優等騎士の英雄譚   作:桐谷 アキト

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………画力が欲しい。


そして今回も二万字を超えましたー。


25話 狂宴の夜

「……!」

 

 

誰もが寝静まった夜に蓮は唐突に目を覚ました。目を開いた彼はそのまま起き上がることはなく、横になったまま、周辺の気配を探る。

 

(……来たか)

 

寮周辺に集まる不穏な気配と慣れ親しんだ感覚。

感じる気配は明らかに学園生のそれでもなければ、警備員のものではない。そもそも、この時間ならばもう勤務時間外だ。そして、気配と同じ数の魔力も感知した。

それは今まで幾度となく感じてきたもの。

 

 

つまり敵だ。

 

 

(数は7か)

 

寮の眼前にある森の中から感じる気配の大凡の数を見分ける。

幾度となく敵対組織からの刺客と殺し合ってきた蓮は、気配感知が卓越していた。それこそ野生の獣以上にだ。

《魔人》が持つ獣の魂による本能からの直感もあるが、高い魔力制御力と歴戦の経験が敵の存在を感知できるようにしていた。

破軍学園に入学してからは無かった襲撃に蓮はいつでも対応できるように、気を引き締める。

 

 

 

やがて、その時は来た。

 

 

 

突然()()()()()()()()()()筒状の物が部屋に投げ入れられる。

それは、部屋の床に落ちるや否や音を立てて中からガスが一気に噴き出す。

無色かつ無臭だったが、詳しいものならすぐにこれが毒ガスの類であると直感でわかるはずだ。

 

「ッ!」

 

そして、部屋にガスが広がったのを見計らってか、音もなく窓ガラスを突き破って、人影が、体格からして男が部屋に飛び込んできた。

男は手に漆黒の大太刀を手にしており、床に着地した後、蓮が寝ているベッドへと方向転換すると、床を勢いよく蹴り、布団の膨らみへと剣を突き立てた。

 

ドスッと低い音が響き、確かに肉を貫いた感触を得た。だが、その感触に男は違和感を感じて布団を剥ぎ取った。

 

「なに?」

 

中には確かに新宮寺蓮の姿がある。

だが、突き立てたはずなのに、傷口からは血が一滴も流れていない上、傷口は血肉の赤色ではなく淡い青色だ。

そこで人影の脳裏に蓮の能力がよぎる。

卓越した水魔術の使い手。つまり、この蓮は、

 

 

人形

 

 

そう考えた瞬間、男の背筋に悪寒が走る。

 

「余所見してる場合か?」

「っ⁉︎」

 

背後から声が聞こえ、ついで強烈な衝撃が男を襲った。

咄嗟に振り返り視界に映る鞭のようにしなる脚を見た瞬間、防御体制を取れたのは流石だろう。だが、蹴撃が強すぎたのか、男は容易く蹴り飛ばされる。

窓ガラスを突き破り、ベランダの柵すらも粉砕して、男は宙に飛ばされる。

 

「ぐっ!」

 

男は呻き声をあげながらも、空中で体制を立て直そうとするが、それよりも早く窓から飛び出した蓮が男に強烈な踵落としを見舞う。

それも剣で何とか受け止めた男は、しかし防ぐことは叶わず蹴り飛ばされ地面に叩きつけられる。

 

「がっ!」

「ッ!」

 

追撃をかけようとした蓮に今度は下から雷撃と炎熱が襲いかかる。蓮は追撃をやめてその攻撃を《雪華》で防ぐ。

その方向を見れば、二人が地上から蓮を狙っていたことが分かる。そして、今度は別方向から二つの人影が襲いかかる。

手に持つ武器は漆黒の鎖鎌、青緑の偃月刀だ。

二人は息の合った連携で蓮へと襲いかかる。

蓮は《雪華》を操作し、彼らを斬り裂こうとする。しかし、二人が《雪華》に接触する直前橙光を全身に帯び、次の瞬間()()()()()()()()()()蓮へと襲いかかった。

 

「っ!」

 

紫光を帯びた鎖鎌が蛇のように唸り、緑光を帯び暴風を纏う偃月刀が振り下ろされ、ニ方向からほぼ同時に蓮へと迫る。

 

「「っっ‼︎」」

 

だが、その悉くが《青華輪廻》により液体化した蓮の体を水音を立ててすり抜けた。

攻撃が空振りした男達を蓮は《蒼月》を振るい斬り裂こうとする。だが、それは再び襲いかかった雷撃と炎熱に阻まれ、攻撃することは叶わずそのまま三人とも地面に降り立った。

 

蓮が降り立った直後、瞬く間に彼の周囲を七人の人影が取り囲む。それぞれが己の得物を構えている。対する蓮も《蒼月》を構える。

 

「一応聞こうか。貴様達は何者だ?何を以て俺の首を狙う」

 

返答を期待していない問い。名乗るものもいるが、半分ぐらいは問答無用で襲いかかってくる。今回もその類かと思った蓮だったが、その予想に反し最初に蓮を襲った男ーリュウ・ジーフェンが答えた。

 

「そうだな。冥土の土産に教えてやろう。我らは《黒狗(ハウンドドッグ)》。

我らが国家の脅威になる者を狩る禍狗だ」

「……驚いた。これは大物だ」

 

蓮は彼らの正体に僅かの驚愕を見せる。

自身もまた日本の自衛隊の特殊部隊に所属しているからこそ、その名を知っていた。

中国の闇の側面の一つ。暗部の一つとして長きにわたり暗躍してきた非合法部隊。

実力は折り紙付きで日本、連盟内でもその部隊は強力な部隊の一つに数えられている。それほどの敵が、蓮暗殺のために動いたということは……

 

(他の国は分からんが、中国は本腰を入れてきたというわけか)

 

中国とは三年前のある戦いで禍根を残している。もしかしたらそれが関係しているかもしれない。

 

(まあ今はそんなことはどうでもいい)

 

とにかく、今は彼らを殲滅することが最優先事項だ。理由などそのあとに聞けばいい。

蓮は左手首に巻いてある時計にも似た機械に軽く触れると、瞬時に《海龍纏鎧・王牙》を纏い、《蒼翼》を背に生やし《蒼月》の鋒を彼らに向けると、不敵な表情を浮かべた。

 

「いいだろう、かかってこい《黒狗》。俺の首、狩れるものなら狩ってみろ」

「元よりそのつもりだ。貴様の首貰い受ける」

 

そう言うやいなや、ジーフェンは蓮へと襲いかかる。

蓮もまた同じようにジーフェンへと駆け出す。二人の姿が一瞬消えて、次の瞬間には金属音を立てて鍔迫り合いをしていた。

漆黒の大刀と蒼銀の双剣が火花を散らしながら幾度と交錯する。どちらも達人クラスの武人。二人が振るう剣は視認が難しいほどであり、両者はその超高速の領域で斬り結んでいた。

幾度となく斬り結びやがて、五十合は斬り合った時、蓮の周囲の影から無数の影の刃が串刺しにしようと飛び出す。

 

「《雪華繚乱》」

 

蓮は雪華を無数に生み出し自身を包むように展開する。しかし、影の刃は容易く突き破り蓮に襲いかかる。

刃はあらゆる形をしているが、どれもが歪であり、不気味な漆黒の輝きを放っている。

 

「ハッ!」

 

