File1「その瞳に感情は乗らない」
最後に見えた光景を、私はずっと忘れない。
その日まで私は普通の、どこにでもいるようなありふれた少女だった。普通に学校に行って、普通に友達と話して、普通に部活して、普通に家に帰る。普通に誰かを好きになって、普通に失恋して、普通に落ち込んで、普通に友達に慰められる。ありふれて平凡だけど、特別何か優れたものがない私には相応な人生だった。
だけどその平凡な人生は、ある日唐突に変わってしまった。
この三門市に住む人にとって忘れられない事件。今では『第一次近界民侵攻』と呼ばれているそれは、三門市内の至る場所から異次元の門が開き、そこから現れた近界民(ネイバー)という怪物が三門市を破壊し、1200人以上の死者と400人以上の行方不明者を出した大事件だ。
当時から三門市に住んでいた私は、その渦中にいた。あの時はそんな事情なんて全然知らなかったけど、とにかく危険だっていうのはすぐに分かったから、私は必死に逃げた。そして逃げた先で、悲劇は起きた。市の中心から必死に逃げて来た私の頭上で、ネイバーの砲撃が当たった建物が崩れ落ち、私に襲いかかってきた。私は運動神経はそこそこあったし、必死だったあの時はその崩落にさえ気付ければ避け切れたと思うけど、私の目に写っていたのは先行く人の後ろ姿だけだった。その人だけに目がいっていた私は当然その崩落に気付かず、モロに落下してきた破片が身体に当たった。それだけだったらまだ逃げられたと思うけど、続けざまに落ちてきた破片が足に当たって態勢を崩して、盛大に転んだ。
幼い私は痛みに耐えかねて声を張り上げた。その声に気づき、前にいた人は足を止めて振り返ってくれた。
助けてくれる。幼い私はそう思ったが、その人はなんとも言えない表情を浮かべた。今思えば自分の命と私の命を天秤にかけた表情だったんだと思う。
そしてその人の心の中の天秤では自分の命の方が重く、私の命の方が軽かったようで、その人は私のことを見捨てて再び走り出した。
待って、助けて。
私はそう叫ぼうとしたけど、遅れて崩れてきた破片が私の頭に当たったようで、私の意識はここで途切れた。
*** *** ***
次に目が覚めた時、私は病院にいたらしかった。らしかった、という曖昧な表現になるけど、その時にはもう私の視界はほぼ黒一色だったのだから仕方ない。
目が覚めているのに何も見えない恐怖に錯乱した当時の私は、救出してくれたという人と治療してくれたという医者の話を聞き、愕然とした。
意識を失った後、さらに崩落に巻き込まれたようで、見つかった私は血まみれだったらしい。押しつぶされて死んでいても仕方ないと思えるほど、多数の瓦礫の下敷きになりながらも、私は救出された。
骨折が数カ所あり、酷い怪我をしていた。そして骨折以上に致命的な問題があった。瓦礫の破片が私の両目に傷を与えていたらしく、それは治療がひどく困難なものだったらしい。
その結果、私の左目はひどく暗い靄がかかった上に色がほとんど認識できない状態になり、右目に関しては完全に失明した。
そうして私は世界の光を見る権利を失った。
*** *** ***
悔しいことに、人間とは慣れてしまえる生き物だ。
光を見る権利を奪われた私は、悲しんで苦しんで、絶望した。しかし次第に、負けてたまるか、と思えるようになった。見えないことをハンデとされることはあっても、自分からはハンデにしてやるもんかと奮起し、私は光の無い世界で生きる覚悟を決めた。
始めの頃こそ光の無い世界の不便さに憤り、ハッキリと見えればと思うことが多かった。ぶつかって転ぶことは日常茶飯事だったし、軽くない怪我を何度も重ねた。
ほとんど目が見えなくなった私だったけど、その分、人の感情の機微はよく感じ取れるようになった。私のリハビリに付き合ってくれる看護師さんが3人ほどいたが、その内の2人は私に対して負の感情を向けているのがよく分かった(実際、リネン室でその2人が私に対する愚痴を言っているのを退院する直前に立ち聞きした)。
逆に、残る1人の看護師さんは心から優しい人だったらしく私に対して嫌な顔1つせず(ほとんど見えていないけど)、リハビリに根気よく付き合ってくれた。
一言二言話すだけでは無理だけど、ある程度会話していればその人が私に対してどんな思いを向けているのかが、光を失ってから分かるようになった。
*** *** ***
光の無い世界でも音や匂い、その他の情報を拾うコツが掴めれば、日常生活くらいはなんとかなった。他の人の手を煩わせることが大きく減った頃、私は退院した(目が見えない以上に怪我の度合いがひどく、退院が遅れた)。
退院後、私は普通に通っていた学校に復学した。しかしそこで、私は認識の甘さを叩きつけられた。
周りは見えているのに私だけに見えていないということが、どれだけ異質だったのか。そして、それがどれだけ幼い好奇心を刺激して的にされるのか、知らなかった。
復学した私を待っていたのは、いわゆるイジメというか嫌がらせだった。特に多かったのが、物の配置を変えられたり、入れ替えられるというものだった。
