ひこうじょう ツチノコ視点版   作:くにむらせいじ

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 まえがき

 くにむらせいじ (SEY_Y)or(SAY_Y)です。
 相変わらず変な書き方をしています。読みづらかったらごめんなさい。

 このテキストは「ひこうじょう(通常版)」(三人称視点)をツチノコ視点(一人称視点)に変換したものです。筆者の練習、実験の意味合いが強いテキストです。
 
 第1話のあとがきに、オリジナル設定が書いてあります。飛行機の設定画があります。



第1話「いつか」

 黒い巨大セルリアンとの戦いを終え、オレたちはかばんたちを島の外へ送り出すための準備を進めていた。バスを水陸両用に改造する計画だ。うまくいきそうだが若干の不安もあった。もう一つの案があってもいいだろう。思い当たることがあった。

 

 海岸にある飛行場。そこにある建物は、島の遺物の中でもあまり調査していなかったものだ。建物の大きな扉は、以前調査したときには開かず、内部の調査は行わなかった。おそらく内側から固定されているのだろう。オレのピット器官では「中に何かある」程度しかわからなかった。どこか入れる場所がないか探した。建物のわきに、小さなドアがあった。

 扉のレバーをガチャガチャといじってみたが、開かなかった。ここもダメか……ダメもとで力いっぱいレバーを下げた。バキッと音がして、ドアが少し開いた。壊しちまった……潮風で傷んでいたのかもしれない。

 内部に入ると、想像以上のものがあった。巨大な鳥のようだが、明らかにヒトが作ったものだと分かった。中央部分はバスのようにヒトが入れる構造になっていた。図書館の本で見たことがある。これは、飛行機だ。羽根車、これは確かプロペラと言ったな。それが左右の翼に一つずつ付いていた。

 

 建物の内部と周囲を簡単に調査した結果、次のようなことが分かった。飛行機の状態は比較的良好で、消耗部品の交換と機体の調整を行えば飛ばせるかもしれないこと。本棚に残されていたたくさんの本に、飛行機の整備の方法や、整備の記録が書かれているらしいこと。棚や箱に、よくわからない部品や工具がたくさんあること。建物の外のタンクに燃料が残されているらしいこと。この大きな建物に繋がっている塔は、飛行機の離着陸を見守るためのものと思われるが、そこにある電子機器などは作動しないこと。

 

 バスの改造と平行して、飛行機を飛ばせるように整備してみようと思った。

 

 調査を進めると、考えが甘かったことに気づかされた。飛行機は、ヒトの作った遺物の中でも高度なものだ。コックピットは複雑で、エンジンをかけることも電源を入れることもできなかった。ピット器官で内部を透視しただけでめまいがした。一部のカバーを開けてみたが、何がどうなっているのかさっぱりわからなかったうえに、傷んでいる部品が所々にあるようだった。まず本棚に残されていた整備マニュアルと整備記録を解読しなければならなかったが、ほとんど読めなかったし、理解できなかった。専門的な知識と技術があるヒトでなければこれを飛ばすことはできないだろう。オレの手に負える代物ではなかった。

 

 かばんたちの出発の日が迫ってきていたが、オレはまだ諦めきれず、どうにかできないかと、図書館で飛行機について調べ、格納庫で飛行機をいじる、を繰り返していた。

 そんなある日のこと、オレはいつものように格納庫で飛行機をいじっていた。オレは、フードの上から焦げ茶色のカウボーイハット(ソフトハット) をかぶり、茶色のレザージャケットを羽織っていた。いつもの下駄ではなく、茶色のブーツを履いていた。昔見た映画の、主人公の恰好だ。格納庫にあるロッカーに、なぜか一式入っていた。せめて気分だけでも、と着てみたらけっこう気に入った。それに、下駄だとラダーペダルが踏みにくかった。

 

サーバル    「すっごーい、大きな鳥みたい!」

 格納庫に誰か入ってきた。今見つかるとまずい!オレは飛行機の陰に隠れた。サーバルと、かばん、か?

