに人と仲良くなれるわけじゃないけど、瑞鶴は気がつくと仲良くなってる感じがしてすごいなって」

 

「そ、そうかな?提督さんが相手だからじゃないかな?それに北上さんとかの方が近いように見えるけど?」

 

少し照れながら言う瑞鶴。

 

「北上さんのはなんていうか、グイグイ来ててこっちが麻痺してる感じ?来てるのはわかるし、嫌と感じない範囲を把握した上でチキンレースレベルに突っ込んでくるというか。それに比べて瑞鶴は気付いたらぽんと近くに居る感じ?もともとそこにいるのが当たり前みたいな。前からこうしていたとさえ錯覚するレベルでさ。ほんとすごいよ」

 

幼馴染属性値が高い、という言い方が自分としてはすっきりするんだけど、そんな言い方しても絶対通じないので持って回った言い方になってしまう。

 

「そこまで言われると照れちゃうな。特段何か意識しているわけじゃないんだけど」

 

照れて顔を逸らしながら言う瑞鶴。

うん。かわいい。

 

「あ、そうだ。忘れる前に聞いておきたいんだけど、さっきの呼び方の続きでもう一つ聞かせて?」

 

こちらを向きふという瑞鶴。

何を忘れそうになったんだ?

 

「さっき、"ほとんどの艦娘を"って言ってたけどさ、呼び捨てにしないつもりで居た娘とか、その娘の呼び方とかどんなかなって」

 

あぁ、そのことか。

 

「まずは那珂ちゃんだね。ほら、彼女アイドルだし。僕はファンだからさ。他にはまだうちには居ないけど鳳翔さんかな?訓練生時代にもあったことあるんだけど、あの人はさん付けになっちゃう。ぱっと思いつくのはそんなもんだけど、他にも誰かが特徴的な呼び方をしてたらそれを模しちゃうことがあるかな」

 

那珂ちゃんのあたりでは頭にハテナマークが浮いていた瑞鶴だが、鳳翔をあげると確かにと頷く瑞鶴。

伊58をでち公と呼んでしまうとかは伏せておこう。

他にも扶桑のことを姉さま、千歳のことはお姉、大井も大井っちとかになりそうだけど、言う必要はないだろう。

 

「ふぅん。参考になったわ。ありがとう」

 

「どういたしまして。はいこれで終わりだね」

 

最後のマスを埋めて、いくつかのコマをひっくり返す。

結果は僕の勝ちだ。

 

「うん、ありがとう。さて、私もそろそろ行くわ。あんまり仕事の邪魔し続けるのも悪いし」

 

コマを数えながら片付け、立ち上がる瑞鶴。

 

「邪魔している自覚あったんだ」

 

「えぇ。邪魔であってもリフレッシュはできたでしょう?それに良い話も聞けたから」

 

どうやら瑞鶴はあえて邪魔という言い方をしたようだ。

おそらく榛名の入れ知恵だろう。

この娘たちは思っている以上に心配性のようだ。

 

「たいした話は出来なかったと思うけど?」

 

「提督さんのことを知ることができたから良いの!それじゃ、またね」

 

ひらひらと手を振り去る瑞鶴。

最後にこちらにダメージを与えて去っていくあたりやっぱりヒロイン力高い。

正直クラクラしちゃうね。

 

「さて、それじゃあお仕事再開しますかね。適当に」

 

でないとまた邪魔しにきてくれたときにお相手できないから。




一ヶ月…
気付いたら経ってました。本当に(ry

さておき、瑞鶴でした。
こう、妹系幼馴染ポジションにがっちりはまると思うんですよ。
いつも一緒にいて、ちょいと甘えてくる感じとか。
でも完全に甘えん坊の妹ポジションではなく、ちゃんとしっかりしたところもあって、逆に面倒を見てくれる面もあるという。
あとめちゃくちゃコミュ力高いと思う。
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