デスゲームでオワタ式を強制されたのでゾンビプレイします 作:にゃー
SAOの性質上流血はないですが。
それから一部を意図して算数字で表記しています。
シリカと同衾したのだが、目覚めたシリカにビンタされたりするようなものはなかった。
そもそも俺の方が早く起きたので当たり前なのだが。
アルゴからモーニングメッセージが届いていたので返信していると、シリカが起きてきて俺の部屋のベッドで寝てしまって、俺が起きていたからまさか徹夜させてしまったのではという勘違いはあったが、ストレージから寝袋を出して誤魔化しておいた。
それでも謝ってくるので実は――と同衾したことを伝える。
その反応は一年前のアルゴそっくりで、とても懐かしい気持ちになることができた。
その後、シリカは一度自分の部屋に戻って着替えや、備え付けのストレージから消耗品を補充して戻ってくる。
朝食を下のレストランで食べて、ヘルメスの血も飲んで準備完了。
転移門前まで移動するが、シリカが私は四十七層の名前を知らないので指定お願いしますと右腕に捕まってくる。
四十七層――フローリアを指定して転移すると、目の前に広がるのは数回しか見ていない花畑たち。
凄い。と漏らすシリカに簡単にこの層のことを説明する。
フラワーガーデンと呼ばれていること、圏内はカップルのデートスポットであることなどだ。
思い出の丘については昨晩最初に説明したので説明は省いておいた。
中央広場から圏外に出るまでの時間に攻略組のことを聞かれる。
最近ではアスナとキリトの仲がそこそこの速度で修復されてきていたり、聖龍連合が若干大人しくなったくらいか。
俺の話も聞かれたが、何を話すか迷う。
アルゴに女の子と一緒にいる時は他の子の話をしてはいけないと言われているし、となるとバステトのことくらいかな。
よく好物のレアエネミーを釣ってきて倒せと言われたりすることを話す。
四十七層には何がいたかな。少なくとも思い出の丘方面にはいなかった気がする。
南門を抜けて圏外へ。シリカは初めての自分のレベル以上の階層だろうが、思ったよりリラックスしているようだ。
緊張しているのも悪くは無いが、半日くらいはかかりそうなのでリラックスしている方が総合的にはいいだろう。
初エンカウント。この四十七層が圏内のみデートスポットと言われている理由は、圏外だとモンスターが出て危険だからという理由以外にもうひとつある。
出てくるモンスターが生理的嫌悪感を感じさせるから。
これに限る。四十七層は攻略の際もそこそこ時間がかかったプレイヤーの精神にダイレクトアタックしてくる層なのだ。
当然のようにシリカもダメージを受けて蹲って目を背ける。
どこぞのカリスマガードのような態勢だ。
伸びてきた触手に適当に剣を合わせると、逆に敵の体力が吹き飛びポリゴンとなる。
レベル差、特攻の倍率。色々な要素はあるが俺がここの敵に負けることはないだろうな。
その後もシリカが疑似餌に引っかかったりして何度か触手に絡め取られたりしたが、装備がしっかりしているということ、拘束がメインの攻撃だったこともありダメージは僅か、最初こそは触手と少女というやばげな組み合わせに度肝を抜かれたが二回目以降は速攻で処理をさせてもらった。
何度かモンスターを倒すとシリカもモンスターの姿に慣れたのか普通に弱点を狙って攻撃を重ねて一人でも撃破できるようになっていた。
シリカ一人で倒せるのならシリカの経験値的にも一人で倒してもらった方がいいので危なくならないように後ろで見守りながら思い出の丘への道を歩く。
もう少し歩くと思い出の丘へ。思い出の丘は一直線に登ることは出来ず、くるくると回って登らなければいけないらしい。
一本道ではあるので迷う必要は無いが、その分モンスターのポップ率は高く、複数エンカウントが連続することもままあった。
複数モンスターと同時にエンカウントした場合は、一匹を残して処理し、残った一匹をシリカが処理するというパターンで進んでいく。
パワーレベリングのようであまり好ましくないかもしれないが、シリカならばこの戦闘結果が俺ありきのものだと分かっていてソロで上層に行こうと思うことはないだろうという確信があったのでこうしている。
ぐるぐるぐると弧を描く道を進んでいき、ようやくてっぺんにたどり着く。
本来ならばペットの心を持ったテイマーが来ないと何も無いはずの岩には、二輪の花が咲いていた。
縁に切れ込みのある葉の間から長く伸びたワインレッド色の花茎の先に、白い五弁の花が輪状に咲いているその花は「プリシラの花」という名前がついている。
アルゴが出先で詳細を見ることが出来ないレアアイテムを見つけたら使えと共有のストレージに入れてくれていた鑑定アイテムを使うと、その効果は二体のテイムモンスターにそれぞれの花を使用するとお互いのステータスにより一定値の補正がお互いに入るというものだった。
