この古代ベルカという時代は、一見、地球の中世の様な文明をしていると思われるかもしれないが、凄まじく進んだ文明をしている。
なぜ、一見して文明レベルが低く見えるかというと、それは個人に力があるからだ。
権力的な意味合いではなく、文字通りの、物理的に。
その気になれば列車くらいに速く動け、飛行機と同速で飛び、ミサイルレベルの攻撃をぶっぱ出来るこの世界の人間は、快適を求めるほどに不便をしてない。
不便を、不便と認識できないほどに自分が便利なのである。
魔道的に発展して、通信技術とか電波障害気にしないで良い分、現代より進んでるし。
念話とか、個人の通信技術も存在する。
結界という、空間に作用する技術の発展も著しい。
というかそもそも、軍事的に
そもそも、
そんなわけで、僕のバカ面は、お上りさんとしては至極まっとうな反応なのである。
「さらまんだーよりすっごーい」
「何を言ってるの、ジゼル。行くわよ」
「あ、はい」
家のゲートをくぐった先には、未来都市があった。
なんだこの、良い感じに中世感が残りながらも、全体的には超未来な感じ。
めっちゃハイセンスなんだけど。
都市計画を立てた人と、僕はお友達になれそうです。
ハイセンスな街を抜け、王城に着いた僕から漏れたその言葉に、母上が反応した。
「げっアイツ?」
「この都市を計画した人とはお知り合いで?」
「一応、聖王家の家宰をしてる奴よ」
「え、そんな最近に出来たんですか?」
「? ああ、知らないのよね。そいつ200歳越えてるわよ」
「マジっすか」
「マジよ、大マジ180年くらい前から聖王家に仕えてるキチガイよ」
「……キチガイとは酷いな」
そう言って出てきたのは、キチガイだった。
正直、生身の体を機械に置き換えている人はキチガイで良いと思うのだ。
そう、その人は、少なくとも体の半分以上が機械だった。
「私は誠心誠意、文字通りにこの身を捧げて仕えているだけだというのに」
「知らないのかしら? 文字通り身を捧げる奴の事を、世間ではキチガイと呼ぶのよ」
「……チッ戦闘人が」
「……チッキチガイめ」
とりあえず、超仲が悪いらしい。
「お初にお目にかかります。マリアージュ家長男のジゼライドです。家宰様」
「……お父上の血が濃いようで良かった」
「いえ、貴方がキチガイなのはどうでも良いのですが、この都市を計画したのは貴方なんですか?」
「……ベクトルが違うだけで、コイツも系譜だな。ああそうだ、それがどうかしたのか?」
「この都市計画って、どのくらい昔から考えていたんですか?」
「どのくらいと言われるとな、前家宰のクロノスベッカ様の草案を発展させたものだから、計画が立てられたのが300年前、私が家宰となって、草案を引っ張り出して造り始めたのが130年前からになるな。それがどうかしたのか?」
「めっちゃカッケェっスね!」
「―――」
「空道(空にある道、ちゃんと補装されているが、中世の雰囲気を壊していない)とか、地下の鉄道網とか、都市のエネルギーを賄ってる魔力炉からの魔力供給のラインが見えないことを見ると、地面に通しているんですよね? それで景観が整ってるってことは、最初から綿密に計画を立てられたって事ですよね!」
「あ、ああそうだが」
「すっごいカッコいいです。この街!」
「そ、それは良かったな」
「はい!」
家宰様は、なぜかタジタジになって逃げるようにして去っていった。
「ブッすっごい顔」
「? どうかしたんですか?」
「いや、なんというか、今日のおこづかい倍にしてあげる」
「マジっすか!」
何だか知らんけどヤッター。
……マジでなんでだ。
今日は、所謂社交界デビューというやつだ。
とは言っても、そんなに堅苦しいものじゃない。
一応、武門の名家であるマリアージュ家の長男として、聖王家、そして聖王連合諸王家の家の人たちに、ツラ通ししておくだけの事だ。
本格的な、ちゃんとした社交界デビューはまた次の機会である。
「まあ、ミコチャンスキーの奴にはさっき会ったし、次はボマード達で良いでしょう」
「巫女ちゃん好き?」
「発音変よ? ミコチャンスキー・モリワノフ。家宰の名前よって、そういえばアイツ名乗らずに行ったわね。イヤミのネタゲット」
スゲー名前だなミコチャンスキー。
現代地球の日本人じゃないと分からないアレだけど。
アレだけど。
「ありゃ? 姐さん、今日は休暇では?」
「ジゼルのツラ通しよ、というか姐さんは辞めなさい」
「……一応、名家の当主なんですから、お上品に出来んもんですかねェ……」
「そんなもん、私に求める方が間違ってるわ!」
「坊ちゃん見てますぜ」
然り、じーとみてる。
後でお父様に報告しておこづかいを貰うのである。
そりゃあじーと見るわけで。
「3倍」
「もう一声」
「……4倍」
「大好きお母さま!」
……母上でしょと拳骨貰った。
「……はっはっは、見事にクロベルガ様と姐さん(の悪いとこ)を継いでますね」
「ええ、そうでしょう? (良いとこ)継いでるでしょう?」
「はっはっは、見事に噛み合ってねえけど、いつものこったね」
大丈夫、副音声聞こえてるから。(メメタァ)
「ということは、これから家宰のところへ?」
「いや、それがね。アイツジゼルに一杯食わされてやんの」
「マジですか!」
「プププ、超笑ったわ。抑えるの大変だったもの」
「ほーほーそりゃあ見たかった」
……。
「ねえ、こんなところに録音媒体があるんだけ―――」
パキという音がした。
「……」
「あら、そんなものどこにあるのかしら? あと、おこづかいの倍額は無しよ」
「そんなぁああ!」
「はっはっは」
その日、色んな人と会いながら交渉したけれど、最終的に倍額で落ちつた。
やっぱ欲は出しすぎるものでは無いようである。
それと、記録媒体は見せる用とダミー用とマジ隠し用の三つを持ち歩こうと固く誓った。
ああ、あと多分顔とかあんま覚えられてないから、お父様に泣きついて勉強しなくちゃ寿命がマッハでヤバいのは確定的に明らかだった。
次の投稿は、2日後かと。
このモチベーションを続けたい。