蓮はそれら全てをさまざまな形状の青い水氷の刃《斬り裂く海流の乱刃》で相殺して、その隙に《雪華》の球体から外へと飛び出す。しかし、飛び出した先には既に敵が待ち構えていた。

 

蓮の頭上に落ちる二つの人影。

片や暴風を身に纏い宙を飛ぶ偃月刀を構えた男ールウ・リー、片や空中を蹴って跳んでいる銃を持った女ーチョウ・ミンファン。リーが暴風を刀に纏い翡翠に輝く風の刃へと変え蓮へと振り下ろし、ミンファンが蓮へと山吹色の輝きを纏う弾丸を放つ。

 

「《流水刃》」

 

蓮は双剣に激流を纏わせ瞬時に圧縮させて、青く輝く水刃へと変え、風の刃を受け止めて、《流水刃》を飛ばし弾丸を迎撃する。しかし、風の刃は弾くことができたものの、《流水刃》は弾丸と衝突した瞬間に、向きを反転させこちらへと返ってきた。

 

「っ、くっ!」

 

蓮はそれを何とか剣で斬り裂く。自分の攻撃だからか、返ってきた反動は凄まじかったが、それでも斬ることができた。そしてついで弾丸が襲ってきたが、今ので技の正体を看破し、抵抗を受けながらも弾丸を力任せに斬り落とす。

しかし、その瞬間背後に殺気を感じ、後ろ向きに剣を振るったが、それは甲高い音を立てて止められる。

 

「ッ!」

 

受け止められた感触に、蓮はそちらへと視線を向ける。蓮の水刃を受け止めたのは、雷撃を纏う青紫色の籠手をつけた男ーバオ・レイ。彼は雷を纏う籠手で直接防いでいた。

 

(…止めるか)

 

ギリギリと火花を散らしながら、レイは蓮の一太刀をなんとか止めた。

超純水で構成された水刃は雷で作られた防壁を容易く突破したが、霊装で食い止められた。

霊装とは超高密度の魔力結晶体。どれだけ強力な攻撃であっても、余程のことがない限りは壊されない。

今回はそれを逆手に取られたというわけだ。

 

「ハァッ!」

 

そしてその後ろからは、炎を纏う朱色の大槌を振り上げた女ーホン・リーファが飛び出してきて、赤い炎槌を蓮へと振り下ろそうとしていた。

しかし、それはいつの間に蓮の頭上に展開された《凍息重砲》から放たれた《蒼爆水雷》で迎撃される。

 

炎槌と爆弾が激突し、中空で爆ぜてその場にいる全員を爆煙で覆い隠す。その隙に上に飛ぼうと黒煙の中を飛び抜けようとしたら、それはリーにより風で瞬く間に払われ、阻まれる。

 

(流石に対応が早いな。だが、後ろの二人はいつの間に上にきていた?)

 

対応の速さに納得と同時に歯噛みしながら、先程の奇襲を思い出す。

レイとリーファが後ろから奇襲してきた方法を探る。確かに雷ならば素早く移動することは可能だが、そんな伐刀絶技が発動された気配はなかったはず。

ではなぜ?その答えは彼等の足元にあった。

 

(ッ、影の足場か!)

 

そう、彼等の足元には影で作られた足場があったのだ。それは下から伸びていて、地面の影から伸びているのがわかる。

そして、蓮が下から嫌な気配を感じ回避行動を取ろうとした瞬間、それよりも早く足に何かが巻きつきガクンッと下に引っ張られる。

見れば、地上にいるジーフェンの足元から伸びた無数の影の手が蓮の両脚と尻尾を掴んでいた。

 

(やるな!)

 

引っ張り下ろされながらも、足と尾から生やした氷の刃で瞬く間に影を斬って拘束から脱出する。

だが、その一瞬で今度は漆黒の鎖鎌を構えた男リー・ラオと橙色の脚甲を装備した女ーファン・リーユエが襲いかかる。男の鎖鎌が蓮の腕へと巻き付き、巻きついた地点を中心にじわりと紫の光を滲ませた。

 

(っ、毒か!)

 

蓮は腕を液体化させて拘束を脱しようとするが、リーユエの蹴りが蓮へと迫る。脚甲が霊装のようだが蓮はその蹴りを《王牙》で耐えれると判断し、拘束の脱出を優先させた。

腕を液体化させて肘の部分で接続を外した籠手から引き抜き、毒が染み込んだ氷の籠手だけを解除する。毒が蓮の肉体に直接触れる前に解除に成功する。しかし、成功したと同時に、リーユエの蹴りが蓮の腹へと吸い込まれ、

 

「ぐっ!」

 

勢いよく蹴り飛ばされた。

彼女の蹴りは蓮の鎧をすり抜けて肉体に直接届き、体の芯に衝撃が叩き込まれ蓮は宙を舞う。

しかし、すぐに態勢を立て直しホバリングしながら周囲を見渡す。

上にはリーとミンファンとレイの三人がいて、下には残りの四人がいる。完全に囲まれた状態だ。

 

(黒は影、青紫は雷、赤は炎、翡翠は風、山吹色は反射。さらに紫色は毒か、そして橙色は、透過の能力だな)

 

蓮は霊眼で襲撃者達の魔力色と異能を全て瞬時に把握する。

幾度か刃を交えて分かったが、彼らは総じて伐刀者としての技量が高い。全員が最低でもBランクであの影使いの男に至っては連盟基準で見てもAランクはあると断言できるぐらいだ。間違い無く精鋭中の精鋭だ。

それだけでも十分に厄介だが、《黒狗》の厄介な点は他にある。

 

(しかし……ここまで連携が取れてるとはな。戦うのが上手いな。やりにくいことこの上ない)

 

蓮は彼らの連携の高さに思わず感嘆する。ここまでの連携を見たのは初めてだ。能力の組み合わせ方も上手い。蓮をして厄介だと言わざるを得ないほどだ。

流石は世界有数の大国の暗殺部隊。その実力も伊達ではないということだ。

そして、蓮は戦いながら敵の狙いの一つに気づく。

 

(……ここから逃がさないつもりか)

 

敵の策の一つはおそらくここに釘付けさせて蓮に全力を出させないこと。ここで全力を出して仕舞えば、寮に被害が出るのは確実。そうなれば他の生徒達も守らなければいけない。

そうなればこちらが不利なのは明白だ。

それは蓮もわかっている。だからこそ、

 

(だが、ここで戦うわけにはいかない。場所を変えさせてもらおうか)

 

蓮は彼らの策にはめられるつもりは毛頭ない。多少傷を負っても強引にここを抜け出して別の場所で戦うべきだ。

誰一人として巻き込ませはしない。一人で全て片付ける。

これは自分一人だけの戦いなのだから。

 

「ッ!」

 

蓮は風刃と雷撃を弾き、下から伸びる影の刃を刈り払うと、一瞬距離が開いた隙に勢い良く体を回転させながら、その動きに合わせて自身を包む水の竜巻を発動する。

伐刀絶技《渦巻く激流の竜巻(アクア・フルクシオ・トルネ)

水の竜巻を発生させて、敵の攻撃を防ぐと同時に敵に攻撃も行える攻防一体の伐刀絶技。

蓮はそれを発動し攻撃を全て防ぐと同時に、竜巻の範囲を広くし彼らを呑み込まんとするが、それは容易く避けられる。

だがそれでいい。今は距離を取らせることが目的なのだから。

 

「《蒼翼(アクセル)》ッ!」

 

そして、包囲網が広がったのを見逃さずに、《蒼翼》から水を噴射させ飛び上がると、《透過》の能力を付加された攻撃がいくつか《王牙》の鎧をすり抜けて肉体に直接傷を刻んだが、強引に包囲網を突破する。

 

(頼むから誰も出てくるなよっ!)

