デスゲームでオワタ式を強制されたのでゾンビプレイします 作:にゃー
一応R15の範疇に入っているかと。
書いていた時間に比べて2000字と短めです
目が覚めた俺は、時計を見てそろそろ夕飯の支度をするかとキッチンにたった。
米は昼間に家に出る前に予約炊飯をしていたのであと十数分もすれば炊けるだろう。
今日は焼き魚だ。
俺は焼き魚はなんとなく難しそうと肉だけを焼いていたのだが、詩乃に一回教えて貰ったら焼けるようになった。
やはり、レシピを見るよりも実際に教えてもらうほうが何倍も理解しやすい。
チルド室から魚を取り出し、コンロ下の魚を焼いたりするために使うグリルの準備をしているとインターフォンが鳴った。
珍しいな。詩乃は一人暮らしを頑張りたいお年頃なのかなかなかウチには来ないし誰だろうか。
ドアを開けると何かが胸に飛び込んできた。
体勢が悪かったせいか受け止めきれず、そのまま押し倒される。
泥棒かと一瞬思うがそれにしては小さいし、そもそもこんなところに泥棒に入るヤツがいる訳ないだろう。
僅かに上半身を上げて確認をしてみれば、黒髪の女の子のようだった。
女の子は深呼吸を繰り返している。
……何この状況。
上半身を完全に起こして床に座ると、いつの間にか背中に手を回されていたのか思いっきり抱きつかれている。
――これ、どこかで……。
一年以上前の記憶が掘り起こされる。
いつだったか、普段より遅い帰りになった時のことだ。
宿のドアを開けた時に同居人が中から飛び出してきて廊下で今のようなことになった覚えがある。
ということは――
俺は少女を抱き抱えたまま立ち上がり、開きっぱなしのドアを閉める。
それにしてもいつまで深呼吸してんだコイツは。
ベッドに寄りかかるように座って少女の名前を呼ぶ。
俺の考えが正しければ、というか俺の知り合いにこんなことする女の子一人しかいないし。
名前を呼ぶが反応がない。
というか俺が立ち上がる時に落ちないように支えたせいか、いつの間にか彼女の片腕が俺の背中から彼女の下腹部に移動している。
一応リアルでは初対面の人間の家に押しかけて何をしているんだこいつは。
未だ深呼吸を繰り返している変態の顔を俺の胸から離してやると、目はやばい薬をやっているのではとばかりにトロトロに蕩け、頬は紅潮し、一言で言えば発情していた。
しかし、そのパーツの一つ一つは見慣れたもので、やはりアルゴだった。
SAO最終盤では俺への依存のようなものもほとんど、というか少なくとも俺が見る限りでは完全に治っていたのでリアルでは会わない方がいいと思っていたのだが、気のせいだったようだ。
むしろ二ヶ月近く会ってなかったせいで悪化している。
こんなことならSAO対策うんたらのお偉いさんにリアルを教えてもらうとまでは言わなくても現状を伝えてもらうくらいは頼んだ方が良かったか。
進んだ時計の針は戻らないので今更考えても遅いか。
俺はとりあえずアルゴがまともに会話できるようになるまで――それこそ二時間ほどアルゴを抱き抱えていた。
今日の夜はおにぎりか何かかな。
◇
二時間ほどでまともに戻ったアルゴとはまず自己紹介から行う。
俺から自己紹介をして、アルゴの自己紹介となったのだが、春園――と言ってから首を振って猫神亜子と名乗りやがった。
亜子はSAO終了後にリハビリを済ませる頃までは普通に生活できていたらしいのだが、道を横切る黒猫を見た瞬間に俺に会いたい衝動が爆発して都内を徘徊していたらしい。
たまたま俺が亜子の視界に映り、亜子は俺を追ってきて家を特定、自宅に戻っておめかしして戻ってきたらしい。
亜子が俺についてくることが出来たこと、おめかしに戻って再び俺の家に来る時間のことから推測は出来ていたが、やはり亜子の家はこの周辺らしく、徒歩十分ほどらしい。
俺が寝ていたのは二時間弱だから、百分前後は服を選んでいたのかと考える。
思考を読んだように服を選んでいたのは三十分程だと言われれば、どこに時間をかけたのかと疑問が出る。
風呂に入って体を隅々まで綺麗にしてきたから時間がかかったらしい。
まあ、色々と台無しなんだが。
亜子が発情しているあいだに抱き抱えながらできる最低限のことは済ませていたため既に沸いている風呂に亜子を入れる。
色々とアレだからな。
俺は近くのコンビニで下着から何まで全てを買うことにして風呂に入っているあいだに家を出た。
下着は使い物にならないくらいになっていたし、上もクシャクシャで風呂上がりに着る感じではない。
ズボンが見つからずに戸惑ったが、そろそろ上がるんじゃないかと急いでデカ目のワイシャツと下着を購入して家に戻る。
店員に女性用の下着ですけどと確認されたが問題ないですと答えた時に酷い顔で見られたが問題は――あるけどいい。
家に帰ると中から声が聞こえる。
詩乃か?
ドアを開けて中に入ると、そこには髪を濡らして既にワイシャツを着ている亜子と言い争っている詩乃がいた。
二人は俺が帰って来たのに気づくと、同じ顔をして俺に問いかける。
――この女は誰?
春園亜子
は る ぞの
あ こ
頑張って考えました()