僕の艦隊これくしょん ~提督になれば艦娘とイチャラブできると思っていた~ 作:荒井うみウシ
あさり・しじみ・はまぐりさん
貝になれ
水雷魂とは"悖らず恥じず憾まず"ことなり
ハラショーハラショーブルーベリーハラショー
第五遊撃部隊"金剛・加賀・瑞鶴・大井・北上・吹雪"
エラー猫赦すまじ
変わらない吸引力、ダイ○ン 姫より厄介
―・―・―・―・―・―
…大半がアニメネタじゃねぇかっ!
うん。これが暗号の中身。
これで関係なかったら逆に不自然だわ。
改めて第五遊撃部隊の編成を見ると、ゲーム的には結構悪くない構成なんだよね。
戦艦で2巡できるようにして、空母と駆逐で対空態勢。
メイン火力は雷巡2隻。
戦艦は1隻まで、空母は正/軽問わず2隻まで、駆逐1必要で重/軽/雷/駆自由枠2とかなら多分僕も似たような編成するだろうし。
恐らく戦艦が金剛なのも高速艦縛りとかあってもおかしくないな。
そんなことはともかく、これは十中八九こちらのことをプレイヤーと認識した上でのアプローチだな。
そもそもこの視察さえ僕をプレイヤーと確証を得るためのものだとしたら急にお偉いさんが押しかけてきたのも理解できる。
で、確証を得た後そのまま来なかったことを踏まえればそう悪い関係になりたくないと思っていることが予想できる。
たとえ
が、そうしないのはこちらを立てる気があることを示している。
まぁ、プレイヤーなんて存在を秘匿しておきたいだけかもしれないだけの可能性もあるが。
ともかく相手は穏便に、友好的に接したいと考えていてよいだろう。
少なくとも表面上は。
問題はあの二人のどちらだろう?
直感ではあの優男だが、案外あの厳つい方も無いと言いきれない。
共に記されていた連絡先だけが頼りか…
このことは榛名にも話をしておこう。
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夕食後に榛名と会話し、その日は床についた…
のだったが、夜中目が覚めた。
なんだか妙にはっきりと目が覚めた上に妙にラーメンが食べたくなった。
あまり健康的ではないが夜食をしよう。たまにはそういうのも悪くない。
体を起こし、上着を羽織る。
秋も深まりだいぶ寒気が強くなってきているのだ。
月明かりのみが照らす廊下を歩き、食堂へ。
キッチンの戸棚を開けば常備している袋麺を引っ張り出す。
体が資本の彼女たちにあまり食して欲しくはない類の食物だが、これはこれで美味い。
美味いものは士気向上に適しているゆえこういったものも常備するようにしている。
艦娘たちもそれを理解しているため無闇やたらに食そうとはしない。
ただ一定期間ごとに買い直すため消費するタイミングがあり、その時は結構浮かれている様子もあるため好かれてはいるのだろう。
イメージ的には赤城とかが喜びそうなのだが、意外にも曙と敷波が特に喜んでいる。
時期が近づくと結構そわそわしていつ食べられるのかタイミングを知ろうとしている姿は非常に愛らしい。
頻度さえ気をつけていればお堅い感じの叢雲や霞も悪くない感じで食べているし割とラーメン好きは多いのかもしれない。
「ん?」
とそんなことを考えながら鍋に水を入れていると視界の端で何かが動いた。
一応消灯時間を過ぎている。
川内なら普通に入ってくるだろう。
だが食堂の入り口あたりに居るであろう何かは出てこない。
いや、微妙にはみ出てる。
特徴的な細長い棒。位置的に少ししゃがんでいるのかな?
「ラーメン作るんだが、味噌でいいか?摩耶さん」
びくりと棒が跳ねる。
そしてゆっくりとこちらに伸びてきて、摩耶が顔だけ出してきた。
「どうしてアタシだと分かった?」
ここで艤装が見えていたというのはちょっと野暮かな?
