あのすみません。俺のシフトだけ週7になってるんですけど、記入ミスですよね? ・・・・・・え、合ってる?   作:鯛焼きマン

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なんか自分の作品の所為で猛士やおやっさんに風評被害が出ているので、サバキさんに休日を与えてみました(印象操作)。


急に休みとれとか言われたけど・・・・・・一体なにが目的なんだ?(疑心暗鬼)

 季節は冬。

 12月15日。

 本日は晴天なり。

 

 ただし気温は平均3度弱。

 

「クソ寒っ!」 

 

 音撃戦士・裁鬼こと(サバキ)は一人、街に出ていた。

 大変! 街に魔化魍が! ・・・・・・なんてことはなく、何をするでもなくぶらついているだけだ。

 そう、一人で(悲哀)。

 

 ・・・・・・兎も角、何故俺がこんなことになっているのかというと話は昨日の夕方に遡る。

 

 

 

 

 

 魔化魍退治の仕事が終わった後、事務局である『たちばな』に連絡した際に事務局長(おやっさん)に休みを取るように言い渡されたのだ。

 俺はあまりに急な要請に戸惑った。

 

「急に休みとれって言われても・・・・・・なんの罠ですか?」←失礼

「うん、そうじゃなくてね」

 

 そうやってボケをさらりとスルーしてとぼけても、俺はそんな甘い言葉には騙されないぞ!

 今日の内は笑顔で「休みだよ~」とか言いつつ、当日になって臨時出動とかさせるつもりなんでしょ! ブラック企業みたいに!(半分ジョーク)

 

「ちがうちがう。いやー、サバキ君まだ新人なのに頑張ってくれてるからさ。そこでちょうど予定が空いたから休みをとってもらういい機会かなって思ってね。ずっと頑張ってきたんだから一日くらい休んでもバチは当たらないでしょ?」

 

 ふーむ・・・・・・おやっさんが言ってることはわかるし、その意見には激しく同意なんだが・・・・・・。

 

「えっと・・・・・・お気遣いは有り難いんですけど、俺が抜けて他の『鬼』の人は大丈夫なんですか?」

 

 いきなり一人抜けて他の『鬼』の負担が増したりしないのだろうか?

 そうだったら目覚めが悪すぎて、折角の休日が針の筵に早変わりだ。

 

「一日ぐらい問題ないさ。他の『鬼』にも予め連絡は入れてあるから心置きなく羽を休めるといいよ・・・・・・それに最近また魔化魍に変な動きがあるし、この機会逃したら今回みたいな特例ができる余裕しばらくないと思うから」

 

 あっ(察し)、嵐の前の静けさ的な? そういうことね完全に理解しました!←完全に理解した

 

「まあ、サバキ君がそれで納得できるんならそれでいいけど」

 

 お前がそう思うんならそうなんだろうお前ん中ではな、みたいなことを言われつつ俺は内心ウキウキだった。

 

 色々疑問はあるが、とりあえず今わかっていることは一つ。

 

「愛しのお布団(オフトゥン)が俺を待っているぜ! ヤッホー!」

 

 その時、一人浮かれまくっている俺の様子をサポーターの石割樹(イッシ―)が静かに窺っていたことを・・・・・・俺は最後まで気付かなかった。

 

 

 

 

 

 んでもって時間は現在に戻る。

 さて、そんな感じで俺は今日一日だけ特別休暇を貰ったわけだ。

 しかし休日・・・・・・休日、か。

 

「あれ? 休日って何をしたらいいんだ?」

 

 いつもなら鬼の変身能力を維持・向上させるためにジムで筋トレしたり、他の『鬼』の人と一緒に音撃武器の訓練したりして過ごすのだが。

 

「休めって言われた端から汗水たらして鍛えるのもなんか違う気がするし、急な休みだったからトドロキやヒビキさんにアポ取ってないし・・・・・・マジどうしよう」

 

 当日に突然連絡を寄越しても、相手にも事情や予定がある。

 特にその予定が友人と遊ぶ約束だったり恋人とのデートだった場合、断らざる負えない相手に余計な申し訳なさを感じさせてしまうだろう。

 こっちは休日を一緒に過ごす相手がいないから誘っただけなのに、そうなったら相手の心地よい休日気分は台無しだ。

 

「あ・・・・・・デートと言えば」

 

 そういえば最近、トドロキと日菜佳さんの仲がちょっと進展してる気がする・・・・・・えぇいリア充め!