目が見えない私に配られた教科書は点字が彫られた特製の物だけど、見た目は他の子の教科書とほぼ変わらない。その教科書を、目が見えていなくて隙だらけの私から気付かれないように奪って普通の物とすり替えられる。
下校前、教科書を持ち帰るため教室の棚に置いておいたバッグを取りに行くと、私の棚にバッグが入っていないという事もあった。実際は空いている他の棚に移されていただけだったけど、目が見えない私にはどこにあるか分からず、私のバックを探し出すまで全ての棚を確認しなければならなかった。
難易度が低い上に、私にとって最大の嫌がらせになり得るそれは次第にエスカレートしていった。
一緒に戦ってくれる同じ立場の仲間がいたら耐えられたかもしれないけど、私の周りにはそんな人はいなかった。
目が見えた頃にいた、親友といれば心強かったのだけれども、その親友は第一次侵攻の時に行方不明になっていた。
学校での唯一の味方は心優しかった先生だけど、私はそんな先生に迷惑をかけるのが嫌で学校に行かなくなった。
幸いにも、両親は無理して学校に行かせるような人ではなく、私は私の意思と両親の優しさによって不登校児となった。
世間様に打ちのめされた私だけど、目が見えなくなった頃に抱いた『負けてたまるか』という志はまだ残っていた。だから抵抗の証として、家に引きこもることはしなかった。買い物や散歩など理由は問わずに外に出ることを習慣つけたり、同じように不自由な生活をしている人とのコミュニティに参加するようにした。運が良いことに、不登校児になってからの生活はご近所や周囲の人に後ろ指を刺されるようなことはなかった。三門市というのは先祖代々から住んでいるという人たちが多く、あの人とあの人が親戚だったという話も珍しくない。近所付き合いや親戚付き合いが根付いている街だから、噂話が広がるのがめちゃくちゃ早かったのだ。
そのため私のことは、
『目が見えないことが理由でイジメられて学校に行かなくなった子』
『だけどもめげずに頑張ってる子』
という噂が広がり、同情されてはいるものの批難されることはなかった。
*** *** ***
そうして今、私はアクティブ不登校児となって早2年。第一次侵攻から数えれば…、目が見えなくなってからは、もう4年になる。
(4年は早いなぁ…)
目まぐるしく過ぎた4年間で身につけた習慣の外出の最中、公園のベンチに座りながら、私は今日までを振り返っていた。
色々とあったが、その中で特に大きなものは左目の視力が年々衰えていったことだ。怪我直後は辛うじて見えていた左目だが、今でも徐々に機能が衰えていき、もうほとんど見えていない。私の視力が全て失われ、完全に光が見えなくなる日は、そう遠くない。
失ったものも多いが、得たものもある。
例えば聴覚。今私は公園にいるけど、聞こえてくる音の感じから、遊具のところに男が4人と女の子が2人いて、砂場に女の子2人、そして他のベンチのあたりにこの子たちの母親だと思われる大人が5人いることが分かる。
そして触覚。肌に当たる陽の光の感じから、今はお昼過ぎだけど、そろそろ夕暮れ時に入る時間帯…、季節からして、15時を少し過ぎた頃か。ほとんど見えなくなった左目に思いっきり時計を近づけて確認すると、15時08分だった。
目が見えなくなった代わりに聴覚に触覚、あとは嗅覚が敏感になって、そこからより多くの情報を得ることができるようになった。
「まあ、こんなこと出来ても、目が見える人には敵わないんだけどね…」
公園に何人いるかなんて見渡せば済む話だし、時間だって正確に知ることができる。
当たり前のことだけど、失ったものの大きさをまじまじと認識してしまう。
心の中で嘆きつつ、私は立ち上がる。今日の外出理由は散歩だけど、いつもの散歩とは少し違った。もしかしたら、生まれ育った三門市を歩く、最後の機会になるかもしれないのだ。
というのも、私が参加するコミュニティに同い年で同じように目が見えない友人がいて、その子から誘いがあったのだ。
「私が通っている盲学校に来ませんか?」
同じ境遇の人が揃う学校へのお誘いは、正直嬉しかった。不登校児になって分かったのだが、私はどうやら学校そのものは好きらしく、もっと言えばみんなで授業を受けるのが好きだったらしい。通わなくなって、そのことだけがどうにも歯がゆく思えて、学校に行きたいなと思ってしまった。
そんな私はその誘いを前向きに検討したいと答え、その日のうちに両親に相談した。三門市からは離れるし、お金だってかかる。けれど両親はそのことを快諾してくれた。
まだ転入の日取りどころか、正式な決定ですらないが、私はほぼ間違いなくこの三門市を離れる。そのうち戻ってくることもあるだろうけど、もしかしたら戻ってこないかもしれない。
そう思うと、どうしてもこの町を歩かずにはいられなかった。
良い思い出も悪い思い出も詰まった三門市を、私は歩く。街を歩く際に助かるのは、左手に持つ杖と、その先にある点字ブロックだ。目が見えていた頃にはなんとも思わなかった点字ブロックだが、こうして目が見えなくなるとあの黄色いブロックがいかに私のような人間の助けになっているか、痛いほど分かった。
そうして歩きながら、ふと疑問に思った。
(…黄色って、どんな色だっけ?)
