デスゲームでオワタ式を強制されたのでゾンビプレイします   作:にゃー

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評価ゲージが赤で文章力が810倍くらいある小説の投稿者に認知されていた驚きでねむみのままに書き上げました。
本編(GGO)には全く関係ないです

オリ主は人に共感し辛いとかいう若干サイコパスな設定があった気もしますが、そんなのしらなーい
読者の方も覚えてないでしょ
ということで、この話の中ではそんな設定は無視します。本編でも死に設定だったしね


過去回想/小学生のあの日

「父親が死んだことはあるか? 母親が精神を病んだことは? 銃を突きつけられたことはあるか? 人を殺してしまったことはあるか!?」

 

 その時、俺は教師の首筋に十得ナイフを添えていた。

 鋏やヤスリがセットになっているちゃっちーナイフだが、当時の俺の膂力でも首の皮を裂くくらいならば可能だっただろう。

 

 なぜ、俺がそんなことをしていたかといえば、この教師が教職として……いや、人としてありえないことをしていたのを目撃したからだろう。

 

 幼少の俺の逆鱗となり得るのは朝田詩乃くらいのものであり、つまるところその時もそうだったのだ。

 

 この教師は、大多数の大人が居ないものとして扱う詩乃をガキみたいに中傷していたのだ。

 進級によるクラス替えの直後、詩乃の担任となったこいつは、よりにも寄って最初のホームルームでだ。

 俺がそれを聞いたのは遅刻したからだし、ただの偶然だったが、それでも聞いたことはかわりがない。

 朝のホームルームが行われている下級生の教室に乗り込み、気がついた時にはなんとなくカッコイイからという理由で所持していた十得ナイフを突きつけていたというわけだ。

 

 その後、詩乃のクラスメイトが騒いだことによって隣に教室から注意にやってきた男性教師に組み伏せられた俺だが、小学校という組織の性質である内々に済ますという特性によって注意だけで済んだのだが。

 

 

 

 

「ありがと」

 

 その放課後、詩乃を家まで送る途中でそう言われた。

 

「俺がムカついただけだ。はっきり言って、この街はクソだ。一番辛くて一番頑張ってるのはお前なのに、誰もかれもが朝田詩乃を見ようとしない。村社会の排他性と街社会の人の繋がりの薄さを悪いところだけ引っ張って濃縮したみたいな人間しかいない」

 

 俺と詩乃の地元は、ここ十数年で急激に発展した街のため、昔の村社会の悪辣さが残っていた。

 都会からやってきた人間も、それに当てられて悪性を増し、そして都会特有の人との繋がりの薄さを保つ。

 それによって生まれるのは本来ならば勇気ある少女とされるはずの詩乃を弾き出すような空気だ。

 

「高校生になったら都会にいかないか? 他人に興味が無い都会なら今みたいになることもない」

 

「都会は怖い場所だって教えてくれたのはあなたじゃない」

 

「都会よりもこの街はおぞましいって事だ。それに、詩乃みたいなかわいい女の子が一人で居ると怖い都会でも、俺が一緒にいれば平気だからな」

 

「あなた、ヒョロヒョロじゃない。都会の不良に敵うとは思わないけど」

 

「そんなところに近づかなきゃいいんだよ。詐欺師なんかはどこにいても来るかもしれないけど不良は表通りには出てこないだろ?」

 

 それは、本物の都会を知らず、一人の女の子を守っているという認識が自分を肥大させた結果の発言だったのかもしれないが、それでも至る所から悪意を向けられるこの街よりはマシだと本気で思っていた。この街から詩乃を守れる自分ならば、都会でもそれはかなうと。

 

「ねえ、私が高校生になった後に都会に行くとしたらあなたはどうするの?」

 

「その時は浪人でも何でもしてやるさ」

 

 

 

 

「えー、××先生ですが、先週限りで別の学校へと転属になりました」

 

 土日を挟んで月曜、全校朝礼で校長がそう言った。

 転属になったのは詩乃の元担任のクソ教師だ。

 

 俺のことが全く問題にならず、教師だけがひっそりと街から消えていったのにはやはり理由がある。

 俺の家、猫神家はこの街が発展するよりずっと前、まだ村であった頃までは猫の神の化身であるとされ、信仰の対象であった家だったからだ。

 校長はそんな猫神家の事を知る老人であり、恐らく信心深い人間だったのだろう。

 土日のうちに家まで来て勝手に教師の転属を決めたと行って帰っていったくらいだ。

 私立の学校だからといってフットワークが軽すぎるとは思うが、当時の俺はそんなことも気にせず、悪者を追い払ったことを誇りに思っていた。

 

 その日から俺は、例の教師を刺殺し、学校に隠蔽させた人間として扱われるようになった。

 事実とは全く違うが、噂の出どころはやはり詩乃のクラスメイトだろう。

 結局俺が何も出来なかったことを見ているはずなのに、放課後に詩乃を迎えにいくと怯えられるのだから人間というのは凄い。

 

「ごめんなさい」

 

 帰宅途中、先週とは真逆のことを詩乃に言われた。

 

「あれぐらい怖がってもらった方が色々と楽だし、なんの問題もない。元々友達も居なかったし、なんも変わらんよ」

 

 

 

 

 そして、その日から俺が見ていない場所でも詩乃に対する当たりは弱くなった。

 偶然とはいえ、ドンピシャなタイミングで教室に乗り込んだことが原因だろう。

 小中一貫校だったため、一足先に俺が中学生に上がってもその状況は続き、やはり俺は満足していた。

 だが、四六時中負の感情を向けられることにストレスを感じていたのだろう。

 趣味であったネットゲームが日常を侵食し、成績を落とし、そして最後にはSAOというゲームに俺は囚われた。

 俺個人としてはとても良い思い出ではあるが、残された詩乃がどういう扱いになったのかは未だに聞けていない。




なんか寝取られ小説みたいな文体になってた気がするけど、そんなことはありません
主人公に自己投影して作品を読むことが多い自分の性質上男が無力さを憎みながら寝取られる過程を見るそれはひじょーーーーーに苦手なので


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