 

「それに比べて俺ときたら・・・・・・え? ああ、お釣りね」

 

 嗚呼、哀しくも寂しい独り身よ(灰)。

 商店街の一角にある中華まん屋で肉まんを買い、近くベンチでほっかほかのそれを頬張りつつ、一人ごちる。

 あ、これ思ったより美味しい。今度トドロキの陣中見舞いに買ってやろうかな?

 

「ヘーイ、おばちゃん。私にも肉まん一つおねがいしまーす」

 

 考えてみると関東の『鬼』の人で彼女持ちの人ってぶっちゃけ全11人中何人いるんだろう?

 ゴウキさんは既に妻帯者でトドロキは殿堂入りみたいなもんとして・・・・・・うーん、あれ? 意外といない?

 

「サバキさん。となり良いですかー?」

「ん? あっはいどうぞ」

 

 確かゴウキさんはサポーターの人と、だったよな・・・・・・って、え?

 

「イッシー!?」

「こんにちはー」

「お、おう・・・・・・じゃなくて」

 

 何故にここにおるし。 

 

「たまたま近くを通りかかったらサバキさんがいてー、肉まん美味しそうだなーって思ってー、そして美味しいものは誰かと一緒に食べたらもっと美味しくなるからですー」

「なるほど」

 

 わからん。けど・・・・・・ま、いっか別に嫌ってわけじゃないし。

 

「美味しいものは誰かと一緒に食べるともっと美味しくなる、ねぇ?」

「? サバキさんはそういう経験ないですかー?」

 

 うーん、イッシーに悪いがいまいちピンと・・・・・・いや、そうでもないな。

 

「小学校の給食時間とか楽しかったかな」

 

 クラスのみんながワイワイして先生とかクラス委員の子とかが「静かにしてくださーい」って何度も声かけしてたのが記憶に残ってる。

 

「ああー、それ給食あるあるですよねー。で、そこから『静かにしないと給食を食べれませんよー。食べ終わるまで昼休みになっても遊べませんよー』って言ってやっと静かになる、みたいな」

「そうそうそんな感じ」

 

 まだ小学生の子どもでも人間ってのは現金だからな。

 ・・・・・・それにしても美味しそうに食べるなぁイッシー。

 見た目素朴な肉まんも別嬪さんとセットならそれだけで栄える。

 

「? ほぅかしぁしたー?(どうかしましたー?)」

 

 おっとあまり見つめていると不審がられてしまうな。いけない、いけない。

 

「なんでもねぇよ。それに頬張ったまましゃべると喉詰まるぞ」

 

 外見補正で下品な感じはせず、リスかハムスターみたいだ。

 だけど行儀が悪いしな。

 

「はむはむ(ゴクリ)・・・・・・あははー。そうですねー、今度から気を付けますー」

「なにわろうとんねん。大丈夫か~?」

 

 はぁ・・・・・・それにしてもイッシーってば本当に美味しそうに食べるなぁ。

 確かにそんな人と同じものを食べているとより美味しく感じるというか楽しい気持ちになってくる。

 料理番組を見ながら食事してると、特に凝ってない自炊も普段より美味く感じる的な?

 これが『美味しいものは誰かと一緒に食べるともっと美味しくなる』ということなのかな。

 

「サバキさん。これからどうしますー」

「ん? どうするって?」

 

 ぶっちゃけ決めてないけど?

 

「せっかくのお休みなのにー、無計画ですねー」

「・・・・・・フっ、無計画? 違うね。そこは『自由』と言ってほしい」

 

 男っていうのはね。時々、何にも縛られない自由な時間が欲しくなる生き物なのだよ・・・・・・わかるかい? イッシー君。

 

「ほー・・・・・・ところで最近新しいカフェができたんですけどー、一緒に行きませんー?」

「興味ゼロ!?」

 

 なんて華麗なスルー! 君は羽生選手の生霊かなにか!?

 あれ? つーかいつの間にイッシーが俺と行動することに? 

 

「私も夕方までは予定が空いてますからー」

 

 うん、だから何故に俺と?

 

「その店カップル限定デザートで有名なんですよー?」

 

 ほうほう、それは良いことを聞いた。

 あとでトドロキにいい値で売ろう(新世界の神的な笑み)。

 

「いや待て、別に俺じゃなくても石割さんと行けば・・・・・・」

「それじゃあカップルじゃなくてブラザーもしくはファミリーですよー」

 

 それもそうだが・・・・・・まぁデザートを兄妹で食べるのは恥ずかしいか?

