優等騎士の英雄譚   作:桐谷 アキト

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初投稿の作品です。
処女作であり、不定期更新ですが、頑張っていきますので長い目で見ててください。




1話 入学

——まただ。またあの光景だ。

 

過去の光景の中に意識だけを浮かべながら、青年は自分が夢を見ていることを理解する。

 

己の決して消えることはない血塗られた罪の記憶。何にでも贖うことができない大罪を犯したその日の記憶。

 

紫。その色を宿した狂ったような瞳が、かつての少年を見下ろし、妖しく光る血濡れの刃がゆらりと上がる。

 

響き渡る大人達の悲鳴と怒声。背後で聞こえる大切な友達の泣く声。

 

そんな中、黒い人影がゆっくりと迫ってきた。

 

ゆらりと持ち上げられたその凶刃には禍々しく光る紅黒い雷が迸り大気を奔った。

 

「————」

 

ただただ無我夢中だった。何とかしなきゃ———それだけを思っていた。

 

だけど眼の前で起きた惨劇に、さらに昔の悲劇を重ねてしまった少年の精神は限界を迎えて。

 

そして次の瞬間——少年の視界が黒く染まった。

 

視界が元に戻った時、少年の目に写ったのは赤の一色だけだった。

 

それが血の海だと理解するのにしばらく時間を要したが、体にべったりと付着した生々しい感触と、鉄の匂い。そして、少年のことを化け物を見るような目で見てくる人達を見て全てを理解した。

 

 

——これは自分がやったことなのだと。

 

 

あまりにも異常な光景に少年は意識が薄くなっていく。自分が助かったのかも解らないまま。

 

ただ——それでも最後に、誰かの叫び声がしたのを少年は聞いた。

 

その言葉を、その瞳を、今も青年は忘れていない。泣き叫ぶ女性の声が、恐怖に満ちた瞳が、何度も繰り返される。

 

それはまるで呪いか何かのように———どうかあの子を返して、と。

 

 

 

 

 

 

 

「——っ!はあっ……はあ……———っ」

 

青年新宮寺蓮が勢い良く体を起こしたのと、荒い息を吐いたのはほぼ同時だった。胸を押さえている状況に、自分の意識が覚醒したことを理解し、深呼吸を行い、乱れている鼓動を落ち着かせ、びっしょりとかいた汗を袖で拭う。

 

「……何度見ても慣れないな、あの時の悪夢は……」

 

ベッドに倒れ込み仰向けの状態で、蓮は己の右手をじっと見つめ、

 

「……もう、あれから、六年か。…………くそっ」

 

蓮は忌々しくそう呟くとベッドから降りカーテンを開ける。

 

外から差し込む朝の光と、どこからともなく聞こえてくる小鳥の囀りに朝になったと理解し、もう一つのことを思い出す。

 

「………ああ、そうだ。今日は入学式か」  

 

そう言って蓮は部屋にかけてあった制服を見る。

真新しいそれは白と黒の二色で作られており、ロングコートのようなものまであった。それは今日から自分が通う新しい学園の特注制服だ。

 

彼はその制服を見た後、服が張り付くくらい汗をかいている自分の現状にため息をつくと、

 

「……とりあえず先にシャワーでも浴びるか」

 

と、水色の長髪を靡かせながら寝間着姿のまま、ジャージを手に取り部屋を出て浴室へ向かった。

 

 

 

△▼△▼△▼

 

 

 

 

 

この世には、ある一つの職業が存在する。

 

それは、《伐刀者(ブレイザー)

 

自らの魂を武装———《固有霊装(デバイス)》として顕現させ、魔力を用いて異能の力を操る千人に一人の特異存在。だ。

 

古い時代には『魔法使い』や『魔女』とも呼ばれてきた彼らは、科学では測れない力を持っており、最高クラスならば、時間の流れを意のままに操り、最低クラスでも身体能力を超人の域に底上げすることができた。

 

人でありながら、人を超えた奇跡の力。

 

武道や兵器などでは太刀打ちすることすら叶わない超常の力。

今や警察も軍隊も———戦争ですら、伐刀者の力なくては成り立たない。

 

しかし、超常的な力というものはいいことに使おうとする者もいれば悪いことに使おうとする者もいる。そんな無法者達の拘束であり抑止力であるのが《魔導騎士》である。そして、その《魔導騎士》達を統括するために《魔導騎士制度》というものがある。魔導騎士制度とは、国際機関の認可を受けた伐刀者の専門学校を卒業したものにのみ『免許』と『魔導騎士』という社会的立場を与え、能力の使用を認めるというものだ。

