続・やはり俺たちのオラリオ生活はまちがっている。 作:シェイド
大体これくらいの文量でいきたい。
あーそれと、八幡を作品に突っ込む理由がないという意見をいただいたのですが、そんなの自分が書きたいだけという理由です。俺ガイルメンバーをこのような形でダンまち世界で絡ませたいと思っただけなので其処ら辺は指摘されても変えるつもりはありません。
私としては他者のために書いてるってわけじゃないので……どう評価されようと読まれなかろうと構いません。ただ見やすいからここで書いてるだけです。
それと少しお知らせ。知っている方もいるとは思いますが、前作「やはり俺たちのオラリオ生活はまちがっている。」の大改訂版を更新中です。
ところどころ変更している点がございますので、こちらの内容も変わっていく予定です。
結局行き当たりばったりで書いてるから改訂することになるんだよなぁ……。
「エイナさんから呼び出されるなんて……僕何かしちゃったのかな?」
【ヘスティア・ファミリア】所属のLv.1、ベル・クラネルはギルドの応接室に向かっていた。
オラリオに来たのもつい最近である彼は、まだまだダンジョンに潜り始めて一ヵ月経っていないかといったところ。
それでも、サポーターとして自身を支えてくれるリリとも改めて関係を持ち、いざこれから強くなろう……と言った矢先の呼び出し。
大して気が強くないベルは、恐る恐る応接室の扉を開ける。
その部屋には、自分の担当受付嬢であるエイナ・チュールと……憧れでありベルの懸想している相手、アイズ・ヴァレンシュタインの姿が。
「……」
「……」
綺麗な金色の瞳と視線を絡ませ、固まること数秒。
「え」
アイズが呟くと同時にベルは回れ右をし、一目散に逃げだした。
「べ、ベルくん!待ちなさい!」
「……」
(どうしてここにアイズさんが!?)
突然に出会うのはこれで三度目。神様のいたずらとでもいうのだろうか。エンカウントするタイミングが突然すぎてつい走り出してしまった。
ふと、後ろを振り返れば物凄い早さで走ってくるアイズの姿が。
(なんでぇ!?)
憧れの人が自身を追ってくるという事態にベルは困惑し、その一瞬のうちにアイズがベルを追い抜かした。
そして。
「―――いっっ!?」
ベルはアイズの胸元に頭から飛び込む形で止まるのであった。
***
(やっと……ちゃんと話せる)
アイズはこれまでの少年―――ベルとの邂逅を思い出しながら、嬉しく感じていた。
何度であっても逃げ出され、嫌われているのではとアイズは思っていたのだが、ベルの担当であるエイナより「そんなことないです!むしろぎゃ……ともかく、ヴァレンシュタイン氏のことをベルくんは嫌ってはいませんよ?」と伝えられたことで少しだけ安堵していた。
「あの、ヴァレンシュタインさんは、僕に何の御用で……?」
「……あの、これ」
「!」
アイズは意を決して声をかけ、先日拾ったプロテクターを差し出す。
「前に、10階層で拾ったんだけど……君の、だよね?」
「は、はいっ!ありがとうございます!」
顔を真っ赤にしながらプロテクターを受け取るベル。そんな彼をじっと見つめたアイズは、緊張を少しばかり感じながらも思い切って謝ることにした。
「ごめんなさい」
「え……?」
「私は、君を傷つけてばかりだから。『ミノタウロス』を取り逃がしたことで君をいっぱい傷つかせてしまった……だから、ごめんなさい」
「……い、いや!僕の方こそ何も考えないで下層に降りて行ったので……ヴァレンシュタインさんは全然悪くなくて!?ぼ、僕の方こそ何度も逃げ出すような真似をして……ごめんなさい!」
謝っていたのは自分だったはずなのに、どうしてか頭を下げられてしまった。
つられてアイズがもっと頭を下げたことで、ベルも頭を下げだす。
「…ふ、二人とも?それくらいでいいんじゃないかな?」
「「あ……」」
***
「ダンジョン探索、頑張ってるんだね?」
「は、はい!?」
とりあえず一件落着ということに落ち着いた後、アイズとベルは二人でギルドから出るために歩いていた。
「もう10階層に辿りついてて……すごいね」
「い、いえ!僕なんてまだ全然ですからっ!ヴァ、ヴァレンシュタインさんこそ凄いです!」
「アイズ」
「え……?」
「皆、私のことはそう呼ぶから。……君もそう呼んで」
「は、はいぃ!?あ、アイズ、さん……」
「うん」
またしても顔を真っ赤にしてしまったベル。
少しばかり嬉しい気分なアイズ。
