・プロフィール
ポジション:アタッカー
年齢:15歳
誕生日:4月6日
身長:153cm
星座:はやぶさ座
職業:中学生(不登校)
好きなもの:饅頭、音楽を聴くこと、ボーダー本部に行くこと
・ファミリー
父、母
・リレーション
影浦雅人←一生をかけて恩を返したい人
村上鋼←レイガストのお師匠さん
二宮匡貴←おしゃれ黒スーツの人
加古望←家庭教師
寺島雷蔵←レイガストを作ってくれた神様
鬼怒田本吉←すごい人
・情報
4年前の大規模侵攻にて視力を失った盲目の少女。視力を失って以降、対人関係や性格等に多大な変化をもたらした。影浦雅人に助けられ、助言を経てボーダーの門を叩いた結果、トリオン体の状態に限り視力を取り戻すこととなり、状況は大きく好転した。
『トリオン体を医療方面への活用した際のモデルケース』として入隊し、その後影浦雅人との再会を果たす。
視力喪失以降、性格が塞ぎ込んでいた傾向があったが、ボーダーに来てからはだいぶ解消され、生来の性格だったと思われる明るい部分が多く見られるようになった。しかしながら接触が多い隊員の証言を集めると、時折陰のような一面が覗くこともあり、『生来の明るい性格』と『事故後に身についた警戒心が強い性格』が混在しているものと思われる。
訓練生としての活動はとても真面目で、地形踏破・探知追跡・隠密行動各種訓練もサボることなく毎回参加し、回を重ねるごとに成績を上位で安定させた。正隊員昇格直前の成績は順に2位、4位、3位であった。
入隊した事情が事情のため、入隊直後恒例の対
訓練生同士の個人ランク戦ではアタッカー、ガンナー、シューター問わず満遍なく対戦を重ね、いずれも安定した戦績を残す。レイガストの特徴であるシールドモードを軸にして守備的な戦い方を基本スタイルとしているが、時折、仮想空間に転がっている石や瓦礫を投げる、蛇口や水道管を破壊して水浸しにした場所に相手を誘い込みコンセントプラグ等の電源になり得るものを投げ込み感電させるといった、トリガーを用いない奇抜な戦いを展開する時がある。
他の訓練生とは違い、事前に申請をした時間に限り自宅でのトリオン体換装が許可されている。ただし、申請理由は基本的に『勉学に関すること』しか受理されず、後日トリオン体を使用した時間を計測し、使用時間を管理されている。後々、盾花と同ケースの隊員が現れた際に、トリオン体が悪用されるとも限らないため、使用時間を厳しく管理した前例を作るためである。
(なお、使用時間の計測・管理を一任された開発室寺島班では計測の際に「この程度は読み取り誤差だ」という言葉が飛び交ったことを記述する)
入隊後の交友関係は同期入隊の者がいないということもあり、特別親しい訓練生はいない。しかし、
A級6位加古隊隊長・加古望
B級1位二宮隊隊長・二宮匡貴
B級2位影浦隊隊長・影浦雅人
B級8位鈴鳴第一所属・村上鋼(
といった、上位部隊隊長や
盲目である、という身体的ハンディキャップを除けば彼女自身に大きな問題は見受けられない。それどころか、本人は意識していないもののトリオン能力も平均値より高い数値を記録している。
正隊員として運用するにあたっての事前審査では、上記の1点以外の問題はないことを、ここに記述する。
備考
正隊員昇格にあたって身体及びトリオンを精密検査した結果、サイドエフェクトの発現が確認されたことを追記する。
報告書作成:A級7位三輪隊隊長 三輪秀次
*** *** ***
番外編:『ココアが売り切れる理由』
レイガストの
私はいつも通り個人戦で勝って負けてを繰り返して、その途中で休憩のつもりでラウンジに行きました。
ラウンジに着いた私は、1つの違和感に気づきます。
(……芳醇な……ココアの香り……っ!?)
たかがココアで……と思うかもしれませんが、私にとってはある種の緊急事態でした。
というのも、ボーダー本部にはいろんなところに自動販売機が設置されているのですが……どういうわけか、ココアの売り切れ率がとても高いんです。私自身、特別甘いものが大好き! というわけではないけど……甘いものを飲もうと思う度に売り切れなので、日に日にココアを飲みたい欲が溜まっていました。
そんな中で、このラウンジ中を満たすココアの香りです。見渡せば、そこら中の人がココアを飲んでます。
これは飲まなきゃ、と思った私は自動販売機に向かうと、そこには長蛇の列が。
え?
