旭日は昇っているか ~鹿屋基地攻防記~(休止中)   作:くろしお

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お久しぶりです。くろしおです。<(_ _)>

今回は中段(中編)その一です。
長さとしては比較的短めとなっております。

遅くなりましたが、UA1800越え、全話PV5000を達成いたしました。
読んで下さる方々には感謝の念しかありません。

それでは、第11話です。どうぞ。


第11話 鹿児島・鹿屋基地迎撃戦 第一中段  空域封鎖、一進一退の攻防

 6月5日 午後0時20分 ―鹿屋基地 鎮守府本館・通信室―

「錦江湾周辺に居る全艦は、基地へ一時帰投!遠征中の第3・第4艦隊は、帰投の際、戦闘終了までの間は東シナ海を抜けて長崎港へ一時退避せよ!」

『了解!』

 各艦から通信が飛び込む。

 副司令は、鹿屋基地所属の艦娘たちに向けて緊急事態(エマージェンシー)を発令していた。

 既に基地では、接近する深海棲艦を迎撃するべく陸上攻撃機や、彗星や流星改などの艦上攻撃機が二つの滑走路から続々と離陸している。

「一応、レポートが挙がった時から準備はしていたけれど…。凌ぎきれるかしら…。」

 不安を拭いきれない副司令だったが、無理もない。着任以降、基地近海まで深海棲艦の艦隊が来たことが皆無であった。

 その状況下では、想定された訓練こそできても、実際は深海棲艦側にも意思があるためそう簡単に訓練通りの動きをしてくれるわけではない。

 残念ながら艦娘(こちら)側の取れる方法は、訓練のように深海棲艦側を誘導するしかないのだが。…その訓練がどういうものなのかが、今回の戦闘の勝敗にも関わってくるわけである。

 因みに、今戦闘での艦娘(こちら)側の勝利条件は、

1.空母機動部隊の艦載機攻撃を防ぎ、基地機能と鹿児島空港の被害を最小限にさげること。

2.錦江湾に突入する深海棲艦の水上打撃部隊の殲滅、上陸の阻止

 というものである。(因みに戦闘表記なのは、深海棲艦側の攻撃が先であるため)

 但しこれは、深海棲艦側の目的が分かっている場合での話し。現時点で鹿屋基地は、霧島や大淀などの戦術・戦略解析班が行動目的を分析している段階。当然、先行して航空機による迎撃を行うのが自然である。

 このままでは、この深海棲艦の攻撃で後手に回る可能性が高まる。だが、艦娘以外に忘れてはならない防人(さきもり)がもう一つ在る。

 

 

 

 

 午後0時7分 ―航空自衛隊 築城基地(福岡県築上町)―

「こちらライト1。築城基地管制塔(タワー)、離陸許可を求める。」

『こちら築城基地管制塔(タワー)。了解。離陸を許可する。』

 築城基地に配備されたF-2Aの2個編隊(10機)が、両翼に絶対艦船沈めるマン(ASM-3)敵戦闘機必中の矢(AAM-4)を抱えて飛び立つ。

 鹿屋基地に最も近い航空自衛隊の基地は、宮崎県にある新田原基地だが、こちらは主に戦闘機乗りを養成するための飛行教導群(アグレッサー)部隊のための基地であるため、常時スクランブルの体勢がとられている築城基地にお鉢が回ってくるのである。

 ミサイルの細かい概要は後に触れるが、飛び立ったF-2A 10機は鹿児島へ向けて急ぎ向かう。

 

 

 

 

 同刻 ―福岡ACC(Area Control Center:航空交通管制部)(福岡県福岡市)-

 九州やその周辺の航空機の管制業務を負う福岡ACCでは、侵攻する深海棲艦機から航空機を守るために、民間機を中心に鹿児島周辺から退避させていた。

※緊急時なので日本語で対応しています。

「こちら福岡コントロール。JL(ジャパンエア)2035、鹿児島は現在EEAによりクローズ。宮崎へのダイバートを要請する。」

『JL2035、了解。宮崎へと飛行経路をとる。方位と高度の指示を願う。』

「福岡コントロール。JL2035、方位は…」

※EEA…Emergency Evacuation Action(緊急時退避行動):深海棲艦の攻撃から航空機等の被害回避を行うべく、ICAO(国際民間航空機関)が策定した国際ルール。

