デスゲームでオワタ式を強制されたのでゾンビプレイします 作:にゃー
ALOにログインして二週間、筋トレや食事の時間以外の時間の殆どをALOで過ごした俺は、無料期間中の熟練度ボーナスを利用して熟練度を鍛えていた。【急制動】【加速】【疾走】【風斬りの翅】を特に鍛えたのだが、それには理由がある。
単純にSAO時代に行っていた動きが【急制動】の熟練度低下で出来なくなったりしていたという理由もあるが、ALOのダメージ算出式からして移動速度が速ければ速いほどそのダメージは増加するからだ。
つまり、これらのスキルは移動系のスキルでありながら、火力スキルでもあるのだ。
鍛えない手はない。
そして領の外で狩りをしようとしていたところ、アリシャからPKについて話される。
ケットシーはシルフと同盟を組むか組まないかといったところらしく、とりあえずシルフをキルするのは禁止。
プーカとレプラコーンも取引相手なのでダメ。
それ以外の種族はとりあえずオッケー。特にサラマンダーはたくさん殺してオッケーと言われる。
なので俺は、ケットシー領を南下してシルフ領を抜けてサラマンダー領とシルフ領のあいだでキャンプ狩りを行っていた。
狩りの対象はモブエネミーではなくサラマンダー。
あからさまに初心者なやつは見逃しているが、中堅くらいと思われる装備をある程度揃えている奴ら以上はすべて野良デュエルを仕掛けて倒している。
ALOには
レベルが存在しないこの世界でエネミーを倒す理由は、通貨やアイテムの取得以外にもBSPの取得という理由があるのだが、そうするよりもはるかに楽なのが他種族のPKである。
無論、相応の腕が必要になるが。
一週間ほど無敗で狩り続けた俺は、【闇魔法】に殆どのBSPを注ぎ、夜間に限り自領↔マーキングポイントのワープを可能にする魔法を有効化させてログアウトやアリシャとの面談などのための移動手段としていた。
そんなある日、アリシャにキミをわたしの護衛に任命するヨーと言われて申請ウィンドウが送られてきてそれを了承。
どうやら重鎮プレイヤーたちも俺がスパイでないと確信してくれたらしい。
その理由は「サラマンダーを狩りまくっているから」どうやら現状スパイを送り込むほどの種族はサラマンダーしかいないらしいのでそのサラマンダーを倒しまくっているのならスパイではないだろうとの事だ。
護衛と言っても四六時中アリシャにくっついていなければいけない訳では無いらしく、アリシャが領の外に出る場合のみくっついていけばいいらしい。
そして護衛となったからかアリシャの体力バーが視界の端に表示されるようになり、二百四十時間に一度アリシャの元へ転移できるアイテムを入手した。
アリシャは私がピンチになってたらオフでも助けに来てネ~と言っていたが、領主が倒されるとペナルティが酷いらしいので了承しておく。
開始一ヶ月でヘルモードはゴメンだからな。
それからも狩りを続け二週間も経つ頃にはこの世界の戦い方をできるようになっていた。
高速空中戦闘中の呪文詠唱なんかはその筆頭だろう。
その頃にはワンパーティほどならば余裕を持って狩れるようになっていたが、流石にツーパーティは辛く、囲んで棒で殴るを体現したような囲んで広範囲魔法と誘導魔法で殴る戦術にボコボコにされて逃げ出したこともある。
魔法という概念があるために、SAOと比べて対多数は厳しいなと思いながら少数を倒してツーパーティの追っ手から逃げる。
俺が逃げ続けられたのも【闇魔法】が有能だったからだ。
視界を塞いだり自分を隠したりとする魔法から、単純な牽制魔法まで色々あるので俺にぴったりな魔法だった。
なんとか逃げ続けていると、流石にワンパターンであることに気がつく。
タンクで防御して、メイジで焼き尽くす。