「そんな空気を感じたからだ。で、こちらの質問の回答は?」
「…提督と同じで」
「じゃ、味噌な」
当初予定していた量より多く水を入れる。
ん?摩耶はしゃがんだ状態で顔だけ出している。
首の角度的に体は首よりも下にあるだろう。
なのにその摩耶の頭の上に布がちらついている。
これは…
「で、ラーメンは僕と摩耶さんの分、2人前だけで良いのかな?ん?」
ちょっとカマをかけてみよう。
ほぼほぼもうひとり誰かいるのだろうけど、違ったらアレだし。
「…私は、その、私も同じので…」
おどおどと出てきたのは羽黒だった。
真面目な羽黒がこんな時間に出歩くのは意外…とは思ったが現状摩耶とセットで行動させていることが影響しているのだろう。
重巡は他に居ないし、前々からの仕込みの関係でより行動を共にさせている。
「りょーかい。具材のほうの要望は?無いならこっちの勝手にするけど」
「提督のと一緒で。羽黒もいいよな?」
「は、はい」
「んじゃ、ちょいと待っててな」
鍋の水が沸騰するのを待って、麺を入れる。
そして別の鍋にはもやしを投入。軽く湯通しする。
小鉢を3つ取り出し、卵を一つずつ割って入れる。
黄身に楊枝で小さな穴を開け、少し水を入れてからラップし電子レンジへ。
40~50秒ぐらいであたため開始。
「提督、電子レンジに卵はだめだろ」
摩耶が突っ込みを入れる。
食堂で待っていれば良いのにこちらの様子を眺めていたようだ。
「うん、マネしないようにね」
電子レンジに卵を入れて加熱すると爆発するのは有名な話だろう。
ただあれは黄身が熱で膨張・水分の蒸発が白身のそれと温度差があり、圧がかかることが原因だ。
僕がしたように黄身に穴を開ける、水に浸して直接熱するのではなく擬似的に茹でるといったことをするとだいぶ爆発し難くなる。
とはいえこれでも爆発するんだけどね。
あとは加熱時間を50秒…最長でも1分以内にすればラップを突き破るほどの爆発はしない。
一応計算上丁度言い時間や水の量はあるはずだが、結構適当でいける。
ただ40秒未満だと全然固まらないし、40秒でも爆発することがあるから普通に茹でるほうをお勧めする。
電子レンジのほうが短時間で楽なのは事実なんだけどね。
それとこれくらいの時間にすることで半熟的になるのがすごく好みだからついつい危なくてもやってしまうのだ。
なれない人は専用の機器が売っていたりするから、それを買って説明書どおりに調理することからはじめるべきだね。
「いや、マネとかじゃなくて…大丈夫なんだよな?」
「軽く爆発はするかも知れないけど、ラップを破るほどじゃないからね」
「提督がそういうならいいんだけどよ…」
「他の娘にも内緒だよ?羽黒さんもいい?」
「へぁっ、は、はぃ」
摩耶に隠れながらこちらを伺っていた羽黒にも言う。
やっぱり好かれていないようだ。
ラーメンに誘うのもまずかったかな?
いや、嫌なときは結構ごめんなさいって居なくなることが多いし、残ってるってことはセーフと考えておこう。
さて、ラーメン作りの続きだ。
本当はチャーシューとか欲しいけど、今無いからハムで代用。
メンマと海苔も準備したところで卵の温めが終る。
見てみると丁度よい半熟卵。
麺に同封されている粉スープを器に入れ、麺が出来るのを待つ。
程なく時間になり、器に湯を注ぎスープを作ってから麺を投入。
用意した具材を載せて運び出す。
「ほい、できたよ」
「サンキュー。美味そうだな」
「ありがとうございます、司令官さん」
おや、珍しく素直に受け取ってもらえた。
もっと怯えられたりするものかと思ったが…
いい傾向かな?
