あのすみません。俺のシフトだけ週7になってるんですけど、記入ミスですよね? ・・・・・・え、合ってる? 作:鯛焼きマン
それはーそれとーして(デビルマンmad風)
今回は
余談ですが、
トドロキくんは肉体・属性どっちもバランスよく強いタイプ。
イブキさんは肉体よりかは属性攻撃が強いタイプ。
ヒビキさんは肉体・属性どっちも高レベルにクソ強いタイプ。
というのが個人的なイメージです。
ちなみに本作サバキさんは肉体そこそこ、属性攻撃がクソ雑魚ナメクジなタイプ。
※属性(攻撃)=『鬼幻術(口から火を噴くヤツなど)』とか『鬼闘術(風を纏う蹴りのヤツなど)』のこと。
音撃戦士・裁鬼こと
しかしその弟子は同時期に音撃戦士・斬鬼の下で『鬼』の修行を始めた
その弟子の名は
斎藤悟。
己の肉体と属性(攻撃)に限界を感じ、悩みに悩み抜いた結果、
彼がたどり着いた
中卒フリーターとして自堕落に生きていた自分自身を真人間に育ててくれた『猛士』の人達への限りなく大きな恩。
自分なりに少しでも返そうと思い立ったのが、
毎朝1000回、感謝の猛士式鬼蹴。
猛士式鬼蹴。
音撃でしか倒す方法がない魔化魍相手ではあくまで繋ぎ技に過ぎず、音撃でなくても倒せる童子・姫相手では鬼闘術・鬼爪などの方が致命打になりやすいのであまり使われない技。
一応全ての『鬼』が必ず習う、必修科目的なものだが普通の蹴りと混同されて普段は特に注目されない技。
ただし、音撃戦士が使う『鬼闘術』に繋がる、全ての技の基本となる技。
そして、その名の通り『猛士』と『鬼』の象徴たる技。
簡潔にいうと剣道における素振り、空手における正拳突きに近い。
「それに
まだ日が昇っていない早朝。
ジャージを着て、近くの(『鬼』の修行場として提供されている)神社へ
大樹の木の枝に、的代わりのハンドボールサイズのサンドバッグを(地面から5m辺りに)吊らす。
靴を脱ぎ、裸足となる。
サンドバックを吊るした木を背にして、拝殿の前に立つ。
そして、
気を整え
↓
拝み
↓
構えて
↓
走り
↓
跳び
↓
蹴って
↓
落ちる(砂利で足裏が痛い)
一連の動作を一回こなすのに当初は約10秒。
1000回蹴り終えるのに、初日は2時間以上を費やした。
「気付いたら朝日が出てる・・・・・・帰ろ」
ノルマを終えれば(境内を軽く掃き掃除してから)帰って
次の日も、起きればまた蹴るを繰り返す日々。
それは季節が移り替わっても続いた。
日照りの春も、
寒さの夏も、
読書の秋も、
吹雪の冬も、
―――――・・・・・・一日も休まず、彼は蹴り続けた。
1年が過ぎた頃、異変に気付く。
1000回蹴り終えても、まだ日が昇っていない。
齢26を越えて、完全に羽化する。←やっと変身体になれるようになった
感謝の猛士式鬼蹴、1000回・・・・・・1時間を切る。
かわりに、
斎藤と樹の出会い・・・・・・正確には出会いと言っていいのかわからないが、初めてその姿を見たのは『感謝の猛士式鬼蹴』を始めた、その初日だった。
彼女は、たまたまこの神社を飼い犬の散歩ルートに使っていただけの通りすがりだった。
斎藤は彼女の存在に気付きつつも蹴るのに集中し、彼女の方も挨拶代わりに会釈しただけで斎藤に興味を示さなかった。
(うひゃっ!!? ななななにこんな時間に人?! オバケ?! って、なーんだ犬の散歩かよ~・・・・・・な、なんつーか、可愛い子、だったな。ああいう子を癒し系っていうのかなぁ・・・・・・っじゃなくて! 今は特訓中ダロぉ!? 集中集中!!)