最近、よく感じるようになったことだ。色がない世界になって4年も経ったからか、それぞれの色がどんな色だったのか、思い出せなくなってきた。さらに言えば、声で誰が話しかけているかを判断しているため、話し相手の顔を認識することはない。だからだろうけど、最近は両親はおろか自分の顔すらどんなものか思い出せなくなってきた。
(点字ブロックの黄色も、突き抜けるような空の青さも、そこに浮かぶ雲の白さを…、私はどんどん忘れていくのだろうな)
歩きながら私の思考は横道に逸れた。
だからだろう、背後から近づく人の手に気付くのが、遅れた。
「ああ、やっぱりハルちゃんじゃん」
「っ!!?」
驚いた私は軽く跳びのき、思わず杖を離してしまった。すぐに音を頼りに杖を拾い直すが、相手はそんなこと御構い無しと言わんばかりに声をかけてきた。
「あっはは、久しぶりー!アタシだけど、わかる?同じクラスだったんだけど…」
言われながら、私は記憶を手繰り寄せ、引っかかった名前を呟いた。その名前は当たりだったようで、相手の子は「だいせいかーい!」と、やたら高いテンションで答えた。そして、
「ねー、みんなみんな!やっぱりハルちゃんだった!」
大声で近くにいたらしい友達を呼びつけた。声の感じからして、男女ごちゃ混ぜで4人。ちなみに、ハルちゃんというのは私のあだ名だ。本名から連想させる、ということで付けられたものだった。
ゾロゾロと人が集まる気配を感じる中、私は見えない瞳をその子に向けて、声をかけた。
「えっと…、なんで、ここに…?」
「なんでも何も、ここ中学の近くの道だもん」
どうやら下校時刻と鉢合わせたらしいが、それにしては少々時間が早い気がした。
「もう下校時間…、でしたっけ?」
「んーん、今テスト週間でさー、いつもと学校終わる時間違うの」
テスト週間という答えを聞き、私はその可能性を見落としていたことに気付き、不注意さを呪った。
私は基本…、というかイジメにあったのだから当然ではあるけど、クラスメイトが嫌いだった。イジメの主犯はほぼ男子だったようだが(よく女子が「やめなよ男子ー!」と叫んでいた)、それでも女子がみんな味方だったのか知るすべは無く、私は最終的にクラスメイト全員が敵に思えた。
だから、元クラスメイトの彼女のことも例外なく苦手であり、会話を早く切り上げてここから離れようとした。
「テスト週間…、大変ですね」
私がそう言うと、
「もー、しんどい!問題なんて見たくないよ」
「だよな!テスト週間終わったら、オレしばらく教科書見ねえ!」
「そもそもテスト受けたくねえっつの!サボりたいわ!」
口々にそう答えた。
言葉の内容でも十分わかるけど話す時のトーンとかも含めて、私は彼らに疎まれているのだと感じた。
(当てつけみたいなことばかり、言ってくるな…。話す感じも小馬鹿にされてる印象だし…)
私はその思いを極力抑えて、言葉を返す。
「えーと…、不登校の私が言うのもなんですけど、頑張ってくださいね」
形式ばった言葉に対して、彼らもまた棒読みのような言葉で返事をした。
ここで会話に一区切りついた私は「では、私はここで…」と言って、そそくさとこの場を立ち去ろうとした。だがしかし、歩き出したところで右手を掴まれ、また慌てて杖を落とした。掴まれるまで気付けないから、いきなり触れてくるのはやめて欲しい、正直なところ怖い。
「ハルちゃんどこ行くの?」
私の考えなど知るよしもない彼女(声からして私に話しかけてきた子)は、心底疑問そうな声で尋ねてきた。
正直に答えるのが億劫だったから、近くのコンビニの近辺に用事があると適当に答えた。近くには家族でよくご飯を食べに行く店が数件あるだけだが、元々、当てなく歩くつもりだったから、仮の目的地をそこにした。
行き先を知った彼女たちは、じゃあその近くまで送ってあげるよ、と言った。目が見えない私がゆっくり歩いても5分足らずの距離だし、その申し出を断ろうとしたけど、それで万が一さらに面倒なことになる可能性があるかもと一考して、私はその申し出を受け入れた。
彼女たちと歩く間、私は会話をしつつも意識は歩く方に向けていた。送っていくと言いながらも変な所へ案内されたりしたらたまったものじゃないからだ。頭の中にある地図を慎重に辿りながら彼らとの会話をするのは、それなりにしんどい作業だった。彼らにはもう少しだけ黙って欲しかったが、私はその要望を口にしなかった。
自らの意思で学校に行くことを拒否した私だけど、彼らが話す学校でのありふれた出来事は、すごく羨ましかった。所々に嫌味のようなものが混ざっても、羨ましくて、ほんの少し触れるだけでも楽しいから、聞いていたかったのだ。
そうして歩くこと、5分。仮の目的地としたコンビニの近くまで来られた。
