デスゲームでオワタ式を強制されたのでゾンビプレイします 作:にゃー
部屋に戻ってストレージにククルカンの素材を入れると、後から抱きつかれる。
首を傾けて後ろを見てみれば予想通りアルゴだった。
ここにいるってことは外に行ってないのか?
振り返ってアルゴを抱き抱えてから、ベッドに腰をかけ、膝にアルゴをのせる。
腹部を抱き抱えるようにして後からアルゴに問いかける。
「俺がお前の柱になってるってのは本当か?」
アルゴはこくんと頷いてこちらに体重を預けてくる。
「柱ってなんだ? 精神的な支柱ってのは違うだろ? お前は抱え込むこともあるけど基本的に一人でもやれるやつだ」
俺がそういうとアルゴはさらに体重をかけてきてベッドに倒れることになる。
反射的にアルゴを抱き抱えていた手を離し、受け身のような何かをとると、ハイライトの欠けたアルゴが馬乗りになるように俺の上にいた。
アルゴはそのまま体を倒し、俺の左胸に耳を当てると、脇の下を通って肩を抱きしめるように両腕を回してくる。
そして「一人じゃ何も出来ない。昔は出来ていたかもしれないけどバーストがいなくなった途端頭が真っ白になって何も考えられなくなった」と言う。
俺が探索に行っていた時も何も考えられず布団にくるまっていたらしい。
マジか……。こりゃあアスナちゃんが心配したりキリトが数百件もメールを送ってくるのがわかる気がする。
俺はアルゴが好きだ。からかわれた反応も、お姉さんぶろうとしているのも、時折見せる年相応の笑顔も。
だから、アルゴがこんなになっているのに耐えられない。
俺はアルゴを強く抱きしめるとずっと一緒にいてやると囁き、結婚申請を送る。その申請は光の速度で受理され、俺とアルゴはシステム的に夫婦となった。
これで少しくらいは一人じゃないと思ってくれて回復するといいんだけど。
俺は絶対に死なないと言ってアルゴを撫で付ける。
結局はそういうことなんだろう。居場所もわからない。連絡は取れない。精神的な柱がすっぽ抜けたら誰でもこうなる。
一度抜けた柱は元通りにはならない。嵌め直してもぐらつき、また抜けるのではないか、今度は折れるのではないかと心配になる。
それが今のアルゴだと思う。
こういうのには回復結晶のようなものは無い。
ポーションのようにゆっくり治していくしかないのである。
精神的な疲労が溜まっていたのだろう。俺が撫でていると眠りについたアルゴ。
今日くらいはこのままくっついて寝ているのもいいだろう。
こういう時は柱が近くにいてやるに限る。
少しでも離れればフラッシュバックが起きて良くないことになるのは実体験済みだ。
俺は、寝落ちするまでずっとアルゴを抱きしめながら頭を撫でていた。
◇
翌朝、アルゴが目覚めて身じろぎする刺激で目が覚め、おはようと挨拶をする。
アルゴの瞳は朧気だが以前のような意思の光が灯っている。
このまま何週間か何ヶ月か経てば、少なくとも表面上は元に戻れるだろう。
アルゴと今日の予定を話し合う。
俺は十九層へ探索へ行くというと、その瞳が風に吹かれるロウソクのように揺れる。
結婚したことでダンジョンにいても位置情報は分かるし、メッセージのやりとりもできると言うと、その揺れは収まる。
アルゴにもアルゴの仕事がある。もし何かあったら連絡しろと言って二人で宿を出て転移門で別れた。
十九層へ転移すると同時に茅場からのメッセージが届く。
スキルが決定したから直接会って話がしたいとのことだ。
ご丁寧に猫の祠へ続く回廊結晶まで添付されている。
GM特権ってすごいな。俺は改めてそう思った。
猫の祠へ転移すると茅場に迎えられる。
とりあえず茅場に文句を言う。お前と二十四時間デートなんてしたせいで俺の知り合い改め嫁が精神的に不安定になっちまったじゃないか。
茅場は形の上では謝罪をしたが、人間の精神は私にはどうとも出来ないのでねと言う。
仕方ないのでスキルのことを話させることにする。
茅場は結構考えたのだがと前置きをしてバステト復活の際に【成長の代償】が点滅したことを覚えているかと切りだした。
覚えていると答えると、あの点滅は高度なAIを持つことになったバステトが、(バースト、セクメト討伐でAIの質も上がっていたらしい)俺のスキルの異常に気が付き書き換えようとしたかららしい。
結果的に書き換えは未遂に終わったが、茅場がそのスキルについて調べたところ面白いスキルだったらしく、それを強化したものだと言う。
まず、俺のステータスはレベル相応のものとするらしい。
俺のステータスは実質五分の一となる訳だから、その補填として一部装備の性能を向上させるとのこと。
一部に当てはまる装備はバステト関連の装備で、今の俺の装備だとコンタクト、太陽神の瞳、首の勾玉、セクメトの指輪が変化したバステトの指輪、隠蔽ボーナスをつける日食の指輪、アルゴにもプレゼントした【索敵】を強化するベルトにバースト報酬の靴。最後に黒猫のコートだ。
こいつらの性能を書き換えて、さらに俺のレベルが上がるにつれてステータスを向上させることにするらしい。
それから、バステトが使えるバフのすべてをバステトの半径5m範囲内にいれば自動的に有効化、バステトの行動で重ねがけ可能とするとの事。
また、【食いしばり】は好きなエクストラスキル。といってもすべてを明かすことは出来ないので俺が欲しいと思ってスキルを茅場の脳内データベースから検索して当てはまるものがあればそれを有効化することにするようだ。
ときに、今更思ったことなんだけど、こんなに俺を優遇していいの?
GMって中立じゃないとダメでしょ。
茅場がいうには、これでも優遇が足りないくらいらしい。【成長の代償】の価値が100だとするのなら、今回俺に付与するものはだいたい60くらいだという。
俺がわざと【成長の代償】を入手したならともかく茅場側のミスだったため仕方ないお詫びだということだ。
ちょっとニュアンスは違うけどソシャゲの詫び石みたいなものかと納得すると茅場は苦笑いして頷いた。
それじゃあエクストラスキル決めね。
次回からデスゲームでオワタ式を強制されたのでゾンビプレイをしていたら運営対処を食らって詫びとしてスキルをもらいましたを投稿します。(適当)
ぶっちゃけ物語の根幹となるスキルを変えるとかありえないですよね。
ファンタジーMMOやってたと思ったら全く互換性の無い異世界転生で銃と火薬のFPS世界に行くくらいありえない。
本当にごめんなさいです