誰もいないと思った早朝に林の陰から現れた人影を見た斎藤が(直前まで蹴るのに夢中で周りを見てなかったのもあって)内心かなり驚いていて、色々な意味で動揺していたのは(たぶん)彼だけの胸に秘めた秘密である。
何はともあれ、最初に声をかけたのはやはりというか樹の方からであった。
斎藤に当時のことを聞いたなら「いや俺は特訓中だったから他の人に話しかける余裕なかっただけだし~?」とか言い訳しそうだが、美人に自分から声をかける気概など元から彼にはない。
「こんにちはー」
「こ、こんちは」
「あれー? 今は朝だからおはようございます、ですかねー? それとも日が昇ってないからこんばんはー?」
「ん? それは・・・・・・どうなんだろう」
最初の会話からして二人はこんな感じだった。
石割樹が妙なタイミングで唐突に質問して、斎藤悟はそれに対して学が無いなりに考える。
ここで樹のことを「変わり者の不思議ちゃんだな」と思った斎藤が、藪から棒の彼女の話を真面目に取り合おうとしなければその場で終わっていた関係。
そもそも樹が気まぐれを起こして『誰にも
刺激的でも劇的でもないがある意味、運命的な出会いであった。
斎藤が特訓を初めてから半年が経って1000回を終わらせるのが少しだけ早くなった頃から、初めは挨拶ぐらいしかしなかった二人も(世間話程度だが)よく話すようになっていた。
「あ、おはようございますー、
「おはよう、
二年も経った今では、毎朝特訓後に談笑するのがすっかり日常となっている。
「く、クロワッサンに食われる?!」
「あらあらー、この子ウチで出すご飯しか食べないのにおかしいなー? うーん」
「うーん、じゃなくて早く助けて石割さん!?」
クロワッサンというのは樹の飼っている超大型犬・グレートピレニーズの名前(名付け親は当時八歳の彼女)だ。
あと、斎藤は本当に食べられているのではなく成人男性を押し倒せるほどの巨大な体躯(グレートピレニーズはもともと家畜の群れをクマやオオカミ等の略奪者から守る護衛犬)の彼にじゃれつかれているだけである。
「大人しくて人見知りなこの子がウチの家族以外にここまで懐くなんてー、斎藤さん凄いですねー」
「いや普通に格下だと思われて舐められてるだけじゃね?」
事実、物理的にめちゃくちゃ顔を舐められていた。
「そうなんですかねー? あ、でも格下に見られるのもある意味才能じゃないですかー? ほら、言うでしょ? 能ある鷹は爪を隠すってー」
「周りから侮られれば、嫉妬やら過度な期待やらを向けられなくて不必要な争いを回避できるってことか? それは実際に才能がある奴なら当て嵌まるだろうけど、マジで無能な俺じゃ醜い言い訳も良いとこだろ」
「斎藤さんはやけに自分を過小評価しますねー」
「妥当な評価だっての。でも、無能だから鍛えるんだ。鍛えて鍛えて・・・・・・これが俺だ! って自慢できる自分になるために」
斎藤は自分の夢を語った。
彼は生まれた瞬間から恵まれない人間だった。
才能もなければ運もない、実の親からすら期待されない不遇の人生だった。
そして、愛を知らない『少年』は罪を犯した。
彼は
だが彼は『
そこで初めて彼の命は火を灯し、燃え始めた。
救われない自分を、自分のままで、
誰も知らない覚悟だが、その胸に確かに宿る覚悟だった。
「石割さん? どうしたんだ?」
「私は・・・・・・いえ、なんでもないですよー?」
しかし、樹にはそんな斎藤の気持ちがわからなかった。
彼女は今まで『身を削るほどの努力』などしたことがなかったから。
やりたい、と思ったことは少し頑張れば何でも卒なくこなせてきた。
勉強も、運動も、芸術も、
友達作りだけが少し難しかったが、それも彼女が
