クリスマス回でありながら、肝心のクリスマスに投稿が間に合わなかったこと誠に申し訳ございませんでした!!
実は、書いていたデータが消えてしまい、思い出しながら慌てて書きなおした結果、このような事態になってしまったんです。
どうか、お許しください。
そして今回、クリスマス回ということで、前回の首が吹っ飛んだ26話の続きはまた後日投稿させていただきます。
幕間というとFGOを連想しますよね。
私はまだクリスマスイベント終わってないんですよねー。(急がないと、カルナさんが……)
そして今年も私は家族とクリスマス!!
チキンとシャンパンとケーキが美味い!!
プレゼントはない!!!
とまぁ、前置きはこのくらいにして、とりあえず、リア充もクリぼっちも家族クリスマスもみんなまとめて、
メリークリスマス!!!
はい幕間どうぞ!!
12月25日
吐く息が白く、突き刺すような冷気に満ちるある冬の一日。
それは日本だけでなく世界中で毎年行われている一大イベントの日だ。
冬の季節。それも一年の終わりがすぐそこまで迫っている日。
雪が優しく降る街は夜になっても活気に満ちており、街の至る所にはイルミネーションがあって、色とりどりの装飾を施された木々が道路脇に立ち並び、道だけでなく街を彩っている。
装飾を施された店では赤と白の仮装に身を包んだ商魂逞しい店員達が、稼ぎ時であるこの時分にケーキやチキンなど、この日用に作った様々な商品を必死に売り込んでいる。
街を歩く人々の中には、多くの恋人がいて寒い中、仲睦まじく手を繋ぎ愛を深めている。
家族、学生、老人、老若男女問わずに誰もがこの日を楽しみ、特別な食事に舌鼓を打ち、プレゼントをお互いに交換したり、贈る日。
元はイエス・キリストの降誕祭を祝う日であり、今は誰もが楽しむ一年に数ある大イベントの一つ。
そう、クリスマスだ。
街だけでなく国レベルで盛り上がるこの一大イベントを楽しむのは、国防を担う為の騎士を養成する騎士学校の生徒『学生騎士』達も例外ではない。
冬休みに入っている彼等もまた実家に帰省したり、友達と会ってこのクリスマスを謳歌していた。
そしてそれは、彼等も同じ。
人で賑わう駅前に彼等はいた。
駅前を歩く八人組の若者の集団。
先頭を歩く淡青色の長髪の青年、新宮寺蓮とその隣を歩くのは茶髪のおさげの少女五十嵐陽香と黒髪の少女、北原凪だ。
その後ろを歩くのは、明るい茶髪の少女、木葉マリカと眼鏡のボブカットの大人しそうな黒髪の少女、佐倉那月だ。
そして、最後列で歩くのは男子三人で、そ一番大柄な体格の茶髪の青年、葛城レオンハルト、黒髪の穏やかな顔立ちの青年、黒鉄一輝、大人しめな黒髪の青年、岸田秋彦だ。
彼らはそれぞれが歩きながら、思いの思いに話に花を咲かせていた。
彼らもまた若者であり、例に漏れず彼らは朝から娯楽施設でボウリングやカラオケで遊び尽くし、クリスマスを堪能し、夜にはクリスマスパーティーを開いて更にクリスマスを楽しもうとしていた。
「ここから蓮さんの家ってどれくらいなのですか?」
「十分ぐらいだな。住宅街の中にあるぞ」
「……意外と近い」
陽香の問いに蓮はそう答えて、凪が呟く。
今彼らが向かっているのは蓮の家だ。
なぜなら、クリスマスパーティーの場所は蓮の実家で行われるからだ。ちなみに、発案者は蓮ではなく黒乃だ。
せっかくのクリスマスなのだから、友達を誘ってみてはどうだと言われ、蓮がもともと誘うつもりだったのでレオ達を招待したのだ。
これには全員が快諾した。
実家の都合で家には帰れない一輝以外の者達は家でクリスマスパーティーがあるだろうに、わざわざ自分の誘いに応じてくれたのを蓮は感謝した。
「そういえば、蓮くんの家ってことは理事長先生もいるってことよね」
そう呟くのはマリカだ。
蓮はそれに頷く。
「そうだな。あと、寧音さんもきっと来るぞ。いや、確実に来るな」
「マジか、寧音先生も来んのか」
