僕の艦隊これくしょん ~提督になれば艦娘とイチャラブできると思っていた~   作:荒井うみウシ

59 / 64
お久しぶりです。
遅くなって申し訳ないです。


視察_1

車内で今一度資料を見直す。

これから向かう茨城第三鎮守府…茨城県にあった元漁港を改修して鎮守府となった場所だ。

一時期深海棲艦に本土付近まで攻め入られたときに前線に臨時拠点のひとつとして用意されたが、戦線を押し上げた後は辺境の地として扱われるようになった場所でもある。

 

誠に嘆かわしいが、現在は問題ある提督たちを押し込むことに使われている。

箸にも棒にもかからないが提督としての才覚を持った人物をそこに遣わし、ひたすら資材収集に努めさせる。

そして大規模作戦の際には斥候として使い倒す。

当然支援などはしない。資材を吸い上げられ、使い捨ての道具のように扱われる。

嘆かわしい。が、それ以上に持て余すことも許されず、活躍させることもできないほどの者たちを最大限有効活用するための方法でもある。

 

なぜそういったことをするのかというと、鎮守府の機能は1つの鎮守府につき上限があると妖精たちから説明された。

曰く制約、世界のルールというものらしい。

どこまで本当なのか判断できないが、妖精の協力なくては人類は生き残ることすらできないので、関係を悪化させないためにもこれ以上の追求はできない。

 

鎮守府を増やすことも困難であり、こちらの要望で増やすことはまずできない。

また、一定期間以上提督の適性を持つ人物が配属されていないと鎮守府の機能は停止してしまう。

ゆえに過去に一時的にでも鎮守府として機能した場所は提督を配置して維持する必要がある。

それを含めて僻地であっても一人は提督を配置しなければならない。

 

今回向かう場所もそのひとつで、配属された提督もそういった人物であるはずなのだが…

 

「鳥居大将、そんなに眺めても書かれた内容は変わりませんよ。事実かどうかを調べるためにこれから向かうのですから」

 

横にいる風間元帥がこちらを見ずに言う。

風貌は若輩者のはずなのにも関わらず、老練さを感じさせる人物。

地位も元帥と最高位の一人であるこの人は不可思議な点が多い。

そんな人がなぜこんな仕事を行っているのかという点も十分に不可思議なのだが。

 

「失礼いたしました、元帥。なにしろ現実的でない数値が記されている上に、こちらに来ている資材量はそれと寸分違わないのがどうにも解せず…」

 

「大将、再三申し上げたようにこの視察中は私のことは中将として扱うようにとお伝えしたはずですが?」

 

目だけをこちらに向け言う元帥。

見た目と異なる鋭さに一瞬息が詰まる。

 

「申し訳ありません・・・、いや、すまない」

 

もう視察は始まっているのだ。運転席にはこちらの会話が聞こえないように作られているが、切り替えて挑むべきだ。

それにしても何を考えそういった行動をするのだろうか?

 

「七志野少尉…でしたっけ?あそこの提督は」

 

七志野少尉。これから向かう鎮守府に半年ほど前配属された新人提督だ。

訓練校の成績は一言で言えば歪。

評価表を見れば平均よりやや下といったものなのだが、模擬戦の戦績が非常に高い。

つまり座学等が非常に低いことも示すのだが、いくら訓練校とはいえ正しい知識なしにこの戦績はありえない。

何かしら操作があった可能性を考え筆記試験の結果を見てみたが、採点に問題はなかった。

考えられるのは当人があえて点数を落としていた可能性があるが、そうする必要性がわからない。

成績優秀者から自分の希望が通るのだ。これだけの戦績を残せる能力を座学面でも出せばそれこそ最初から本営所属さえ無問題であるにも関わらないのに。

よって歪だと評するのが正しいだろう。

 

「はい。模擬戦の戦績は非常に優秀なのが特徴ですね。ただ、座学面は非常に悪かったようですが。それでなぜここまでしっかりと運営ができるのかすら謎です」

 

「それを調べに行くのが今回の仕事ですよ。それと口調に気をつけてくださいね。彼に対してもそういった口調なら問題ないのですけど」

 

元帥を中将として扱う…これはなかなかに胃が痛くなる。

 

「これは失礼を・・・いや、悪かった」

 

こんな感じで良いのだろうか?

 

「はい」

 

良いようだ。

 

「それで、その七志野少尉のどういったところが気になるので…だ?」

 

一瞬怪訝な顔をされた気がするが無視をする。

答えたくなければ答えないだろう。

 

「訓練校での行動を少し調べたのですが、少々面白いことをしていたことがわかりましてね」

 

「面白いこと?」

 

外見相応のやわらかい顔でげ…中将が言う。

 

「はい。どうやら艦娘のスカウトをしていたみたいなのですよ」

 

スカウト?

 

「対象としていた艦娘は間宮・伊良湖・明石・大淀。結果、彼は明石を引き入れることに成功し、大淀も素行調査という一種の監視役という建前で連れて行きました。彼の素行不良ということが大淀を引き入れるための策の一つであったなら相当な食わせ物ですよ」

 

くすくすと笑う中将。

それよりも七志野少尉が引き入れようとした艦娘がどんなものなのか気づき、戦慄が走る。

 

「兵站・整備・作戦立案補助…あたりが目的?」

 

「まさしく私もそう思います。でなければピンポイントでその娘らを選ばないでしょう。過去を見ても訓練生でその娘らに注力した人物はいませんでした。大抵は戦艦、一部は空母といった形ですからね。切れ者とうたわれた人たちも提督になるまではその娘らの有用性に気付けなかったものですから」

 

かくいう本人はかなり昔からその艦娘たちを重宝しているというのに…

 