 

蓮は今の間に見知った者達が起きてこちらに来ないことを願いながら、森の中へと飛び込んだ。

 

黒狗達は蓮が包囲網を突破したことに何の動揺もない。すかさずジーフェンが次の指示を出す。

 

「流石にこの包囲は突破できる、か。作戦を第二プランへ移行。例のポイントへ誘導しろ」

『是』

 

ジーフェンの指示に彼らは頷くと、蓮を追うべく林の中へと飛び込んだ。

 

 

▼△▼△▼△

 

 

蓮は外へ出た瞬間に寮全体を《静謐なる海界》で瞬時に覆い戦闘音が聞こえないようにしていた。

そうすることで、生徒達を音で起こさないように配慮し巻き込む可能性を低くし、その間になるべく早く遠くへと距離を取る算段をとった。

事実、蓮が寮から離れる瞬間まで誰も外に出た様子はなく《黒狗》達の意識を自分一人に向けたままにすることができた。

 

しかし、たった一人だけ、偶然にも起きてしまった者がいたのだ。

 

『———』

「…ん、んぅ?」

 

それは本当に偶然だった。

蓮が部屋に侵入したジーフェンを外へと蹴り飛ばし、自分も外へと出たとほぼ同時に、一階下の部屋で眠っていたカナタが唐突に起きてしまったのだ。

 

「なんでしょう……?」

 

カナタは部屋の外から聞こえた来たわずかな戦闘音に反応して欠伸をしながら体を起こして窓へと近づくと、不意に人影がいくつか空中で動いているのを見た。

 

「…っ」

 

カナタはとっさに身を隠すとカーテンの隙間から外を覗き見て息を詰まらせる。

そこには双剣を構える水色の髪の少年ー蓮が武器を構えた黒ずくめの集団と戦ってる光景があった。

 

(蓮さんっ‼︎)

 

今感情のままに飛び出すのは悪手だということを分かっているカナタはぐっと堪えながらしばらくその様子を見る。

戦闘はしばらく続き、やがて蓮が水の竜巻を生み出して、その隙に寮のそばにある木々の中に飛び込み、その後を黒ずくめの者達が彼を追いかけて林の中に消えていった。男達の姿が消えた後、カナタは今の状況を分析する。

 

黒ずくめの集団は総じて実力が高い集団だった。戦いぶりからもそれは見て取れて、少なくともこの学園では自分や刀華、黒乃や寧音などの一部の強者でしか太刀打ちできないと判断できる。

音が聞こえなかったのは、蓮が遮音結界を張っていたからだろう。蓮の魔力も感じられたからそれは間違いない。

 

では、襲撃の理由は?

なぜ蓮を狙うのか。あれほどの実力者集団が蓮を襲撃する理由。それはすぐに思い当たった。

 

(学生にしては強すぎるが故に、各国の組織が彼を脅威と認識したからでしょうね)

 

それは蓮が学生にしては強すぎる力を持っていて、それが脅威と認識されているから。

黒乃や寧音などの世界でも有数の強者達と互角に戦えるほどの力をすでに学生の段階で持っており、その力で数多の犯罪組織を壊滅させた実績を持つ。

だからこそ、裏の世界では蓮の存在は危惧され、こうして暗殺者が差し向けられるのだろう。

 

その推測は正解だ。

『新宮寺蓮』という存在は『連盟』にとっては最高戦力の一つであり、同時に『連盟』以外の敵対組織からはブラックリストに名を連ねているほど危険視されている。

壊滅させた組織の数は多く、構成員も何百何千何万と蓮に殺されている。

そういった理由で裏の世界では蓮はかなりの組織から敵意を向けられている。それは『同盟』『解放軍』であっても同じ。中国、アメリカ、ロシアなどの有数の大国も蓮のことを危険視しているのだ。

 

しかし、その事実をカナタは知らない。

知らずとも、彼が召集であげた戦果や、常軌を逸した強さなどを鑑みればそうなることなどすぐに予想できる。

なによりも『黒川事件』。あれはその最たる例だった。

 

あの時も、町を襲った解放軍の男は蓮の命を狙っていた。

その時、男が蓮は近い将来必ず我々の脅威になると言っていたのだ。

つまり、あの事件はリトルリーグでの蓮の戦いぶりを見た《解放軍》が彼の成長に危機感を感じ、まだ未熟な子供のうちに始末するべきだと判断して起きた事件なのだ。

 

不意にカナタの脳裏に今朝見た悪夢が思い起こされる。

傷だらけになり、化け物になった果てに炎の中に消えてしまう蓮の姿。蓮が辿るであろう未来の一つの可能性が。

 

(あんな未来にはさせませんわ)

 

カナタは意を決する。

あんな未来にさせてたまるか。

もう二度とあのような惨劇を繰り返さないと誓った。何もできない自分とはもうお別れだ。

大切な人が今襲われている。

それを知ったのにのうのうと寝られるわけがない。

 

カナタはクローゼットを静かに開けて、静かに、けれど迅速に着替え始める。

 

彼女は自分一人で向かうつもりだ。

ルームメイトである刀華は起こさない。戦力としては刀華も加えた方が心強いのは確か。だが、もしも蓮襲撃の理由に彼の両親との関係を疑われているということがあれば、刀華にも蓮の出生の事実が知られてしまう。

それは蓮自身も望んでいないことだ。

彼からは自分から明かすまで黙っていてほしいと言われている。自分の我儘に付き合わせるわけにもいかない。

 

幸い、少し物音が立ってはいるものの今のところ刀華が起きる様子はない。いつもの可愛らしい寝顔を晒してすやすやと眠っている。

彼女が眠っているうちに終わらせることができたら御の字だ。

 

それに蓮が襲われている今、黒乃と寧音が動かないはずがない。必ず蓮の救援に向かうはずだ。二人が加われば大抵の敵はなんとかなるだろう。本来ならカナタの救援など不要、あったところで足手纏いになるだけだ。

 

だが、それでもいくのは自己満足だ。

次こそ彼を助けたいという我儘だ。

何も出来ないまま、ただ座して待つなんてごめんだ。もう二度と後悔したくない。

その為に彼の元へ行く。何も出来なかった過去を繰り返したくはなかったから。

 

(なんだかんだ言ってこれを着るのは初めてですわね)

 

カナタは思い出し笑いをしながらクローゼットからある服を取り出す。

取り出されたのは、いつも彼女が身につけている白いドレス一式ではなく、紺を基調とした戦闘服だった。

ロングブーツ、プロテクター付きのグローブやズボン、いくつかのポケットがある上着、軍人の格好にも似たその格好は普段の彼女らしからぬ姿で、その美貌も相待ってまるで映画にでも出てきそうな上品な女軍人のようだ。

 

