デスゲームでオワタ式を強制されたのでゾンビプレイします   作:にゃー

47 / 67
完結と言ったな。
あれは嘘だ。
新しく書いていた方は序盤書いただけで満足しちゃったのでこっち続けます。

筋トレとか全く知らないので適当ですがVR実現できる世界観ではこんな感じということで。


ALO
まさかまさかとは思っていたが手抜きゲーだな。


 東京に飛び出した俺は、ひとまず病院で筋力をジムに通えるくらいに回復させた。

 中央の技術は割とすごいもので、一週間も経たずに貧弱ヒョロもやしくらいにはなったのでそこからはトレーナーをつけてもらってジム通い。

 走って腕立てすればいいと思っていたが、剣を振るうにはインナーマッスルとかも重要とかなんとか言われて、そういう筋肉を発達させる為のトレーニングもした甲斐もあり、復帰からひと月半――十二月半ばでそこらの不良には筋肉量で劣らないほどになった。

 四十日でそんなになれるの? とは俺も思ったのだが、砂漠に数年間放置したカピカピのスポンジに水を吸い込ませる作業だったからこそここまで早く完成したとのこと。

 つまりSAOサバイバーはやろうと思えばムキムキになれるということだな。

 俺は体の表面に筋肉が出るタイプではないらしく、相変わらずのほっそり女顔なのだが、とりあえずはここで満足しておくことにする。

 トレーナー曰く、俺みたいなタイプは磨けば磨くほど筋肉量が増えていき、最終的に筋肉ダルマになるらしいので遠慮しておいたのだ。

 トレーナーとお別れする際に、日々の筋トレを怠ると急造の筋肉だから結構すぐに衰えるよ。と教えて貰ったため、餞別として筋力維持メニューを受け取った。

 内容はジョギングや腕立てのような特別な器具がなくても行えるものの詰め合わせだったので流石だと言わざるを得ない。

 

 ジム詰めで、スケジュールのゼロから二十四まで管理されていた生活が終わり、俺はVR空間に久しぶりにダイブしたくなったため、今一番大きいVRMMOであるALOを購入することにした。

 VRハードの現行機はアミュスフィアというらしいが、それは脳みそレンチンが絶対に起きないようにナーヴギアの脳波観測機能を落とした安全だが機能に欠けるものであったため、お偉いさんを拝み倒してナーヴギアの回収をやめてもらったのだ。

 一度だけアミュスフィアでダイブしたが、あの違和感は凄まじいものだった。

 脳からの命令を汲み取る機能が劣化しているせいか、素早く動こうとすると命令が間に合わずに転ぶのだ。

 二度とあの欠陥機を使うものかと誓ったほどだ。

 ALOの規約ではナーヴギアを使用してもハードウェアチートにならないそうなので存分に遊ぶことが出来る。

 ALOは家電量販店でも売っているくらいには人気ゲームなので東京に来る際に借りたボロアパートから出て店へ向かう。

 今はまだSAOサバイバー用の学校が整備されていないので少なくとも四月までは遊び放題だ。

 

 ちょうどこの時間は中学高校の下校時間のようで、制服をきた人達がチラホラと。

 SAO時代に接した人は年上か同年代でもキリトやアスナのように明確な目標とそれを成し遂げるという意志を持っていた人達ばかりだったが、普通に生きている少年少女はそんな目をしないらしい。

 そんなことを考えながら駅二つ分ほど離れたところにある家電量販店まで走り、ALOを購入する。

 金はSAO被害者への慰謝料や対策本部のお偉いさんから貰ったりで暫くは何とかなりそうだ。

 学校が始まってからは対策本部に協力した代金として給料も入るらしいし、考えることはさほどない。

 帰りも走っていると、俺の城であるボロアパート最寄りの大型病院を通りがかった時に首筋にピリッと電気が走ったような気がした。

 SAO時代の殺気としか表現出来ないものを感じ取った時の感覚。

 慌ててバックステップして姿勢を低くして――

 首を振って立ち上がる。

 もうあのゲームは終わったんだしただの気のせいだろう。

 家に帰った俺はタオルで汗を拭って薄手の服に着替えてからナーヴギアをセットする。

 流石にSAOのソフトは回収されていたので長らく空っぽだったスロットにALOのソフトを挿入し、有線LANを繋いで準備完了。

 今は体が熱いが外は冬。タオルケットを被って魔法の言葉を口にする。

 ――リンクスタート

 

 

