Fate/Sprout Knight   作:戯れ

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バトルの方が筆の進みが良い…イチャラブも書きたいのに…





後日談―序列決定戦①―

 二つの剣が打ち合う音が鳴り響く。

 

 小太刀二刀を手に果敢に攻め立てる衛宮士郎。

 それを受け止めるのは大太刀を両手で握った間桐慎二だ。

 

「はあッ!」

 

 士郎は手数の多さを生かして間断なく自らの剣を叩きつける。

 さながら絶え間なく吹き付ける強風のような士郎の剣は、慎二に一切の反撃を許すまいとどんどん苛烈さを増していく。

 しかしそれに対して慎二は、一切動じずにそれらの全てを受けきる。

 その在り様は高くそびえたつしなやかな竹のよう。鍔に近い位置で受け、剣先を使って弾き、時には体を半身だけずらすことで衝撃を流し、最低限の動きで堅実に士郎の攻めを掻い潜っていく。

 

 だが、それも徐々に追いつかなくなっていく。

 速度を増していく士郎の剣は慎二の防御を崩し始め、剣の交差する位置が少しずつ慎二の体へと近付いていった。

 そしてとうとう、慎二の剣は士郎の攻めに耐えかねて剣先が地に向けられる。

 

 ―――いける!

 

 これを好機と取った士郎は、大きく踏み込むと同時に両手を高く振り上げて必殺の一撃を放とうと構え―――

 

 ―――にやりと笑った慎二の姿に、これが誘いであると気づかされた。

 

 振り下ろされた剣にもはや止まる術はない。

 これに慎二は、『意図的に遅くしていた』自らの剣、その本来の速度を解放し、切り上げの軌道で以て士郎の二刀を同時に払う。

 

「っ―――!」

 

 たまらず体勢を崩した士郎から慎二は距離を取る。

 そして構えるは、彼が取り込み模倣した剣士の秘奥―――

 

 

 

偽・燕返し(つばめがえし)

 

 

 

 放たれたのは、目にもとまらぬ高速の三連閃。

 

 一振り目、袈裟懸けの軌道を描いて小手を狙って放たれ、士郎はその手に持つ小太刀を取り落とす。

 二振り目、振り下ろされた位置から返す刀で切り上げられた一閃が残ったもう一太刀を捉え、それを握る手から弾き飛ばす。

 三振り目、二振り目の勢いそのままに大上段に構えられた剣から、無防備な士郎めがけて最後の一撃が振り下ろされ―――

 

 

 

 

 

「………参った」

 

 目と鼻の先で止まった木刀の剣先を前に、士郎は降参の意を示した。

 

 

 

 

 

 

「くそ、イケると思ったのに…」

 

「馬鹿が。衛宮なんかが僕に勝とうなんざ十年どころか百年早い。『イケる』と思ったんならその時点で僕の掌の上だって気付け馬鹿」

 

「そんな馬鹿馬鹿言わなくたって…」

 

「実際馬鹿だろうが。お前は馬鹿正直すぎるんだよ、もっと駆け引きってものを覚えろっての。違和感を抱かせない程度に少しずつ剣速を遅くしてたのにも気づかなかったし、そうして感覚を誤魔化したところに付け入れられそうな隙をワザと作ったら喜び勇んで飛び込んで来やがって…」

 

「………」

 

 ぐうの音も出ないとはまさにこのこと。

 これでもセイバー仕込みの剣はそれなりだと自負していた―――勿論、セイバー自身に勝てたことなど一度もないが―――のだが、慎二と立ち合う内にその自信もぽっきり折られてしまった。

 ちなみに、これで立ち合いは三度目。戦績は俺の全敗。

 俺はずっと小太刀二刀だったが、慎二は立ち合いの度にそのスタイルを変えていた。

 

 一戦目に使ったのは槍。慎二がこの聖杯戦争で実際に使ったという紅の槍…を元にして投影したという細長い棍棒を手にした慎二と戦った。

 俺のそれとは違い、強度も大したことはなく十分もすれば消えてなくなる、程度の低い投影だった…らしいのだが、それでも十分だった。

 試合時間は限界時間の半分である五分。道場内を縦横無尽に走り回る(文字通りに、床も天井も関係なくだ)慎二に追いつけなかった俺は、背後を取られて背中のど真ん中を棍棒の先で思いっきりど突かれて終わってしまった。

 

 二戦目は更にどうしようもなかった。

 振るうのも難しいだろうという大剣(これは俺も見た事があった。バーサーカーが手にしていたものだ)を投影した慎二は、開始と同時にその斧剣を両手で握って横なぎに切り払った。

 その威力は防御した俺をその防御ごと打ち払うもので(元のままでは流石の慎二も振るえないのだろう、中身を完全には投影していなかったのか重量は見た目ほど常識外れではなかった。それでも十分すぎるほどだったのだが)、あえなく俺はワンパンノックアウト。

 

 そして太刀同士ならと臨んだ三戦目の結果もご覧の通り。

 相変わらず、俺が慎二に何かで勝ること何一つなかった。

 

「はぁ………」

 

 必ず追いついて見せる。

 初めて会った時に、そんな決意を抱いて早数年。

 いつまでも遠い友人の背中に、追いつく日は来るのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 ―――ったく、無様だなぁおい

 

 溜息を吐く衛宮を前に、内心でそう『自嘲』する。

 

 衛宮は僕に戦闘で負けたことでなにやら落ち込んでいるようだが、それは致し方ない事だ。

 あの英雄王との戦いで、総計4人の英霊の霊基を取り込んだ僕は、肉体のポテンシャルも戦闘技術も衛宮とは隔絶している。

 アーチャー・エミヤにセイバーの適性がない事からもわかるように、衛宮士郎に戦う才能は『無い』。

 にも関わらず、先ほどの戦いでは随分と綱渡りな戦いだった。もし衛宮が剣士としてもう少し成熟していれば、もしくはその精神が老成していれば、結果は分からなかっただろう。

 

 そも、衛宮士郎とは『戦う者』ではない、『創る者』だ。

 投影…のように見える刀剣作製こそが衛宮士郎の能力であり、それを可能とする内に秘めた精神世界、固有結界こそが衛宮士郎の本質。

 もし魔術もありのルール無用の戦いであれば、条件次第では衛宮にもいくらでも勝ち筋がある。

 

 衛宮の努力故か、僕の怠慢か。

 

 表向き、衛宮へは嘲笑を向けながら、僕は更なる研鑽を積むことを決意するのだった。

 

 

 

 

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