あのすみません。俺のシフトだけ週7になってるんですけど、記入ミスですよね? ・・・・・・え、合ってる?   作:鯛焼きマン

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 きっと誰かが一度は考えたことあって、調べれば似たような作品があるかもしれませんが、自分は知りません(深夜のノリ)。
 ムシャクシャとか特にしてないけどやった。後悔は後でちゃんとするから許して。
 設定の矛盾とかもしかしたらあるかもしれないけど、パラレルってことで生温かい目で見てください。

 では、深夜に唐突に頭に降りてきた即興短編です。どうぞー。

補足:太文字は劇中の筆文字(バン!)の所を表現してみたものです。


あのすみません。俺のシフトだけ週7になってるんですけど、記入ミスですよね? ・・・・・・え、合ってる?

 

 

 

 

 

 

 曜日は日曜、天気は晴れ。

 薄暗い山奥に響く弦の

 それは激しく、されど心強い、清めの音。

 鳴らすは

 

 ・・・・・・名を裁鬼

 

 裁鬼が相対せしは(あやかし)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおおおおおおお閻魔裁きぃいいいいいいいい!!」

 

 さっさと弾けてくたばれバケガニぃいいいい! 実際は土に還るだけだけどぉおおおお!

 ・・・・・・ったく、手こずらせやがってぇ、おのれぇ。

 まあいい、この前のヤマビコみたいに逃げ回らなかっただけ良しとしよう(やけに上手く隠れたので見つけるのに数日かかった)。

 

「よっしゃあ! 終わったぁ! 今日のノルマ終わったぁ!」

 

 兎も角、これで仕事終わり。

 あとは家帰って、メシ食って、風呂入って、寝る。

 うう、今行くよ俺のお布団(オフトゥン)ちゃん(買い替えてから2ヶ月経ってるのにほぼ新品)。

 

「サバキさ~ん! エイキさんから救援要請で~す!」

「もぅ終わったつってんだろぉおおおおお!?」

 

 そんな俺の細やかな願いをイッシー(本名、(いし)(わり)(いつき)。今年で二十歳の花の女子大生)の緩い声がインターセプト。

 彼女は先代『裁鬼』を支え続けたサポーター・石割さんの妹。

 今時の女子にしてはのんびりしてるというか、どこか地に足が付いてない印象を受ける。

 着飾ればそれなりにモテそうな容姿だが、『鬼』のサポーターという仕事柄もあって最低限の身なりを整えている以外は山で活動するための服装をしている。

 話し方も相まって雰囲気森ガールと言った感じ。

 性格もたまにボーっとしてるような不思議ちゃんだが、仕事はマメにしてくれるし気も利く。

 如何せん異性っていうより、俺にとっては良き相棒か可愛い妹(実兄の石割さんには悪いが)のようなものだ。

 

 石割さんに「妹をよろしく。でも手を出すなら覚悟したまえよ?」とか冗談で言われたけど、心配しなくても女の人に手を出す気概なんて無いし、彼女は俺なんかには勿体無いにもほどがある・・・・・・って、自分で言ってて哀しくなってきた。

 

「いやーサバキさん、今日も凄かったですねー。特にイッタンモメンに音撃射を吹き鳴らしながらバケガニを音撃弦で斬りつける様はカッコよかったですよー」

「他人の口から聞くと『どんな曲芸師だよシュール過ぎw』って感じだが・・・・・・人間、やろうと思えば意外とできるもんだよな・・・・・・」

「『鬼』ですけどねー」

「もはや鬼なのは俺ではなく、同時討伐を依頼した『猛士』という組織そのものなのでは?」

 

 音撃戦士・裁鬼こと本名、(さい)(とう)(さとる)は訝しんだ。

 ともあれ『魔化魍が成長する前に童子と姫だけ先に撃破しよう』というチキンプレイをしている内に二か所にいた二体の魔化魍が二体とも移動して一か所で合流する、なんてハプニングこそあったものの二体とも成体ではなかったが(ゆえ)に裁鬼一人でも何とか倒せた。

 

 とりあえず俺は鬼の姿を解いて安物の服に着替えた後、二人でテントやディスクアニマルを片付ける。

 そしてイッシーの運転するワゴンに乗ってエイキさんの(もと)に向かった。

 次の現場(という名の地獄)に向かいながら、俺は情けなく愚痴を喚く。

 二十歳の女の子の前で恥ずかしくないのかって? 

 

 俺から休日だけでなく、愚痴を言う権利すら奪う気か?(真顔)

 

「ああもう! 俺じゃなくていいじゃん! 同期のトドロキでいいじゃん!」

 

 あいつ俺より強いし! 俺より性格良いし! 俺よりイケメンだし!

 俺は特別ブサイクでもイケメンでもお洒落でもないフツメン。

 三十越えても向上心バリバリだったり、使命感が強かったりする他の『鬼』の人達と違って、俺がいつも考えてることは「どうやって楽に仕事終わらせてウチ帰ろうか」とかだ。

 

 フンっ、どうせ俺は26になっても、年齢=彼女いない歴の童貞野郎さ。

 あと4年で、鬼に加えて魔法使いの称号も得ちまうぜチクショウ! リア充爆発しろ!