「まぁ家が近いからな。毎年うちに来てるぞ。ただ、寧音さん酒癖悪いからなー、絡まれないように気をつけろよ?」
「あ〜なんか納得ね」
蓮の説明にマリカを始め全員が納得する。
寧音は普段からズボラさが滲み出てしまっているため、酒癖が悪いと言われてもイメージにそぐわないのだ。哀れである。
「……あとは、もしかしたら南郷先生も来るかもな」
「南郷先生って、もしかして《闘神》南郷寅次郎のこと?」
「そう、その南郷先生だ。あの人は、俺と寧音さんの師でもあったからな。普段は京都にいるが東京にいるのなら、年寄り一人は寂しいとかなんとか言って来るかもしれん。実際に去年は来た」
「何か蓮くんの話を聞いてると、どんどんイメージが崩れるんだけど」
一輝はそう苦笑を浮かべる。
《大英雄》黒鉄龍馬の終生のライバルにして、齢90を超えてなお、現役の老騎士。
日本人ならば誰もが知っている大物騎士の一人。特に黒鉄龍馬の曽孫である一輝にとっては、偉大な人物の一人なのだが蓮の話を聞くとただの好々爺に聞こえて、偉大なイメージが崩壊しかかっていた。
それは、伐刀者の名門でもある千葉家と岸田家のマリカと秋彦も同様の反応を示している。
しかし、実際そうなのだから仕方ない。
「というか、蓮さんと《世界時計》《夜叉姫》《闘神》が一つの家に集まるって、よく考えたらすごいよね」
「確かに。戦争起こせるレベル」
「てか、国滅ぼせる戦力だろ」
「ザ・魔王軍って感じね」
「お前らな……」
陽香の呟きに悪ノリした凪、レオ、マリカに蓮はため息をつき困ったような笑みを浮かべる。だが、その表情はどこか楽しそうであった。
その時、蓮のポケットに入っている端末が震える。
着信だ。
画面に表示されている名前は母である黒乃だ。蓮は液晶をタップして電話に出た。
「もしもし、母さんどうした?」
『蓮、今駅前にいるだろう?少し頼まれてくれないか?』
「ああ、それはいいけど、何をすればいい?」
黒乃は蓮が左手首につけた時計型の機械で位置情報を逐一把握できる。だから、今の蓮の居場所を把握できた。
蓮もそれは知っているため、特に驚かずに黒乃の頼み事を聞く。
『実は料理なんだがな、お前達の分も考えたら少し足りなさそうでな。スーパーで好きな物を適当に買って来るといい』
「何でもか?」
『ああ、酒でもチキンでも何でもいいぞ。ただし、買ったからにはちゃんと食べるんだぞ』
「分かってるって」
そして蓮は通話を切ると、歩みを止めてくれてた友人達へと振り返る。
「さて、急遽予定変更だ。スーパー寄るぞ」
「何か買うの?」
「どうやら料理が足りないみたいだ。いろいろ好きな物を買ってから家に行こう」
「じゃあチキン買おうぜ!」
「お酒も買うわよ!」
メンバーの中で一番元気なレオとマリカがそう口々に言う。
普段は口喧嘩が絶えないが、こいうところはやはり二人は似ている。
そして蓮達はそんな二人に賛同し、近くのスーパーへと向かった。
駅前のすぐそばにあるスーパーマーケットはそれなりに大きく、客の出入りが多かった。
蓮達はそのスーパーの中へ入る。
「へー、ここすごい広いわね。品揃えも凄そう」
「うん、ここなら色々見つかりそうだね」
日本の大手のスーパーマーケット。
店舗の大きさも十分であり、品揃えも十分だ。レオ達が満足いくものが見つかるだろう。
「じゃあ、適当にバラけて色々と見て回るか。買う前に一度確認し合おう」
蓮の指示に全員が頷き、レオ、秋彦、一輝とマリカ、那月と蓮、陽香、凪の3グループに分かれて、それぞれ商品を集めていった。
15分後。色々と料理や酒、お菓子などを買った彼らは幾つかのビニール袋を持って、スーパーを出た。袋はもちろん男達が持っている。
「しかし、思ったよりも買ったな」
「まぁ食べれそうだしいいんじゃねぇの?」
「そーよ。お酒も飲めなかったら、持って帰れば良いんだし」
「まぁ確かにそうか」
蓮はレオとマリカにそう相槌を打つ。