 

伐刀者の魂を具現化させた固有霊装は『聖剣』『魔弓』『呪具』『宝具』など様々な形態をとって伝説な伝承で語られるいわゆる『魔法の杖』だ。

 

「蓮。もうそろそろ時間じゃないのか?」

 

テレビを見ながら朝食後のコーヒーを飲む水髪の青年新宮寺蓮に廊下から赤ん坊を抱きかかえた黒髪の麗人が声をかけてきた。

 

彼女の名前は新宮寺黒乃。元世界ランキング三位の実力を持ち《世界時計(ワールドクロック)》と呼ばれている超凄腕の伐刀者であり蓮の養母である。

 

彼女の言葉に壁に掛けられた時計を見ると、すでに家を出る時間が迫っていた。今日は高校の入学式だ。遅刻なんてあってはならない。

 

「ああ、今行く!っと、その前に」

 

蓮はコーヒーを飲み干し椅子にかけてあった裾の長いタイプの制服を羽織ると鞄を持って玄関に向かおうとする。だが、扉のそばにある棚の上にある幾つもの写真たてに目を向け、その一つの青と赤の縁の写真立て、幼い自分とその両脇に立つ黒髪の青年と蓮と同じ水髪の女性が写った写真を見ると、笑みを浮かべ、

 

「行ってきます。親父、お袋」

 

今はもういない実の両親にそう告げて、彼は今度こそ玄関に向かい靴を履くと靴紐を結ぶ。

 

「忘れ物は無いか確認したか?」

「ああ、ちゃんと確認したよ。じゃあ行ってくるなー。鳴」

「あぅ」

 

蓮は去年生まれたばかりの妹の頭を撫でると、玄関の扉を開ける。

 

「母さん、行ってきます」

「ああ、行ってらっしゃい」

 

黒乃の言葉に頷き蓮は玄関を開けて駅まで続く桜並木の道を急いで駆けた。

 

 

 

△▼△▼△▼

 

 

 

破軍学園に入学した蓮は一年一組に配属された。一クラス三十六人のこの教室では縦六横六の座席配置になっている。

担任の女教師が自己紹介を終えて、クラスメイトも一人ずつ挨拶を済ましていく。

教室の三列目の一番後ろの席に座っていて窓を眺めている水色の長髪と蒼色の瞳の長身の男が彼だ。

 

ふと、隣から視線を感じたのでそちらに振り向くと、こちらを見ていた一人の少年と目があった。

 

黒髪に黒瞳の男子生徒は蓮と目が合うと朗らかな微笑みを浮かべて声をかけてきた。

 

「初めまして僕は黒鉄一輝。好きに呼んでくれて構わないよ」

「新宮寺蓮だ。よろしく、黒鉄」

「うん、よろしく。新宮寺君」

 

苗字の通り鉄のような鋭さを秘めながら優しい光を放つ瞳を持つ彼はニッコリと笑ってきた。

 

見た目通り優しい人だ。なんというか彼とは仲良くやっていけそうな気がした。

 

「でも、驚いた。まさかここであの《紺碧の海王》と会えるなんて」

「…………へぇ、よく気づいたな」

 

《紺碧の海王》。

 

それは彼の二つ名だ。

 

齢9歳にしてはもはや異常とも言えるぐらいの大規模な水魔術と容姿からその二つ名をつけられた。

 

小4の時に世界リーグに初出場し世界1位を勝ち取って以来、公式戦には一切出ていなかったから知らない者の方が多いのだが、あの男の身内なら知ってて当然だろう。

 

日本には現在2人のAランク学生騎士がいる。

 

1人は蓮。

 

そしてもう1人は彼の実兄。

 

名は黒鉄王馬。二つ名は《風の剣帝》。二つ名のとおり風の異能を持つ学生騎士だ。武曲学園に入学したらしいが、ほとんどを修行の旅に費やしているそうだ。彼らしいといえば彼らしい。

 

 

「まぁリトルが最後だったし知らない人が多いのは仕方ないよ。王馬兄さんとも試合してたよね」

「ああ」

(やはりあいつの弟か。顔は似てるが性格は大違いだな)

 

 

脳裏でそんなことを考えながら担任の諸連絡を聞いて、入学初日ということもあってその場で解散となった。

 