かばん     「真ん中の部分は、ちょっとバスに似てますね。ラッキーさん、これにヒトが乗って飛ぶんですか?」

サーバル    「えー、こんな大きいもの飛ぶわけないよ」

ラッキービースト「飛行機ガ、飛ブ仕組ミヲ解説スルヨ」

 

ラッキービースト「ココデハ無風状態ト仮定シテ解説スルヨ。エンジンニヨッテプロペラヲ回転サセルト、前ニ進ムチカラ、スナワチ推力ガ、生マレ、コノ推力ニヨッテ機体ガ前進スルンダ。機体ガ前進スルト、主翼ノ周リニ、空気ノ流レガ生マレルヨ。コノ空気ノ流レト主翼の断面形状ニヨリ主翼ノ上面ト下面ニ、気圧ノ差ガ生マレルヨ。コノ気圧ノ差ト、主翼ノ迎エ角ノ作用ニヨッテ機体ヲ持チ上ゲルチカラ、スナワチ揚力ガ生マレルンダ……」

 

 教科書通りの解説だな。しかし、あの声で長々と説明されると、頭が痛くなるな。

 

 ラッキービースト「……揚力ハ、機体ト空気ノ相対速度、スナワチ対気速度ガ早イホド、大キクナルヨ。機首ヲ上ゲテ主翼ノ迎エ角ヲ大キクスルコトデモ揚力ガ大キクナルヨ。機体ガ加速シ、必要ニ応ジテ機首ヲ上ゲ、揚力ガ、重力ヲ上回ルト、機体ガ、路面カラ離レ、飛行機ハ、空ヲ飛ブンダ。チナミニ、現代ノ多クノ飛行機デハ、主翼ニフラップト呼バレル揚力ヲ増スタメノ…………」

 

サーバル  「みゃみゃみゃ、みゃ……」

 サーバルが倒れた!

かばん   「サーバルちゃん!」

かばん   「ラッキーさん、もういいですから!大丈夫ですから!」

サーバル  「わたし、がんばりすぎちゃった。わかろうとしたけど、だめだった」

 無理に理解する必要はないと思うが……無茶しやがって……。

かばん   「サーバルちゃん、大丈夫?」

サーバル  「海の、むこう、かばんちゃんと、いっしょに行きたかったな……はっ……」

 サーバルが意識を失った……ように見えた。……海のむこうとか、いっしょに行きたいとか今言ったらだめだろ……サプライズが……。

かばん   「サーバルちゃん!」

かばん   「どうして、どうしてこんなことに」

 妙に芝居がかってるが、このまま放っておくわけにも……仕方ねえ、出ていくか。

ツチノコ  「何やってんだお前ら」

かばん   「ツチノコさん!サーバルちゃんが!」

ツチノコ  「深刻な状況には見えんがなー」

サーバル  「ううう、あたまが、いたいよ」

ツチノコ  「とりあえずちょっと休め」

 

 飛行機の後部座席に3匹が座った。サーバルとかばんが隣り合う席に、オレがかばんと向かい合う席に座った。

サーバル  「ツチノコ、さっきから気になっていたんだけど、その恰好なに?」

かばん   「僕も気になっていたんですが、なんか触れちゃいけないというか、聞けなかった」

 触れちゃいけないってなんだよ!そんなヤバイ恰好なのかオレ!

ツチノコ  「考古学者に飛行機っつったらこの恰好なんだよ!」

 オレは島の遺物を調べていただけで考古学者ではないし、あの映画は飛行機がメインの話ではないのだが、気分だ、気分。

かばん   「こすぷれってやつだね。でも、それならムチが必要なのでは?」

ツチノコ  「なんでお前はそんなこと知ってるんだよ!」

 ムチが見つからなかったんだよ!オレはしっぽを床にピシピシと打ち付けた。

かばん   「しっぽがムチの代わりなんだね」

 そういうことにしといてくれ……。

サーバル  「よくわかんないけど、なんか似合ってない気がするな。フードの上からぼうしをかぶるのも変だし」

 わかってるよ!言わないでくれよ!

サーバル  「フードかぶってると落ち着くんだよ!」

 フードはオレの頭みたいなもんだしな。

サーバル  「ツチノコはここで何してたの?」

ツチノコ  「例の改造がうまくいかなかったら、こいつを飛ばそうと思ってな」

サーバル  「知らないところでがんばってたんだね、ツチノコはやさしいね」

 お前はなんでそうまっすぐなんだ…………顔が熱い……。

かばん   「例の改造ってなに?」

 まずい!どう言うべきか……。

ツチノコ  「それは……そのうち分かるから気にするな」

かばん   「それで、飛ばせそうなんですか?」

 本当に気にしないんだな……飛ばせそう…か……。

ツチノコ  「キビシイなー。あちこち傷んでるし、操縦も難しい。飛ばせたとしても、飛行中にトラブルが起きたらおしまいだからな。あの映画みたいになっちまう」

サーバル  「やっぱり飛べないのか……」

ツチノコ  「あれには間に合わんかもしれんが、燃料はあるし、図書館で調べて、博士たちと協力して、時間をかけて整備すればいつかは……」

 

サーバル  「いつか、飛ばせるといいね」

 本当にそう思う…………あれ? いつの間にか飛ばす理由が変わってるぞ?