「ここはもう、コンビニの近くだよね?」
「うん、そうだよ。ここまででいい?」
「はい、ここまでで良いです。ありがとうございます」
一応、私はペコっと頭を下げてお礼を言った。そこは、もう私のことは放っておいてくれという意思が大部分を占めていたが、学校のことを話してくれてありがとうという感謝の意思が、細やかながら混ざっていた。
「どういたしまして!」
初めに私に気付いた子はそうお礼を言うと、また前触れもなく肩にそっと手を置いた。三度慌ててビクッとした私だけど、今回は杖を落とさなかった。
「バイバイ、ハルちゃん。あ、横断歩道の信号、青だよ」
「そうですか、教えてくれてありがとうございます」
早く彼らから離れたかった私は踵を返し、横断歩道へと向かって歩き出した。
そうして歩道から横断歩道に足を踏み出した、その瞬間、
「バカ野郎!死にてーのか!!」
男の人の声と共に後ろの襟首を掴まれ、思いっきり引っ張られた。
さっきの子とは比較にならないくらいの腕力で引っ張られた私は、受け身も取らずに歩道に倒された。ズキっと刺すような痛みに顔をしかめながら、私は文句を言おうとした。
だけど文句が私の口から出るより早く、
「危ないでしょ!気をつけなさいよ!」
という女の人の声が聞こえた。
「え……」
私は呆気に取られながらも、ほぼ直感的にどうゆう状況なのかを理解した、いや、できてしまった。瞬間、冷水にぶち込まれたような感覚が私の身体を襲う。
(だって、私の理解が正しかったら…)
これが正解であって欲しくないと願うけど、歩道に私を引っ張り込んだ人は容赦なく答えを叩きつけてきた。
「どこ見てんだよテメエ!
と。
そう。答えは単純。
私が青だと言われた時、信号は赤だった。
私は騙されて、そこを渡ろうとした。
それだけだった。
「あ……」
言葉にされて私の理解が正しかったことが確定すると同時に、その場にへたり込んだ私の身体は震え始めた。
「そんなとこにさっさと歩いていきやがって!本当に死にたかったのか!?」
私を引っ張り込んでくれた人は、容赦なく私に怒鳴りつけた。だけど私の頭にその言葉が上手く届いてこない。
「ち、ちが、う…、わた、わたし、は…」
私は涙声で、たどたどしく言葉を紡いだ。
その人の怒鳴り声も、私自身の声も耳から耳へと素通りし、頭の中には色んな思いが溢れかえる。
あの言葉を軽はずみに信じてしまった自身の不注意を恨めしく感じる、呪いにも似た思い。
人の…、私の命を何とも思っていないかのようにその嘘を吐いた、彼らの心を恐れる思い。
命が終わる危機に瀕して感じた、巨大な虚無を連想させる純粋な死を怖れる思い。
そうした負の思いが私の中で一気に渦巻き、それと相まっていくように体の震えは大きくなっていった。私に怒鳴る人の声は、もはや完全に届かなかった。
うわごとのような言葉しか返せなくなった私の胸ぐらを彼は掴み上げた。
「ちょ、ちょっとカゲ!やりすぎやりすぎ!」
「カゲさん、多分その人…」
「落ち着けよカゲ!」
そのタイミング(たまたま私が認識しただけかもしれないけど)、どうやら彼の友人らしき人が止めに入ってくれた。
声の感じからして、その人と同い年くらいの男の人と少し年下の少年と、私と同い年か少し上くらいの女の人だ。
友人達に止められ、彼はどうやら冷静さを取り戻したらしく、私の胸ぐらを掴んでいた両手の力が、少し弱まった。それと同時に、
「あん?なんだお前、感情がえらく薄…、……目が…っ!そういうことかよっ!クソッタレが!!」
彼は何かを感じ、何かを察して毒吐いた。
何が何だか分からずに混乱する中、1番年下らしき少年が発言した。
「カゲさん、その人多分、オレと同じ中学の人だよ。1つ上の先輩で…、目が見えなくて不登校の人がいるって噂があるけど、多分この人」
「ちっ…、俺を見てるのに感情の刺さり方が妙だったのは、やっぱりそういうことか…」
『カゲさん』と呼ばれた人は感情の刺さり方というよく分からない言い回しをした。どういうことなのだろう。
続けて、少年が発言する。
「…で、向こうの方向に、オレが通ってる学校と同じ制服を着て、こっちを意味ありげに見ながら、そそくさと逃げていく先輩たちが何人かいるよ」
少年の発言を聞いた途端、目の前にいるカゲさんは胸ぐらを掴んだ手を離し、
「…おお、そうか」
ゾッとする程、低い声でそう言った。
支えを失って倒れかけた私は、やたら大きな手で支えられた。
「カゲ。店の裏に停めさせてもらってるバイク出そうか?」
支えてくれたのはカゲさんと同い年くらいの男の人らしく、カゲさんはその人との質問に即答した。
「出せ。やっちゃならねえ事を笑いながらやった、あのクソガキどもを追うぞ」