そして今度は陽香が隣を歩きながら蓮に尋ねてきた。
「それよりも、良かったんですか?」
「ん?何がだ」
「いえ、お支払いです。自分達の分は私達も出しますよ?」
陽香の言う通り、蓮は一万を超える支払いを全て自分がカードで支払ったのだ。
レオ達も流石に出すと言ったが、いちいち出すのは時間がかかるからと言う理由で一蹴された。
別に一万や二万程度、蓮の収入から考えれば大した出費ではないので構わないし、蓮としては友達とこういうことをするのが久しぶりで嬉しかったから、と言うのもある。
「これぐらいなら良いさ。別の機会に飯でも奢ってくれるならそれで良い。ほら、早くいくぞ」
蓮はそう答えて、無理やり納得させると皆を先導して自宅へと向かった。
▼△▼△▼△
東京都の住宅街の一角。駅から徒歩十分のところに蓮の自宅はある。
他の一軒家よりも一回り以上大きい三階建てはあるだろう家の門には『新宮寺』の表札がある。
「着いたぞ」
蓮はそう言ってガチャリと門の扉を開けて中へと入る。陽香達もその後を着いていく。
レオ達は大きな庭の横のタイルの道を通りながら、面白げに蓮の家を見渡す。
「ここが蓮の家かぁ。普通の一軒家よりもデケェな」
「本当だね。中はどうなってるんだろう」
「トレーニングルームとかあるんでしょうか?」
「ああ、理事長もいるからありえそうね」
口々に家の内装について想像を巡らせているレオ達に蓮は笑みを浮かべながら、玄関に鍵を差し込む。
「まぁそれは気が向いたらな」
ガチャリと鍵を捻り扉を開ける。
すると、扉の奥リビングの扉が開き、中から小さなサンタが現れた。
「にぃに、おかえりなさいですのー‼︎」
可愛らしい小さなサンタ……もふもふのサンタ帽子と、スカートのあるタイプのもこもこのサンタ服に身を包んだ小さな女の子は蓮の2歳の妹にして新宮寺家の大事な宝物、新宮寺鳴だ。
蓮の姿を見るやぱぁっと満面の笑みを浮かべて、蓮に走り寄る。
蓮は袋を玄関に置いて、笑みを浮かべると妹を自分の胸に迎え入れる。
「ああ、ただいま鳴。元気にしてたか?」
「うん‼︎鳴はいつだって元気ですの‼︎」
「はは、それは良い。子供は元気が一番だからな」
鳴は大好きな兄との会話に、本当に嬉しそうな笑みを浮かべ蓮にぎゅーと抱きつく。
と、その時鳴は蓮の肩越しにレオ達に気づく。
「にぃに、この人達は誰ですの?」
「俺の友達だよ。鳴、挨拶をしなさい」
「はいですの‼︎」
鳴は蓮から腕を離して下ろしてもらうと、子供ながらの拙いお辞儀をして自己紹介をする。
「はじめましてですの‼︎にぃにの妹のシングージメイです‼︎今日は、ゆっくりしてくださいですの‼︎」
「よくできました。良い子だ」
「「「可愛い〜〜〜〜‼︎‼︎‼︎」」」
鳴の挨拶に若干ポカンとしていたレオ達は現実に戻り、陽香、マリカ、那月は鳴のあまりの可愛さにすぐにやられ、鳴に近づいた。凪も言葉には出していないが、緩んだ表情から鳴の可愛さにやられたものだとわかる。
「何この子、すごい可愛いんだけど‼︎」
「サンタの格好良く似合ってますね〜」
「蓮さんの妹だから、やっぱり可愛いぃ〜」
女子たちがキャッキャと鳴の可愛さに悩殺される中、蓮は一つため息をつくとマリカ達から鳴を離すと抱え上げて床に下ろした。
「鳴リビングで待ってろ。俺達も手洗ったらすぐに行くから」
「はいですの‼︎」
鳴はそう元気よく返事すると、とてとてーとリビングへと消えていった。
その後ろ姿を明らかに残念そうに見る女子四人に蓮は若干、呆れた表情を浮かべると、靴を脱いで上がる。
「あのな、鳴が可愛いのはわかるがいつまでも玄関にいるわけにはいかないだろ。まずは手を洗え」
『はーい』
蓮の言葉なら全員が頷き、蓮の案内のもと靴を脱いで上がり洗面所に向かう。
「蓮って、もしかしなくてもシスコンか?」
「否定はしないが、妹弟が可愛いと思うのは兄姉として当然じゃないのか?」