 

かばん   「そういえばあのヒト、ヘビが苦手だったよね?」

 ヘビがヘビ恐怖症のヒトの恰好を……。

ツチノコ  「…………」

 そもそもオレってヘビなんだろうか…………わからなかった。

 




 第1話「いつか」 あとがき オリジナル設定


 読んでいただきありがとうございます。
 
 「通常版」に無かった、「ツチノコが飛行機を発見して、飛ばそうと思い立った話」が書けましたが、だらだらと長くなってしまった気がします。ひとりごとはなるべく避けるようにしました。後半は一人称視点になりきれていない気もします。

 けもフレアニメ1期で、ツチノコは考古学者っぽいことをしていたので、インディージョーンズの恰好をさせよう、というところからスタートしたのがこのおはなしです。 趣味に走った結果、飛行機が中心のおはなしになってしまいました。
 私は飛行機が好きなだけの素人です。いろいろ間違っているかもしれません。


 使用機体の設定

 中古の ビーチクラフト キングエアC90(C90GT) に、ラッキービーストとリンクできる改修を施したものです。主にパークの職員の移動用に使用されていました。塗装は白と青のツートンカラーで、後部胴体側面とエンジンナセルに、けもフレのシンボルマークが入っています。垂直尾翼の右側には青緑色の羽、左側には赤い羽のマークがあります。
 コックピットはグラスコックピットではありませんが、計器の一部がディスプレイになっています。
 元々は3機あり、1機が島を去って、予備機が残され、残りの1機は本土の整備工場にあります。機番は、予備機がJA83JP、島を去ったほうがJA82JP、整備工場にあるのはJA81JPです。

↓こんな感じです。

【挿絵表示】
キングエアC90(C90GT) ジャパリパーク仕様

 本当は軍用機、戦闘機が好きなんですが、なぜこんな地味な飛行機を選んだのかというと、「ジャパリバスの飛行機版」にしたくて、「6~10人乗りで、扱いやすくて、小さな飛行場でも運用できて、比較的生産数が多く、現在国内で使用されていて、今後も使用され続けるであろう機種」を選んだ結果、この機体になりました。
 けもフレはファンタジーなんだから、オリジナルの飛行機でもいいじゃないか、とも思ったのですが、それだと映像を思い描くために「デザイン(設計)」をしなければいけないので、こうなりました。


 飛行場の設定

 公式設定では、多分飛行場は存在しないと思います(私が知らないだけで、実はあるのかも)。 この飛行場は海岸にあるという設定です。明確な位置の設定はありませんが、アニメ1期12話の、船が沈んだあたり(キョウシュウの東側?)に近いと考えています。
 ここの海岸に作られた理由は以下の通りです。
 ・フレンズのいる陸地の上を低空飛行するのを避けるため。
 ・島の中央部の山岳地帯への衝突、山岳地帯のおこす乱気流を避けるため。
 ・サンドスターの影響による気候や現象(強い日差し、強風、砂嵐、降雪など)を避けるため。
 ・長い平坦な土地が確保できるため。
 ・港に近いため。
 ・向かい側にゴコクエリアがあるので、波が弱い(かもしれない)ため。
 欠点は、潮風により設備や航空機が痛みやすいことと、津波が来たらアウトなことです。(防波堤はありますが、低いです。)
 滑走路は、海岸線に平行に走っていて、平坦な砂浜を利用し、少し海を埋め立てて建設されました。長さは1200mくらいです。滑走路番号は01/19です。 飛行場の位置が曖昧なため、海岸線と滑走路の関係がおかしいかもしれません。滑走路が短いため、ジェット機の運用は困難です。滑走路の海側に、簡単な防波堤があります。滑走路と平行にのびる誘導路は無く、エプロンと滑走路が直結しています。

 格納庫は、キングエアC90GTが2機入って少し余裕がある大きさです。ホイストがあります。格納庫裏の少し離れた所に燃料貯蔵タンクがあります(傷んでいましたが、中身は無事でした)。
 エプロン(駐機場)は小型旅客機(737クラス)が2機駐機できるくらいの広さです。
 管制塔は最小限のもので、格納庫と繋がっています。レーダーや無線設備もありますが、故障して機能していません。
 電源は、温泉の地熱発電や、太陽光発電が利用できました。

↓飛行場の設定画(地図)です。物の大きさの比率は、いい加減です。トラフィックパターンが書いてありますが、SS本編と矛盾するかもしれません。内容的に、この通り飛ぶ必要はないと思います。

【挿絵表示】

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