「ほいよ。ヒカリちゃん、ユズル、この子をお願いね」
そう言われながら、わたしの身体は大きな手から女の人の手に引き渡された。女の人は私を受け取ると、威勢のいい声を出した。
「カゲ、ほどほどにしないと懲罰延期されるぞ!」
「ケッ!保証はしねえよ。俺の店の前であんな舐めたことしたガキ共を放っとく方が、100倍ムカつくからな!」
それからほんの数秒で、お腹に響くエンジンの重低音が聞こえ始め、それが一気に近寄ってきた。
「ほいカゲ、メット被って」
「んなもんいいから、さっさと追うぞゾエ!」
「いやいや、交通ルール
声を荒げるカゲさんとは対照的に、『ゾエ』と呼ばれた男の人はのんびりとした声で答え、バイクを走らせていった。
バイクが去っていった後、その場に残された私を『ヒカリ』と呼ばれた女の人と『ユズル』と呼ばれた少年は慰めてくれた。慰めてくれたというよりは、ヒカリさんが一方的に、
「目が見えないって大変じゃない?」
「買い物とかどうやってるの?」
「一人で外歩いてるみたいだけど、なんで見えなくても歩けるんだ?」
「朝起きた時、ベッドから落ちない?あ、布団なの?なら大丈夫か!」
などと、質問を沢山してきただけだった。
中には目が見えない私に対する当てつけのような質問もいくつかあったけど、不思議と私は嫌にならないで答えていた。
ヒカリさんの声には彼らのような嘲るようなものは全く含まれていなくて、純粋に知りたいという思いしか読み取れなかったからだろう。
ただ、今の私はそれすら疑問に感じてしまう。単に私が拾えないだけで、もしかしたらこの人も…、という思いが消えなかったのだ。
自分が数年間培って信用できたと思えた感覚すら、信用できなくなってしまった。
(私はもう、何を信じればいいんだろう…)
そんな事を考えると、さっきと同じバイクの音が再び聞こえてきた。
「カゲさんゾエさん、おかえり。どうだった?」
「全部終わったよ」
「全部って…。ほどほどで済んだの?」
「明日学校に行きゃあ分かるだろうな」
ユズルという少年の質問をカゲさんはのらりくらりと躱した。
ゾエさんがバイクを停めて戻ってきたのを音で確認した私は、助けてくれたことに対するお礼を言った。
「あの…。目が見えない私を危ないところから助けて頂いて、本当にありがとうございます」
「…俺は、目の前で死なれちゃ寝覚めが悪いから引っ張っただけだ。礼言われるようなことじゃねえな」
カゲさんはぶっきらぼうに答えたから少しびっくりしたけど、
「カゲ、お礼の言葉はちゃんと受け取りなよ」
「そーだそーだ!こんなに可愛い子に感謝されるなんてカゲには滅多にないだろー!」
「カゲさん、素直に『どういたしまして』って言うだけだよ?」
ゾエさん、ヒカリさん、ユズルさんがそんな事を言うから、カゲさんの言葉で感じた驚きはどこかへ飛んでいってしまった。
カゲさんたちの仲の良さを感じるやりとりを聞いて、私は自然と口元が緩みかけた。だけどすぐ、私の心には重く暗い感情が広がった。
–羨ましい–
–私が持ってないものを見せつける人たちが、羨ましい–
–私だって、目さえ見えれば–
–見ることさえ出来れば、こんなことにはなってないのに!–
その思いが募り行き場をなくした途端、
「皆さんは、目が見えてていいですよね」
無意識に、私の口はそれを言葉にしていた。
それに気づいて、私は後悔する。
なぜ助けてくれた人にそんな事を言えるのかと、自分で自分を罰したい気持ちで一杯になる。
言葉を発さなくなった彼らはきっと、ギョッとしたような目で私を見ているのだろう。
「す、すみませんでした!」
言いながら私は踵を返す。
(ああ、もうダメだ。この場からもう、いなくならなきゃ)
どうしようもなくなった私は、ここから逃げようとした。
私の歩く速度などたかが知れてるので、カゲさんたちは追いつこうと思えば追いつけただろう。
けど、彼らはそれをしなかった。
「オイお前!」
追いかけてこなかった代わりに、叫んだ。
「可能性は全く読めねえけどよ!目が見えるようになりてえならボーダーに来い!」
*** *** ***
界境防衛機関「ボーダー」
4年前に攻めてきたネイバーを沈めて、その後三門市に拠点を置いている組織だ。
ネイバーという化け物の恐ろしさは、人の身体を優に越える大きさよりも、人を傷つけ食らう性質より、一般の武器が全く効かないということだった。ネイバーと渡り合うには、ネイバー側の世界の技術しか今のところ手段がなく、ボーダーはその技術を日夜解析し、今もなお攻めてくるネイバーの脅威から街を守っている。
三門市に住む人ならば程度に差はあっても、ボーダーのことはある程度知っている。