おそらく、ビーストテイマー二人が来るかテイムモンスター二体が来るかしないと咲かない花なのだろう。
シリカには花は咲いていないと話していたので驚いていたが、俺が鑑定したウィンドウを可視化させてみせると凄いと声を上げる。
俺の知り合いにテイムモンスターを持っている奴はいないので帰ったらピナとペアにさせてほしいと頼むと、快く了承してもらえた。
花を摘み取りお互いのストレージに仕舞うと、それじゃあ帰るかと道を下り始める。
花を摘むことが条件となっているのか、行きではたくさんエンカウントしたモンスター達とは一度もエンカウントすることは無かった。
道を降り切る前にこのあとの展開の予測をシリカに話しておく。
おそらく思い出の丘を出て少ししたところでオレンジギルドが待ち伏せていて、シリカが入手したと奴らが勘違いしている「プネウマの花」を脅し取ろうとするはずである。
全員拘束するが、万が一、一人でも俺が引いた線よりシリカ側に抜けていったら九層へ転移するようにと言う。
結晶は高いので使うことにならないのを期待していますねと言ったあとに頑張ってください。と、まるでオレンジギルドを脅威に感じていないようにシリカが言う。
そこまで信用されてるなら裏切るわけにはいかないな。
思い出の丘を出て一本道から少し開けたところに入るところで【索敵】に反応が出た。
一人ならバカ正直に罠に突っ込んで食い破ってやるのだが、今日はシリカがいるので安全策。
とりあえず分かっているから出てこいと呼びかける。
それでも出てこないのでじゃあ結晶で帰るかとポーチから取り出す動作をすると慌てて飛び出してくる今回の標的。
シリカはオレンジギルドとは聞いていたがまさかロザリアがそのトップだとは思っていなかったらしく少し驚くが、オレンジの常套手段だと伝えると成程、と納得する。
俺と奴らの距離は十五メートルほど、今の立ち位置に剣で線を引くと、六メートルほど前に出る。
これくらいがシリカと離れられる距離かな。
挑発をすればタイタンズハンドのメンバーが一斉に飛びかかってくる。
数は十人ほどだが、スペースの関係上俺の三百六十度を囲んでも五人か六人程でしか同時に攻撃できない。
余った数人がシリカの方に抜けていかないように上手く隙を作ってやって、わざと俺に攻撃させることで十人のオレンジのタゲを取り続ける。
二分ほど戦闘が続き、オレンジの1人が俺のHPが減っていないことに気がつく。
俺のレベルは86、HPは12700。十人がかりで俺に与えるダメージは十秒間で600ほど。
俺のHP回復速度は分間86掛ける100の二倍で17200。十秒間に換算すると約2866。俺の装備がなくなるまで攻撃しても俺のHPが全損することはないだろう。
それを伝えるとタイタンズハンドの戦意が完全に萎え、シリカを人質に取ろうと俺の後ろへかけていく奴や、転移結晶を取り出そうとする奴らが現れる。
俺は努めて手加減して、以前の聖龍連合の時のように特攻が乗らないように予め髪留めを外していたり、クリティカルが乗らないように気をつけたりして俺の後ろに抜けていったオレンジの足を破壊する。
体力はギリギリ三割残っているくらいか。
続いて転移結晶を取り出そうとしているオレンジたちは左右の腕を切り飛ばす。
唯一オレンジでないロザリアはこちらから攻撃するとめんどくさい贖罪クエストを受けなければ行けないのでアペブの鎖で拘束する。
部位欠損を起こした奴らは回復結晶を使うことも出来ず、少しずつ削れていく自分のHPを見て叫んでいる。
俺は回廊結晶を砕き、大人しく黒鉄宮に行くならばあそこは圏内だから助かるぞというと足が欠損していないやつは全速力で、腕が欠損していないやつは這うようにゲートに入っていく。
最後に残ったロザリアは命乞いするように何かを言うが、そんなことを聞くはずはない。
さっさとゲートに投げ込んで鎖を回収するとシリカの元へ戻った。
今更ながら四肢欠損させるとかエグかったかな。せっかく仲良くなれたんだし嫌われてなければいいけど。
話しかければ先程までとあまり変わらない調子で返事をしてくれる。
とりあえず街まで帰ろうというと、足が動かないとシリカ。
やっぱりショックだったのかな……。
そう思うが俺ではなくタイタンズハンドの奴らが怖かった。自分の欲望のために他者を平気で攻撃できる人間の怖さが怖いなと思ったとフォローしてくれる。
それなら良かったと足が動かないシリカを抱えあげて主街区まで歩いた。
回復量がエグすぎる。キリトくんが78の時の受けるダメージが十秒で400。体力は1万4500。戦闘時回復での回復量は十秒で600となっております。
オリ主TUEEEE回ですね。
回復量の計算間違ってないよね?