これはカナタが入学前にもしもの時に備えて、個人的に父、貴徳原幸太郎に頼み作ってもらった彼女専用の戦闘服だった。

学生騎士の制服と同じく強靭な特殊繊維で編まれており、グローブやブーツだけでなく服の各部にプロテクターが仕込まれ、防弾、防刃に優れた戦闘服は魔力で作る鎧と合わさってカナタの身を十二分に守ってくれるものとなっている。

と言っても、今まで実際に使われたことがなく、クローゼットの奥で埃を被りかけていたそれを、彼女はいよいよ使おうというわけだ。

ちなみに余談だが、同様の戦闘服は刀華も持っていて同じようにクローゼットの奥にある。だが、これは身体のラインが出るタイプなので彼女は恥ずかしいらしい。

実際、学園でも屈指のプロポーションを誇るカナタの身体のラインは見事に強調され、多少なりとも抑えられてはいるものの豊満な胸や尻の形がよく分かってしまう。

 

最後に彼女は髪を束ねてポニーテールにし、ロングブーツを手にしてベランダへと出る。

ブーツを履いた彼女は、刀華が寝ていることを確認して静かに窓を閉じると、柵へと手をかけ一度深呼吸をしてすっと森の奥、その先の今なお森の中を駆けて遠ざかる青い流星へ視線を向け、

 

「今行きますわ。蓮さん」

 

そう言って、彼女はベランダから飛び降りて深い闇の中へと身を投じた。

 

 

 

▼△▼△▼△

 

 

 

同時刻、動いているのはカナタだけではなかった。

 

「寧音急ぐぞ!」

「わーってるよ!」

 

住宅街の夜空を走る二つの影。

両手に黒金と白銀の2丁拳銃を携える黒髪の麗人—新宮寺黒乃と赤を基調としたラフな格好をし両手に紅の鉄扇を持つ小柄な童女ー西京寧音だ。

二人は黒乃の能力で空間を時間的に固定し、足場にし、時間加速での加速と寧音の重力操作の能力の加速の二重掛けで空を駆けていた。

二人がこんな夜中に空を走っているのは偶然ではない。

 

二人はとあるアラーム音で目を覚まし、すぐに着替えてそれぞれ自宅を飛び出した後合流し、道を急いでいた。

 

とあるアラーム音。それは蓮が左手首に身につけている時計にも似た機械から送られた信号を知らせるもの。

蓮は《魔人》であり、日本において最高戦力でもあることから、最重要人物として監視がつけられている。

左手首の装置には、蓮の体調をモニタリングする機能だけでなく、何かしらの事件が起き緊急を要する場合にアラームを鳴らし、救援を呼ぶ機能もある。

GPS機能もついており、救難信号を送った相手、黒乃と寧音にリアルタイムで位置情報が送られているのだ。機械が壊れない限りは、2人は蓮の位置をいつでも補足できるということになる。

 

「ここからだと60km以上離れてるな」

 

黒乃は手元の端末に目を落としつぶやく。

画面に表示された地図には二つの点があり、一つは赤で自分達の現在地。もう一つは青い点で蓮の位置だ。

蓮は都市部を離れて今は山間部へと凄まじい速度で移動しているようだ。今もなお移動しており、黒乃達の速度よりも速い速度で離れているのがわかる。

 

はじめ蓮はこれを渡された時つけることを躊躇った。

なぜなら、蓮はいくら事情を知っているとはいえ二人を巻き込みたくなかったからだ。

全部一人で解決しようとしていた蓮は、当然刺客たちとも一人で戦う気だった。

しかし、黒乃達もそこは譲らなかった。

彼女らとて蓮の気持ちがわからない訳ではない。だが、それでも託された者として、保護者として、彼を守らなければいけなかったからだ。

それには流石の蓮も折れて、渋々だが装置をつけることにした。

 

しかし、今までこの装置の救難信号が使われたことはない。破軍に入学する前は基本的に家におり、黒乃がそばにいたからだ。

寧音も近くに住んでおり、もしも蓮が襲われるようなことがあってもすぐに二人が駆けつけることができた。

 

だが、今回は違う。

学生寮と黒乃達の自宅は離れている。加えて、すでに信号が送られてから数分が経過している。その間にも蓮と刺客達の交戦は続いており、今は破軍から離れて山奥に向かっていることが位置情報でわかる。

それは黒乃達の位置からさらに遠ざかることとなり、二人はそれだけ救援が遅れてしまうことになる。

 

「しかし、まさか深夜とはいえ破軍に直接乗り込んでくるとは…」

「多分相当強ぇぞ。今回の連中は」

「ああ、だろうな」

 

蓮を襲う暗殺者達のレベルは回数を経るごとに強くなっている。前回、破軍入学四ヶ月前に襲撃してきた者達はそれなりに手こずったが、倒せた。

しかし、今回は確実に前回のよりも格上なのは間違いない。

だから、一刻も早く蓮の元へ駆けつけるために、蹴り足に込める力を一層強くした。

 

 

▼△▼△▼△

 

 

森の中を青い閃光が突き抜け、それらを追う幾つもの影。更には炎熱、雷電、暴風、毒、黒影が青い閃光へと次々と襲いかかる。

 

「《流水刃》ッ《蒼爆水雷》ッ」

 

青い閃光……蓮はそれらを迎撃、あるいは避ける。といっても、ほとんどの攻撃を蓮は避けている。なぜなら、放たれている攻撃の半分ほどに『透過』が付与されているからだ。

だから、付与されていない攻撃だけを霊眼で的確に見分け弾いている。

 

(……だいぶ離れたか)

 

蓮は体感として30キロは寮から離れただろうと推測する。方角は街とは真逆の山々のある方向、破軍学園はすでに抜けており、人気のない方向に行くことで人目につかないようにしていた。

そして、それは《黒狗》たちも同じだった。彼等は暗殺者。人の目があるところでは戦わない。無論、不測の事態で人の目に触れることはある。だが、そう言った場合は必ずその者は証拠隠滅として殺されるのだ。

それが暗殺者である彼等の果たすべき任務だ。

蓮もそれを知っているため、一般市民や、親しい友人たちを巻き込まないためにも一人遠く離れた山奥で戦うことを決めていた。

それに、元々強力な伐刀絶技を多く持つ蓮は、周辺に味方がいない状況の方が戦いやすいのだ。

 

木々を避けながらチラリと背後へ視線を向ける。

後ろからは風の大鷲と火の鳥、影の大狗に騎乗し蓮を追う七人の姿がある。彼等は蓮の《水進機構・蒼翼》の速度について来ていたのだ。

その上、一定の距離を保ちながら魔術まで放ってきたり、追いついて直接攻撃を仕掛けることもある。どうやら、こういった追撃戦も彼等は得意らしい。

しかし、蓮の近接戦闘での技量は凄まじく、直接攻撃を仕掛けても、『透過』を付与されていない攻撃では中々《王牙》を突破できず、傷を与えられない一方で、《黒狗》達は所々傷が出来始めていた。

 

「ッッ!」

 

直接攻撃が一旦止まったのを見計らって、蓮は《蒼翼》の噴射口の向きを変え、前方へと向けて噴射させて急停止する。さすがの《黒狗》達も蓮の急停止には僅かに反応が遅れて、瞬く間に蓮を追い越してしまう。

 

「《氷霧極夜(アイシクル・ミスト)》ッ!」

 