 

『こちらNH(オールニッポン)408。現在、奄美大島上空を高度10,800ftを飛行中。指示を乞う。』

「NH408、高度を28,000ftまで上昇し、背振山(佐賀県)上空で転進、長崎へダイバートするように。」

『NH408、了解。』

 

『こちらKAL(コリアエア)3076。福岡コントロール、このまま福岡へのアプローチでよろしいか?』

「KAL3076、貴機はそのまま福岡へのアプローチでよい。」

『了解。福岡へのランディングアプローチを開始する。』

 

「UN(ユナイテッド)921、貴機は間もなく戦闘予想空域に差し掛かる。高度30,000ftに上昇し、速度を900ノットまで加速せよ。成田へはそのままの進路を維持してよい。」

『UN921、了解。直ちに加速上昇に移る。』

 

※JL…日本航空 NH…全日本空輸 KAL…大韓航空 UN…ユナイテッド航空

 

 

 これらの管制塔等の指示のように、九州周辺を飛行する各航空機に対して、深海棲艦からの攻撃や危険を避けるため福岡ACCは指示を飛ばしまくっていたが、各パイロットおよび管制官らは非常に生きた心地がしなかったであろうと思われる。

 例外として自衛隊機と海上保安庁の航空機のみ、鹿児島周辺の空域での飛行許可を出している。万一逃げ遅れた艦船等がいた場合と、迎撃に備えてである。

 多くの旅客機は、熊本空港や宮崎空港、佐賀空港などの比較的駐機スポットの容量(キャパシティ)があるところへとダイバート(代替着陸)を指示されていった。

 反対に鹿児島空港にいた航空機は、直ちに離陸するように指示が出た。

 その日、九州周辺の上空からは旅客・貨物機の姿は消えていった。

 大隅半島周辺を除いて。

 

 

 

 

 午後0時15分 ―大隅半島上空 25,000ft―

 築城基地から飛び立ったF-2A 10機は、九州本土へと攻撃を行うであろう深海棲艦の空母機動部隊を、E-767とE-2Dからの報告を受けて追っていた。

「ライト1より各機。これより作戦(ミッション)を開始する!敵機と接敵したときはAAMの使用を許可する!全機、武器無制限使用許可(ウェポンズ・フリー)!」

『了解!』

 10機の青い翼は、その腹に抱えた超音速の矢(ASM-3)をまだ見えぬ海上の艦に向けて解き放つ。

 最高速度マッハ3で敵艦隊へと突き進むASM-3。

 

 

 ASM(Air to Ship Missile:空対艦ミサイル)-3は、元々急速な軍備拡張を進めてきた中国海軍への切り札の一つとして、航空自衛隊と防衛装備庁とで開発されていた新型の対艦ミサイルだった。

 最も、台湾海峡事変以降の海戦で組織機構そのものが崩壊した中国海軍に対するモノというよりは、北方のロシア海軍や深海棲艦への有効な手札の一つへと変質したのだが。

 確かに、深海棲艦にはミサイル攻撃はほとんど(・・・・)効かない。だが、ダメージが全く通らない訳ではない。これを利用し、大型艦船すらも撃沈し得る炸薬量をもち、圧倒的ロングレンジからの攻撃が出来るASM-3が多用されていくこととなった。バージョンも深海棲艦用などに用途ごとに変化している。

 最も、ミサイルが効かない主因の一つは深海棲艦(まと)が小さすぎることもあるのだが。(つまりそれだけASM-3のシーカーの性能がいいと言うことでもある。)

 

 

『こちらイーグル・アイ(E-767)。ASM-3はマッハ2.5で敵艦隊に接近中。レーダーには多数のIFF(敵味方識別装置)未確認機の機影を確認。恐らく深海棲艦機と思われる。』

「こちらライト1。了解。味方の誤爆を防ぐため、こちらは築城へ帰投する。あとは任せる。」

『イーグル・アイ了解。無事なる帰還を。通信終了。』

「全機へ。これより帰投する。俺の後に続け!」

『了解!』

 ライト1の後ろに連なる各機。

 ライト1のパイロットは、

(頼んだぞ、艦娘たち。)と心の内に思いながら、鹿児島を離れる。

 

