デスゲームでオワタ式を強制されたのでゾンビプレイします 作:にゃー
最大HPが増えたという記述を消去。
レベルがないから上がらない。何をやっても初期値からほとんどHPが動かないってどういうことなの……。
スキル性はmoeしかやったことないですけどあれでも生命力スキルとか防具で上がりましたよね?
武器スキルとか魔法スキルが上がって威力が増して……ってなると廃人たちの戦いはワンパンになりそうだし、ファイター向けスキルは防御力などの向上、メイジ系はMPとかそっち方向の上昇と考えてもわけがわからないよ(´・ω・`)
NPC商店の最高品質装備を買って装備する。
最高品質なだけあって、その装備の補正はかなりのものであった。
このゲームでは種族間でそこまで仲が良くなく、まともな装備を作れるのがレプラコーンだけであるため店売りの装備がかなりの性能を持っているらしい。
最終的な序列は
となるらしい。まあ、ホームタウン周辺の雑魚から落ちる装備よりかはこの装備の方が強いのでいいだろう。
フィールドに出て狩りをするかなと考えていると、男達が慌てて走っていく。
領主がログインしたとかなんとか。
一度見に行ってみよう。
頭の上で伸びているバステトを肩に移して男達が向かった方へ移動する。
その先は四つの闘技場が合わさった場所で、その中央では一人の女性プレイヤーが演説のようなものをしていた。
周りの男衆が邪魔で近づけないので少し離れた場所の高台に陣取って眺めてみる。
体格は細身の低身長で、水着に半透明の衣を適当にくっつけたような大胆な服装で、男達の視線を独り占めしている。
性別は固定、体格も半固定で顔の造形などはランダムではあるもののある程度はリアルに影響されるこの世界では随分な美少女っぷりだ。
その少女は五分ほど話したあとに、突発闘技大会を開催するという。
護衛のようなメンバーは面食らっていたものの、いつもの事なのかすぐさま受付を作り、この建物の使用時間を延長したようだ。
さて、遠くから見ていてわかったことがある。ケットシーって基本的に金髪系なのね。
俺、髪も耳も尻尾も黒なんですけど……。
そういうこともあるかと自分に言い聞かせて受付を済ます。
案外反応は薄く、普通に受付を済ませた俺は、Aブロックに振り分けられて四つの闘技場で乱戦を行うことになった。
参加者数が多すぎるから選別するらしい。
闘技場は一辺五十メートルほどの正方形で、飛行制限も上空五十メートルまでらしい。
そこに五十人ほど投げ込まれ、戦闘が始まる。
狭くはないが広くはない。そんなところでの決闘はかなり辛いものになると思われたが、なんだこれは?
まるでVRが発展する前のゲームのような戦闘だ。
剣で切って鎧で受けて切り返す。魔法は広範囲のものか誘導性が高いものを選択してブッパ。
一部はそんな奴らを斬っては捨てとやっているが、その動作もそこまでのものでは無い。
せいぜい思い出の丘で潰したギルドメンバーくらいのものだろう。
世界が変わるとここまで変わるのかと落胆した俺は、適当にエリア内を駆け回って首を切断していった。
ALOはSAOより攻撃位置に重きを置かれているらしく、首に攻撃が当たったプレイヤーは一発でリメインライトというものに変化した。
魔法を打ってくるやつもいたが、誘導性能が高いものは引き付けてから回避し、範囲攻撃は上空に逃れることで回避する。
武器で攻撃してくるやつは話にもならず、軽くフェイントをかけてやると見当違いの方向へ攻撃をする。
制限時間十分という時間でこの闘技場には俺と無数のリメインライトだけが残った。
Aフィールド以外ではそれぞれ四人ずつが生き残ったらしく、それぞれ総当りで戦ったあとにABCDブロック覇者で総当りの決勝を行うらしい。
俺は既に決勝進出が確定しているのでそれぞれの闘技場が眺められるところに案内されて試合を見ることになった。
俺と戦った奴らが特別弱かったのか、他のブロックのやつらは結構まともな戦いをしている。
剣一辺倒のやつは居るが、魔法一辺倒はおらず、近距離でも獲物で牽制、魔法でダメージを与えるということをしている。
レイド単位になると話は変わってくるかもしれないが、トーナメントともなると近接型の方が有利みたいだな。
施設の備え付けなのか、なにかの魔法なのかは分からないがズームできるモニターに手をかけて気になる戦闘を覗いているとなにかに後から抱きつかれる。
細長い指が俺の上半身をまさぐり、何やらいい感じの匂いも漂ってくる気がする。
まあ慣れてるんですけどね。
手を逆に絡めとって俺の後ろから前に移動させる。
その人物は遠目から見た領主様だった。
俺の【索敵】にも引っかからなかったことから高い【隠蔽】やそれに準ずる魔法を覚えているのかもしれないな。
備え付けのソファにポイッと投げてその向かい側に座る。
ちょっと嬉しかったけど初対面の男の体をまさぐるとか何考えてんの?