なんで?
自動販売機だよ?
疑問に思いながらも、列に並びます。
ラウンジの自動販売機は、カップに注いでくれるタイプのやつです。お好みで砂糖やクリームの量をいじれる機能があるので、列が進むのに時間がかかります。
「ふーふーふ、ふふふ、ふふふ、ふーふーふーふ♪」
私の前に並んでる小ちゃい女の子……小学6年生か中学1年生くらいの女の子も、よほど飲み物を買うのを楽しみにしてるのか、さっきから鼻歌が聞こえてきます。
そうしてる間に列は着々と消化されて、私の前の女の子が買い終わりました。案の定と言うべきか、この子もココアです。
いよいよココアが飲める、という思いでワクワクしてた私でしたが……、
「……売り、切れ……?」
深い絶望が私を襲います。目が見えなくなった時ほどのショックではありませんが、思わず膝から崩れ落ちる程度にはショックでした。
しかし、私の後ろにも列がある以上、絶望に打ちひしがれてはいられません。なんとか立ち上がって、ココアの代わりにイチゴ・オーレのボタンを押そうとした、その瞬間、
「ねぇねぇ、もしかしてココア飲みたかった?」
私の隣にいた小さな女の子……おそらく最後のココアを買った子が、声をかけてくれました。
「え、まあ……はい」
小柄で華奢で、どことなく猫っぽい雰囲気の女の子です。
「そっか。じゃあ、ボクのココアあげる!」
「いや、でも……」
「いーからいーから! ボクこれ二杯目だし、お姉さんが買ったのと交換しよ!」
「あ……はい」
まるでお手本みたいな笑顔で提案された私は思わず頷いて、ひとまずそのままイチゴ・オーレを買いました。
「いちごオーレ! これも美味しいよね!」
「美味しいよね。私、ここで何種類か飲んだんだけど、イチゴ・オーレがお気に入りで……」
自動販売機の近くだと買う人の邪魔になってしまうので、空いてる席に私たちは移動しました。
「じゃあ……ボクのココアと、いちごオーレ交換しよ!」
「あ……うん。どうぞ……」
子供みたいな無邪気な目と声でお願いされて、私はその子にイチゴ・オーレ渡し、その子は私にココアをくれました。
「えへへ、ありがと! いただきます」
そう言ってその子は、ストローに口をつけてクピクピと音を鳴らしながらイチゴ・オーレを飲んで、
「うん! やっぱり美味しい!」
見る人の警戒心を解いてしまう、柔らかく幼い笑顔になりました。
あんまりにも美味しそうに飲むから、一瞬だけ、やっぱりイチゴ・オーレを飲もうかなと思いましたけど、その考えを頭の中から追い出して、私は念願のココアを飲みました。
色濃く残りながら主張の強すぎないカカオの風味。
口当たりが良く、くどすぎないまろやかな甘さ。
滑らかな喉越しの後に広がる、心を満たす多幸感。
「……ココア、美味しい……っ」
気付けば私は顔に手を当てて、ココアの美味しさを感じていました。
「でしょ! ここのココア本当に美味しいよね! ボク、ほぼ毎日飲んでる!」
「毎日飲みたくなるのも納得の味だね。特にこの、しっかりした風味を出してるのに主張が強すぎないカカオが良い仕事をしてるなって思って……」
味の感想を言った瞬間、その子は顔の横にキラリと星のようなものを輝かせた(ように見えました)。
「へぇ……お姉さん、結構
「いえいえ、それほどでも」
「ふふ……あれ? っていうかボク、普通にお姉さんって言ってるけど、合ってる? 高校生?」
きょとん、とした可愛らしい顔で尋ねられて、私はふるふると首を左右に振って否定しました。
「一応、中学三年生かな」
「一応? ……っていうか、だったらボクの方が年上だね!」
は?
「ボク高1だから!」
高1!?