私は殺されかけたその日、家に帰るなり両親に今日の出来事を掻い摘んで話した。当然のように心配されたし、盲学校への転入を今すぐ決めんばかりの勢いだった。私はそんな両親を一旦なだめ、ボーダーについて調べてくれと頼んだ。
不承不承と言った様子だが両親は私の願いに応えてくれて、ボーダーについて調べてもらった。ひとまずネットで検索をかけてボーダーのホームページに書いてあることを調べていくと、引っかかる一文があった。
『ボーダーの隊員は街を守る際は生身の身体ではなく、ネイバーの技術を利用した特別な身体を使っています』
その一文を読んでもらった瞬間、私は確信した。
あの人が言っていたのは、きっとこのことだ…、と。
翌日の午前、私は思い切ってボーダーに電話をした。ホームページの下には『ご質問があったらいつでも電話をどうぞ』という一文があったから、問題はないはず。
『はい、こちらは界境防衛機関ボーダーです。ご用件はなんですか?』
電話に出たのは、若い女の人だった。多分、20代中頃くらい。
用件を尋ねられ、私は直球を投げ込んだ。
「あの、ボーダーの隊員が使う…、ネイバーの技術を利用した特別な身体って、目が見えなくても使えますか?」
『…そ、それは……、少々お待ちください』
どうやら普段電話で聞かれることのない質問だったようで、一旦保留にされた。
待つこと数分、ようやく通話が戻った。
『お電話代わりました。本部開発室長の鬼怒田と申す者です』
電話の相手はかなり歳上っぽい男性の声に変わった。役職がとても高そうで焦った(後に技術系の部門のトップと知ってより焦った)。
私は鬼怒田さんという人に、ことのあらましを話した。
と言っても、私の目が見えないことと昨日の出来事を大雑把に伝えたいだけだが。
話が終わると、鬼怒田さんは軽く唸ってから言葉を返した。
『つまり…。4年前に失った視力を、ボーダーの技術で取り戻そうというわけじゃな?』
「はい、そうです。…、実際、可能なのでしょうか?」
私の疑問に、鬼怒田さんは再び唸ってから答えた。
『可能性は…、やってみないとわからない、というところが正直な見解ところだ。生まれつき身体が弱い隊員がトリオ…、その特別な身体を問題なく扱えたという件はあっても、貴女のような件は前例が無い』
「そうですか。なら…」
私は腹をくくり、答えた。
「私がその前例になります。だから、試させてください」
と。
*** *** ***
堂々と宣言した三日後、私は初めてボーダー本部の開発室という区画に足を運んだ。
「では改めて…。開発室室長の鬼怒田本吉じゃ」
「チーフの、寺島雷蔵です」
本日の治療という名目の実験の責任者になった鬼怒田さんと寺島さんが、私に挨拶をした。ちなみに両親には事前に家に訪問してくれてた2人が事情を説明しているし、一応本部にも両親は来ている。というか、私たちがいる実験室っぽい部屋の外で、こちらを見ているらしい。別々にされたのは、ボーダーの技術には守秘義務があるようで、なるべく当人以外には話したくないらしい。マジックミラーらしいので、中は見えていないそうだが、私にはそれを確かめる術はない。
私は同じように挨拶を済ませ、本題を切り出した。
「それで早速なんですけど…。隊員が使う、特別な身体というのはどこにあるのですか?」
「ここです」
寺島さんはそう言って、私の手に何かを渡してきた。人の手に収まる程度の大きさの…、棒?握りやすいように波々な曲線が施された、小さな棒だった。
「あの、これは…?」
私が思わず尋ねると、寺島さんはいたって真面目に答えた。
「これはトリガーと言って、ボーダーの特別な身体…『トリオン体』に換装するための物です。このトリガーを使うぞって意識しながら『トリガーオン』と言えば換装が始まり…、上手くいけば、視力がある身体になれるはずです」
それを聞いた私は、なぜいい年になってまで掛け声で変身なんていう戦隊ヒーローみたいなことをしなければならないのかと思った。
ふざけないでくださいと叫びたかったが、私はそれをしなかった。
寺島さんの話す内容は信じられないものでも、声から伝わる思いは真剣そのもので、昔リハビリの時にお世話になった医者と看護師を連想させられたからだ。
「…わかりました」
トリガーをギュッと握った私は、腹をくくって立ち上がる。
ダメで元々なのだ。怖がるものは…、というより、恥ずかしがることは何もない。
「いつでもいいですか?」
「ええ、いいですよ」
許可を得た私は、1つ意識して呼吸を取った。
そして再び世界に光が灯る事を願い、
「トリガー・オン」
その引き金を、私は引いた。
瞬間、
「っっっ!!!!」
ずっと黒一色に等しかった私の視界に、強い白い光が差した。
(眩しいっ!!)
