夜明けの先で、待ってて   作:昼夜米主義

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あ、章の名前で気づいている方もいらっしゃるでしょうが、魂振シリーズ読んでました。
あのシリーズのタイトル、めっちゃ好きでしたわ。


『過去』(いつか)の第三話

古代ベルカといえば、改造人間という名の戦闘民族、別名王族なのだが、主要な武家、つまり名家なんて呼ばれている家も、大体改造人間の家系らしい。

そんな中で、ウチ……マリアージュ家は、この界隈では珍しい完全ナチュラルな家系らしい。

 

「それってナチュラルに人間やめてる家系って事ですか?」

「身もふたもない……」

「まあ、正解だがな」

 

本日は、久々の休憩の日。

この世界、古代ベルカは当たり前だが日付の管理が現代地球の日本とは違う。

……この現代地球ってのは、(現代人)からすれば未来なんだが、表現しやすいんだよなぁ。まあ、ちょっとした違和感だし、ほっとこう。

前に一月、と称したが、364日を4分割した、91日が一月だ。

そしてそれを7分割した12日が一週である。

厳密には、1日の長さも秒以下の単位で違うのだが……まあ、地球とは別の惑星なので当たり前である。

それで、週末を安息日と言い、出来る限り休みべき日とされている。

それは、戦闘民族のウチとて例外ではないのだ。

 

「そもそもウチの家系は、“聖王家”の発足からしばらく経った頃に現れた武芸者が起源だ」

「クロード様でしたっけ?」

「そう、クロード様から数えて41代目」

 

ちなみに複雑なのが、家系と言いつつこの当主が別の血筋の人がちょいちょいいるのだ。

実際現当主の母、ローズ・マリアージュもおじいちゃんの娘じゃない。義理娘なのだ。

つまり、嫁入りしてきたのだ。

なんでそんな母上が、というのもこの家は、家系で一番強い奴が当主なのだ。

この家系も、嫁入り婿入りして『家系図』に名前が載ったら“家系”の枠組みってかなり適当な感じだが。あと、一応宗家分家という概念はあるが、今あるのは宗家のウチだけで分家はみんな死んでるらしい。

なんでも、20年前の戦争で皆殺しにされたらしいが、関係ないので今は置いておく。

まあ、そんな家系で面白いのが、入ってきた外様も、みんな改造人間じゃないっていう事だ。

つまりマリアージュ家は、ナチュラル戦闘民族のハイブリットの家系なんだとか。

 

「クロード様がなぁ、これはもう強かったんだ」

「どのくらい?」

「当時の“聖王家”と全面戦争して、あと一歩で【戦船】が出てくるくらいかな」

「ええー」

 

そこまで行くと嘘くさい。

【戦船】ってつまり【聖王のゆりかご】でしょ?

次元世界を制するレベルの超兵器が出る一歩手前って、どんな超生物だよご先祖様。

 

「まあ、戦闘中に誤解が解けて、平謝りして部下になって、戦功をあげてマリアージュ家になったんだよ」

「めっちゃ波乱万丈ですね」

「そうだな、波乱万丈なのは確かだ」

「そうさなぁ……あ! そういえばマリアージュ流戦技は、元々別の名前だったんだよ」

「そうなんですか?」

「ああ、確か……なんといったかな」

「えっと、確か……」

 

「「サイハーデン流刀争術だ」」

「な、なんだってーーっ!」

「ど、どうしたジゼル」

「大丈夫?」

「い、いえ……」

 

そっかぁ、そうだったのか。

つまり、マリアージュ家のご先祖、クロード様は。

1000前の転生者だ。

 

この世界の古代ベルカという時代と場所では、原作に登場する存在が少なすぎて、意識の外側にあったが、こういう事も起きるのか。

この世界に送られた『転生者』は、僕だけじゃあない。

あたえられた『知識』――転生にあたっての基本的初期知識には、無数に送られるとあった。

なんでも、僕をこの世界に生まれさせた存在“たち”が、一人につき一人づつ送るらしく。

数は秘密。

そんなわけで、そりゃあ出てくるよ転生者。

というか、意識しなかっただけでもっと居るんじゃないのか転生者。

というか、そのご先祖様チート貰ってるだろチート。

僕持ってないのに。

最初(第一話)のチート持ってないわカーッ! 持ってないわカーッ!って独白は何だったんだ。

他のヤツ持ってんじゃん転生特典。

無双したいわー、超無双したいわー!

お手軽無双したいわーっ!!

 

……ふう、落ち着いた。

 

「ま、まあそのサイハーデン流刀争術を再編して、聖王陛下に頂いたマリアージュという姓を付けたのが、現在のマリアージュ流戦技になるわけだ」

「ねえおじいさま?」

「お、おじいさま?」

「この家系、魔力以外の不思議な力みたいの使えるとか、ない?」

「いや、無いが」

「無いのかー」

 

ちっ遺伝子ねーのかよ。

つっかえ、マジご先祖つっかえ。

いや、というか待てよ。

もしかして、努力しまくって魔法で再現したとか?

スゲーなクロード様。

 

「ああ、そういえば」

「どうしたんですか? お父様」

「いや、クロード様の武勇伝で、ジゼルの言葉でちょっと思いだしてな」

「?」

「【虚数平原】があるだろう?」

「ええ、はい。魔法が使えなくなる場所ですよね? 位相的に虚数空間に近いとかで」

 

「へえ!」

「なんでも『これ剄技だからノーカン』だとかなんとか」

「剄技?」

「いや伝わってないから、クロード様の固有能力だろう。マリアージュ流戦技に再編した時に、魔力を使って出来る限り再現したらしいが、一部は無理だったらしく、クロード様だけの技も幾つかあったらしい」

「ああ、そんな理由があって、今のおおざっぱな感じになってる訳ですか」

「おおざっぱな感じって……もっと色々言い方があるだろう。身もふたもないぞ」

 

 

 

 

 

……チート持ってんじゃん。

見直して損したわクロード。

マジ尊敬返して欲しいわ。




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