そして蓮は煙幕のように濃い白霧を生み出して周囲一帯を呑み込み、その隙に上空へと飛び出し、林を見下ろせる位置まで高く飛び上がると右手を振り上げる。

 

背後には数百はあるだろう無数の魔法陣が浮かび夜空を埋め尽くし、様々な物を生み出す。

ある陣は水氷の槍を、ある陣は水氷の刃を、ある陣は水の竜巻を、ある陣は氷の重砲を、ある陣は水の爆弾を、ある陣は氷の弾丸を、ある陣は氷の華を、ある陣は蒼き蛟龍を、ある陣は水の鮫や鯱を、数多の魔術が無数の魔法陣から放たれようとしていた。

 

明らかに常軌を逸した魔術の数。たった七人に向けるものではない。最低でも対軍レベルの破壊力がある。しかし、それだけの破壊を蓮は躊躇わずに使う。

 

「消えろ」

 

無慈悲に右腕を振り下ろす。

瞬間、放たれるは破壊の嵐。

驟雨のように降り注ぐそれは一見すれば流星群に見える。だが、そんな悠長なことは言っていられない。

 

「ッッ!全員集まれっ!」

 

ジーフェンの指示で全員が一箇所に集まり、影を操作して盾のように広げる。直後、破壊の流星群が降り注ぐ。

 

轟音と振動が辺り一体に響き、局所的な絨毯爆撃が降り注ぎ木々をへし折り、地面を抉り土煙が舞う。やがて30秒ほどその爆撃が続き、土煙が晴れた後、広がる光景は蓮の予想を裏切っていた。

 

「なに?」

 

想定していたよりも、破壊の跡が少なかったのだ。確かに着弾地点の木々は全てがへし折れ、中には根元が抉れているものまである。しかし、地面へはそれほどでもなく、1メートルほど抉られているだけだ。

見たところ、最初の数秒間だけが地面に着弾したのだと予想できる。

一体何が、そう思ったところで眼下にある黒い球体へと視線を向ける。

 

黒い球体は影で構成されており、球体が解かれ、中からは七人が姿を現す。

目立った傷が見られないことから、どうやら攻撃は全て影の中に回避したことで凌いだようだ。

 

(どうやって凌いだ?いや、そもそもあそこまで破壊が少ないのはおかしい。何かあるはずだ)

 

蓮は今の破壊の顛末を不審に思い、ゆっくりと降下しながら警戒する。

ジーフェンは蓮を見上げながら口を開く。

 

「凄まじいな。これでまだ学生なのだから恐れ入る」

 

ジーフェンは素直に称賛する。だが、その佇まいは隙が全くない。蓮は彼の挙動の全てを注視する。

 

「貴様の今の攻撃だけでも滅ぶ軍隊はいるだろう。だが、考えたことはないか?」

 

そういうや否や、周囲に影が広がる。それはさながら闇が世界を侵食するようだ。

そして、その暗黒からはいいようのしれない何かがあり、蓮は警戒心を高める。

ジーフェンは暗黒を広げながら、上空からゆっくりと降下する蓮へと言葉を続ける。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「っ、まさかっ」

 

蓮は先程の顛末を理解し、目を見開く。

 

「そうだ。少し減ったが返そう」

 

パチンと指を鳴らす。

次の瞬間、彼らの周囲に広がっていた暗黒の中から無数の青い星が浮かび上がる。

それらの青い星は先程連が放った無数の魔術そのもの。それが今度は、自分に襲い掛かろうとしていたのだ。

 

「ッッ!!!!」

 

蓮は珍しく焦燥をあらわにし、自身の眼前に《雪華》の防壁を何重にも重ねて展開する。

そして、無数の青い流星群が眼下の暗黒から放たれ、蓮を喰らわんと牙を剥く。

 

眼下から迫る青の流星群は《雪華繚乱》の防壁を甲高い破砕音を響かせながら次々と容易く食い破る。ならばと蓮はの魔力防御の密度を上げながら《蒼月》を眼前で交差させて、さらに《蒼翼》で自身を包み込み完全防御の体勢を取る。

直後、蓮は返ってきた自身の破壊に呑み込まれる。

青の嵐が蓮を蹂躙する。普段のような手加減された威力ではなく、まさしく殺す気で放った魔術は影を伝って術者であるはずの蓮の総身を容赦なく打ち、《王牙》を砕こうとする。

 

ジーフェンが操る影は、そこに入り込んだ物を影を伝って出すことが可能だ。彼はそうやって蓮の破壊の嵐を影の中に吸収して、影の中を伝って別の影に転移させることで外へと放出したのだ。やがて破壊の嵐が収まり、蓮が姿を現す。

 

「ゴホッ」

 

《蒼翼》はみるも無惨に砕かれ、根本からなくなっている。《王牙》にも所々亀裂が入り、半分ほど砕けて肉体に直接傷を刻んでいた。

兜も半分ほど砕けており、あらわになった彼の口からは血が吐き出され、ツーと口の端から垂れている。

流石の蓮でも、一つ一つが致死級の攻撃であり、さらには自分が放ったのは無傷で耐えることはできなかったようだ。

《蒼翼》がなくなったことで浮力を維持できなくなった蓮は、そのまま地面にふらふらと降り立つ。

 

「流石に自分の攻撃は効いたようだな」

「……ああ、そうだな。自分の攻撃を受けたのは初めてだ。正直驚いてる。……なるほど、よく効くものだな」

 

蓮は口の端の血を拭いながら、自分の魔術の破壊力に自嘲する。だがそれも一瞬。血を拭うと自身を青い輝きで包む。傷は瞬く間に癒え、鎧と翼も修復される。数秒の内に蓮は完全に回復した。

 

「しかし、影を伝って攻撃を返すカウンター系の伐刀絶技か。《反射使い(リフレクター)》よりも厄介だ。あんな使い方もあるんだな。初めて見たよ」

 

蓮は何もなかったかのように平然とし、初めて見る影の使い方に感心の声すらあげた。

そこには自身の攻撃が通用しなかったことに対する動揺はない。あるのは、ただ新しい情報を得たということだけ。

それ以上でもそれ以下でもない。

 

「……まさか、たった数秒で完全に回復するのか。ますます貴様は生かしてはおけんな」

 

ジーフェンは警戒心に満ちた声で、殺気をさらに膨れ上がらせる。残りの六人も武器を構えて殺気を膨らませる。

蓮は涼しい顔をしながらも状況を分析する。

 

(他の六人も強いが俺が苦労する相手ではない。一人ずつなら確実に殺せる。だが、この影使いの男は強いな)

 

他の六人、Bランク程度なら特に苦労せずに倒せるだろう。能力も把握したし、対策も立てれた。といっても、破軍にいる強者達でも彼らには勝てないだろう。蓮に次ぐ序列の刀華やカナタなら戦えるかも知れないが、レオ達ではまだ勝てないだろう。それぐらい《黒狗》は強い。

そして、ジーフェンはその中でも別格だ。他の六人とは強さの段階が明らかに違う。

それに、気になるのはそれだけではない。

 

(これで全員なわけがない。まだ何人か潜んでいるはずだ)

 

ここにいるので全員なはずがないのだ。必ずどこかに潜んでいるはず。

何部隊かに分けて最終的には全員で襲いかかる。そういった手合いとも蓮は戦っている。問題は増援の数と、その増援がどれだけの強さとどんな能力を持っているか。それ次第によっては、戦況が変わる。