「あぁ、確かにそれはわかるよ」
「…うん」
レオの呟きにそう答えた蓮に、妹がいる一輝と弟がいる凪が理解を示す。
確かに自分達でもそう言うに違いなかったから。可愛いものは可愛いのだ。
(……妹……か)
一輝は皆が洗面所へ向かう中、一人廊下で立ち止まり、その妹へと想いを馳せた。
一輝にも一つ下の妹がいる。
自分を虐げてきた黒鉄の家の中でたった二人自分に優しくしてくれた者達の一人。
自分なんかと比べるまでもないほどの、素晴らしい才能を有していて黒鉄の家でも上の立場にいた子。それでも、自分に懐いてくれていつも後ろを追いかけてきた可愛い大切な妹。
(珠雫は今頃、どうしてるかな。…元気にやっていけてるだろうか)
自分が家を飛び出してからはや3年。今頃妹の珠雫はどうしているのだろうか。
一足先に手を洗い終えた蓮は、廊下でただ突っ立っている一輝に声をかける。
「どうした?黒鉄」
「え、あっ、な、何?」
「いや、どうもぼうっとしていたように見えたからな。もう皆行ったぞ」
「あ、うんすぐ行くよ」
そう言って一輝は慌てて洗面所へと向かった。しかし、ずっと一輝の様子を見てた蓮は彼を呼び止め声をかける。
「妹のこと、考えていたのか?」
「うん。今珠雫はどうしてるかなって……」
「確か、三年は会ってないんだったよな」
「そうだよ。中学生に上がる時に家を出たからね。今の君達のを見てたら、昔のことをね」
レオ達がいなくなり随分と人が減った玄関で、二人の間に静寂が漂う。
一輝は自分が暗くさせてしまったのかと慌てて謝る。
「あ、ごめん。こんな日に、暗い話をしちゃって」
「ん?ああ、別に家族のことを思うのは何も悪くないだろ。
いつ会えるかわからないんだ。なら、会えない間、考えるのは当然だろ。俺だってそうだからな」
「君もかい?」
「ああ、招集に行く度に思うよ。
いつ死ぬかわからないが、家族が帰りを待ってくれていると思えば、戦える。戦った意味があると思える」
何度も特例招集を経験し、敵を倒し続けている無双の戦士である蓮は、家族や仲間の平穏を守る為にも戦っている。
その家族や仲間達が帰りを待ってくれていると思えば、戦えるのだ。
「俺にとっての家族はそれだけ大切で尊いものだ。だからこそ、守りたいし、笑顔が見たいと思う」
招集を経験したことのない一輝は蓮の横顔に何かただならないものを感じ、目が離せなかった。
蓮はそんなことを知らずに、穏やかな笑みを浮かべながら続ける。
「それに、妹も伐刀者なら来年は破軍に入学するんじゃないのか?だったら、その時に積もる話でもすれば良いさ」
蓮は一輝の肩をぽんぽんと叩きながら、自分もリビングに向かう。
「うん、そうだと良いね」
一輝も笑みを浮かべると、彼の後についていく。
来年会えたのならその時に、今までできなかった家族の時間を過ごそうと一輝は思った。
しかし、来年確かに一輝は珠雫と再会するのだが、再会して早々キスされるとはこの時思いもしなかった。
▼△▼△▼△
「ただいま」
『お邪魔しまーす』
リビングはやはり外観から予想できた通りに広く、段差があってまるで大きな掘り炬燵のような構造になっている。
上段にキッチンやテーブルがあって、下段にはカーペットとテーブル、大きなテレビが置かれている。
二つのテーブルには所狭しと料理が並べられていた。壁にもクリスマス用の飾り付けがあり、隅にはクリスマスツリーが置かれている。
そして、中では鳴とサンタ帽を被っている黒乃と同じ帽子を被っている栗色の髪の優しげな男が蓮達を出迎えた。
「おかえり、蓮。ちょうど準備が終わったところだ」
「蓮、おかえり。後ろの子達がお友達かな?」
「ああ、そうだよ。前に話した俺の友人だ」
蓮はそう言って、体をずらし男にレオ達がよく見えるようにする。
「初めまして。蓮の父の新宮寺拓海です。
息子と仲良くしてくれてありがとう。今日はぜひ楽しんでいってください」