「あ、当然私も最初は戦艦を求めましたよ?で、すぐにやっぱあの娘らのほうが重要だと感じたわけですが」

 

こちらの考えが表情に出ていたようだ。

 

「つまり、完全に道化を演じていた者だということだな」

 

七志野少尉…今の情報でさらに興味深くなった。

 

「だと思います。なので資料はおそらく本物。不正なしだと思いますが、こうして調査したという事実のほうが重要ですね」

 

逆に不正があった場合後に大問題になりかねない。

早々に確認すべき事案ではあるな。

 

―・―・―・―・―・―

 

「遠いところご足労ありがとうございます。私が七志野少尉であります」

 

素行不良と評された青年は想像以上にしっかりと出迎えてくれた。

やはり道化を演じていたのだろう。

 

「出迎えご苦労、私は鳥居。大将だ。そして…」

 

「僕は風間。中将だよ。視察と言ってもそれほど格式ばったものではないので、砕けて構いませんよ。ですよね大将?」

 

見た目年齢に近いフランクな喋り方をする元s…中将。

 

「あぁ、かまわない。むしろ普段どのようにしているかを確認したいため、肩肘張らない姿のほうが好ましい」

 

間違ったことを言うわけでもないため、ここは彼に合わせる。

 

「ハッ、ありがとうございます。それではまずお荷物を運ばせていただきます」

 

少尉が目配せをすると後ろに控えていた叢雲と白雪が荷物を受け取ろうとこちらに歩み寄る。

 

「すまないな」

 

「ありがとう」

 

荷物を受け取り下がる二隻。

 

「ではご案内いたします。まずはお茶をご用意いたします」

 

「いや、先に軽く鎮守府内を見てまわりたい。お茶はその後貰おうか」

 

確かに長く車に乗っていたがさほど疲れているわけではない。

時間は有効に使うべきだ。

 

「あ、お茶の後は自由に見て回りたいのですが構いませんか?」

 

風間中将が問う。

元々提督抜きでの艦娘の様子もみる予定ではあった。

 

「構いませんが、工廠など危険な箇所もあるので、十分に注意をお願いいたします」

 

ふむ、後ろめたいことはない。或いは完全に隠しきれているという風か。

おそらく前者だろう。

 

「他になにかございますか?」

 

「いや、ない。はじめてくれ」

 

―・―・―・―・―・―

 

一通り見てから客室で一息つく。

一度少尉には離れてもらって話をする。

 

「風間中将、いかがでしたか?」

 

とりあえず見た範囲では問題はなかった。

だがこの規模で彼一人しか提督がいないにも関わらず資料通りということ自体が異常ではあるが、不備はなかったためこの点に関しては何もいえない。

 

「一言で言えば想像以上です。単に彼は効率的に最小限で最大限を求めているだけ。そういってしまえば簡潔で分かりやすいのですが、どうすればその効率を求められるのかわかっているかの様な運用をしています。特にこの遠征履歴、これで遠征を行かせるのはかなり無謀といえるほど過少戦力でありながらほとんど失敗していない。出撃履歴を見てもほとんど被害が小破、中破程度。大破があっても1隻程度。まだ比較的落ち着いている範囲にしか出撃していないということを加味してもこれほど被害を抑えていれば消費が少ないのも理解できます。これは下手に誰かの下につけるよりは独自に動いてもらったほうが成果をあげてくれそうですね」

 

あぁ、他の鎮守府と違って確かに支出が非常に少ない点が目立つ。

ぜひともその才気を活かしてもらいたいものだが、風間中将の言の通り彼のやり方を許容できる人物でなければ燻らせてしまうだろう。

ならいっそ自由に動かしたほうがいいのだろう。

 

「だが出撃履歴を見るにあまり精力的に海域の開放を望んでいないようにも見える…そこは少し発破をかけるべきやもしれない」

 

「いえ、何もしないのが最善でしょうね。明らかに今回の視察を意識した運用をした形跡が見て取れます。邪魔をさせないための行動でしょう。下手に口出しするよりは最低ラインを取り決め、それを満たすなら好きにさせるほうが勝手に伸びてくれますよ」

 

確かに出撃が減り、遠征が増え、演習はほとんどなくなっている。

資材を貯めたいですといっているものだが、時期が完全に視察を通知した時期と被っている。

ここは風間中将の見解に同意だ。

 

「ようやく均衡状態まで持っていけた現状を鑑みるに、有望な人材を遊ばせていられないのも事実…どうにか自発的に海域を広げてもらえるよう話すのが善策か…」

 

「ですね。さて、一息つきましたし、そろそろ艦娘たちへお話を聞きに行きましょうか。裏がある気配はありませんけど、どういった提督なのか艦娘視点で知る必要もありますし」

 

「そうだな。参ろう」

 

まずは居場所の分かる艦娘から尋ねてみるか

 

 

 




はい。オリジナル設定てんこ盛りです。
茨城県にした理由?
わしはガルパンおじさんでもあるからじゃ。
申し訳ないです。深い意味はありません。
あ、現実の地名・団体等には関係ありませんのでご了承ください。

2,3話はこういう伏線回というか設定回というかになります。
おれの黒歴史が進行形で進化するZE☆



以下遅れたことについて釈明…できませんね。ただの言い訳です。

実はこの話自体は3月下旬に書き上げていました。
ですが続きと固めて出したいなーとか思って上げずにいたところ、その続きがなかなか形にならずズルズルと…
リアル事情のゴタゴタと、ちょっとモチベ低下が続いていたため遅れました申し訳ないです。

またいつ続きを出せるかわかりませんが、期待せずにお待ちいただけると幸いです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告