周りの冒険者たちの視線を浴びる中で、二人は会話を続ける。
「あの……アイズさんは、どうやってそこまで強くなったんですか?」
「え…?」
「僕、強くなりたいとは思っているんですけど……その、ファミリアも僕しかいなくて、師事する相手もいないので、全部戦闘が我流なんです。まだまだだって本当に思うんですけど、アイズさんはどうやって……」
(強くなりたい……)
アイズはふと、赤髪の調教師、レヴィスのことを思い出した。
『アリア、59階層に行け。そこでお前の知りたいことが分かるはずだ』
59階層。
【ロキ・ファミリア】の最高到達階層は58階層。レヴィスの言っていたことも合わせると、少しでも強くなっておかなければならない。
そんなことを考えながら、隣で歩く少年を見る。
一ヵ月弱で10階層に辿り着いていた彼の強さの秘訣……それが知れたら、もっと強くなれるのだろうか。
「……私には、師匠がいた」
「あ、アイズさんに師匠が……?」
「うん。でも……今はもういない」
「あ……えっと」
「……もし、よければだけど」
「え?」
「私が、戦い方を教えてあげようか?」
***
「ぐぬぬぬぬぬぬっ」
「レフィーヤさん……」
「行きますよサリオンさん!アイズさんを尾行します!」
「どうして私まで……」
レフィーヤはまだ朝日が差し込んでいない時間帯に、偶然出会ったサリオンとともにアイズの後をつけていた。
ここ最近、アイズが朝早くから館からどこかへと行っているのだ。アイズが大好きなレフィーヤとしては見過ごせない事態であった。
……しかし。
「あれ!?」
「まかれちゃいましたかね……」
気づけばアイズが消え去ってしまう毎日を繰り返していた。
「……今度は相手方をつけてみましょうか」
レフィーヤに諦める気はさらさらないらしい。
そうして何時ものようにホームへと帰ろうとして、肩を掴まれた。
……そう、今日ばかりは一人ではなく、サリオンを無理矢理尾行に付き合わせてしまっていたことを忘れていたのだ。
「……」
「さ、サリオンさん?えっと、私は……」
「店に来ませんか?」
「その、ホームに戻らないと…」
「店に来ませんか?」
「……はい」
数十分後、とあるカフェで洗い物をしている涙目のエルフがいたことは、サリオン以外には知る由もなかった。
***
「うぅ~なんでこんなに洗い物が……」
レフィーヤは一人で朝から洗い物をしていたのだが、終わったのは昼少しまであった。
いつ客が来ていたのか、それともサリオンがため込んでいたのか……凶悪な洗い物の数々をレフィーヤは一人で対処していた。
サリオンはといえば、たまに来るお客さんに対しての対応や、ダイダロス通りで迷子になった子どもの案内、孤児院に食事を届けに行ったりと忙しそうに働いていたため、レフィーヤとしては洗い物をせざる得なかった。
朝から無理矢理尾行に着き合わせたとはいえ、なかなかに重い罰に、レフィーヤはいつもの定位置で机に突っ伏していた。
「はい、レフィーヤさん。今日はありがとうございました。お礼と言っては何ですが、紅茶とクッキーをどうぞ」
「ありがとうございます!」
先程まで死んだカエルのような目をしていたレフィーヤだったが、いつものメニューが目の前に置かれたことで目を輝かせて飛びついた。
そしてそれを見つめるサリオン。
……うまく飴と鞭を使われているような気がするものの、レフィーヤはそんな事など気にも留めずに、サリオンと雑談をする。
「あ、そういえばなんですが、あと5~6日後から遠征に行ってきます」
「おや、もうそんな時期ですか……都市最大派閥も大変ですね」
「でも、私はまだまだアイズさん達に追いつけないので……多分、50階層で居残り組に配属されると思います」
「50階層は安全階層でしたね」
「はい。もちろん少しばかりはモンスターも出現しますが、ほとんど来ないです」
レフィーヤは自分の不甲斐なさを理解している。
昨日、フィルヴィスに【ディオ・グレイル】の魔法を託されはしたものの、やはり足を引っ張ることになるであろうことは予想できていた。
まだまだ、憧憬の彼女たちとの距離は遠い。
「ですが、レフィーヤさんは魔力だけに限ればリヴェリア様に次ぐのですよね?ならば深層へのアタック時も砲台としての価値を見出されて、選抜隊に選ばれることもあるのでは?」
「ま、まぁ私は魔力だけは自信ありますけど……」
Lv.3の魔導士としては破格の魔力を持つレフィーヤは、その稀有な魔法もあり、並行詠唱が使えるようになるとすれば相当強力な魔導士として活躍が期待される。
