無印基準のブランちゃんとイチャラブするだけの2000文くらいの短編を小一時間で書いて垂れ流したかっただけなのに、どうしてこうなった。
ネプブラファンとかの方々は退避をお勧めします。マジで。
覚悟が出来たらどうぞ...ラブの要素がほとんどないィ...

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静かな暗闇で。

 

ぺらり、ぺらり。

 

 

 

誰かの知識の塊が、仄かに薄暗い彼女の『牢獄』の中で、めくれる音が響いている。

 

外に出すことがとても苦手で、しかしとても純粋な彼女にとって『本』という存在は、小さな身体に大きな重荷と負担を背負った少女の、かなり大きな比率を占めていた。

 

 

心の壁はとても厚く、その上で、自分自身の性格も嫌悪して。

 

誰に吐き出すことも許されず、憧れを抱いている『女神』に彼女なりの不器用な表し方で伝える事もままならない。

 

元々の根がとても善良な少女が、見るも無残に歪んでいくのは、時間の問題だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女の隣には、ある一人の男性がいた。

 

別段何の特技もない、普通に、かつ平穏に過ごしてきた二十歳そこそこの青年。

 

いつしかあるところで出逢い、共に惹かれ、やがて結ばれた。

 

簡潔に述べてしまったが、語るべき本質はそこではない。

 

真に要するのは、そこからの、少女の『崩壊』。

 

 

 

元々純粋に恋い焦がれる、一般的な愛情だったのが、次第にそれは自分を救ってくれるのではないか、自身を唯一解してくれるのではないか、そんな依存へと歪み、変貌していったのだ。

 

 

少女が向ける愛は、悲しい程に歪な形として、青年の元へと表面化する事となる...しかし、誰も彼女を責める事など出来はしない。

 

 

 

 

彼女の背負う荷とは、『女神』という名の人柱。

 

きっと、真っ当な人間ならば逃げてしまいたいほどの重荷。

 

象徴として崇められ、不老不死と言う名の呪いに束縛される。

 

 

その上、彼女には昔からずっと、自分を理解してくれて溜まったものを吐き出せる存在が、一人とて居なかった事も災いした。

 

別の『世界線』では、自分を受け入れて、自身との戦いに打ち勝ち、新たなる一筋の光明を見出した彼女だが。

 

 

 

この『世界線』においては、自分と戦おうとすらしなかった。

 

 

受け入れようとすらしなかった。

 

 

嫌悪した。

 

 

その現状に甘んじた。

 

 

 

 

「...あなた以外の人なんて、全て死んでしまえばいいのに」

 

 

 

 

他のどの『世界線』でも、ここまで彼女は全てを否定し、拒絶し、振り払うことはなかった筈。

 

閉じ籠った部屋の中、唯一自分の隣で、ずっと手を握ってくれている青年の温もりを感じ続けた結果、更に彼女の歪みは悪化してしまったのだ。

 

 

青年が悪いわけではない。

 

彼女の心が弱かったわけでもない。

 

 

 

 

青年がいなければ別の方向で瓦解していただろうし、後者の場合、むしろ彼女の精神はよく持ったと評価しても足りないほどに耐え忍んでいた。

 

 

ただ、あまりにも巡り合わせが、揃っていく条件が最悪の形へと流れていってしまった『だけ』。

 

 

 

 

 

 

「あなたがいれば私はそれでいい」

 

 

「他に何もいらない」

 

 

 

 

 

 

どこまでも澄んだ、幼げな女の子の見た目相応に優しい笑顔。

 

静かな彼女にしては、歓喜の色がとても強く出た柔らかな声。

 

 

しかし、その要素とは裏腹に、彼女の言葉の意味は真逆のドス黒さで満ち溢れていた。

 

 

 

 

「本も」

 

 

 

 

薄い手帳程度の大きさの本が、単なる腕力のみで、真っ二つに引き裂かれる。

 

 

まるで、今迄の自身の依り代を否定するかのような。

 

『もう必要ない』、そう断言するかのようで。

 

 

「他の女神の存在も」

 

「シェアも」

 

 

「なにもかも、いらない」

 

 

「どうでもいいの」

 

 

 

この灰暗い空間で、あまりに不釣り合いな清々しい断言をしながら、青年の胸元へと優しく飛び込み、そのまま抱きしめ。

 

 

 

「あなたが、私の全て」

 

「私が女神だとしても、そんなことは関係無いわ」

 

「あなたが好き、あなたの全てが好き、この世の何よりも」

 

 

 

 

 

自身に向けられた愛、自身から『依り代』へと向ける愛。

 

彼女は、逃避に溺れ、皮肉な事に、その副作用で『自分の素直な感情を形にできる』ようになってしまったのだ。

 

 

留め具も、心の制限も、良心も、理性も、何もかも最早残ってはいない。

 

あるのは、ただただ、自身をこの世に繋ぐ『鎖』に対しての、強烈な依存じみた鈍重過ぎる愛情だけ。

 

 

 

薄白く、強く握ってしまえば最後、簡単に折れてしまいそうな小さな両手で青年の両頰を覆うように持つと、そのまま柔らかな唇を押し当てる。

 

 

そのまま、液体と液体が絡み合う、酷く不快な音が刹那的な間、静寂の個室の中を反響し──やがて、その音がやんだとき、そこには頰を紅潮させ、舌に糸を引きながら妖しく、しかし幼く嬉しそうな笑みを浮かべた少女の姿が、あまりに印象的に映る。

 

まともに見られないはずの暗闇ですら、その背徳的な姿となった少女の姿は鮮烈に部屋の暗闇に刻まれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん...ぁ...ふふ...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──大好き」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暗く、深く、その闇は沈んでいく。

 

永久に、青年の命が潰えるまで、青年が彼女を受け入れることをやめるまで。

 

 

 

その深淵は、どこまでも限りなく色を歪め、濃く塗り潰していく。

 

 

 

 

既に、(ブラン)の名を持つ少女の内側の『色』はかつての面影は殆どありはしない。

 

きっと、これから先も穢れて歪んだ、呪いのような──少女、ブランにとっては、彼女自身の生きる意味である時間を過ごしていくのだろう。

 

 

 

 

 

見えないほど、深くへと。

 

 

 

 

 

『白』は、『黒』などという生易しいものではない『なにか』に染まってい『た』。

 

最早、戻れはしない。

 

取り戻すことも、少女は求めない。

 

 

 

 

 

 

 

 

既に、可視すら出来ない程にまで、蝕まれて──呑まれて、堕ちて、蝕まれているのだから──

 

 

 

 

 






後悔も反省もしている。
正直すまんかった。
無印ブランちゃんが落ちるところまで落ちたらどうなるのかとか考えてたせいだ!


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