 俺、兄弟姉妹いないからわからんけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで緩い登り坂、点字ブロックの上を二人で歩く。

 

「この坂を500m歩いた先にそのカフェがあるんですよー」

「その言い方、車のナビっぽい」

「えへへー、ありがとうございますー」

「褒めてない褒めてない」

 

 しかし緩いと言っても割と長い坂道だな。

 

「イッシー、大丈夫か?」

 

 現在イッシーが履いているのは、魔化魍退治の仕事の時に履いている運動靴と違ってシックなデザインの厚底のブーツだ。

 底自体はそれほど高くはないが、長距離を歩くのには向いていない。

 たった今気づいたけどイッシー意外と・・・・・・というわけじゃないが、かなりのお洒落さんだな。

 この冬流行のファッションはこれで決まりだ! って謳い文句と共に見せられても違和感を感じないだろう。

 仕事の時とそう変わらん安物コーデな俺が言ったところで説得力ないけど。

 

 あ、俺がイッシーの二十歳の誕生日に買ったイヤリング。今日つけていたのか・・・・・・こういうの最初に会った時に気付くのがイケメンの条件なのかね~?

 

「大丈夫ですよー。こう見えても私、鍛えてますからー」

「あっ、それ」

 

 鬼の代名詞! 俺が言う前にとられた!?←メタ

 

「でも心配してくれて、気持ちだけでも嬉しいですー」

 

 も~嬉しそうにニコニコしちゃってぇ・・・・・・しょうがない、今日は許す!(何様)

 

「・・・・・・街には色々な人がいますねー」

「ん? そりゃ街、だからな。人がいてこそだろ」

 

 それぞれの店や会社で働く大人、友達と一緒に遊んだり勉強したりしている子ども、杖をついて道を歩く老人――――――etc.

 色々な人がいて、共に支え合っている。一人一人が街という箱に入ったかけがえのない大切な存在だ。

 大事な宝物がたくさん入ることで、ただの箱は『宝箱』になる。

 そこに人がいなくちゃ街は空虚な箱さ、ってのはどこで聞いたかわからんくさい台詞だが・・・・・・言い得て妙だな。

 

「この街に住んでいる人達、いやもっと多くの人達の生活をサバキさんは守ってるんですよねー」

「・・・・・・大袈裟だっての」

 

 俺なんかまだぺーぺーの新人だ。

 ヒビキさんみたく経験豊富で強いわけじゃない。

 イブキさんみたく名門としての責務を負っているわけじゃない。

 トドロキみたいな熱意と受け継いだ遺志があるわけでもない。

 

 俺は、俺にできることがこれぐらいしか・・・・・・『戦うこと』しかないからやっているだけだ。

 

「それは・・・・・・悪いことなんですか?」

「・・・・・・・・・・・・」

「私はそんなサバキさんを「おおっとぉ!?」

 

 俺は派手にズッコケた。

 歩道を塞ぐように横向きに。

 

「す、すみません!」

 

 そこにゴロゴロと果物の雪崩が・・・・・・グヘっ!? しかも顔面直撃かよ・・・・・・。

 

「いや良いっすよ。あ、イッシーは後ろのおばさんを頼む」

 

 俺は服についた土汚れをはたきつつ、果物を拾う。

 イッシーには後ろで混乱している白い杖を持ったお婆さんのフォローを任せる。

 

 果物を拾い終わる頃にはお婆さんも状況を把握したことで落ち着き、去り際に感謝を述べて俺達に笑顔で会釈したあと先に行った。

 

「しかし随分と汚れちまったな・・・・・・」

 

 運悪く、昨日降った雪が溶けて路面が濡れていたのだった。

 しかもさっき通りすがりの小学生トリオに「あのおっちゃん泥んこだ」「となりの姉ちゃんヤベーイ美人」「ドロタボウと美女だ」とか指さされて言われた。

 おっちゃんて・・・・・・まだ俺26やぞ? 二人目は良いだろう、その意見には俺も同感だ。問題は・・・・・・おい、三人目。うまいこと言ったつもりか? 誰がドロタボウやねん季節外れだわ!(ツッコミ所そこかよ)

 

「酷い目にあった」

「災難でしたねー」

 

 こんな格好じゃカップル・リア充の巣窟と化したカフェには入れないな。

 ちぇ、トドロキをからかうネタ手に入れ損ねた。

 

 それにわざわざ紹介しようとここまで案内してくれたイッシーにも悪い事しちまった。

 あー、なんつーか、そー思うと・・・・・・スゲーへこむわ・・・・・・。

 

「元気出してくださいよー、サバキさん」

「あ、いや俺は大丈夫だから。それより」

「それじゃあ服買いに行きましょー」

「ファッ!? 服!? 服買うナンデ!?」

 

 どこの思考回路がコネクトしてそうなったし!?