だからこそ、蓮はこの戦場一帯を自分に有利な形へと変える。

一瞬で莫大な魔力を込め吹雪を纏わせた右腕をふりあげ、地面に振り下ろす。

 

「凍てつけ」

 

冷酷な一声を持って放たれた魔術は超広域殲滅魔術《ニブルヘイム》。

直後、半径5キロにも及ぶ広範囲に一気に絶対零度の冷気が吹き抜け、大地が、木々が凍りつく。

《氷雪の魔王》の代名詞たる凍獄の銀世界。

極寒の氷雪が、煌めく氷晶が、月光に照らされ月夜の世界を白銀に塗りつぶす。

 

戦場一帯を局所的な吹雪で凍てつかせて、極寒の冷気により体力を消耗させ間接的な持続ダメージを与える。そうすることで敵を削ることにした。

 

「耐えるか。流石《黒狗》といったところから」

 

普通なら今の冷気で凍らされ、なすすべも無くなるのだが、そこはやはり長きにわたり中国を支えてきた暗部組織の人間だ。

彼らは各々の魔力や異能を使い鎧のように身に纏うことで冷気を緩和していた。

その手際は見事と言えるだろう。だが、蓮に比べれば彼らの魔力量は少ない。いずれ鎧が消えるのも時間の問題だろう。

 

「《氷薔薇の荊棘(ソーン・ローゼ)》」

 

雪原に無数の蒼銀の氷薔薇が咲き誇り、棘のある荊を四方へ伸ばし敵を絡め取り絞め殺そうと襲いかかる。

鋭い風切り音を持って迫る荊の鞭打、鞭打に比べれば少し遅い速度で四肢に絡み付こうとしてくる荊。

鞭打と拘束。二種類の攻撃が織り交ぜられており、黒狗達はタイミングの異なる二種に応戦する。

そして、幾人かが迎撃に間に合わず命を絡め取られようとした時、氷の荊の悉くが影から伸びた黒刃に切り刻まれた。

やったのは他でもない。影使いであるジーフェンだ。

 

(やはり影使いは直接殺すべきだ)

 

蓮は《蒼月》を構えると、ジーフェンを直接仕留めるために彼へと接近しようとした。

 

「ッッ!」

 

次の瞬間、耳が風をきって走る何かの音を感じとり、自分に迫る気配に気づく。

蓮は咄嗟に後ろへと振り返り見上げる。眼前には萌葱色に輝く魔力の矢が迫っていた。

 

(矢か。…ッ!これはっ!)

 

蓮は落ち着いた動作で《雪華》で防ごうとするが、その性質を見た瞬間、回避行動を取る。 

《雪華》は容易く貫かれ地面に突き刺さる。しかし、矢はそれだけではなく次々と襲いかかる。避けるだけなら造作もない。だが、矢の奇襲に合わせて、元々いた七人も攻撃を仕掛けてきた。

 

炎、雷、風の遠距離攻撃に合わせ、ジーフェンによって影の中を移動し足元から、あるいは木々の影から、人の影から残りの者たちが襲いかかってくる。

 

「《蛟龍八津牙(こうりゅうやつが)》」

 

蓮は遠距離での伐刀絶技で対応する。

青い燐光を巻き上げながら《蒼月》から放たれるのは八頭の水の蛟龍。

蛟龍はそれぞれが巨大な顎門を開き、敵を噛み千切らんと迫る。

しかし、黒狗達はそれらを脅威的な速度で掻い潜ったり、『透過』ですり抜け、あるいは影の中に回避したりしてやり過ごす。さらには風の大鷲、火の鳥、雷の獣、影の黒狗の群れが蛟龍へと襲いかかり、そちらへと応戦せざるを得なくなった。

そして影の中から再び、レイ達が仕掛けてくる。

 

「っ!」

 

それを蓮は水を纏わせた《蒼月》で応戦するものの、敵の攻撃が苛烈さを増したことと、予想外の場所からの奇襲によりついに隙が生まれてしまい、四肢が矢に撃ち抜かれる。

 

「くっ」

 

《王牙》の防御力をものともしない矢。それは矢自体が強力というわけではなく、矢に《貫通》の能力が付加されているからだ。

更には反射使いの女が仲間の攻撃を反射して予想外の方向からの奇襲を行う。雷撃が、炎熱が、暴風が《王牙》を打つ。

一瞬動きが鈍る。その隙をついてどこからともなく白金色の鎧を身に纏った男ーフェイ・タイランが目の前に突然現れた。

 

「くっ!」

「ゼァッ!」

 

タイランの薄紅色の光を宿す拳が胸を撃つ。拳が胸を撃った瞬間、予想外の衝撃が蓮の胸を突き抜けて、あの《王牙》の鎧に亀裂を入れ、蓮を殴り飛ばす。

 

「がっ⁉︎」

 

蓮は肺の中の空気を吐き出し地面を転がる。倒れた蓮に氷を纏う水色の大斧を振りかぶった男

ーワン・グーウェイが迫る。

迫る大斧を《蒼翼》を噴射させて回避。反撃として《流水刃》を二つ飛ばすも、今度は純白色の風火輪を持った女ーリャオ・シャオメイが前に飛び出してきて、白炎を盾のようにして防いだ。

その隙に左右から雷撃を纏う籠手を振り抜かんと迫るレェイと2本の短刀を持った男ーチェン・ウゥリィが襲いかかるが、余裕を持って受け止めるとすぐさま弾き、相手に一撃見舞いながら全員から距離を取り、無理やり戻した蛟龍の背に乗る。

 

(五人。…いや、六人増えたか。増援の能力は《貫通》と水使いに炎使い。だが…)

 

蓮は胸をさする。胸には鎧の感触はなく、ボロボロと剥がれているのが分かる。

それはすぐに修復され元どおりになるが、蓮は戸惑いを禁じ得なかった。

 

(《王牙》を砕くか……なんの能力だ?)

 

蓮は初めて見る能力に思考を巡らせる。

タイランの魔力光は薄紅色。魔力波長は概念系だが、今の伐刀絶技の原理が不明だ。単純にパワーに特化しているのならまだいい。だが、それ以外では手こずるだろう。

しかし、先程突然目の前に現れたカラクリは分かる。

 

(《空間移動(テレポート)》の使い手もいるな。…本当に厄介な能力ばかりだ)

 

蓮は敵の能力の多様さに思わずため息をつく。

一対一ならば本当にどうとでもなるが、連携が噛み合えばここまで厄介なものになるらしい。

 

(?何だ?違和感が……)

 

そこまで思考した時、蓮は己の体に起きた異変に訝しむ。

なんとなくだが、体から少し魔力が抜けていっているように感じる。魔力だけではない、体力や筋力、体のあらゆる力がかなり緩やかだが落ちているようにも感じる。

霊眼で見れば、先ほどのウゥリィの短刀を受け止めた(蒼月》の刀身の表面に銀色の勾玉に似た紋様が浮かんでいた。

 

(銀色ということは…さっきの短刀の男か。こっちは何の能力だ?)