彼女にとって本当に心を許せる友人は、高校生の頃に兄と『吉野の里』に行った時に会った同年代の黒髪が綺麗な少女ただ一人だけだ。
彼女は才能のない斎藤とは違う、挫折を知らない天才だった。
「あの~、そろそろクロワッサンをどかしてくれると嬉しいんだけど~?」
「あ、すみません。クロワッサンー?」
クロワッサンは
そのお利口っぷりはいいが、あまりに淡白な態度に彼はちょっぴりいじらしい気分になった。
「なんか最近元気なさそうだと思ってたけど、今日はやけにテンション高いな」
「あははー、この子ホントに斎藤さんが好きなんですねー」
「めっちゃ警戒されてたけどな。一年間ぐらいずっと」
「それを言うなら斎藤さんだって、数ヶ月前まで頭を撫でるだけでもおっかなびっくりって感じだったじゃないですかー」
「だって体おっきいし。むやみに噛みつかないと分かってても流石にな? 身構えちまうよ」
見た目こそ白を基調に薄い茶色がかかったモフモフの美しい体毛を持ち、たれ耳で穏やかな表情をしているグレートピレニーズ。
だが犬種としての彼らは、狼に近い。
気品が有りおっとりとした穏やかな性格に見える外見とは裏腹に、俊敏で勇敢。広大な牧場を任される牧場犬であった彼らは、時として主人の命令なしで自己判断を下せるほどの知性も持ち合わせている。
されど
その気高き血統を証明するような堂々として優雅な佇まいから、かの有名なルイ14世やマリー・アントワネットも寵愛した高貴な犬でもある。
「たしかマカモウ? の方がずっと大きくて凶暴ですよねー? 『鬼』を目指してる人がそれで大丈夫なんですかー?」
「対処法が『遠慮なくぶっ飛ばす』で良い魔化魍とは勝手が違うんだよなぁ・・・・・・」
斎藤にとって魔化魍は『殴れる自然災害』。
樹にとって魔化魍は『家族が所属する組織が対処している妖怪みたいなもの』。
樹は兄が『鬼』と呼ばれる実働係の人のサポーターをしているのは知っていたが、
「それじゃ斎藤さん、『鬼』の修行頑張ってくださいねー」
「おう、じゃあな石割さん、クロワッサン」
「ぷふっ・・・・・・『さん』並びがっ・・・・・・」
「クロワッサンの名付け親のアンタがツボるなよ! 言った後で気付いて噴き出すの我慢してたのにっ!」
とりとめのないことを話して、くだらないことで笑って、しばらくしたら樹が帰る。
いつも通りの日常だった。
ただ、その日常をいつも傍で見ていた
「クロワッサン?」
斎藤と別れて帰路につこうとしていた樹は、彼の夢の話のことを思い出していた。
自分と斎藤を比較して罪悪感に似たものを感じて落ち込んでいる彼女の傍に、クロワッサンは静かに寄り添う。
「・・・・・・いつもありがとう」
樹は自分の気持ちを察して慰めようとしてくれた彼を、そっと抱きしめた。
主人を支える忠犬と、その忠犬を家族の一員として愛する人。
その一匹と一人の関係を遠目に見ながら、斎藤は自分の胸の奥が温かくなるのを感じた。
その日が、斎藤がクロワッサンを見た最後の日だった。
土砂降りの雨が神社の屋根を激しく打ち、降水のベールが視界を覆う。
そんな最中も斎藤はいつも通り『感謝の猛士式鬼蹴』を行っていた。
「・・・・・・石割さん来ねぇなぁ」
しかし『いつも通りでなかったこと』が一つ。
きっちり1000回終わらせても、樹が来なかったことだ。
「って、この雨じゃ当然か」
そうわかっていても彼が彼女の事が気になっているのには理由がある。
「気付けばもう一週間も会ってないな」
それまで斎藤の『感謝の猛士式鬼蹴』と同様に、毎日欠かさずクロワッサンの散歩をしにこの神社に寄っていた樹が一週間前から来なくなっていたのだ。