この後は、各々に割り当てられた寮部屋に行って荷物を置いてルームメイトと顔合わせとなる。

 

そして明日に学園施設の案内と訓練場の使用やその他諸々学園生活に必要なことを説明する。

 

 

そして担任の女教師が退室して、早くも小・中と付き合いがあったであろう子達が次々とグループを形成していき、話で盛り上がっていく。

 

男子も女子も例外なくこのグループ形成の流れに乗り遅れた者は今後の学園生活はボッチになるだろう。

しかし、ボッチになりたいのかはわからないが、すでに退室しようとする生徒達もいくつか見受けられた。

 

クラスメイトたちがグループを形成していく中、蓮は教科書を整理してカバンにしまい、それを肩にかけるように持つと教室の扉に手をかけた。

 

蓮はここでのグループに入る気は毛頭なかった。蓮には先に外に出たクラスメイト達はともかく今形成しつつある殆どのグループからいやな感じがしたからだ。

 

「じゃあ、また明日。黒鉄」

「うん。また明日。新宮寺君」

 

一輝にそう別れを告げた蓮は立ち上がり、教室から出ようとする。

 

『あの人が新入生主席の新宮寺連かー』

『すっごいカッコいいね』

『髪の毛が素敵…。透き通った水みたい……』

 

蓮に向けられた視線はどれもが好奇心に満ちたものだった。しかしそれも無理はない。なにせ蓮の入学成績は破軍学園の歴代最高成績であり、次席とは圧倒的な差をつけている。

 

それに加え日本人離れした容姿だ。

 

彼はハーフで、両親から受け継いだ水色の髪に紺碧の瞳と整った顔立ちは世間一般で言うところのイケメンに分類される。体格も平均よりも大きいが、太すぎず細すぎずスッとしている。

 

うなじで結んだ腰まで届く長い髪も様になっており、その場にいるだけで注目を集めずにはいられない、天性のスターだ。よく天は二物を与えずと言うが、彼はその言葉を真っ向から否定する存在だった。

 

それ故にクラスメイトたちは話しかけるのを躊躇ってしまい、遠巻きに見て、各々の感想を述べることしかできなかった。

 

だから別の話題に話が移るのは時間の問題だった。

 

『ねえねえ、あの黒髪の人って例のFランクじゃない?』

 

女生徒の声。その声は別段大きいわけでもないのに、雑音や話し声で賑わっていた教室全体に響き渡りまるで時間が止まったかのように一切の音が消えた。

 

その声に蓮も思わず足を止めてその会話に耳を傾ける。

 

『え、それってあの人?』

『そう、噂だと面接官に賄賂を渡したとか』

『ああ、俺もそんな風に聞いたぞ』

『面接官に媚び売って入学かよ』

 

声の発生源は、教室の前側の扉の近くでたむろしている女子グループだ。そしてその少し離れたところにいる男子グループも発言した。

 

クラス中の視線が蓮と話していた一輝に集まる。

 

すると、男子グループから一人の男子生徒が代表格として出てきた。

 

彼は次席の、名前は桐原静矢。

 

その顔には明らかな侮蔑が浮かんでいて、少なくとも一輝と仲良くなるために話しにきたわけではない。

ちなみに主席は蓮だ。

 

「何見知らぬふりをしているんだい?君のことを言ってるんだよ。黒鉄一輝君」

 

嘲笑の色が濃く表れているその声にクラスの視線がさらに強くなる。そんな中、その中心にいる一輝は先ほどの優しい笑みとは一転して、なにも感じさせない冷たい鉄のような無表情で、しかし口調は先ほどと同じまま桐原に答えた。

 

「僕に何か用でもあるのかな?桐原君」

「いや、今日から仲良くするクラスメイトに挨拶しようと考えてたんだけどさ、落ちこぼれの君になんて言ったらいいかわからなくてね」

 

桐原の言葉に後ろにいた男女の取り巻きたちは下衆な笑い声で笑う。対する一輝は相変わらず無表情のまま。

 

周りの視線も侮蔑と嘲笑が混ざっており誰も一輝を助けようとはせず傍観を決め込んでいた。

 

それもそうだろう。

 

つまりは彼らは怖いのだ。変な正義感でこの場に割り込んで、この学園生活お先真っ暗になるのが、

 

それに、Fランクというのは悪い意味で目立つのだ。

 

伐刀者のランクにはAからFまでの六つのランクがある。

 