 久しぶりのダイブで五感をこちら側に送るためのゲートを潜り、簡単なセットアップ空間に下り立つ。

 まずはアカウント登録。

 IDはSAO以前から使っているものを流用し、パスワードも以下略。

 キャラクターネームは迷うことなくBastと入力する。

 実際は猫神系列の誰の名前をいただくかを悩んだりもしたが、結局これに落ち着くのだった。

 種族も一覧を見た瞬間に決めていたケットシーに。

 ALOは原則種族で固まって遊ぶゲームらしいので、猫耳の女の子がいる種族を選択――という訳ではなく、単純に猫つながりだ。

 さらに理由を求めるならば、突出した属性適応を持たない代わりに凹んだところもなく、ついでに五感が鋭く、テイムモンスターを連れる事も出来るらしいのでこれにしたのだ。

 どうせ俺は魔法をあまり使わないだろうから突出した属性は必要ない。

 属性適応と言っても消費MP軽減だったり威力・継続時間上昇だったりとそこまで重大なものではないのであとから魔法を使いたくなっても問題は無いだろう。

 種族を決定し、いざ妖精の世界へと最終確認ボタンを押した俺は、金色の渦に呑まれて転移していた。

 転移先はケットシー領の中心。

 周囲を見渡せば男男男。

 ああ、VRになったことで女性人口は増えたけどやっぱり男ばっかなんだな。

 ネカマネナベもできないようになっているし、ちょっと残念。

 次にアバターを確認する。

 ケットシー特有の猫耳と尻尾。

 尻尾は確認してみるにへその裏側より少し下から生えているらしい。

 意識してみると、尻尾を動かすことが出来た。

 先っぽだけを動かしてハートの形を作ってみたり、豚の尻尾のように丸めてみたりと結構できるようだったが、とりあえずは腹に巻いておく。

 プラプラしていて集中しにくい。

 次はALO目玉の翅。

 事前情報ではコントローラー操作と随意飛行というものがあって後者はイメージで飛ぶらしい。

 左手でコントローラーを出現させて適当にスティックをいじって見るが翅を強制的に動かされているようで気持ちが悪い。

 今の操作で翅の感覚は掴んだので尻尾のように動かしてみれば、浮力が生じてコントローラーが消滅。

 随意飛行ができるようになったみたいだ。

 次はスキルの確認だな。

 最初に装着するのは武器か魔法と翅系か魔力系。スロットをユルドで拡張してもう一種類翅系か魔力系らしい。

 ステータスを開いてみれば、そこには既に複数のスキルがハマり、拡張されたものが。

 スロットは十個も拡張されており、初期スロット合わせて十二個のスキルスロットには以下の十個のスキルが装着されていた。

【片手剣】【精密動作】【軽業】

【体術】【隠蔽】【索敵】

【急制動】【加速】【疾走】【裁縫】

 

 片手剣、精密動作となぞっていき、急制動が出てきてようやく気がつく。 

 これ、俺のSAO時代のスキルだ。

 ストレージを開けば殆どが文字化けしている。

 アルゴとの共有ストレージだったので勝手に捨てるのは申し訳ない気がするが、バグ検索に引っかかったら厄介なので文字化けしているものを全て捨てると、残ったのは勾玉がひとつと直刀が一本だった。

 勾玉は言わずもがな二年間ずっと首にかけていたバステトの勾玉。

 直刀は最後に茅場と戦った時に使った初期装備だ。

 勾玉と直刀を装備して思考タイム。

 まさかまさかとは思っていたがこうなるとはね。

 ALOは生い立ちやそのグラフィックからしてSAOのデータをコピーして改変を加えたもの疑惑が俺の中にはあったのだが、本当にそうだとは思わなかった。 

 二年近く前のことを思い出せば、茅場は詠唱データも没となったがあると言っていたし、飛行系のエンジンもNPC用に開発してあると言っていたのでそれを掘り起こしてちょっと改変したのだろう。

 ……手抜き&パクリじゃねーか!

 という言葉は飲み込んで、SAOのパクリならこのスキルを持っていても問題ないかなと納得して最後に勾玉を二回つついてみる。

 やはり勾玉からはバステトは現れず――と言ったことはなく普通に出てきた。

 ステータスを確認してみると確かにバステトだ。

 バフの種類はかなり多い。

 しかし、バフの強度は下がっているし俺の生命線だったリジェネは十秒で二百とかなり落ちている。

 まあ、あの数値はデフォルトではなくフロアボスソロ攻略ボーナスだったのだから仕方ないか。

 ついでにバフをかけるのにはバステトのMPを使うらしいので昔みたいに大量に重ねてもらうのは難しそうだ。

 通貨もアホみたいにあるのでとりあえずは店売りの最高装備を購入してくるとしよう。




今この時系列ではしののん中学生で四月から高校入学ですよね?
若干不安

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告