……それが出来ないからベートにお荷物と言われてしまうのだが。
「……レフィーヤさんは同胞の魔法を使えるのですよね?」
「は、はい。詠唱を完全に暗記することと、効果内容を完全把握する必要がありますけど……」
「そうなのですね。なら、私も魔法を託しましょう」
「え、え?」
サリオンの言葉に衝撃を受けて頭が追い付かないレフィーヤ。
レフィーヤはサリオンが元冒険者であるということは知っているものの、どれくらいの強さでどのファミリアに所属していてどんな魔法を使うのかまでは知らない。
だが、このような機会は、おそらく今後訪れない。
レフィーヤはそう感じた。第六感のようなもので感じたのである。
「ダンジョンに行きましょうか。何、私も深層には行ったことがありますから心配しなくても死にませんよ」
「深層!?」
衝撃の事実を聞き、驚くレフィーヤとそれをニコニコと見つめているサリオンの姿がそこにはあった。
***
「私は【ヘルメス・ファミリア】所属のサリオン・フルーティ。Lvは主神の意向で言えませんが、大体はダンジョンに潜ることよりも都市外に出られることの多いヘルメス様の護衛をしております」
道理で知らない顔なわけであった。
レフィーヤはすでにルルネやアスフィらと知り合い、【ヘルメス・ファミリア】の大部分とは知り合っていると思っていた。
だがあの自由奔放な神ヘルメスがもし狙われることがあれば……ファミリア全体に大ダメージが及ぶ。
それでサリオンが護衛をしているというわけだ。
【ヘルメス・ファミリア】なら、冒険者であり喫茶店をやっているということも納得が出来る。イメージ的になんでも手を出してそうな感じだからだ。
「レフィーヤさんはどんな魔法がいいでしょうか?攻撃?それとも援護?多分どんな用途にも対応できると思いますよ」
「す、すごいですね……」
ダンジョンの5階層を歩きながらレフィーヤは隣で短剣を振るい、モンスターを片手間のように葬っていくサリオンを見つめる。
どんな用途にも使える魔法など万能すぎるのだ。そんな魔法、アイズの持つ【エアリエル】ぐらいのものだ。リヴェリアは、彼女だからこそ9つの魔法を使いこなし、どんな状況にも対応できる万能性があるが、あれは例外中の例外である。
攻撃、防御、回復。この三拍子を兼ね備えた魔導士はそんなぽんぽんといたりしないのだ。
「回復だけは魔法がないので、魔道具で代用していますけど……ああ、これあげます」
「ええ?!」
いきなりポンと渡されたのはとある魔道具。
見たことがない形状で、どのように使うのかも定かではないが……
「ここに、例えばポーションを注ぐと……」
「わあ!!」
ポーションが流し込まれた魔道具からシャワーのように降り注いでくる光。
サリオンがわざとモンスターから受けた傷が回復していくところを見て、レフィーヤは感嘆の声を漏らす。
そんなレフィーヤの様子にニコニコと笑いながら、サリオンは語り出す。
「私は【万能者】アスフィ団長と同じで発展アビリティの『神秘』を持っているのですよ。まあ、アスフィ団長が手掛けるのが戦闘を手助けするものや人間の可能性を広げるものだとすれば、私のは生活などで役に立つものが多いといった違いがあるのですが」
「そうなんですね!」
サリオンとそんな会話をしながら、こんな貴重なものをいただけないと返そうとしたレフィーヤだったが、「レフィーヤさんだけに特別にお渡しします。【ロキ・ファミリア】の遠征成功を祝って、ね?」と言われてしまい、結局受け取ることにしたのであった。
***
「はあ!」
「…まだまだ、だね」
「うわっ!?」
アイズとベルはオラリオの外壁の上で訓練をしていた。
内容はひたすら打ち合うこと。そして技と駆け引きを身に着けていくこと。
アイズはLv.6へと至り、ベルはまだLv.1。その能力差は歴然たるもの。
それでも、ベルはめげずにアイズに挑み続ける。
「もう一回お願いします!」
「うん、いいよ」
アイズはそんなベルが眩しく見えていた。
まだまだ技術は拙い。駆け出しからようやく抜け出せたような感じではある。
それでも……痛いほどに伝わってくる、強くなりたいと願う気持ち。
アイズが久しく忘れていた純粋な気持ち……それを、少年と触れ合うごとに感じていた。
ベルといるときは普段と色々と違って、新鮮な経験をすることが多い。
……昼寝の練習だけ、呆れられた気がするけども。