 

蓮はまた別の新たな異能の正体も探ろうとする。だが、

 

(……少し解析する時間が欲しいが…)

 

そう心の内で呟き足元から迫る影の刃を躱す。蓮は躱すことができたものの、蛟龍は影の刃に貫かれ霧散する。他の蛟龍も相打ちの形で消滅していた。

そして着地した蓮の両サイドから迫るグーウェイの氷の大斧とレイの雷の拳撃を双剣で受け止める。氷が凍てつかせようと、雷撃が焼き焦がそうと激しさを増すが、氷の大斧は同じく氷で、雷は超純水で耐え抜く。

敵は蓮が思考する時間を易々と与える訳がない。そんなことは分かりきっていることだ。だから、

 

(戦いながら、探らせてもらうとするか)

 

ギリギリと鍔迫り合いをし両手が塞がっている蓮の前後と上から、今度は三人が一斉に襲いかかる。上からは炎槌を振るうリーファが、前後からはリーとラオの二人が。

両手が塞がっているこの状況ならば迎撃は厳しい。

普通ならば、

 

「………」

「っ!?」

「なっ!」

 

蓮は唐突に両腕の力を抜いて両サイドの二人の攻撃を受け流す。受け流されたことで二人は前のめりになり、思わず体勢を崩してしまう。

蓮は蹌踉めいた二人と、前後の二人の位置が重なった瞬間、《蒼月》を手放し低く腰を落とすと肥大化させた氷腕で掌底を放ち、尻尾で薙ぎ払う。

 

『ガッ⁉︎』

『ぐっ⁉︎』

 

ウゥリィとレイは吹き飛び後ろに迫っていたリーとラオを巻き込んで地面を転がる。

蓮は飛び上がると、炎槌を勢いよく蹴り飛ばす。氷の脚撃と炎の大槌が激突するも、拮抗は一瞬で脚撃が大槌を蹴り上げる。

 

「くっ」

 

リーは空中で大槌を振りかぶった状態になり無防備になる。その隙を蓮が見逃すはずなく、蓮の氷拳が深々とリーファ腹へと突き刺さった。

 

「ガハッ!」

 

突き刺さると同時に腹部が凍りつき、女は苦悶の声と共に大量の血を吐き出し、バキバキと木々をへし折りながら地面に叩きつけられる。

追撃をかけようとした時、地面が不自然に動き、土が無数の龍の形を取りリーファを守るように動き蓮へ襲いかかる。

 

「邪魔だ」

 

蓮は《蒼月》に水を纏わせるとその龍達を瞬く間に切り裂いていく。そして最後の一頭を切り捨てた時、蓮の背後の地面が盛り上がり、青黒い槍を構えた男ーウォン・ガオランが飛び出してきて刺突を繰り出してくる。

 

(土を操る異能か。これで十四人だな)

 

蓮は冷静に敵の数を加え対処する。

見事な体捌きで放たれた刺突は雨のように蓮へと襲いかかる。

しかし、それらを蓮は悉く斬り払うと距離を取り《蒼翼》から水を噴射させ空を飛翔する。

 

「逃がさんっ」

「いいや、無駄だ」

 

ガオランが槍の石突を地面に突き立てると、瑠璃色の魔法陣が浮かび上がり、先ほどと同じように土が盛り上がり龍の形となって蓮に襲いかかる。

だがそれらは再び解き放たれた《蛟龍八津牙》によって容易く食いちぎられる。

その間に宙に飛んだ蓮は霊眼を駆使して、貫通使いを探す。

 

(そこか)

 

ここから400m離れた森の奥。太い枝の上にのる萌黄色に輝く人の姿を見つけた。そばには、薄緑色の人型もある。

萌葱色の人型が弓を構えていることから、その者が《貫通》の能力を持っていると看破。

 

「ッッ」

 

蓮は《蒼翼》から勢いよく噴射させ、その場にいる十二人を置き去りにして木々を突き破りながらまっすぐ二人へ突貫する。

 

「《渦巻く激流の竜巻(アクア・フルクシオ・トルネ)》」

 

水の竜巻を纏い、横向きの青い竜巻と化して木々を容赦なく巻き込みながら彼らへと迫る。萌葱色の人型、シルエットからして女ージュン・ジーファイは《貫通》の矢を無数に放つものの、《青華輪廻》により液体化している蓮の身体をすり抜けるだけに終わる。

そして竜巻が2人を飲み込もうとした瞬間、竜巻が止められる。

 

(っ、《障壁使い》かっ!!)

 

蓮の眼前には薄緑色の障壁があり、黒緑の長手甲型の霊装を構えた男ーグー・ジンがジーファイの前に立っていて障壁を展開しているのが分かる。

 

(硬いな)

 

しかも、生半可な硬度ではない。

これほどの硬度を使える障壁使いはそうそういないだろう。

そして止められた一瞬で、十二人が追いついてきて、背後から各々攻撃を放ってくる。

それを蓮は《渦巻き貫く海流槍》と《斬り裂く海流の乱刃》を同時発動し水氷の刃槍で迎え撃つ。

凄まじい音を立てながら、ぶつかり相殺されていく中、その隙に距離を取ろうと下へ降りようとした蓮を四方1mサイズの薄緑の障壁が取り囲み閉じ込めようとする。

先ほどの硬度から考えるに、すぐに突破しなければ袋叩きにされるのは確実。だからこそ蓮は出し惜しみをしない。

 

「《叢雨》ッッ!!」

 

咄嗟に《蒼月》を鞘に納めて伝家の宝刀を解き放つ。振るった勢いのまま蓮は体ごと勢いよく回転させて、自身を囲む障壁を研ぎ澄まされた蒼き一閃で悉く斬り裂いていく。

そのまま飛ぶ斬撃へと転化させて周囲へ放つ。しかし、それは誰にも当たることはなくただ斬線上にあった木々を斬り落としただけに過ぎなかった。

再び見晴らしが良くなった森の中で、《黒狗》達は蓮を取り囲むように着地する。蓮もまた着地し彼らを見据える。その時、ジーフェンが口を開いた。

 

「…これが日本の《仙人》の力、いや連盟では《魔人》といったか。まだ少年だとしても、その実力は《四仙》と同格の域だな」

「知ってたか。いや、あの《黒狗》なら俺達《魔人》のことを知っていてもおかしくはないか」

 

中国では魔人のことを仙人と呼ぶ。

現在中国が保有する魔人は四人おり、かれらは《四仙》と呼ばれている。

闇の暗部に属するものならば、彼らの存在だけでなく正体すら知っていてもおかしくはないはずだ。そして、それを知っているからこそ精鋭を集めたのだろう。というよりも、これだけの戦力を投入しなければ蓮を殺せないと判断したのだ。

と、その時だった。

 

「ッ、ゴフッ!ガハッ、ゴホッ、ゴホッ」

 

蓮は咄嗟に口を抑え、片膝をつく。

しかし、手でも抑え切れないほどの大量の血が吐き出され、何度も咳き込む。

手足からは力が抜けて痙攣を始め、ゆっくりとだが、確実に身体が壊れ始めているのを感じる。

 

(毒だとっ⁉︎いつの間にっ!)