反射的に私はそう思ったが、眩しいとはこんなものだったろうか?
普段から閉じられた瞳を思わず一層強く閉ざして、私はその場にしゃがみ込んで両手で目を覆い隠した。
「はあ…、はあ…、はあ…!」
ほんの一瞬訪れた、その強すぎる刺激に耐えるように私は息を整えた。
心が平静を取り戻すまでゆっくりと息を整えた私は、ゆっくりと立ち上がってから、両手を退けた。
まだ意識して瞼を閉じたままの私の視界はまだ、当然真っ暗だ。
「………」
今一度…、私はゆっくりと深呼吸をしてから…、覚悟を決めて両目の瞼を上げた。
瞼をゆっくりと上げていくと、私の視界は黒から眩い白へと塗り変わっていく。完全に瞼を上げると、そこは白い部屋だった。特別なものなど何もない、白い部屋。
「……っ!」
私は思わず、右手で口元を塞いだ。
自分がどこにいるか、分かる。音でも匂いでも無く、目で見て判断するという当たり前の事を、私は4年ぶりに行った。
「……白い。……ああ、そうだ、白……!白は、こんな色だった……!」
私は涙を流しながら震える声でそう言い、再びその場にしゃがみこみ、自分の肩を抱いた。そして、
「…みえる……!私の目、見えてる……!」
この今を手放さないように、私はこの現実を、喜びで震える言葉で言い聞かせた。
4年ぶりに光が灯った世界の美しさを、私はもう一生忘れない。
*** *** ***
私はその後、ボーダーに正式に入隊した。
元々ボーダーにはトリガーの技術を医療に活かそうという考えがあったらしく、私はその研究に協力することにした。
基本は普通の訓練生たちと同じように過ごしているが、2、3日の周期で研究に協力することと、基地の外でも一部条件付きでトリガーを起動してトリオン体になってもいいという事だけが違いだった。
*** *** ***
週2回行われる合同訓練を終えて、私はソロランク戦のロビーに来ていた。
ボーダーの訓練生と正隊員にはポイントというか持ち点があり、ここで1から3階にある適当なブースに入り、ソロランク戦を行うことで対戦相手とポイントのやり取りができる。形はともかく入隊した以上、正隊員となって防衛任務に出ることを目標にした私は、本部に来る度にこうしてランク戦をしている。
だが、
「あー…、なかなか勝てないなぁ…」
思うように戦果が出ずに、疲れた声が口から出ていた。
4年間、目が見えずにいたから激しく身体を動かすことが無く、走ったり剣を振り回したりすることが、他の子たちと比べてぎこちない気がするのだ。入隊時に貰った1000点は一応増えているが、10回勝つまでに9回負けているような戦果なので、増えるペースは気が遠くなるほどゆっくりだ。
ロビーにある大きなモニターに映る正隊員同士のリアルタイムでの戦闘を見つつ、私は悩む。
(勝つためには、どうすればいいんだろう…。勝てる人は、私と何が違うんだろう?)