領主様――アリシャ・ルーは単純にAブロックで無双した俺と会話したかったとか。
Aブロックは大会初参加者だったりが集められたところだったらしいのだが、そうだとしても無双した俺がかなり珍しかったとかなんとか。
そもそも俺のような敵の攻撃を回避するプレイヤーは一握りで、それこそ大会上位者くらいしかいないらしい。
全くの無名で目立つ見た目をしているのに俺を見たことがあるやつが誰もいないということから気になった領主様は俺に会いに来たんだとさ。
俺はあらかじめ決めていた言い訳を領主様に話す。
VRMMOは始めたてだけどVRのアスレチック系とか剣に触れる感じのゲームとかのゲームを長いこと遊んでたんだよーとタイトルもあげて答えると、なるほどと納得される。
何でも上位プレイヤーの半数ほどは俺と同じソフトで特訓のようなことをしているらしかった。
こっちも魔法とかALO特有のものを聞きたかったのだが、ちょうど決勝進出者集合時間になったのでお話は終わりと打ち切られ、「あたしとお話したかったら優勝してネ」と言って何やら唱えて消えていった。
隠蔽魔法のようなものかなと納得して俺は集合場所に向かった。
◇
集合場所には少しだけ試合を見た短剣で牽制しながら魔法を使うやつと、剣一辺倒のやつ、あとは竜に乗って対戦者をぺちゃんこにしていた奴がいた。
剣のやつは怖くないけどほかは少し怖いかな。
魔法って何があるかわからないし。
予選で使われた魔法なら対応できるけどよくわからない魔法は対応できるか怪しいからな。
短剣、剣、竜の順番で戦うことになり、ふたつの闘技場に別れて戦闘を行う。
決勝なのに同時進行なのかとは思ったが、時計を見ればもう十八時。たしかにそこまで時間はかけられないな。
短剣と向かい合い十五メートルほど離れる。
近距離と遠距離の有利不利をつけないために設定された距離らしいが、この程度ほんとに一瞬で詰められるぞ?