「こんな小ちゃいのに?」
「小ちゃいとは何さ!」
は、しまった。つい心の声が口から出てました。
「いや、でも……どう見ても身長150ない……あっても145?」
「あるもん! 身長150あるもんっ!」
食い気味で否定されました。
お気に入りのオモチャを取り上げられて怒り心頭な子猫みたいな形相になったその子は、ハッとした顔になってポケットをゴソゴソと漁り、
「はい! 生徒手帳!」
顔写真入りの生徒手帳を取り出して、私に見せてきました。
「……ごめんなさい、たしかに先輩でしたね」
生徒手帳には確かに高校生1年生と明記されてました。
「わかればいーの! わかれば!」
プンプンと、やや憤慨した様子の先輩を見てどうにか許してもらわないと……と思った私は、とりあえず、
「その……お詫びにココアを一口、どうぞ」
この先輩の好物だという、ココアを差し出しました。
さすがに安易すぎるかな……、
「うん、よし! 許す!」
とか思いましたけど、その先輩は笑顔でそう言ってココアを一口飲んで、幸せそうな顔をしました。チョロすぎないかな、この先輩。
にっこりと、子供みたいな純粋な笑顔で、先輩は私に尋ねます。
「お姉さん……って言うのもあれだし、名前は?」
「あ……盾花桜、っていいます」
「たてばな? 珍しい苗字だね!」
「先輩の名前ほどじゃないと思いますけど」
さっき見せてもらった学生証に書いてあった名前、読めなかったです。
「あはは! よく言われるよ、それ。……ボクの相方もね、初めてボクの名前見た時は、『これであんな風に読むの?』って言ってたし」
「……相方?」
「あ、同じ部隊のチームメイト。なんやかんやで2年半、同じチームなんだ」
2年半!?
チームメイト!?
「……あの、つかぬ事をお聞きしますが……もしかして、先輩は正隊員ですか……?」
「もしかしなくても正隊員だよ?」
しれっと先輩がそう言った瞬間、私は『人を見かけで判断してはいけない』というのはこういうことかと、この上なく理解させられました。というかよく見れば隊服だし、望先生や二宮さん、カゲさんみたいにエンブレムが入ってました。
「ご、ごめんなさい!」
二宮さんの時程じゃないけど、私はスムーズに頭を下げて謝罪しました。椅子に座ってなかったら土下座する勢いです。
「あはは、なんで謝るの?」
「先輩で正隊員なのに、散々失礼な態度をとってしまったので……」
「いいよ、そのくらい。たまたまボクの方が先に生まれて、たまたまボクの方が早く入隊してただけだもん」
まるで怒ってない様子で、先輩は偶然を主張して、
「任務中とかならともかくさ、美味しいもの味わってる時にそんなのナンセンスだよ。ボクに気を使ったら、たてばなちゃんの飲んでるココアは劇的に美味しくなるの?」
「ならない……です」
「でしょ? だったら、別にいいよ。普通にお友達と話す感覚で、だいじょーぶ!」
お友達と呼べるような人はアクティブ不登校児の私にはいないのですが、先輩の伝えたいことはわかったので頷きます。
「……わかりました」
「えー、敬語やめよーよ! 普通に話していいって!」
「……うん、わかった」
「ん! オッケー!」
思わず釣られて笑ってしまうような……そんな笑顔を、その先輩は浮かべました。
それから私たちはそれぞれの飲み物を飲みながら、ポツポツととりとめのないお話をしました。
「あー、たてばなちゃんゴメン! たてばなちゃんがラウンジに来てもココア売り切れてるの、半分はボクのせい!」
「え……先輩、そんなにココアを買い占めてたの?」
「ちーがーうーよ! さすがにそこまで飲めないから!」
怒ってるはずなのに何だか可愛らしくて、ついついイジっちゃうな、この先輩。
「ほら、たてばなちゃんも経験あると思うけどさ……お店で自分が食べてたメニューを、後から来た人がなんでか続々頼むことあるでしょ? アレ、ボクがここでココア飲むと毎回起こるの」
さも当然のように『あるあるだよね』みたいな顔で語ってますけど、先輩それ多分あるあるじゃないです。おそらく先輩だけです。あれだけ美味しそうな顔で飲み食いしてたら、そりゃみんな同じの注文しちゃうよ。
とは思うけど、
「あー、それなら仕方ないね」
私はそれを指摘しないで、そうだねと相槌を打つ。飲みたい時にココアが売り切れてるのは困るけど、未入荷じゃないのがわかっただけいいかなと思う。『今日も無いのかな?』という思いでラウンジに来るのと『今日はあるかな?』という思いで来るのじゃ、気持ちに天地ほどの差がある。
仕方ないよねー、と言って飲み物を一口飲む先輩に、今度は私から話しかけます。