「そういえばアイズさん」
「……ん?」
「あの、【ロキ・ファミリア】のレフィーヤさんに今朝方追いかけられたんですけど……僕、まずいことしちゃいましたか……?」
「ううん、これは、私から提案したこと……多分、レフィーヤも、私と訓練したかったんだと思う」
「なるほど!」
「レフィーヤは今でも十分すごいけど……多分、まだ強くなりたいって思ってるんだと思う」
「すごいな~」
そんな会話が行われていたことは、レフィーヤには知る由もなかった。
***
「うわうわうわうわ~!!!超可愛いわ、この子!」
とあるオラリオ内の家で。
誰も知らない、否知られることのない顔合わせが行われていた。
「なるほど……ロードが言ってた方々か……中々素質有、それでいて良い心意気を持っているな」
男気溢れるような低い声の女性にそういわれ、その場を訪れた彼女たちは唖然とする。
「これが……
「
「きゃははっ、くすぐったいよ~!」
「決めたわ!この子は私の子どもよ!今決めた!」
空気読まずに思うがままに過ごす団長を除いた面々は、まだ慣れない様子で個々に言葉をかわす。
「……そなたはもしや…?」
「……お気づきになられますか。ゴジョウノ家の者よ」
「まさか、本当に
「ええ、そのまさかです。私は、我が主に一生ついて行くと決めましたので」
「……今なら故郷に帰ってもよいなぁ、あの塵共の顔を拝んで笑い飛ばしてやりたいわ」
ある者は見知ったものを見つけ、
「やっぱ寝取りって大事だよな」
「そうだな、今うちのロードの嫁争いだとお前らの団長と……そうだな、あの精霊が一番の候補だろうが……それを横からかっさらうつもりだ」
「おお、いい趣味してるじゃねえか」
「ははっ、小人族にもお前のような奴がいるとはな」
ある者は危ない会話をし、
「ねえねえ、うちの子になってよ!」
「えー、でも私には××××がいるから~」
「なら××××がお父さん、私がお母さんでどう?」
「それいいかも!!」
「「「ちょっと暴走しすぎ!!」」」
テンションが上がり続けている者まで。
……この場にいる全員がすでに第二級冒険者よりも強く、また、全員でなら世界の半分は必ず滅ぼせるだろう戦力。
そんな戦力が一堂に集まる、この場所とは……
「おや、皆さん帰ってたんですね」
そしてその家に入ってきたのは……
「……今度はエルフかよ」
***
「ごめんなさいレフィーヤさん、私の魔法は少し気難しいらしく……」
「うう……」
レフィーヤはサリオンよりある魔法を習っていたが……ことごとく失敗を繰り返していた。
理由は単純、サリオンの魔法が複雑で内容が完璧に理解できていないのだ。
(自らの意思を顕現する魔法だなんて……そんなの無茶苦茶です!?)
【ホーリー・グレイル】。自らの願いをどんなものでも叶えてしまうという神のごとき魔法。
そんなとんでもない魔法のためか、もちろん制約が存在している。使用後に一時的にステイタスの著しい減少、また、願いの大きさによって多大なる変化がもたらされるという、制約も謎が深い魔法であり……
「……今回は、魔法はなしにしましょうか」
「……はい」
結局、レフィーヤはサリオンから魔道具をもらうということ以外は、特に成果を上げることは出来なかった。
***
数日が経過した。
今日は、【ロキ・ファミリア】の遠征出発日である。
アイズは最後になる少年との訓練を終えた。
最後、確実に一撃を入れられそうになるほどに、ベルは成長した。
そんなベルを見て、嬉しいと思ったアイズは、これが師匠の気持ちなのかと少しだけ喜びを露わにし、その笑顔にベルが顔を赤くするといった事態も起きたが……まあ、これで二人の早朝練は終わりになったのだ。
「じゃあ、またね」
「はい、一週間ありがとうございました!遠征頑張ってください!」
「うん、君も頑張って」
「はいっ!」
そしてついに、レヴィスに言われた59階層を目指す遠征が、幕を開けた。
やっぱり難しいな。まだまだ書く能力と描写の表現が拙いですね。
時系列はめちゃくちゃです。ごめんなさい。
次回から遠征編です。最初はもちろんベルの冒険、そして50階層まで行こうかと。
ほとんど原作と変わりがないです。コマチとリクという第一級冒険者が増えたという要素はありますが……
あ、実は前作の方は今チラシ裏投稿となっておりますが、番外編を一つ出しました。
超短いですがこの物語につながる情報も少しだけ載せてるのでよかったら読んでみてくださいませ。