学生騎士の大半を占めるのはEランクとDランクだ。

彼らは仲間が多いが、少数精鋭の上位陣に見下されている。

常に高みに存在する『天才』と形容される人種を見上げ、羨む者たちだ。

そんな彼らにとって、Fランクの一輝はさぞかし好都合な存在なのだろう。

自分よりも下がいるんだと、八つ当たりの道具にしても構わないと、良心が痛むことなど、罪悪感を抱くことなどないのだと、自分たちが今までされてきたことを下のやつにできると、安心することができるのだ。

 

くだらない。実にくだらない。どこの場所でもそうだ。伐刀者だけでなく、一般でも成績で区別されて馬鹿にされる。そんな人達を彼は何度も見たことがある。

それにそんなに見下されるのが嫌なら這い上がればいい。

 

諦めずに自分を信じ続けるならば、()()()()()()()()()()()()()()()

 

そして一輝は明らかな侮蔑の声に怒ることなく、全く同じ口調で返した。

 

「別に、思いつかないなら何も言わなくていいよ。それに落ちこぼれの僕とは関わり合いたくないんじゃないのかな?」

「いやいやそんな風には思ってないさ。ただ僕は『天才』だからね。『無能』の君とどう接したらいいかわからないんだよ」

 

わざとらしく『天才』と『無能』を強調して自分達の立場を明確にする桐原。対するその言葉に眉ひとつ動かさず冷静に無表情を貫いている一輝。

 

そして周りの観衆の侮蔑の色が込められた視線と笑い声。

 

それらを見て俺はこれ以上聞くのも気分が悪くなるから、引き戸を引いて教室から出る。そして教室から出る直前に、

 

「…………くだらん」

 

誰にも聞こえないほどの声量で最後にそう呟き、扉を開け外に出た。廊下に一人出た蓮はこの後どうしようかといくつか選択肢を脳内に浮かべ決めた。

 

「とりあえず寮に行くか。鍵ももらってるし」

 

そして担任から配られた校内の見取り図を広げいざ学生寮へ向かおうとした時だった。

 

「なあ、ちょっといいか?」

「ん?」

 

一体誰なんだろう、と自分を呼ぶ声の方に振り向くと、一組の前の出入り口の方から一人の男子生徒と二人の女子生徒がこちらに駆け寄ってきていた。彼らは先程蓮よりも先に出ていたクラスメイト達だ。

 

焦茶色の短髪の男子、明るい栗色の短髪の女子、眼鏡をかけた黒髪のボブカットの女子だ。

 

「えと、君達は?」

「おっと、悪い自己紹介がまだだったな。俺は一組の葛城レオンハルトだ。レオでいいぜ。よろしくな」

「同じく一組の新宮寺連だ。俺のことも蓮で構わない。よろしく」

「OK、蓮。それでこっちの二人が……」

 

男子同士すぐに打ち解けた二人は軽く握手を交わす。そしてレオが自身の後ろにいる少女達に自己紹介を促した。

 

「私は佐倉那月です。同じ一組です。よろしくお願いします。新宮寺君」

 

気弱そうな外見を裏切らない口調の眼鏡をかけた黒髪の女子に蓮は柔らかい態度で返した。

 

「新宮寺蓮だ。こちらこそよろしく、佐倉さん」

「あたしは木葉マリカ、よろしくね。新宮寺くん」

「ああ、こちらこそ。木葉さん」

 

那月に続いて挨拶をしてきた栗色の髪の女子にそう応える。

彼女は那月とは正反対と言っていいい活発な性格だった。ショートの髪型や明るい髪の色やハッキリした目鼻立ちが、活発な印象を増幅している。

そして全員の自己紹介が終わったところで、蓮は些細な好奇心を満たそうとしてみた。

 

「三人は、同じ中学なのか?」

 

それに対するマリカの答えは実にあっさりとしたものだった。

 

「違うよ。全員、さっき初対面」

 

てっきり中学の同級生なのかと思っていた蓮は意表を突かれた。その表情がおかしかったのか、マリカはクスクス笑いながら続ける。

 

「いやね、あたしもクラスで友達作ろうと思ったんだけどさ、あの空気の中にいるのが嫌で外に出たら那月が声をかけてくれたのがきっかけ」

「……ああ、なるほどね」

 

確かにあの空気なら気を悪くする人もいるだろう。

マリカだけでなく那月もレオもそうだとするならば、彼等は少なくともあの半端者達とは違い、ちゃんと現実を見ているのだろう。

 