 

そう。漆黒の鎖鎌の使い手ラオ。彼はが毒使いだった。だが、毒は体内に入れられていないはず。彼の攻撃は鎧には触れたものの、直接肉体には触れていなかったはずだ。

 

(いや…待て…)

 

そう考えたとこで、蓮は最初の毒ガスの入った筒を投げ入れられたことが脳裏に過ぎる。

あの時、あそこからは魔力を感じていた。部屋に充満する毒ガスはよくよく注意しなければわからないほどの極薄の紫色をしていた。

そして毒使いの魔力光は紫色だった。

 

(っそういうことか)

 

蓮はそこまで考えて自分の失策を悟る。

初めは《王牙》で完全に毒を吸い込むのを防げていた。

だが、《王牙》に何度罅が入った?

何度肉体が外気に触れていた?

いや、そもそも《透過使い》がいた時点でなぜその可能性を考えなかった?

 

『透過』と『毒』を重ね合わせれば、鎧の防御など関係なしに直接肉体内部に毒を届かせることができるではないか。

 

そう考えれば、辻褄が合う。おそらくは今までの戦闘中ずっと『透過』を付与された毒が散布されていたはず。

いくら薄めた毒であっても、時間をかけ多量に吸い込めば、それは強力な毒に成り果てる。

彼らの攻撃が苛烈さを増していたことから、そちらにばかり注視していた中、極薄の毒霧にまで対処が回らなかったのだ。

『透過』使いであるリーユエが途中から襲ってこなかったのも、ラオ達のサポートに回っていたからだ。

 

「やっと毒が効いたか。一定量吸えば5分もしないうちに細胞が壊死し死に至る毒を使ったのだが、効果を表すまで20分以上かかるとはな…」

 

ラオが畏怖を込めた声音でそう言う。

伐刀絶技《毒蛇の呪血》

蓮に使用された毒は地球上のどこにも存在しない、彼オリジナルの毒だ。彼はこの世界に存在するありとあらゆる毒を操るだけでなく、新たな毒を調合し作り出すことができるのだ。

今回のは体内に一定量入れば、体細胞を次々と壊死させて殺すという凶悪なものだった。

 

毒霧を散布していたはずなのに、仲間に影響がないのはただ単純に彼らが事前に解毒剤を服用していたからに過ぎない。

そしてラオは蓮に化け物を見るような目で見ていた。それもそのはず。彼の言った通り、今蓮が吸い込んでいた毒は、並の伐刀者なら5分もしないうちに死ぬものであり、いくら薄めて時間がかかるとはいえ、それでも20分以上も効果が出るのに時間がかかったことに畏怖を感じたのだ。

 

ジーフェンは他の仲間に視線を送り、周囲の警戒を任せると、自分は霊装である大太刀を持って蓮へ走る。

毒で体を蝕まれた蓮の体は、数多の死線を潜り抜け、何人もの命を奪ってきたからこそ、すでに死に体だと分かる。

だが、ジーフェンは油断しない。

なぜなら、蓮は《魔人》だ。対峙するこの男が人間ではないことをわかっているからだ。

ジーフェンは彼が何かする前に一刻も早くトドメを刺すべきだと彼に迫る。

そして、蓮の首を斬り落とそうと『透過』が付与された刃を振るった瞬間、ジーフェンは見た。兜から覗く、怜悧な眼光を。

 

「———《豪炎斬破(ごうえんざんぱ)》」

 

瞬間、蓮の体から紅蓮に燃え盛る灼熱の赫炎が噴き出し、炎で形成された鋭利な刃がジーフェンに襲いかかる。

 

「っ、何っ⁉︎」

 

予想外のことに驚愕の声を上げたジーフェンだったが、さすがは暗殺部隊の長と言うべきだろう。咄嗟に足元の影から黒刃を出し紅の炎刃を迎え撃つと同時に、魔力強化で後ろへと大きく飛び退いたのだ。

いくつかの炎刃は黒刃を破りジーフェンへ襲いかかったが、彼は影を鎧のように展開することで防いだ。見た限りダメージはないが、動揺は大きい。

 

「貴様っ、なぜ炎を使えるっ⁉︎」

 

ジーフェンは焦燥と驚愕を滲ませた声で叫ぶ。

当然の疑問だ。能力は一人につき一つが原則。

水と炎二つなどあり得ないし、関連性もない。彼が疑問に思うのは当然だ。

だからこそ蓮は彼の問いに兜の下で冷酷な笑みを浮かべて答えた。

 

「なに、不思議なことはない。俺は生まれた時から二つ能力を有していた。ただそれだけの話だ」

「元々複数持ちだったというのかっ⁉︎」

「そうだ。世界には俺達《魔人(デスペラード)》のような例外(イレギュラー)がいる。《魔人》という人の理を超えた例外がいるなら、異能を二つ有する例外がいてもおかしくはないだろ?」

 

そう言いながら蓮はスッと立ち上がる。

彼はもはや毒に蝕まれている様子はなかった。

蛇の毒如きでくたばる()はいない。

蓮は文字通り焼き尽くしたのだ。体内に蔓延る毒を全て。そして、壊死した細胞を全て治癒し蘇生させた。

時間と手間をかけた作戦が水泡に帰した瞬間だった。

 

「…馬鹿な。この数秒で俺の毒を全て焼いたというのかっ」

「一手足りなかったな。もっと強力な毒を使うべきだった。あるいはもっと早くトドメを刺すべきだった。俺相手に長期戦は勧めないぞ」

 

愕然とするラオに蓮はそう淡々と告げる。

それを聞いてジーフェンは確信した。

この男は危険すぎる。中国だけじゃない。『同盟』ひいては世界にとっても彼は危険な存在になりかねないと。

今すぐに何が何でも殺さなければ、のちに取り返しのつかないことになると。

 

(この男は今殺すべきだ!危険すぎる!)

 

かつてないほどの危機感を抱く。暗殺対象にこれほどまでに危機感を抱いたのは初めてだった。

その危険性はジーフェン以外も感じ取ったのか、全員が更に殺気と警戒心を高めて霊装を構えた。

対する蓮は、右剣に紺碧の水流を、左剣に紅蓮の火炎を纏わせるとその総身から青白い燐光を迸らせ、青い眼光を妖しく炎のように揺らめかせながら告げる。

 

 

 

「さあ続きをしよう。死力を尽くしてかかってこい。貴様達の目の前にいるのは人ならざるバケモノだぞ」

 

 

 

月が照らす夜に荒ぶる龍は滾り狂う水と燃え盛る炎を携えて、黒き禍狗を喰らわんと牙を剥いた。

 

 




わかりにくいかもしれないので、この話で出てきた《黒狗》メンバーの名前と魔力色、霊装の形、判明している能力だけまとめておきます。

漆黒ー影使いーリュウ・ジーフェンー大太刀
赤ー炎使いーホン・リーファー大槌
青紫ー雷使いーバオ・レイー籠手
翡翠ー風使いールー・リーー偃月刀
山吹色ー反射使いーチョウ・ミンファンー拳銃
紫色ー毒使いーリー・ラオー鎖鎌
橙色ー透過使いーファン・リーユエー脚甲
薄紅色ー???ーフェイ・タイランー全身鎧
薄水色ー水使いーワン・グーウェイー大斧
純白ー炎使いーリャオ・シャオメイー風火輪
銀色ー???ーチェン・ウゥリィー短刀の双剣
瑠璃ー土使いーウォン・ガオランー槍
萌葱色ー貫通使いージュン・ジーファイー弓
薄緑色ー障壁使いーグー・ジンー長手甲

………中国語って難しいね。というか、名前こういう感じでいいのかな。




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