魔法ってそんなに早く発動できるものなのだろうか。
直刀を抜いて下段に垂らす。
決闘の際の基本的な構えだ。構えと言って良いものなのかは分からないが、とりあえず決闘の時はいつもこんな感じで戦っていた。
完全決着で決闘を開始して六十秒のカウントダウンを待つ。
すると短剣使いは何やらブツブツと呟いていて、その体の周りに文字が何個も浮かぶ。
え、決闘開始前から詠唱ってありなのか。
そう思ってるうちにも詠唱は終了し、バフ的な効果が追加されたのであろう。短剣使いに青いベールが貼られる。
続けて二個バフがかけられて一度詠唱中断。
時間を確認するように目を動かした短剣使いはもう一度詠唱を再開した。
六十秒経過し、それをSAOの時から変わらぬ感覚で察知、突っ込むと直径三メートルはあろう巨大な闇の塊が突っ込んできた。
【急制動】で突進を中断、真横に跳んで鋭角に短剣使いに突っ込もうとすれば、既に奴は空に飛んでいた。
……随意飛行は使えるようになったけど空中戦闘はどうかな。
SAO時代のやつは浮くというより足場を作るという感じだったし。
高度を稼ぐ時の定番技、ソニックリープを起動するために剣を肩に担ぐが、残念ながらALOにソードスキルはない。
その事を思い出して翅を出現させて地面をしっかりと踏んで飛び出す。
弾丸のように空へ飛び出した俺は短剣使いの詠唱が終わる前に接近して肩に担いだ直刀を振り下ろす。
短剣使いもガードしようとするが間に合わず、肩から両断されて地面に叩きつけられる。
流石に終わったかなと思い、着地をすればそこに飛んでくる闇の矢。
慌てて斬り飛ばして対処すれば、今度は槍が飛んできてとキリがない。
土煙が舞っている中に飛び込んで攻撃するが、今度はしっかりガードされる。
視界がほとんどないってのによくガードできるな。
ガードできるっていうなら弾き飛ばすだけだ。
土煙の中の戦闘はやりづらい。
剣で牽制し、ガードされたところを蹴りつける。
流石に蹴りは受け止められなかったようで、土煙から追い出すことに成功し、追撃からのラッシュ。
純粋な打ち合いになればこっちのもので、魔法の詠唱をことごとくキャンセルさせて勝利した。
もう片方の試合よりは俺の試合の方が早く終わったらしく、大会運営の人に回復魔法をかけてもらってちょっと休憩。
空いているスキルスロットに魔法を填めていって戦闘前に使えそうなものを探すが、魔法の名前と詠唱文しか表示してくれないのでお手上げ。
次の試合からはバステトにバフを頼むことにする。
五分ほど休んで次の戦い。剣一辺倒の人はなんかとても疲れている感じがした。
しかし、カウントダウンが始まると意識を切り替えて詠唱を始める。
君も魔法使う人なんだ。
バステトにステータス増強とリジェネを付与してもらう。
その効果量は微々たるものだがないよりはマシだ。
テイムモンスターにも蘇生魔法が使えるらしいが無駄に死なせることは無い。勾玉に戻ってもらって戦闘開始。
お互いに直進し、剣を打ち合うとこちらが一方的に弾き飛ばされた。
なんだ? やつの筋力がアホみたいに高い?
いや、打ち合って一拍置いて吹き飛ばされた気がするな。
となるとまた魔法か。とりあえず剣には触れないようにしよう。
フェイントをかけてもしっかりと対応してくる剣士だったが、剣での戦いならこちらの方が何枚も上手。
剣で受け止めたり流したりということが出来ずに面倒だったが時間をかけてしっかりと撃破した。
回復魔法をかけてもらってすぐに最終戦。
竜を使って相手をぺちゃんこにしていたやつが相手だ。
カウントダウンが始まりバステトにバフをかけてもらい勾玉に帰らせる。
相手は六十秒全部使ってひとつの魔法を詠唱すると、展開された魔法陣からは竜が出てきた。
大きいけど、そこまで強そうじゃないな。
いつだったかリズを雪山に探しに行った時についでで倒したクリスタルドラゴンよりは弱そう。
戦闘が始まると竜の背に乗るテイマー。
飛び立たれるより前に片翼を破壊するべく駆け出して飛翔、勢いそのままに下から上へと切り上げれば竜の翼が破壊され、飛ぼうとしていたところで翼がなくなったため墜落する。
起き上がって尻尾で薙ぎ払ってくるので翅を出して飛んで回避し、上から落下しながら竜の首に目標を定めて攻撃する。
攻撃は命中し、大ダメージを与えたが一撃死にはならないらしい。
爪での引っ掻き攻撃とともにテイマーから誘導性能が高い魔法が飛んできたため引っ掻きを躱してから竜の体を盾にしてガード。
予想外のフレンドリーファイアに怯んだ竜にもう一度首への攻撃をプレゼントして撃破。
図体はでかいがあくまでもプレイヤーが扱えるレベルということか。
あとは作業のようなもので、最終的にはテイマーの降参で勝負がついた。