デスゲームでオワタ式を強制されたのでゾンビプレイします   作:にゃー

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デジタル時計は日付も同時に見れるようにするべき

 長く感じられた激闘の末、片手剣使いと化したセクメトとの死闘が終わった。

 勝者は俺だ。HPが減った回数は二桁へ突入していた。回復結晶は一桁しか持ち込んでいなかったので、終盤は文字通りのオワタ式での戦いだった。

 ポーションを飲んでもいたが、あれは即効性もないし、割合回復なのであまり意味もなかった。

 一層のキャンペーン報酬の剣はとうの昔に折れ、バースト戦で使わなかった予備の剣で戦うことになっていた。

 文字通りボロボロだが、勝者は俺。

 セクメトを討伐し、バステトの復活を妨げる存在がいなくなったからか、勾玉が白く光り、いつかの祠のように神聖な雰囲気を垂れ流す。

 光が収まると俺の首に勾玉はなく、足元に一匹の子猫がいた。

 子猫の身長は二十センチ弱。手のひらサイズであり、名前はバステト。

 俺にテイムされている扱いで、詳細を開けば補助型らしい。

 リジェネ、霊特攻、死者特攻、蛇特攻、ステータス増強、運増強、農業、芸術ブースト付与。毒、麻痺、疫病の治療。索敵、アイテム収集などなどなど。

 これでもかといったくらい詰め込まれていた。

 闘争の神ではあるが、子猫の姿をとっているため戦闘能力は低いらしい。

 バーストとセクメトのLAをとったボーナスとしてバステトが強化されているのは、恐らくこのふたつだ。

 まず、バステトが俺の周囲5m以内にいる時に俺のHPを分間3400(レベル掛ける100)回復する。

 これ、はっきり言って異常である。たしか、今レベル三十五くらいで【戦闘時回復】が十秒で三百行かないくらいだ。

 バステトの回復量を十秒間に変換すると、五百六十六。つまりキリトの二倍くらいの自動回復量が付いたということ。

 次は、悪霊系とゾンビ系、悪魔系への常時特攻。これもバステトが俺の周囲5m以内にいることが条件だが。

 効果は1.34倍。そこまで高くないと思われるかもしれないが、常時であり、レベルが上がる毎に0.01ずつ倍率が上がるのが強いところだ。

 悪霊系は始まりの街の黒鉄宮でバフをかけてもらうか高価な聖水を使ってバフをかけるかしておかなければ基本的に攻撃が通らないのである。

 現在の最高級聖水でもその倍率が1.4倍で制限があるということを考えればその強さが分かるだろう。

 本来ならもっと倍率が低く設定されていてなんか便利だなーと思える程度のものだったのだろうが、俺は二体とも倒したからか倍率が酷いことになっている。

 バステトの確認を終えてセクメトの戦利品を確認する。

 まずは一層でも見た、この戦いで折れた直刀の元となった武器のモト。

 それとは別に、恐らくバステトイベントを進行させた報酬として勾玉がストレージに入っていた。

 効果は祠から神聖パワーを吸収した勾玉と同じで、バステトを収納出来るらしい。

 ベータ時代に四人か五人ほどテイムを成功させたプレイヤーがいたが、そいつらは揃ってモンスターボ〇ルみたいなアイテムが欲しいと言っていた。

 つまりこの勾玉はかなり便利なものだな。

 他のアイテムは見たところセクメトの素材なので確認は後回し。

 最後に時間を確認すれば、十五時と書かれていた。

 えーと。たしか昼休憩をして一時間弱歩いた気がするから十三時くらいから戦い始めて、今は十五時か。

 意外と戦闘時間は短かったんだな。

 バステトを抱えて転移結晶で帰ろうとすると、バステトが力んで神聖パワーを放出する。

 それに反応してポップアップ通知がされ、スキルウィンドウを開けば【成長の代償】が点滅しているではないか。

 

「え、ちょっと! ちょっと待って! 今はこのスキルいじらないでほしいかなーなんて! いやほんとに!」

 

 焦ってそう言えばバステトは神聖パワーを霧散させ、【成長の代償】の点滅は収まった。

 こいつが無くなったとしたら俺はどうなるのか。

 ステータスは大幅に下がり、その代わりにHPは数十倍から数百倍になる。

 それで俺は戦えるのだろうか? 分からない。

 とりあえず、二時間しか戦ってない割に疲れたし帰って寝るとしよう。

 九層へ転移して昨日も使った宿屋へ向かい、ベッドに横になって泥のように眠った。

 

 

 目が覚めて時間を確認すると十七時。二時間しか寝れなかったのかと思いながら99+と書かれているメッセージタブを開く。

 誰だこんなにメッセージを送ってきてるのは。

 迷宮区にいる時は送られたメッセージを受信出来ないが、出たら受信できるようになる。

 例えるなら圏外にいた携帯が圏内に入って大量のメールを受信するように。

 迷宮区から転移してきた時はどうだったかな。

 うーん。疲れてたからか覚えてないな。

 

 メッセージタブには999+と書かれている。

 へー。こっちでも999件以上は表示されないのか。

 さーっと流し見てみればアルゴとキリトが六三くらいで残りがほかの知り合いたちだな。

 ただ、ひとつおかしいことがあるとすれば、日付が三つあることである。

 一日しか潜っていなかったのに三日分とは、バグかなんかか?