「先輩のチームって、どんな人がいるんですか?」
「えっとね、すっごくいい子で可愛くて天才で可愛い子と、美人で頭が良いお姉ちゃんみたいなオペレーターと……」
先輩はそこで少しだけ間を開けてから、
「……最高の相棒が、いるよ」
ちょっとだけ照れ臭そうに、3人のことを教えてくれました。
「最高の相棒?」
「うん、そう! 性格悪いんだけどね、良い奴!」
「性格悪いのに良い奴?」
「うん、性格悪いのに良い奴」
矛盾に満ちた特性に出会いました。
すると先輩はイキイキと、その性格悪いのに良い奴だという相棒について語り始めました。
「もうね、ホント一緒に戦ってると『え!? そんな手使う!?』みたいなこと、平気でするんだよね。ボクが敵チームだったら、『それは反則だよ!』ってギリギリ叫べないくらいのことを、しれっとやってくるの!」
「ああ〜……ルールの中だからセーフ、みたいなこと主張しちゃうタイプの人?」
「そう! そんな感じ!」
鋭い! みたいなことを言いたそうな表情で先輩は私の解釈を肯定してくれました。
「……でも、そういう『性格悪い』ところあるのに、『良い奴』って先輩が言っちゃうようなエピソードとか、あるの?」
「えぇ……エピソードかぁ……」
視線を一瞬泳がせてから、先輩は「話すとしたらコレかなぁ」と前置きをしてから、自分の相棒とのエピソードを語り始めました。
「……ボク、正隊員に上がってすぐの頃……信じられないくらい、負けたんだよ」
「……どのくらい?」
「ポイント2000切るくらい」
「わ……、あ、えっと……それで?」
何があったのか聞きたい気持ちはあるけど、先輩の顔はなんだか辛そうで、話したくなさそうに見えたから……そこに触れず先を促しました。
「それで……勝ち方分かんなくなるくらい負けて、気持ちもボロボロになって泣いてたら……訓練生の頃、成績が同じくらいだったそいつに見つかってさ……」
「慰めてくれたの?」
「ううん。思いっきり怒鳴られて無理やり腕引っ張られて、そいつが所属してたチームの作戦室に連れてかれた」
「え?」
優しく慰めてくれるのとはまるで違った展開になって思わずギョッとした私を見て、先輩は「びっくりするよねぇ」と言いながらケラケラと笑いました。
「それで、その時の隊長に向けてさ、
『こいつチームに入れるから!』
って大っきい声で宣言してさ。もちろんその隊長も、よく知らないボクのこと見て無条件で受け入れるわけにはいかなくて、最初は渋られたんだよね。そしたら……」
先輩は言葉を溜めて……きっと、その時の事を頭の中でなぞりながら、丁寧に、
「そしたら、そいつさ……。
『こいつは、俺の隣なら最強になれる。それを俺が証明するから、チームにこいつを入れろ!』
って、言ってくれたんだよ」
その相棒の言葉を、私に伝えてくれました。
笑顔……というよりは穏やかで落ち着いた表情で、先輩はその時の気持ちを語り聞かせます。
「もうその瞬間はさ、色んな気持ちがドバッて溢れてきたよ。久々に会ったと思ったら泣き顔見られるし、よくわかんない宣言されて恥ずかしいし……」
穏やかで、だけど照れ臭そうな色も混ぜながら、先輩の言葉は続く。
「でもそれ以上に……嬉しかった。ボクのことを、信じてそう言ってくれたことが嬉しくて……応えたい、って強く思ったよ」
「……それは、応えたくなるね」
「ふふ、でしょ?」
柔くはにかみながら、先輩は、
「…… あの時はカッとなって言ってただろうから……今はもう、そいつはそのこと忘れてるかもしれない。でもね、ボクにとっては……救われたし、今でもそいつとチームを組んでる
優しい声色で、言葉を締めた。
しかし、直後、
「でもさ! そいつホンッット性格悪いの! ボクが気にしてるの知ってるのに、ちびっ子ちびっ子言ってくるんだよ!? ひどくない!?」
まくし立てるように言葉を続けました。
それが照れ隠しなのはもう見え見えだったけれども……、
「あはは、そうだね」
私はそれが見えないフリをした。
先輩と話すのは楽しくて、もっと話していたいなと思う。でも、示し合わせた休憩時間じゃないから……お互いの飲み物が無くなっちゃえば、それは終わる。もちろん、飲み終わった後にお代わりしてもいいし、飲みきったままでお話を続けててもいい。
でも……飲み物が無くなったら、この時間は終わるんだろうなと私は漠然と感じていました。
あんまり時間がないと思った私は……1つだけ、この先輩に尋ねることにしました。
「ねえ、質問してもいい?」
「ん、いいよ〜。どんと来い!」
「……じゃあ」
