デスゲームでオワタ式を強制されたのでゾンビプレイします   作:にゃー

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なぜ……?


青少年として

 初見のものに戸惑うものはあったものの、初戦闘からの連戦で優勝をした俺は、突発大会だから実力者が少なかったのだろうと決めつけて表彰台に上がる。

 一位は俺で、二位はテイマー、三位は短剣使いだったようだ。

 四位の剣士も入れて突発大会では上位にランクインしている奴ららしく、それを押しのけて優勝した俺にインタビューのようなことが行われた。

 俺は別ゲーから移住してきてALO特有の要素に戸惑いましたが優勝出来て良かったですとか、魔法を使ってみたいですとか言っていた気がする。

 閉鎖的なSAOならいざ知らず、オープンなところではある程度猫をかぶっていた方がいいのだ。

 ケットシーだけに。

 

 優勝賞品は十万コルと、領主様と一対一でお話する権利。ちなみに行使は義務で、売却はできないらしい。

 羨ましいぞーという観戦客たちのヤジの中、領主様に引きずられて建物の中に連れられていき、ひとつの部屋に入る。

 座ると一言。どこの間者?

 間者といきなり言われてもすぐには理解出来ず、少し間を置いてスパイのことかと理解する。

 別にスパイじゃないんですけど。

 そう言っても信じてもらえずに、領を追放するとかなんとかえげつないことを言われるので、観念して生い立ちを話すことにした。

 部屋の仕様なんかを聞いて、誰にも聞かれてないことを確かめた俺は領主とかいうすごい地位に長いこと就いているアンタの人間性を信用して。と強調してから話す。

 まずは、SAOサバイバーであること。

 ナーヴギアでALOにログインしたらSAO時代のスキルと通貨が引き継がれていたこと。

 SAOとALOの共通項が多すぎることからSAOのコピーサーバーかなにかを流用しているから引き継がれたのではないかということ。

 俺はSAOサバイバーであることがバレることはそこまで危惧していないので話し終えると、領主様はしばらく考えたあとに運営対処とかがあるかもしれないので、とりあえずスキルは熟練度リセット、通貨は一度外に出してロンダリングのようなことをした方がいいと提案される。

 まさかここまで早く他人に話すとは思っていなかったが、彼女の言うとおりにすることにした。

 熟練度リセットはMMOプレイヤーとして断腸の思いではあったが、実行し、通貨は一度彼女に預ける。

 こうした理由はいくつかあり、未プレイのゲームを強くてニューゲームするのにはゲーマーとして思うことがあったこと、俺に提案する彼女の顔がスキル値の高さに嫉妬するような顔ではなく、初心者で同じ領の仲間が良い方向に向かうように考える顔であったこと、ついでに高いスキル値を持っていると見えない世界もあると思ったからだ。

 魔法系の便利さなんかは相応のスキル値でないと実感しにくいだろうし。

 

 装備と所持金とスキルスロットの拡張数以外は初心者と同じになった俺はこれからどうするかを考える。

 すると、彼女は俺を領の内側に入れることを考え始める。

 ほんの数分前までスパイを疑っていたやつをそうするってどうなのと思っていたが、流石に一人では即決できないらしいので保留となり、ここからは優勝賞品だヨーと言ってソファーに向かい合わせで座っていた席順とは変わって俺の横に座って体を寄せてくる領主様。

 そこいらの一般ピーポーなら赤面して最悪強制ログアウトまで行くのかもしれないが、残念ながら慣れている。

 お話タイムということなので、ALO特有の魔法と翅に関係するスキルのことを聞く。

 どうやら種族ごとに結構違っているらしく、サービス開始直後に情報サイトをそれぞれ違う種族の編集者が編集した結果情報がごちゃごちゃになってこのゲームの情報サイトはゲームの体質もありほとんど最低限のことしか書かなくなったのだとか。

 魔法だと領主様――今はアリシャらしい――の所持している【闇魔法】は低熟練度には使い勝手が良い攻撃魔法が揃っており、上がっていくにつれて遠距離通話などができるようになるらしい。

