とある日の昼頃の白玉楼。
そこの庭ではとある庭師が剣術の練習をしていたが、現在は不在だ。
そんな無人の庭を見ながら、私は隣の紫へ言う。
「紫、暇。」
「あなたそれ何回目よ」
五回目だろうか?覚えていない。
「だって…妖夢が居ないんだもの。暇になっちゃうわ。」
「そうでしょうね…でも思惑があるんでしょう?暇になるのは仕方ないじゃない。」
そう言いながら紫は隅に置いてあるその世界の機械を見る、
”ぱぁそなるこんぴゅうたぁ”と言うらしいそれは大きく、部屋を占領していたので部屋の隅に移した。
「なにか暇を潰せるものはない?」
「そうねぇ……………読書なんてどうかしら?これを貸してあげるわ。」
と、紫が出してきたのは分厚い本。
題名は”ハリーポッターと賢者の石”。
「面白そうね」
と、ワクワクしながら私はそれを読み始めた。
「紫、紫」
あの後、私は半日かけてあれを全て読んだ。
素直な感想は、とても面白い。
私の暇を潰すには最適だろう。
だが、しかし、まだ足りない。
そこで私は考えついたのだ。
「なに?幽々子。」
「私をこの本の中の世界に送って頂戴。」
「………はぁ?」
「でもできるでしょう?妖夢みたいに。」
「まぁ、できるけれど………三日。三日待ちなさい。」
三日、長いようで短い時間だ。
「いいわ。」
今から楽しみね。
早く済ませてほしいわ。
「幽々子、準備はいいかしら?」
「ええ。勿論よ。」
あれから三日後、どこか疲れた様子で紫は戻ってきた。
ホグワーツへ入学する手続き等をしていたらしい。
今の私は妖夢位の身体の女の子だ。
「ちゃんと教科書も、制服も持ってるわよね。扇子もしっかり持ってるでしょうね?」
「紫、あなたは私の母になったつもり?」
などと言い合いながら私は扇子を見る。
この扇子は魔法界の杖の役割を果たしてくれる。
私に杖は似合わない。
私が持っているのはトランクのみだけれど、紫が拡大魔法なるものをかけてくれたらしく、全て入れることが出来た。
「それじゃあ、いってらっしゃい。」
と、紫に見送られながら私はスキマへ落ちる。
相変わらず気味の悪いスキマを通った先は駅のホームだった。
「行先は確か…九と四分の三番線だったわね。」
と、わざとらしく言いながら私は九番線と十番線の間の瓦礫の壁へ向かう。
そちらを見ると、丁度人にみつからないように壁へ入っていく人達が見えた。
私もそれを追うように壁へ歩いていく。
ぶつかることはないと知っていてもやはり少しドキドキしてしまう。
目を瞑り壁へ向かい、走り抜ける。
抜ける、というのは比喩ではない。壁を抜けた。
衝撃もないので行けたのだろうと安心しつつ、汽車へ向かう。
別れを惜しむ人達を掻き分けながらやっとの思いで汽車に乗り込むことができた。
空いているコンパーメントへ入って暫く、ドアがノックされる。
「どうぞ。」
と、出てきたのは鳶色の髪で、キラキラした青い瞳の如何にも印象が良さそうな少年だ。
「ここ、相席いいかな?」
「ええ。一人で使うには勿体ないもの。あ、そうそう。名前は?」
「あぁ、僕の名前?…聞いてから『やっぱり出ていけ』なんて言わないなら、教えてあげるよ。」
「言わないわ。ほら、早く教えて?」
「わかった。信じるよ。僕の名前はアルバス・ダンブルドア。マグル嫌いの犯罪者の息子さ…」
えっちょ、え?
もしかして、ダンブルドアと同期?
…面白そうじゃない。
「アルバス・ダンブルドアね。私は幽々子・西行寺。宜しくね。」
「驚いたな、僕を追い出そうとしないんだ。よろしく、ユユコ。」
後に『ホグワーツ校始まって以来の秀才二人組』と呼ばれるコンビで誕生の瞬間であった。