 とりあえず大量にメッセージを送ってきているアルゴとキリトにメッセージ爆撃すんなハゲと送って二度寝をすることにした。

 

 

 ドンドンドンというノックを超えたドアバンに起こされ、外にいるのが声からしてアルゴとキリト、あとはアスナちゃんだと思いドアを開ける。

 

 ドアを叩いていた二人はそのまま部屋になだれ込み、ドアの外にはアスナちゃんだけが立っていた。

 

「とりあえず入る?」

「お邪魔します……」

 

 アスナちゃんに椅子を出して、ついでにアルゴとキリトにも座布団を出した俺はベッドに腰掛けてメッセージ爆撃したわけだったり宿凸の理由を聞いてみたりすると、なんと二人がいうには俺はまる一日位置情報がわからず、二日連絡が取れなかったらしい。

 もう訳が分からない。

 俺は半日しか迷宮区にいなかったぞと言うと、アスナちゃんからも二日連絡取れませんでしたと言われる。

 ……。いや、流石にないだろ。セクメトとの戦いが二十四時間以上だったとか絶対嘘だ。

 あの集中の仕方で二十四時間以上戦ってたとか確実に人間やめてる。

 でも、考えてみれば三時間で剣が予備も含めて何本もポキポキ折れるわけがない。

 まさか、本当に?

 十八層を解放した日付と今日の日付を確認すれば、俺が迷宮区に潜った日から確かに二日経っていた。

 二日、まさか二十四時間以上戦闘して、二十四時間以上寝ていたとかが有り得るのか?

 聞けば位置情報が確認できるようになってから二十四時間以上移動をしていなかったらしい。

 なんだそれ。もう無茶苦茶だよ。

 よくわからないまま謝罪をして、メッセージをすべて消去する。

 お詫びにキリトとアスナちゃんには今度何かしらのアイテムを、アルゴには今から日付が変わるまでの命令権をプレゼント。

 心配かけたお詫びとはいえいくら何でも酷くないか?

 キリトたちがまた今度と言って退出すると、俺とアルゴの二人きりになった。

 説明。と短くいったアルゴに俺は、はい? と聞き返す。

 再び、説明とだけ言ったアルゴの威圧感は尋常ではなく、思わずハイ。と返事をしてしまう。

 

 ただ、説明と言われてもな。偵察しに行ったら閉じ込められて頑張って戦いましたとしかいいようがない。

 転移結晶すら使えなかったからなぁ。

 中に人が入ってましたっていうことは話さないようにしてボス戦であったことを話す。

 中身のことを話さないので俺が死にかけたのも内緒だな。

 話を聞き終えたアルゴはとりあえず納得すると、それじゃあ外に行こうと言う。

 とりあえず俺の奢りでSAOの数少ない娯楽施設を回り、始まりの街で一番高い、それこそ10万コル単位のところで夜景を見ながら食事をして宿へ戻ってきた。

 アルゴは俺の部屋に入ってそのままベッドに座ってニコニコとこちらを見ている。

 なんか、今日のアルゴはなんか違う。

 よくわからないがなんか違うのだ。機嫌がいい時でもあそこまでニコニコしなかったし、街を歩く時だって今日ほどベタベタしなかった。

 飯を食べている時はあーんを要求してくるし、命令権があると言っても何かが違うのだ。

 

 そういえばアルゴにいうことがあったんだと思ってアルゴの横に座って囁く。

 

「バステト。つまりバーストは性愛の神の側面もあるんだってさ」

 

 いつもなら顔を真っ赤にして距離をとるはずなのに、今日のアルゴは違った。

 こちらへ振り向くと体重をかけながら唇をおとし、口内を蹂躙する。

 視界の隅にはハラスメント警告が表示されている。

 女性側に表示されることが多いこれだが、しっかり男側にも表示はされるのだ。

 ノーを選択し、アルゴの顔を上げさせる。

 俺とアルゴのあいだには唾液の橋がかかっていた。

 無駄にリアルなんだよなSAOって。

 劣情に濡れたアルゴの瞳はなんとも淫靡で、ハイライトが欠けていた。

 再びアルゴの貪るようなキスが始まり、俺の理性が溶けていく。

 論理コードを解除することなく続けられたそれは、アルゴが寝落ちするまで続いた。

 

 ほんと、何だったんだろう。明日もアルゴの様子を見ることにしよう。

 なんか危なっかしいし。

 そう思って俺も寝ようとした時、一通のメッセージが届いた。

 フレンドメッセージではなく、同じ階層にいる名前を知っているプレイヤーに送ることが出来るインスタンスメッセージだ。

 内容は今から一時間後、猫族の祠で待つというもの。

 送り主はひーす、ヒースクリフ?

 正直、知らない奴の呼び掛けに応じる理由はない。

 アルゴが心配だし余計に行きたくない。けれど、猫族の祠というワードが俺をひきつけた。

 最近噂に聞くオレンジプレイヤーの仲間かもしれないし、アイテムを買って猫族の祠へ向かった。




ひーすくりふ。一体なにひこなんだ……。

そしてハイライトが欠けたアルゴに起こった心境の変化とは?

ちなみに、全く関係ないのですが、最近シノノンヒロインの小説を読みました。
不遇がなんとかって感じのやつだったようなそうでないような気がします。
面白かったです。


1000件以上のメッセージの7割がアルゴだったようですが、どういうことでしょうね(すっとぼけ)
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