 

 

 

 12:20(深海棲艦側表記) ―深海棲艦 佐多岬沖空母機動部隊―

 艦載機を放って10分、次の攻撃準備を行っていた深海棲艦の空母機動部隊。

 今回旗艦となったヲ級(無印)は、水上打撃部隊のおまけのような形で付き添うこととなった。元々、今回の強襲上陸作戦自体にあまり乗り気では無かったために、搭載した艦載機は通常時の8割ほどだった。

 無論、これだけでも地上側へは大ダメージを負わせることができるのだが、旗艦のヲ級は無益な殺生を望まないタイプだったこともあって、鹿屋基地と鹿児島空港以外への攻撃は固く禁ずる命令を出していた。

 水上打撃部隊のル級flagshipとはそりが合わないこともあって、そちらの方とは無線封鎖を行っていた。一応、2機の艦載機を水上打撃部隊の上空へ飛ばして、水上打撃部隊の動きを逐一報告させているのだが。

「なんで私がこんな事で駆り出されたのよ…。早く帰りたい…。」

 ヲ級は正直に、己の心のうちをさらけ出す。

 そんな時だった。

 

 

 ジリリリリリッ!

 突如鳴り響く警報音。

 

 

「何事!」

「レーダーに微弱な感…、上空から超高速で接近中!」

 レーダー担当の深海棲艦の妖精が反応する。

「…!まずい、ミサイルだわ!全艦対空砲火を張って!面舵一杯!機関、急速始動!」

「艦長!ヌ級が!」

「なっ!」

 F-2Aから放たれた敵艦必殺の矢(ASM-3)が、海面近くからふっと浮き上がると、ヌ級や他のヲ級に突き刺さる。しかも超音速で。

 ヒューン

 

 

 ドオォォーン!

 ドカーン!

 

 

 40発のASM-3は、続々と深海棲艦の空母機動部隊の艦船に直撃していく。遅れて音が追い付く。

「全艦回避!くっ!」

 旗艦のヲ級にもASM-3が近づく。着弾直前に咄嗟にしゃがんだ彼女は、接近してきていた3発のうち2発を凌ぎきった。だが、最後の1発が艦載機を発着艦させる彼女の上部艤装に突き刺さる。

 彼女もうめき声を挙げる。

グアァァァッ。…まだ…、死ねるものかぁぁ!まだ見てないアニメあるのにぃ!

「艦長!生き残る理由、違うものは無かったんですか!」

 副艦長妖精が必死な顔をしながら冷静につっこむが、ヲ級は意に介さない。

「面子なんて知った事じゃないわよ!今生き残れば、明日アニメが見られるのよ!皆踏ん張りなさい!」

「…了解。全艦に通達!被害は問わない、ともかく生還だけを考えろ、と発光信号で打電しろ!」

「りょ、了解!」

 どんな理由であれ、生き残るには理由がいる。彼女もそれを実践したまでだった。

 この時点で、深海棲艦の空母機動部隊は半数の艦が撃沈ないし、中大破の損害を被った。

 だが、意外にもヲ級flagship2隻とelite1隻、ヌ級elite2隻が小破以下の損害だったこともあり、数多くの駆逐艦やツ級を失ってもなお艦隊としての体を保っている。

 

 叩き込まれたASM-3は、40発中31発が命中。残りは波藻に消えていった。

 31発のうち、直接的に撃沈に関わったのは11発。あとは致命傷にならなかった、あるいは同じ目標に複数命中したかのいずれかになった。

 

 だが、これで陸上への攻撃がなくなるわけでは無く、ヲ級たちが放った爆弾を抱えた蜂たちは、未だ鹿屋基地や鹿児島空港を目指す。討たれた主に報いるかの如く。

 

 