何を訊こうか迷ってたはずなのに、
「正隊員になったら、どんな事が待ってますか?」
私の口は自然と、そんな質問をしました。
「正隊員になったら待ってる事……か。それはさ、チームランク戦とか、防衛任務の詳細を教えてとか……訊きたいのはそういうのじゃ、ないんだよね?」
「えーと……そうかも。というよりも……これから正隊員になりそうな後輩に言っておきたいこと、みたいな感じで……」
「あー、なるほどね」
うーんうーんと唸りながら先輩は答えを悩んだ後、笑顔の中に真面目さを同居させた表情を浮かべて答えました。
「初めて警戒区域の中に入れた時は、込み上げるものがあるよ」
と。
「込み上げるもの……ですか?」
「うん、そう。……たてばなちゃんがそうなのかどうかは訊かないけどさ、元々警戒区域の中に住んでた人とかだと、特にそう感じるみたい」
残り少ないイチゴ・オーレを飲んでから、先輩は言葉を続けます。
「それが懐かしさなのか、悔しさなのか、あの日の嫌な思い出なのか……それは分からないし、みんな同じ思いなのかは、分からない」
私の目を見ながら、それでいて遠くを見ながら先輩の言葉は続く。
「でも……この街で生まれ育った人が正隊員になって初めて警戒区域に入ると、そう感じるよ。気持ちが引き締まるというか……自分がこれから何をするべきなのか、言葉じゃなくて感覚で、わかるよ」
目の前にいる可愛らしくて幼く見える先輩は、この上なく『先輩らしい』顔で、そう言い切りました。
言い切った先輩は再びストローに口をつけるけど、もう中身は無くてズズっとした空気の音が聴こえてきました。
「あはは、いちごオーレ飲みきっちゃった。……質問の答えだけど、こんな感じで良かった?」
「あ、うん。大丈夫」
「ふふ、よかったよかった!」
ニコニコと、さっきまでの真剣さをまるで感じさせない無邪気な笑顔に戻った先輩は、何気なくラウンジに備え付けられてる時計に目を向けると、
「わ、ヤバいヤバい! これから防衛任務!」
どうやら時間に追われてたようで、急にアワアワと慌て始めました。
「あはは、それは急がなきゃだね、先輩。飲み物のカップは私が捨てるから、行ってらっしゃい」
「ホント!? たてばなちゃんありがと! ボク野良チームでもよく防衛任務出てるから……正隊員になって鉢合わせたらよろしくっ!」
お礼を言った先輩はテーブルの上にカップを置いて、それこそ風のような早さで去って行きました。
先輩の後ろ姿が見えなくなったところで、私は残された2つのカップを手にとってゴミ箱へと向かいます。
歩きながら、ふと、ある事に気づく。
(……そういえば、先輩の名前聞いてなかったな)
生徒手帳に書いてあった名前は変わった読み方をするのか、ちょっと読めなくて……訊こう訊こうと思ってたけど、聞けずじまいで別れてしまった。
読み方は分からないけど、そこに記されてた漢字は、
(笑顔が彩り鮮やかで、にぎやかな人だったな……)
眩いくらいの笑顔に、隊服に刺繍された一輪の花を模したエンブレム。
その2つが、私の脳裏から中々離れませんでした。
ここから後書きです。
キャラクター紹介の体を成した報告書は、城戸司令あたりが指示を出して作成されたもの……くらいの認識でいてください。本編未登場の三輪秀次が、あの手この手で盾花の情報をかき集めて完成させた、努力の結晶です。
パラメーターやトリガーに関しては、正隊員編を描いてから別口でまとめようと思ってます。
盾花のサイドエフェクトについては、第1話に『ヒントになり得る描写が直接書いてないけどヒントになる場面』があるので、早めに回収したいなと思います。あ、今回の番外編にもヒントはあります。
番外編に関してですが、
「ワールドトリガー原作知らないけど盲目少女読んでるよ!」
という方は、こういう名もなきキャラクターがいるんだなぁ……くらいに心に留めておいてください。
「ワールドトリガー原作読んでるけど、こんなキャラクター知らない!」
という方は、まあ、こういうキャラクターもあるんじゃね?という寛大な心を持ってもらえると嬉しいです。
「おい!コイツ知ってるぞうたた寝犬!」
という方は、うたた寝犬は昔から、同じ世界観だけど別作品のキャラクターが交錯するお話が大好きでずっと書いてみたい思いがあったということを、ここに告白します。
番外編書き終わってから、
「あの2人がチーム組んでる理由、本編で書いたっけ……?いや、書いてないな」
ってなりました。
本編とは違うキャラクター紹介と番外編でしたが、読んでくれた人が楽しんでもらえたら幸いです。