デスゲームでオワタ式を強制されたのでゾンビプレイします   作:にゃー

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一気にクリスマスへ。



クリスマスボスをクリぼっちで倒す必要なくない?

 SAO開始から一年と少し、あと一週間もしないうちにあるクリスマスイベント。そのフラグボスに向けて攻略組の多くが攻略を後回しにし、フラグボスへ向けてのレベリング、情報収集などを行っている。

 俺とアルゴの関係はこの一年でさほど変化はなかった。 

 アルゴのバーストニウム補給機関とやらがバージョンアップされ、アルゴが寝る前に帰宅できれば平気になったくらいか。

 俺とアルゴの関係性が変わらなかったとはいえ、SAOでは多くの事件が起きた。

 二十五層でギルド一つでボスへ突貫し、多数の死者を出したアインクラッド解放隊は第一層で始まりの街に残ることを決めた者達を助けるためのギルド、MTDと合併し、アインクラッド解放軍と名前を変え、攻略組から退いた。

 その後、二十三層から攻略組に参加してきたヒースクリフ(茅場晶彦)率いる血盟騎士団がその後釜に座る。

 新興のギルドではあったものの、GM特権か、ユニークスキルと呼ばれる【神聖剣】を使った鉄壁のヒースクリフ、それが率いる少数精鋭たちを差し置いてトップギルドの席に座れるギルドがなかったのだ。

 また、俺はヒースクリフの戦いぶりを見てセクメトの中に入っていたのが茅場だと改めて認識した。

 そして、血盟騎士団の勢いに負け、トップギルドの座から引きずり下ろされかけていたリンド引きいるDKBはトップに固執するプレイヤーが離反し、別の大型ギルドへ合流、名前を聖龍連合と変え、レアアイテムのためならば一時的にオレンジになることも厭わないと言われるほどの暴力的なギルドとなった。

 一方、それを望まなかったリンドたち少数派は、中層プレイヤーの補助をするギルドとなったようだ。

 キリトとアスナちゃんの関係も変化し、二十五層前後で関係性が変わり、アスナちゃん、否。アスナ様が血盟騎士団のサブマスとなったことで完全に縁が切れたように思える。

 攻略会議でも以前のような会話はなく、あったとしても二人の意見が激突する口論のようなものだけだ。

 二人が離れたからか、アスナは攻略を急ぐような鬼軍曹と化したし、キリトは一時期穏やかな雰囲気に戻ったものの、六月末くらいからレベリングを急ぐようになった。

 クリスマスボスの話が噂されるようになってからはそのレベリング速度は向上し、狩場が限られて狩れる敵も限られるソロのくせに恐らく攻略組トップとなっているだろう。

 アルゴがいうにはソロでクリスマスボスを倒そうとしているとかいないとか。

 

 俺のアルゴ以外の人間関係といえば、キリトとアスナとは基本的に連絡は取らなくなった。

 リズベットとは未だに取引の相手として宜しくさせてもらっていて、リズと呼ぶお許しが出たのは先月の話だ。また、リズはアスナとの交友があるらしく、アスナの話はソコソコ入ってきている。

 キバオウとは二十五層を境目に一度も顔を合わせたことはなく、リンドともDKBが解散となってからは顔を合わせたことは無い。

 キリトと面識があるという共通点を持った風林火山のクラインや、イカついマッチョのエギルとはお互いに知り得たキリトに関する情報をやり取りしてキリトが壊れないように気を使っている。

 尤も、キリトの情報を提供してくれるのは大体がエギルなのだが。

 俺も制限をとっぱらえば色々話すことが出来るのだが、その大体はアルゴ由来。

 つまりアルゴの商売道具なのであまり話すことは出来ないでいた。

 リズに卸す鉱石以外は全てエギルに卸していて、エギルからはお前が素材を売りに来るとコルが無くなるから纏めてではなく定期的に来いと言われているくらいだ。

 

 俺個人といえば、未だにソロで活動し続けている異端児としてキリトとともに槍玉に挙げられることが多い。

 いつだったかは忘れたが、聖龍連合や軍のオレンジまがいの行為の噂が聞こえてくると同時に、俺は自衛のため、目の前の悪行を止めるためならば殺人も厭わないと宣言した。

 尤も、今まで殺人はしたことがないし、俺の宣言で聖龍連合と軍、オレンジプレイヤーたちの行動が抑制されたかは完全に未知数だ。

 血盟騎士団が同じ宣言をしてくれれば確実に効果があるだろうが、今のところ攻略以外には目を向けない方針らしいので望み薄だ。

 他といえば装備の新調や、レベルアップにおけるスキルスロットの増設での変化くらいだろうか?