「さて、食べようか」
いただきますと手を合わせ食べ始める。
摩耶と羽黒も倣い食べ始めた。
しばらく黙々と食べ続ける。
「なぁ、提督。近々横須賀に行くんだよな?」
ふと摩耶が尋ねる。鷹富士親子と斉藤がいる鎮守府だ。
視察やなんやで忙しかったけど、あそこに行き、タウイタウイの艦娘らについて話し合いをしにいかねばならないのだ。
「近々と言っても年明け以降、1ヶ月先のことだけどね」
分かり難いので整理すると、健康診断があったのが10月。
榛名たちが来たのは10月下旬。視察に来た今月が12月だ。
で、横須賀に行くのは1月下旬でタウイタウイは3月中旬を予定している。
「あとひと月しかないんだろ?色々あったけど大丈夫なのか?」
「表向きは勉強しにいくわけだけど、実質はただの打ち合わせだからね。それにここと横須賀なら数時間で移動できる。確かにちょっと留守中の段取りは遅れてるけど叢雲さん達なら大丈夫だろうし」
別に僕が不在なのは初めてじゃない。とはいえ1週間居ないのは初めてか。
叢雲なら大丈夫だろう。
「…叢雲、か」
摩耶が小さく呟く。
「?叢雲さんに何か気になることでも?」
「別に。叢雲は提督にとって特別なんだな」
まずいね。ちょっと頼りすぎたとは思ってたけど、こういう不満を持たれるのに予防ができてなかった。
「僕の艦娘で特別じゃない娘はいないよ」
何を言ってもただの言い訳にしか思われないよな。
「あの…私も司令官さんにとって特別ですか?」
飛び火した…
いや、この際だからはっきり伝えておくべきだよな。
「もちろん。だって、僕の艦娘だよ?それだけで十分特別で、大事さ」
「そう…ですか…」
うーん、やっぱり言い訳にしかならないよな。
「正直まだ君ら重巡をうまく扱えていないのも実感している。だから君らにはしばらくもどかしさを感じさせてしまうけど、その分できる範囲であれば融通はきかせるつもりもある。だから要望があれば言ってほしいな」
実をいうとゲームのときから僕は重巡の扱いが苦手だったりする。
あ、性能という意味合いでね。
汎用性が高すぎてどうにも振り分けにくさがあるんだ。
ある程度装備もそろってレベリングもできてきたらそれこそどこにでもだせるから有能なのはわかっているけど、それまでは高火力が欲しければ戦艦だし、雷撃戦や夜戦には駆逐や軽巡がいるから。
制限がなければ使用頻度が少なかった艦種だ。
ただ、装備もレベルもあれば安定した強さを低燃費で実現するから周回とかにすごくたすかるんだけど。
現状駆逐達で警戒して、海域攻略時や防衛線に扱うために控えてもらう立ち回りが多い彼女らには不満はたまりやすいだろう。
「…じゃあ今度は甘味でも用意しろ。提督が作るやつな」
わぁお、とんでもない依頼が出たぜ。
「あまり本格的なものは期待しないでくださいね」
「わ、わたしもご一緒して良いですか?」
「当然。できるよな提督?」
羽黒の便乗を後押しする摩耶。
摩耶がいいというなら僕に拒否権はない。
「時期はこちらに決めさせてください。用意もありますので…」
僕に許されるのは彼女らの要望に応えることだけ。
うーん、ホットケーキあたりならいけるかな?
なんだかんだで重い空気はうやむやになってくれたようだ。
どうにか今後はこういう不満を解消できるようにしていきたいものだ。
はい、またしばらくお待たせして申し訳ありません。
しかもいちゃらぶ度低です。
納得いく話にできませんでしたがいい加減続かせたいので、先延ばしという逃げをしました。
次もいつ出せるか不明ですが、気長にお待ちいただけると幸いです。