「ま、ここで立ち話でもなんだし、歩きながら話そうぜ」

 

レオの提案に満場一致で賛成しその場から立ち去った。

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼

 

 

 

「えっ!じゃあ新宮寺くんってあのAランク騎士の《紺碧の海王》滝沢蓮なの⁉︎」

「ああ、そうだよ」

 

食堂へ向かう道中、蓮の二つ名を知ったマリカがそう驚いていた。那月も目を丸くして驚いているが、レオだけは分からずに蓮に訊ねた。

 

「なぁその《紺碧の海王》って蓮の二つ名なのか?」

「はぁっ⁉︎あんた《紺碧の海王》を知らないの⁉︎」

「なっ、し、知らなかったらまずいのかよ?」

 

レオの何気ない問いにマリカは驚愕をあらわにし鬼気迫る表情でレオに怒鳴り散らした。

 

「まずいわよ!日本人だったら誰もが知る鬼才の学生騎士の名よ!小4で初めて小学生(リトル)リーグに出場という偉業を成し遂げただけでなく、初出場にして怒涛の勢いで世界1位、つまり頂点まで勝ち上がった九州の麒麟児。逸脱した水魔術とその容姿から、海を支配する蒼き王者《紺碧の海王》の二つ名が付けられたあの滝沢蓮を知らないなんて……はぁ、これだからモテない男は」

「なっ?失礼なのはテメーだろうが!少しツラが良いからって調子乗ってんじゃねーぞ!」

「ルックスは大事なのよ?だらしなさとワイルドを履き違えているむさ男には分からないかも知れないけど」

「なっ、なっ、なっ……」

 

とりすました嘲笑を浮かべるマリカと、今にも唸り声が聞こえそうなレオ。

 

「……マリカちゃん。駄目だよ。少し言い過ぎよ」

「レオも少しは落ち着け。今のはお互い様だ、それに口では勝てないと思うぞ」

 

一触即発の空気に見兼ねた那月と蓮がそれぞれ二人の仲裁に入った。

 

「……那月がそう言うなら」

「……分かったぜ」

 

二人の仲裁に渋々といった感じで頷き、お互い顔を背ける。だが、目は逸らさなかった。同じような気の強さ、似たような負けず嫌いに、実はこの二人、案外気があうかも知れないと蓮は思った。

 

「でも、悪かったな。知らなくて、俺そう言うのはあんまり興味なかったからさ」

「いや、別に構わないよ。俺も公式戦に出てたのはその時のリーグだけだったしな。もう六年も経ってるんだ、知らないのも無理はないよ」

 

頭を下げ謝罪してきたレオに連はすかさずそう言うと、そこで那月が当然の疑問を浮かべた。

 

「あれ?でも、今の苗字は新宮寺ですよね?前は滝沢だったのに……」

「あ、確かに」

「本当だな。親が再婚したとかか?」

 

レオの問いに蓮は苦笑を浮かべ頷いた。

 

「まあそんなところかな。四年前にね」

 

蓮の家族事情は初対面の彼等にはあまり知られたくなかった。信用できるに値すると思うなら話してもいいのだが、変に気を使わせるのもなんだし、そう誤魔化すことにした。

 

「あの、折角ですから、皆さんでお茶でも飲みに行きませんか?」

「いいね。賛成!学園の近くに美味しいケーキ屋さんがあるらしいからそこ行こうよ!」

 

投げ掛けられたのはお茶の誘い。同じクラスメイトとして仲良くしようと言うことだろう。

その誘いには蓮もレオも快諾する。

 

「そうだな。クラスメイトだし、同性異性関係なく友人はいくらいても多すぎるということはないからな。レオはどうだ?」

「俺も構わないぜ」

「OK!じゃあ、一時間後に正門前で待ち合わせにしましょう!それぞれルームメイトとの顔合わせもあるしね」

 

マリカの提案に三人は揃ってうなずき、一度解散してそれぞれのルームメイトと顔合わせをして正門前で待ち合わせをしケーキ屋に向かうことにした。

 

彼女が連れていったケーキ屋はデザートの美味しいフレンチカフェテリアの店で、そこで昼食を済ませ、色々と談笑に花を咲かせた。

 

 

 

 

 

最後に余談だが、マリカと那月はルームメイトであり、レオは他のクラスの人で、蓮は一人部屋だった。

 

 

 




初めて二次小説を書いてみたのですが、思っていた以上に難しかったですね。

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