 現在のスキルは以下の通りとなっている。

【片手剣】【猫神の加護】【精密動作】

【軽業】【インカーネイト・オーバーライド】

【体術】【隠蔽】【索敵】【急制動】

 

 【隠蔽】と【索敵】は装備により有効化されていたのだが、熟練度五十ごとに有効化できる拡張機能が有効化できていないことに気づき、慌てて取得したものだ。

 【急制動】はエクストラスキルの一つで、取得条件は恐らく素早く動き続けることだと思っている。

 効果は止まっている状態から百パーセントの速度までの加速、百パーセント状態から止まること、剣の切り返しなどの急に動きを変える動作は基本的にやりづらかったり無理だったりとなっているのだが、その制限を取っ払う事が出来るものである。

 おかげでよーいどんの瞬間から百パーセントの速度を出せるし、ゴールラインを切った瞬間に止まることも出来る。

 フェイントの動作も常に百で動けるので基本的に見抜かれることもなく、AIのレベルが上がってきた今でも十二分にソロでやれている。

 剣の切り返しは手数を向上させたし、他に解除された制限も有用である。

 

 また、封印の酒壺で熟練度が上がったままの【疾走】を保存しているのだが、交換するスキルがなく取得が後回し後回しとなっている。

 

 装備の方はとりあえず一式【猫神の加護】による強化が行われる装備を揃えることが出来た。

 その重量は布製、防御力は軽金属未満といったところの防具たちと、アホみたいな係数のリジェネにより、攻略組の浮沈艦と呼ばれ、ヒースクリフだけでは盾が足りない時には盾をやらされることもある。

 申し訳ないが俺は【武器防御】を取得してないし、直刀はまともに受け止めると折れかねないのでヒースクリフ以外のメイン盾が出てくることを祈っている。

 昔はタンクやりてーなーなんて思っていたが、タンク歴二ヶ月、敏捷ファイター歴一年以上となった今ではタンク欲はなくなったと言ってもいい。

 

 俺のペットのような神様であるバステトは、攻撃手段こそないものの、サポート役としてはこれ以上ないほどであり、中層にいるフェザーリドラよりも優秀だと言われている。

 バフの効果量も高くなっており、おそらく俺が【インカーネイト・オーバーライド】を取得したばかりの全乗せ倍加あたりならばバステトにバフをかけてもらうだけで達成しているのではないかと思えるくらいである。

 【インカーネイト・オーバーライド】も熟練度があがり、冷却期間と効果発揮中の倍加効果が向上した。

 そう言えば、一時期取得可能スキルリストに【二刀流】が表示されたことがあり、欲しかったのだがスキルスロットの枠がやりくりできずに見送っていると、いつの間にか消滅していた。

 恐らく別の誰かの所へ行ったのだろうと予想をつけている。

 

 現在俺は、キリトがソロでボスへ挑むようならそれに加勢できるようにレベルが上がったことでその倍率も高くなった特攻を頼りにその立地の悪さ、出現する敵のめんどくささから敬遠されている幽霊屋敷でレベリングをしている。

 朝から晩まで十八時間ほどぶっ通しのレベリング。

 これを一週間ほど続けている。最初の頃は疲労でぶっ倒れそうになったりもしたが、もう慣れたからかそこまで疲労を感じなくなっている。

 

 キリトは恐らく蟻塚でのレベリング。

 一体一体の経験値効率はあちらの方が上だろうが、こっちは一体倒したら二体になるという敵が相手である。

 本来はしっかりした対応をすることで分裂を防ぐのだが、それを行わずにプラナリアのように増える敵を倒しているおかげか、レベルの上がり方がかなり良い。

 あと一日か二日あれば確実に七十五に乗るだろうという速さだ。

 キリトのレベルはまだわからないが、きっと七十五には乗っていないと信じたい。

 もし俺の方がレベルが低ければ加勢の意味がなくなってしまうからな。




自分のことを棚に上げてキリトくんのレベリング効率がおかしいというバーストであった。

攻略組トップギルドの移り変わりとか間違ってないですよね?

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