その隙に包囲してという感じなので、まずは指揮官を殺す。
奇襲で指揮官がやられたことに驚いているタンクとメイジの間に闇でできた壁を生えさせる。
この壁は近くの翅の力を吸い取るためタンクたちは飛んで超えることが出来ずに分断でき、メイジたちに突っ込めば同士討ちを恐れて魔法の詠唱ができないメイジたち。
そのままメイジを全員倒して最後には闇魔法を空から引き撃ちしてタンクたちを倒してゲームクリアだ。
受けに回ると厄介だが、攻めれば大したことは無かったな。
こういうパーティは大体モブ狩りには強いがPVPはそこまで強くないのだ。
それに気づくために時間をかけたがツーパーティくらいまでなら余裕かな。
と思っていれば、翌日に遊撃を加えてミニレイドとなったサラマンダーたちに襲われて命からがら逃げ出すことになるのだが、シルフ領の森でゲリラ戦を行って一人一人倒してやった。
タイマンなら負ける気はしないね。
◇
年が明け、年始セールで色々安くなっているところで買い込んで家に帰ったところでインターフォンがなった。
何気に初ピンポンだ。
郵便屋は来ないし友人もいないので仕方がないが。
開けてみれば十五歳前後の少女。
今日付けで越してきました朝田です。と言って引越し蕎麦を差し出されるので受け取ると、少女と目が合った。
そして、俺がSAOに囚われる前の記憶が掘り起こされる。
……気が付かれていなさそうだな。
俺はどうしたらいいのだろうか。久しぶりと声をかける? 知らんぷりをする?
悩んでいると蕎麦を受け取ったままの体勢で固まっていた俺に彼女が声をかけてくる。
反射的に「大丈夫だよ。詩乃」と返事をすると今度は彼女が固まる番だった。
そのまま家に上がられて何個か質問される。
最初にきた質問はSAOから解放されてからなぜ会いに来てくれなかったのか。
俺は会いに行ったのだが、お爺さんに「詩乃は東京に行ったわ!」と追い返されたのだ。
連絡先とかも教えてもらえなかったのでてっきり嫌われたのかと思っていたが……。
詩乃曰く、東京に出てきたのは今日が初めてらしく、その時も多分家にいたらしい。
完全におじいさんに嫌われていることが確定した。
次は、俺のベッドの上に転がっているナーヴギアをみてなぜこんなものを使っているのかと睨みつけてくる。
当事者以外からしてみればナーヴギアは知り合いの精神を二年間も閉じ込めた悪魔の道具だ。
けれど俺からしてみれば二年間も命懸けで戦ってきた戦友のような何かだ。
それにアミュスフィアより高性能なのだから使わない理由がない。
最後の質問はSAOでの交友関係だった。
あちらからこちらへ引っ張ってきている関係は(今のところ)ないと答えれば、詩乃は納得して質問を終えた。
次は俺の質問の番。
聞きたいことはただ一つだ。俺がSAOに囚われたことで詩乃の身の回りに起こった変化。
詩乃は話したくなさそうにしていたがしっかり聞き出せば、俺が壁をできなくなったせいでそれまで堰き止められていたものまでが全て濁流のように襲いかかってきたらしい。
……そりゃあ詩乃大好きなお爺さんに嫌われるわけだ。
話しながら泣き出してしまった詩乃をなだめているといつの間にか寝てしまったようでベッドに運んで布団をかけてやる。
SAO時代もこんなことが何度かあったなと思いながら携帯端末を持ってキッチンへ移る。
俺は料理が苦手だが決してメシマズではないのだ。
しっかりしたレシピがあれば少なくともまずくはない料理が作れる。
料理サイトを開くと、二年前までは詩乃が大好物だったレシピを検索し、俺は料理を始めた。
二話か三話の同級生が~って所を多少改変しました。
前書きに変えたよーって書いてあるので気になる方は2話と3話を開いてまえがきにある方を軽く読んでやってください。
ちなみにその知り合いはアサダサンです