 

「トドロキさんは現在、海のバケガニと戦ってる最中ですー。そうじゃなくてもサバキさんが一番近いんですから、サバキさんが行くのは当然ですよー。それに言うでしょ? 困ったときはお互いさまーって」

「俺、正式に『鬼』になってから誰かの救援に駆り出された事はあっても、誰かに救援に来てもらった事ないんだけど?」

「それはほらー、サバキさんがもしダウンした場合の埋め合わせを他の『鬼』の方々がしてくれる的なー?」

「つまりダウンするまで酷使されるんですね、わかります」

 

 イッシーは朗らかな笑顔を浮かべながら俺の愚痴に付き合ってくれる。 

 わあ、なにこの子! めっちゃ良い子やん! 天使かっ!

 なお連れて逝かれるのは地獄の模様。

 

「・・・・・・実はみんな俺のこと嫌いだろ? なんか『猛士』で俺だけ扱い雑すぎない?」

 

 俺だけシフト表の出勤数おかしいもん。

 『猛士 関東支部 シフト表』ぱっと見でも〇(出勤日)の数がおかしいもん。

 〇ばっかだもん。

 一人デスマーチか!

 

 は? 休みもちゃんとあるだろって?

 そこのあなた、こんな言葉を知ってるかい?

 

 臨時出動。休日出勤。

 

 ブラックかよ。

 労働基準法って知ってる? 訴えたら勝てるくね? 

 まかり間違って『猛士』潰れたりしたら魔化魍が清められなくなるからしないけど。

 

 それに何だかんだ言って『猛士』は出勤日数に目をつぶれば、給料もちゃんと出るし、社員(なかま)同士上下の地位なんて関係ないアットホームな良い職場だ。

 だからブラックかよ。

 ブラック企業の宣伝PRかよ。

 

 ま、『裁鬼』の仕事量が多いのは今に始まったことじゃない。

 先代の『裁鬼』もそうだったらしい。

 嗚呼、俺の門出を祝ってくれた時に見せた佐伯さんの哀しそうな目ってそういう・・・・・・って『裁鬼』襲名してから1週間でなったもの。

 せめて1か月は気付かないようにしてくれませんか!?(毒されてる)

 そんなんでも半年休まず続けてる俺をもっと褒めろよ!(ヤケクソ)

 

「いや、基本『鬼』の仕事は年中無休だってのはわかるのよ?

 でも俺だけおかしいじゃん? 俺ってば最近一人前になったばかりの一応新人じゃん?

 普通は先輩が仕事肩代わりしてくれたりしてフォローしてくれるものじゃん?

 なんで俺が先輩のフォロー入らないけないのじゃん?」

 

 もうなんか日本語おかしくなってきたじゃん?

 

「でも裁鬼がやらねば誰がやるじゃーん?」

「行け、フレンダー! ・・・・・・ディスクアニマル、巨大化して自動で戦わないかな(現実逃避)」 

 

 俺はたった一つの命を捨てたくないし、鍛えてても不死身の身体にゃ程遠いし、鉄は砕けない(へこませれるけど手が痛いからやらない)。 

 それに俺は某新造人間ほどストイックな正義漢じゃない。

 

「助けた人達に否定されてもなお正義のために戦う孤高のヒーローなんてやれないし、そんな辛すぎるのはやりたくもない」

「そりゃ誰だってやりたくないですよー。でも、サバキさんはなんだかんだ言って必要ならやりそうな気がしますー」

「いやだからやりたくないって言ってんじゃん・・・・・・なんなの? 俺を過労死させたいの? 保険金目当てなの?」

「そういえば『鬼』の人の給金って高いんですかー?」

「それは、あまり突っ込んでほしくない話題だな・・・・・・」

 

 命懸けの仕事だから勿論、給料も高いはず・・・・・・はず、だよね?

 怖いから調べたことないけど。年収とか計算してないけど。

 

「いい大人が自分の年収わからないってダメダメですねー」

「うっさいわい」

 

 あははー、と木漏れ日のような柔らかな笑い声で俺をからかうイッシー。

 しかし図星だったので言い返せず、俺は仮眠をとるフリをしてふて腐れる。

 

「着いたら起こしてくれ。それじゃあイッシー、オヤスミー」

「はーい、オヤスミー」

 

 そして過酷な『鬼』の業務の中で、素早く寝つき短い時間で体力を・・・・・・エイキさんに言わせるなら英気を養う術を得た俺はすぐさま微睡(まどろ)みの中へ落ちていった。

 

「お疲れ様ー。ちょっと愚痴は多いけど、誰かのために頑張れる強くて優しい(ヒーロー)さん」

 

 だからイッシーが何か呟いた気がしたがよく聞こえなかった。

 でも山道を走っているにしては振動が少ない車内、その揺り籠のような心地よさを感じている内にどうでもよくなった。

 

 そしてワゴンは急ぎつつ、穏やかな運転を維持したまま山道を下っていった。

 




車の運転って性格出るらしいですね。
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