無論この二年の間でも来ないことは何度かあったし、二・三日ぐらいなら「そういう日もあるだろう」「何か予定があったのだろう」と思えるが流石に一週間も経つと心配になってくる。
「サバキさんの
樹が『猛士』の関係者で『裁鬼』のサポーターをしている石割の妹だということは、この二年間の会話で知っていた。
だが斎藤に「あなたの可愛い妹と毎朝会ってまーす☆」とか自分から言う勇気も図太さも無かっため、サポーターの石割(以後、石割兄)に彼と樹が毎朝会っていることは言っていない。
石割兄の方から言及されたこともないため、樹も斎藤のことは家族に話していないのだろう(と斎藤は推測している)。
別にやましいことをしているわけではないが、わざわざ話す必要も無いと斎藤は思っていた。
しかしそのまま事を先送りにして彼女と秘密の付き合いをしていたのが仇となって、サバキとの修行中に何度か彼女の近況を石割兄に聞けるタイミングがあっても聞けなかった。
「・・・・・・帰ろ」
だからといって、ここで考え込んでいても時間の無駄だ。
どうしても気になるなら今日の修行の合間に石割兄に直接聞けば良い、と結論付ける。
(ってか、まだ正式に『鬼』になれたわけでもないのに女の子とおしゃべりを楽しもうなんて、俺ってば気持ちが
一人で自戒しつつ、境内にある小屋(あらかじめ住職に許可は取っている)で雨と汗で濡れた服を着替える。
傘を差し、神社の階段を下りる。
薄っすらと苔が生え、雨に濡れた階段をゆっくりと下りていく。
昨日の晩から降り続いている豪雨は、未だ止まない。
(・・・・・・そもそも俺なんかが、あんな
話すだけで、近づくだけで―――――
自分の
それでも自分を変えようと・・・・・・
「でも結局、俺は、あの時から何も・・・・・・なんだ?」
階段を下りたところで、斎藤は妙な光景を目にする。
チンピラ風の男二人組が、若い女性を車内に無理矢理つれこもうとしていた。
(ハイエース!? っとか言ってる場合じゃねぇっ!!)
斎藤は我に返り、十数m先にある誘拐現場へ向けて駆け出す。
「なにやっとんじゃコラぁアアアアアアアッ!!ぶちかますぞ糞餓鬼どもぉオオオオオオオオオオオオッ!!?」
『や』の付く職業の人を意識した怒号をあげながら、土砂降りの雨を突っ切って全力疾走。
ついでにポケットに手をつっこんで「ここになんか仕込んでますよ~?」アピールもしておく。
「ひぇっ!? な、なんだぁ!?」
「なんか知らねぇけどヤベぇ?! おい、逃げるぞっ!」
豪雨と日の出前の暗闇で遠くがよく見えないのも相まって、下手人の男達は声を聞くだけで何事かと震えあがる。
さらに自分達の方に向かってくるヤバ気な(雰囲気を出している)人を見た男達は女性を諦め、ほぼ反射的に逃げ出した。
男達を乗せた車が遠くに行ったのを確認した後、斎藤はほっと一息つく。
(
見栄を張ることばかり上手い自分を嫌悪するのもそこそこに、斎藤は女性の方へ振り返る。
年齢は20歳前後。
服装はブラウスにロングスカートと、カジュアルながら育ちの良さを感じさせる上品なもの。
しかしこの雨の中を傘を差さずに歩いていたのか、綺麗に整えられたロングヘアーも上品な服もびしょ濡れだった。
「あー、えーと、大丈夫か? どっか怪我とかしてない?」
斎藤はさっきとは真逆に、できるだけ表情を柔らかく、相手を安心させようと優しい語調で話しかける。
だが相手は俯いたまま、何も反応を示さない。
「(この子までビビらせちまったかな・・・・・・)と、とりあえずこのままじゃ風邪ひいちまうし、どこか雨宿りできる所「さい、とうさん?」・・・・・・え?」
「石割さん?」
「おひさしぶり、ですね。斎藤さん」
普段とあまりに様子が違う所為で気付かなかったが、誘拐されかけていた女性は石割樹だった。
いつも彼女を守っていた