デスゲームでオワタ式を強制されたのでゾンビプレイします   作:にゃー

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とりあえず終わりです。
ALO編とGGO編には期待せずに待っていてください。
しばらくしたらまたSAO書こうと思っている(設定書き始めている)のでそれが終わるかエタるかしたら書こうかなーと思います。


別れと別れと別れと……

 気がつけば夕焼けの中に存在していた。

 アインクラッドが一望出来ることから猫族の祠から一時的に跳んだ場所だろうか。

 起き上がって周囲を見回せば、雑誌で何度か見た気がする顔が存在していた。

 

 その顔、茅場は先程キリトくんたちと挨拶をしてきたよと言った。

 

 俺は、予想より早く終わって終わり方もめちゃくちゃだったけど楽しめたよとお礼を言う。

 茅場も私もこの世界に求めたものをすべて回収できたという。

 

 なるほど、やはりあれが心意の力か。

 茅場にあの崩れかかっている城は攻撃しても平気なのかと問う。

 疑問符を浮かべたあとに問題は無いが、手段はあるのかねと口元を歪めて言った。

 

 あるぜ。とっておきのがな。

 キリトとアスナを見て俺は理解した。心意とはこういうものだ。

 半透明となった体で半透明となった鞘から俺が切り札としていた剣を抜く。

 その剣を透明な床に垂らし、振り上げる。

 俺が自然体で敵と戦うことに多用していた技とも言えないそのひと振りは床を割き、雲を割く。

 無数の破壊不可ウィンドウを突き破りついにアインクラッドにひと振りの傷を付けた。

 

 距離も威力も関係なく、システムすら超越する意志の力。

 人に最初から宿り、しかし振るわれない振るえない力。

 仮想世界でデスゲームという極限状態に陥ってもなおその使用者は現れない。

 そりゃあ見てみたくなるものだ。

 キリトに先は越されたが、お礼として見せることが出来て何よりだ。

 

 その後、俺は茅場に剣と盾を投げつける。

 最下層で買える安売りだ。しかし、その盾は十字盾となっている。

 俺も最初にアルゴに教えてもらって入手した直刀を構える。

 

「最後なんだ。インチキスキルとインチキアバターに頼らなければどちらが強いのか確かめようぜ」

 

 茅場はふっと笑うと、今までのすべてを成し遂げた顔から一転。キリトとの決闘ですら見せなかった表情になって白衣を脱ぎ捨てて剣を構える。

 

 体が重い――ステータスの恩恵を受けなくなったのだから当たり前だ。

 剣が重い――それが命を奪う武器の重さだ。

 

 俺と茅場は決闘の開始を告げるものなど何もなく同時に駆け出した。

 

 その中心点に到達すると、茅場は横薙ぎの一撃を振るう。

 防御に重きを置いた茅場らしくない一撃だが、その目には炎が点っていた。

 結局、剣に魅入られたからこそ二年間も戦っていたということだ。

 屈んで躱し、突きによってダメージを与えようとするが、それを茅場は盾を回すことにより十字部分を動かして受け止める。

 

 屈み、突きによって腕を伸ばしている俺に向けて垂直の振り下ろし。

 盾とは逆側に転がって回避し、立ち上がりながら剣を切り上げる。

 茅場はステップにより回避して、一瞬の膠着状態が生まれた。

 次に動くのは俺。透明な床を舐めるように姿勢を下げて接近すると、切り上げるために剣の刃を縦になるように持ち替える。

 それを見て茅場が動いたことを確認し、そのまま横に叩きつけた。

 茅場は上側に足をまとめるようにジャンプして回避すると、そのまま上側から切りつけてくる。

 回避は無理だと判断した俺は、茅場の盾を蹴りつけて体勢を崩させ、同時に距離をとる。

 

 茅場がこれでは千日手だなと言って、もうそろそろ時間だという。

 見ればアインクラッドはほぼ全て崩壊していた。

 ちょっとインチキかなと思いつつも覚えたての心意を足に宿らせる。

 過剰光が発生し、その足で床を蹴り出せばとてつもないスピードで飛翔していた。

 が、茅場は横に避けてそれを回避。

 そして、もう時間だ。私の脳のスキャニングが成功すればまた会えるだろう。それまでにその力を十全に発揮できるようにしておいてくれたまえ。

 と言って消えていった。

 それと同時に透明な床が割れ、久しぶりの、それこそ二年ぶりのログアウト特有の感覚が襲ってきた。

 

 さよならアインクラッド。

 

 

 次に目が覚めたのは病院だった。

 ナースコールを押して体に刺さっている針や電極などをはがす。

 ベッドの淵を支えにして立ち上がり、壁に手をつくとこの二年間での衰えを感じざるを得ない。

 あの空で感じた重さの何倍も重い。

 もとから筋肉質ではなかったが、あそこでの身体能力くらいは取り戻したいなと思いながらベッドの周囲をしばらく歩いた。

 疲れてベッドに座り込むと同時にナースがやって来て俺をベッドに再び寝かしつけると電極の類をつけ直していく。

 それから三日後、電気マッサージによって本当に最低限の筋力を取り戻した俺は、リハビリを行っていた。

 走るとか、ダンベルをあげるなんてものは夢のまた夢。

 五百ミリリットルペットボトルを入れたビニール袋を持って服を着て病室を歩き回るだけだ。

 五百ミリリットルペットボトルは十キロを超える重さに感じられ、布の服は皮か何かで出来ているのではと思うくらい重さを感じさせる。

 そんなリハビリを一週間ほど続けるとSAO対策何とかとかいうところのお偉いさんがやってきた。

 サーバーをモニタリングして得ることが出来る位置情報とレベルから俺を攻略組だと断定して押しかけてきたそうだ。

 SAOにログインしていたプレイヤーは大多数がログアウトできたが、死者を除いて三百名ほどがログアウトせずにいるということを聞いた。

 内側の情報を色々と提供して、プレイヤーネームをいってもらえばリアルを教えるがというお偉いさんだが、俺にはその気は湧かなかった。

 アルゴには会いたいが、たぶんアルゴは俺に会わない方がいい気がする。

 適当に拒否すれば、キリトくんはなんやかんやと聞かれてつい反応する。

 キリトではなく和人と言ったらしく、キリトのリアルネームらしい。

 キリトが生きてるってことはアスナも生きてるのかなと聞いてみれば、アスナはログアウトできてない組らしい。

 なんとなく嫌な予感がしたが、とりあえずはまともに活動できるようにしないと解決もできない。

 リハビリ施設も整っている事だし、SAO未帰還者救出に協力するとかなんとか言って、俺は東京に出ることにした。

 昔はこの街にいたあの子も俺が壁をやれなくなったからと言うと自意識過剰かもしれないが東京に行ったみたいだし。

 会えるとは思わないが、東京中をリハビリがてらに歩いていれば可能性はあるだろう。

 

 お偉いさんをうまいこと丸め込んで(丸め込まれてもらって)資金などは負担してもらうことになった俺はその二日後、東京に飛び出した。




ヒロインはアルゴらしいですが、最終話付近に登場していません。
タグ詐欺というタグをつけるかアルゴのタグを消してください。

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