 旗艦のヲ級は、まだ生き残っている艦を呼び出して陣形を再編しなおした。

 とっとと海域から離脱したいと思いながらも、水上打撃部隊の進行が止まっていない以上帰ることは叶わなかった。

 残った空母機動部隊の艦は8隻。そのうち旗艦を含めて空母が6隻…、これでは航空隊を除いた防空方法はあまり期待できない。

 旗艦ヲ級は生き残ったツ級とイ級を、自分の前後に挟むような形で輪形陣をとる。

「願わくば、このまま水上打撃部隊も瓦解してくれれば帰れるのだけれどね…。」

「艦隊旗艦、何か仰いましたか?」

 前方を航行するツ級が、旗艦ヲ級に声を掛ける。

「いいえ、何も。死地を脱しさえすればいいのだけれどね…。」

「そうですね…。艦娘どもが来れば、奴らを深海に引きずり込めるのに…。」

「出来れば、これ以上の損害は避けたいものね…。」

 雲一つない海上でぼやく二人。数十㎞先では、基地航空隊や艦載機群と深海棲艦の艦載機とでの航空戦が繰り広げられていた。そんなことを感じさせない空の色だった。

 

 

 

 

 午後0時25分 ―鹿屋基地 鎮守府本館・通信室―

 空爆の可能性が徐々に高まるなか、部屋のディスプレイ上には基地を飛び立った航空隊や敵機が映りこむ。もう間もなく、接敵距離だ。

「全機に通達。深追いはするな、墜としつつ生還を考えろ、と。絶対に無茶だけはしないようにね!」

「はい!確実に伝えます!」

 副司令の命令を受ける、通信室付きの妖精。

 提督と取材班は、その様子を見守っていた。

「ここがうちの、言わば頭脳です。ここから、各艦隊や航空隊に通信や命令を飛ばしています。」

「提督さんは、何かされることはありますか?」

「今はまだ。ですが、艦隊を出す際にはここで指揮を執ります。」

 提督が椎崎のちょっとした質問に答える。

 その内容を聞いていた矢田部が、和島と顔を見合わせて提督に話しかける。

「その時は、その画を撮ってもよろしいでしょうか?」

「構いませんよ。但し、機材等を映さないことが条件ですが。」

「わかりました。…鎮守府内の艦娘たちの様子を撮ってもよろしいでしょうか?」

「ええ。映りたい意思を自分から示した場合のみですけれど。」

「大丈夫です。うちは、そこまで強引なことはしませんよ。」

「…そうですか。念を押して言いますが、出撃準備中の艦娘たちの邪魔だけはしないように。お願いします。」

 地味な相手の腹の探り合いの後、提督は全艦娘に通信をかける。

 

 

 

 

「全艦娘へ。これより接近中の深海棲艦の部隊の迎撃にあたる。帰投中の演習艦隊の一部メンバーも、補給と改装が終わり次第、一緒に出撃する。日頃の訓練の成果、奴らに見せてやれ!」

『『はい!』』

「戦闘配置につけ!非戦闘員は屋内退避!」

 こうして、鹿屋基地でも艦娘たちの出撃が間近に迫っていた。

 

 

 

 

 午後0時31分 ―鹿児島空港 管制塔―

「JL3022、EEAに基づき現在滑走路はクローズ中。熊本空港へのダイバートを要請する。現在の着陸態勢から、直ちに着陸復行(ゴーアラウンド)せよ!」

『JL3022、了解。着陸復行(ゴーアラウンド)!』

 着陸態勢を取っていたJAL3022便は、鹿児島空港管制塔(タワー)の指示のもと、大慌てで上昇姿勢をとる。

 

 同刻 ―JAL3022便 コックピット―

 機体の燃料は宮崎空港まではもつものの、こうした事態は頻繫にあるため、民間機といえども気を抜けない操縦が多い。

 機長と副機長はぼやく。

「またか…。慣れてきたとはいえ、な。」

「仕方ないですよ、機長。こちらも守る手立てがない以上、遠ざかるのが最善の手ですから。触らぬ神になんとやら、ですよ。」

「それもそうだな…。ああ、また乗客に説明せにゃならないのか…。」

 機長はこの後の流れにウンザリしながらも、自身の職務を全うしようとする。

 日本の空は、まだまだ安全とは言えなかったりするのが、こうしたEEAの発令などから窺い知れる。

 それでも、艦娘たちや自衛隊は空を、海を、誰もが安全に往来できるように取り戻す努力を続けている。

 

 

 

 