 

「レッツゴー!」

「おーい! イッシーさん!? 聞いてますか~!?」

 

 俺は華奢そうに見える外見に反して思ったより強いイッシーの手に引っ張られながら服屋とは呼べない、アパレルという呼び方が相応しい店に連行されていった。

 

 

 

 でも力強さと裏腹に、イッシーの手は女の子らしく柔らかかった。

 久しぶりに触れた女の子の手に、俺は少しドギマギした。

 だが、そこで女の子の手を握る機会なんてロクに無かった自身の青春を思い出し、ちょっと泣きたくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時刻は夕方。午後5:30。

 

「ええーと・・・・・・本当に服代払わなくて良かったのか?」

「いいんですいいんですー」

 

 なんか凄いお洒落なのが逆に落ち着かない。

 しかも上下セットでコーデされていたヤツだ。

 馬子にも衣裳感が凄いのなんの。

 

 アパレル店員の人が終始こっちチラチラ見てて落ち着かなかったし。

 ヒモ男と誤解されてないだろうか。

 それで俺が何か損するってわけじゃないが、その、男の沽券に関わるというか・・・・・・。

 

「心配しなくても似合ってますよー?」

「いやそうじゃなくてな・・・・・・ってここは」

 

 いつの間にか『たちばな』の前に来ていた。

 なんだ? 幻術の類か?

 

「石割樹、サバキ、ただいま戻りましたー」

「へ? ちょ待っ、イッシー!?」

 

 俺がボケをする暇を与えず、イッシーは店内にさっさと入ってしまった。

 それを追って俺も店内に「「「「「お誕生日おめでとう!!」」」」」「え?」

 

 幾重にも重なるクラッカーの音。

 それと同時に祝福の言葉が俺に投げかけられる。

 店内にいたのはおやっさん、立花姉妹、トドロキ、そしてイッシーの五人だった。

 

「ああ、そうか。今日、俺の誕生日だっけ」

 

 この服が誕生日プレゼントってことか・・・・・・流石イッシー。粋な贈り物だ。

 

「はい、これお誕生日プレゼントでーす」

「ええぇ!? この服じゃないんかい!?」

 

 なっ!? しかもこれは・・・・・・!!

 

「俺がずっと欲しかった低反発(マクゥラ)っ・・・・・・!!」

「『鬼』の人達と『たちばな』、みんなからのプレゼントですよー」

 

「そうか・・・・・・みんな・・・・・・ありがとう」

 

 嗚呼、誕生日プレゼントなんて、何時ぶりだろうな・・・・・・。

 なんかもう誕生日とクリスマスごっちゃにされてプレゼント一纏めにされた記憶しかないや。

 

 おっといけねぇ、なんか湿っぽくなっちまうな。

 折角みんなが祝ってくれてるんだ。

 スマイル、スマイルっと。

 

「え? サバキさん、泣いてるんっすか?」

「ち、ちげーよトドロキ! お前の無駄に熱い熱気が目に沁みちまったんだよ!」

「え!? ええええ!? す、すみませ~ん!」

「違いますよトドロキ君! それサバキさんの照れ隠しですよ!」

 

 あーあ、やっぱりトドロキは面白れぇ~な~・・・・・・おのれリア充! 末永く爆発しろ!

 

 それにしてもサプライズなんておやっさんも人が悪いなぁ。

 

「はは、まぁ確かに色々手を回したのは私だけど、提案したのは私じゃないよ?」

「? じゃあ誰が?」

「わかっている癖に。君も隅には置けないねぇ?」

 

 ああ、はいはいわかりましたから肘で小突かないでくださいよ。

 それにしてもこのおやっさん、ノリノリである。

 

 ふぅ・・・・・・改めてお礼言うのは恥ずかしい、が。

 

「ありがとうな、イッシー」

「27歳の誕生日、おめでとうございます。サバキさん」

 

 俺、音撃戦士・裁鬼ことサバキは、

 手先が器用で、

 人間関係が不器用な、

 他の『鬼』よりタフなことが取り柄の、

 サポーターの石割樹に頭が上がらない。

 

 そんな鬼だった。




 余談ですがみなさん、道を歩く白杖を持った人を見かけたら気にかけてあげてくださいね。
 そして点字ブロックの上に何かを置いたり転がしたりしないように。
 サバキさん(27)との約束だっ!
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