 他にもケットシーにおすすめなのは【召喚魔法】で、テイムモンスターに適性のあるケットシーが使うと召喚されるモンスターのステータスが強化されるらしい。

 【闇魔法】を取得して、トーナメントで対戦相手がやっていたバフ系列のものがないかを聞いてみる。

 恐らくSAOサバイバーの中では俺が一番バフ有用性を知っているのではないだろうか。

 バフに特化した魔法はないが、ペットの猫ちゃん(バステト)がバフを使えるならと【使役魔法】を勧められる。

 とりあえずは魔法は二種類もあればいいだろうということで【使役魔法】を取得して終了。

 あとは魔力系列の制御だとか循環だとかそんなスキルの話を聞いてみるが、そっち系は基本的に純魔がとるスキルらしい。

 キミはどっちかと言わずともファイターダヨネーと言われるのでまあそうだなと答える。

 SAO組が純魔だったら驚きである。

 ファイター向けの翅スキルである【風斬りの翅】と【制動の翅】と【曲芸の翅】便利スキルである【長寿の翅】と【月光の翅】を紹介される。

 それぞれ飛行速度の強化、飛行中の急ブレーキ性能の強化、宙返りなどの動作ペナルティ軽減、飛行可能時間の増加、月の光での翅の再生速度の強化と言ったもので、とりあえず【風斬りの翅】と【曲芸の翅】だけを有効化しておいた。

 SAO時代からのスキルも弄り、

【片手剣】【精密動作】【軽業】【隠蔽】

【索敵】【急制動】【加速】【疾走】

【闇魔法】【使役魔法】【風斬りの翅】【曲芸の翅】となった。

 簡単に言うならば地上でも空中でも【軽業】と【曲芸の翅】でトリッキーに動き回り、【疾走】と【風斬りの翅】で素早く動き、SAO時代の剣技は存在しないソードスキル以外はそのままと言った感じだろうか。

 【軽業】【疾走】には地上限定と書かれていたので翅スキルを取ったが、【急制動】にはなかったため、空でもあの動きができるのだと思う。

 というか大会でできた。

 そしてアリシャがそろそろ落ちる時間だと言ってフレンド登録を投げてくる。

 まさか初フレンドが領主様だとはな。と思いながら登録すると、また今度ネーと言ってアリシャは落ちていった。

 もう飯時なので俺も落ちることにして、初ログインの結果を覚えてからログアウトした。

 

 

 ログアウトして体を起こす。タオルケットをかけていたとはいえやはり冬は冷えるな。

 暖房を入れて薄着の上にもう一枚着ると、炊けているはずの炊飯器を覗き、しっかり炊けていることを確認すると冷蔵庫に入れてあった食材を取り出す。

 肉と野菜。つまり肉野菜炒め。

 俺は料理が苦手なので単純に焼くか茹でるくらいしかできないが、それで十分だ。

 塩コショウで炒めて丼に米をよそってその上にフライパンから肉野菜炒めを移して完成。

 食事を手早く終わらせて風呂に防水端末を持ち込んで一通り体を洗った後に湯船でALOについてまとめ始める。

 まず、セーブデータのフォーマットはほとんど同じ。グラフィックも今日見た限りではほとんど同じ。

 バステトが出現したことからサーバーもそっくりそのまま引っ張ってきているかもしれない。

 SAOサバイバーとしての観点から二つのゲームの共通点を書き出して対策本部のお偉いさんに送る。

 彼は未帰還者がALOに囚われていると考えているらしく、その情報を集めているらしかった。 

 とはいえ大企業相手なので下手に調べるわけには行かずなかなか進展していないらしい。

 

 ……うむむ。イカンイカン。青少年の欲望が顔を出しかけた。慣れているとはいえあの接触率はダメだったらしい。

 軽く筋トレしてもう一度シャワーを浴びて汗を流したら寝るとしよう。




別ゲーから移住してきたby店売り最高装備所持者

気がついたらスキル熟練度リセットしてた
なんででしょうね。
ちなみにスキルスロットは通貨で拡張する感じとなっています。
あとスキル熟練度の獲得には最初の一ヶ月(無料期間)にはボーナスがかかることにしよう。
あとは大量の通貨でボーナスをかけられることにしよう。

え?なに?そうするなら最初からリセットするなって?
アーアーきこえなーい

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