 午後1時27分 ―佐多岬沖 南南西15㎞地点―

 深海棲艦のもう一つの艦隊、強襲上陸部隊こと水上打撃部隊は、もう間もなく錦江湾(鹿児島湾)に突入するところまで差し掛かっていた。

 鹿屋基地からの航空隊による攻撃はあったものの、全体的に装甲の硬い戦艦ル級を中核とした水上打撃部隊の足を止めるまでには至らず、未だに真っ直ぐ錦江湾に向かって直進していた。

「艦娘ドモメ、腰ヲ抜カシテ手ヲ出サズ仕舞イカ。…マアイイ。全テヲ破壊シ尽シテヤル。」

 旗艦のル級flagshipは、憎悪の炎を増幅させていた。

 今のところは、順調にコトが運んでいた。だからと言って、油断していたわけでは無い。陣形も対潜対空に特化したものとし、前方に潜水艦娘がいれば容赦なく撃沈するよう伝えている。

「旗艦!艦娘ノ姿見エズ。湾内デ暴レ回ッテモイイ?」

「イイダロウ。ソノ辺ノ船モ沈メロ。人間ニ、艦娘ニ絶望ヲ与エルノダ。」

 タ級は旗艦のル級flagshipから言質を取ると、持ち前の主砲や副砲等で航行中の漁船や貨物船に砲撃をお見舞いする。

 

 

 ドォーン!

 

 

 10㎞程離れた位置に居たコンテナ貨物船が、タ級の主砲を受けて炎上する。

 続けて他の深海棲艦たちも、次々と砲から火を噴かせる。

 このまま行けば、鹿児島市街に砲弾が降り注ぐのも時間の問題となってきた。

 

 

 

 

 午後1時34分 ―鹿屋基地鎮守府・荒平出撃拠点―

 何も鹿屋基地の面々も手をこまねいていたわけでは無い。鎮守府で保有している艦娘専用列車8両×4本をフル稼働させ、続々と艦娘たちを送り込んでいた。

 現在鎮守府に所属する艦娘たちを半分に分け、損傷・被弾が激しい艦から順に入れ換える作戦をとった。

 

 

 先に金剛や伊勢を中核とした重火力艦隊と、赤城や千歳などの空母部隊を送り込んだ。後続には、川内型を旗艦とした複数の水雷戦隊部隊を配し、数段構えの布陣をとる。

 その第一陣、金剛たちの重火力艦隊が今まさに出撃しようとしていた。

「皆サーン!ついてきて来て下さいネー!艦隊、出撃ネー!」

「榛名、全力で参ります!」

「航空戦艦の力、見せてあげる!」

「筑摩、準備万端!出撃します!」

「この那智の力、見せる時が来たようだ!やるぞ!」

「我輩の実力、見せてやるぞ!」

 金剛を旗艦に、榛名、伊勢、筑摩、那智、利根の順に出撃する。

 続けて、赤城、加賀、蒼龍、千歳、雪風、白露から為る空母機動部隊が出撃する。

 

 鹿児島の人々を守るため、自分たちの居場所を守るため、彼女たちは命を賭した戦へと躍り出る。

 たとえ、彼女たちの誰かがもう二度と帰って来られないものだと分かっていたとしても。

 それが理不尽なものだとしても。

 

 

 提督は、通信室から出撃拠点を発つ彼女たちを見送る。ディスプレイ上では光点(フリップ)として表示されるが、その一つひとつが彼女たちの姿だ。

「俺は、誰かを失った時に、果たして冷静でいられるのだろうか…。」

 彼のその呟きに答えられる者は、この場には居なかった。

 

 

 誰かの犠牲の上にある、ごく普通の日常。それが崩れるのは、一瞬。

 だが、それを食い止める者がどこかに必ず居る。たとえそれが、誰にも何にも守られていなかったとしても。

 艦娘たちは、征く。己の存在意義も問い続けて。




ご拝読頂きありがとうございました。

もう数話ほど、この鹿児島・鹿屋基地迎撃戦のお話しは続きます。
進行がゆっくり目なのはご容赦ください。<(_ _)>
…鬱展開にするつもりはサラサラございませんのでご安心を。

それでは、また次回お会いしましょう。
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