動きの速さとか、剣の構え方とか、攻める姿勢とか…、きっと理由は色々なんだろうけど、結局は自分にあった何かを見つけることなのだと思う。今モニターに映っている人達の動きを参考にしようとしても、出来る気がしない。明らかに剣の間合いを越えた距離にいる相手に激しく斬りつけることも、私と同じ盾型トリガーでそれを防ぎ続ける人の動きも、真似できる気がしない。
(あそこまで動けるなんて…、羨ましいな)
彼らの動きを羨ましく思った途端、私はおかしく思えて小さく笑った。
(目が見えるようになっただけで幸せなはずなのに、そこから更に望むなんて…、ワガママすぎるかな)
見えなかった頃は、目が見えさえすれば後は何も願いは無いと思ってたけど、いざ目が見えるようになると次の願いが出て来て、キリがないなと思った。
私のように目が見えない人間は沢山いる。私は世界の光を再び見ることが出来るようになったが、そこに必然のようなものは無いと思ってた。あの時、あの場所で、自分とあの人たちがいて、あの人がたまたま言葉をかけてくれた。きっとそれは別に私じゃ無くても良くて…、それこそ、神さまが気まぐれで私を選んだんだろう。
いくつもの偶然の重なり合いで幸せを手にした事を自覚して、私はもうこれ以上のことは望まないと決めた。
だけどもし、まだ何かを望むことが許されるのだとしたら、私はあの人に会いたい。
私に世界の光を再び灯すきっかけになった言葉をくれた、カゲさんに会いたい。
ボーダーに来て探さなかったわけではないけど、私は今日までカゲさんを見つけることが出来ていなかった。
顔や背格好も分からない、声しか知らないカゲさんに、私は会いたい。そして、ありがとうとお礼を言いたい。
モニター前の椅子に座りながら天井へ…、その先にあるであろう青い空に意識を向けて、私は願う。
(気まぐれな神さまへ。もし私がまだ何かを望む事が許されるなら…、私は、カゲさんに会ってみたいです)
そう願った次の瞬間、
「オイ鋼!俺に手加減なんか要らねえから、もっとバチバチ来いよ!」
「懲罰明けだと思ってたが、カゲには要らなかったな」
「ハッ!そんな生意気は俺に勝ち越してからにしろよ!」
モニター近くの1階ブースから、そんな会話が聞こえてきた。
会話に混ざった人のあだ名のような響きを私は聞き逃さず、慌てて彼らに視線を向けた。
そこにいたのは、モニターに映っていた2人の男の人でした。
黒のミリタリージャケットにカーゴパンツを合わせたボサボサとした黒髪の男の人と、黒シャツの上に緑のジャケットに緑のボトムスを着る男の人。
2人を…。いや、黒髪の人の方を見た瞬間、私は理由もなく確信した。
私が視線を向けると同時に…、まるで、視線に気付いたかのようなタイミングで彼もまた私の方を見てきた。
ゆっくりと私は立ち上がり、2人のそばへと確かな足取りで歩み寄った。お互いが手を伸ばせば届くくらいまで近寄り、私は足を止めた。
「えーと…」
彼の友人らしき人は私の行動に戸惑っているみたいだけど、私こそ戸惑っていた。歩いてきたはいいけど、何から話せばいいか、何から聞けばいいか、咄嗟に出てこなかった。それでも、何か言わなきゃと思い、私は無理やり言葉を絞り出そうとした。
「あの…」
「見えるようになったんだな」
でも私の言葉は、彼の…、カゲさんの言葉でかき消された。
ほんの少しぶっきらぼうで苛立ったようにも聞こえるその声は、私があの日、ほんの数分話しただけの記憶に残るカゲさんのものと全く同じだった。
「はい。あの日の…、あなたのおかげなんです」
カゲさんの言葉に私はしっかりと答え、彼の両目をしっかりと見ながら言葉を続けた。
「ケッ。そりゃ良かったな。けど、俺のおかげってわけじゃねえよ。たまたまだ」
カゲさんはあの日と同じように、言葉を素直に受け取ってくれなかった。それでも構わない、私は言葉を続ける。
「かもしれません。でも今…、私の目は見えています。私の目に、光を映してくれたのは、あなたなんです。だから…」
話しながら私の瞳に見える景色が、涙で滲んでいく。拭えば、私の中の思いも一緒に拭ってしまいそうな感じがして…、拭けなかった。
涙を一杯に溜めた目のまま、私は、
「だから…、私を救ってくれて、ありがとうございます」
心からの感謝の言葉を、カゲさんに送った。
一世一代のつもりで発した感謝の言葉だが、カゲさんはやはりそれを素直に受け取ってくれなかった。ガシガシと頭を数回掻き、ため息を吐いて軽くうな垂れた。
「俺ぁ誰かを救うとか感謝されるとか、そういうのは柄じゃねぇんだ。だけどまあ…、今回だけは、仕方なく受け取ってやるよ」
カゲさんはそう言って、私に手を差し伸べた。
「……受け取ってやるから、ついでだ。俺が助けたっていう、お前の名前を教えろ」
名前を聞かれた私は、迷う事なく答えた。
「桜です。私の名前は、盾花桜です」
滲む視界でカゲさんをしっかりと見据え、私は問いかける。
「助けてくれた人の名前を知らないなんて恩知らずなことはできないので、私にも貴方の名前を教えてください」
そしてカゲさんは、私と同じように迷わず答えた。
「影浦雅人だ」
と。
影浦雅人さん。
私はきっと、貴方を一生忘れません。私の命を全部賭けても返しきれないくらいの希望を、貴方は私にくれたんだから。
ここから後書きです。
周りの感情を受信する影浦先輩が受信できない人、というところから膨らんだ物語です。
こんな感じでオリ主や原作キャラ、それか原作キャラと原作キャラで物語を作っていきたいなぁと思います。
読んでいただき、ありがとうございます。
少しでも心に残る話であったなら、嬉しいです。