そう言って、黒乃の夫にして蓮の義父の拓海は軽く頭を下げる。
そうすると、レオ達も初めて黒乃と会った時のように慌てて頭を下げて各々挨拶をする。
それを横目に見ながら、蓮は買ってきた袋の塊を魔術でふわふわと浮かばせながら黒乃の元へ運ぶ。
「母さん、これ」
「多いな。また随分と買い込んだな」
「別に大丈夫だと思うけど?」
「そうだろうな。なら、早速向こうに並べてくれ」
「ああ」
蓮はそう言って宙に無数の透き通った四枚の羽を持った氷の結晶でできた妖精のようなもの50体ほど生み出すと、妖精達を操って台所からとってきた皿に盛りつけたり、料理を並べたりしていった。
その見事な手際に、レオ達は流石だなぁと感心して、鳴は目をキラキラと輝かせていた。
「妖精さんですの‼︎」
「せっかくのクリスマスだからな。今年は氷の妖精を作ってみたよ」
「すごいキラキラしてて綺麗ですの‼︎」
「そう言ってくれると、作り甲斐があるな。だが、俺のはこんなもんで終わらないぞ」
「すごいですの‼︎」
そして鳴が側で目を輝かせる中、蓮は妖精達を操って一通りの作業を行い、途中に鳴を楽しませる動きを織り交ぜながら、レオ達へと振り向く。
「俺は着替えてくるから、お前らも好きにくつろいでて良いぞ」
そう言いながら、蓮は早々にリビングを出て二階の自分の部屋へ向かった。
リビングに残っているレオ達は、蓮がこの部屋を去ってなお動き続け料理を運んでいる氷妖精達を見て呟く。
「いやー、流石だな蓮。この部屋にいなくても、操作できるのかよ」
「しかも、五十体以上を同時操作してる。流石の魔力制御だよ」
「本当にすごいよ。一体何体が限界だろうね」
男子達は蓮の魔力制御力に感心の声をあげる。
一方、女子達は……
「うー、私はまだまだだなぁ」
「……陽香も魔力制御力は高い方だよ」
「でも、蓮さんと比べると私なんか霞んじゃうよ」
「陽香も学内ではトップクラスの魔力制御力じゃない。別に蓮くんと比べて自信落とさなくても良いんじゃない?」
「そうですよ!陽香さんだって魔力制御はすごいじゃないですか!」
「うぅ〜、でもぉ」
陽香が蓮の魔力制御力と自分のを比較してまだまだだと痛感している中、女子三人がそう慰めの言葉をかける。
確かに彼女たちの言ってることはわかるし、自分も蓮と比べるのは烏滸がましいと思う。それでも、やはり好きな人に追いつきたいと思うからこそその差を痛感しているのだ。
そんな陽香に黒乃が近づいて言った。
「まぁあの子は潜ってきた修羅場の数が違うからな。要は経験値の差だ。でもまぁ、あの子に追いつきたいというのなら、もっと経験を積んで強くならないとな」
「理事長先生…」
「ほら、お前達も少しは手伝え。全部蓮の妖精に任せるつもりか?準備もクリスマスの醍醐味だぞ」
そう黒乃に言われ、レオ達は上着と荷物を置いて料理を運ぶのを手伝う。
「あ、手伝いますよ」
「ありがとう。確か君は…葛城くんだよね?」
「レオでいいっすよ。てか、俺のこと知ってるんすか?」
「うん、君達のことは蓮から聞いてるよ」
そう言って、拓海はレオに料理を手渡し呟く。
「蓮が良く君達の話をしているからね。
蓮が友達を家に呼ぶのは久しぶりなんだ。
今日はせっかく来てくれたんだから、心ゆくまで楽しんでいってね」
「そんなに俺らのこと話してるんすか?」
「うん、それはもうたくさん」
「へー、マジすか」
拓海の言葉にレオは目を見開いた。
蓮の人柄は八ヶ月の付き合いで何となくわかってきたが、それでも友達のことを親に楽しそうに話す姿は予想できなかった。
それはマリカ達も同様で、料理を運びながら聞き耳を立てて全員が驚いている。
そんな皆の様子に黒乃は笑った。
「ふふ、そんなに意外だったか?」
「え、あ、いや…えと、はい、意外でした。蓮くんそういう話はあまりしないのかと思ってましたから」
マリカは何とか取り繕おうとしたものの、やはり取り繕えず素直に認めた。
黒乃はそれに目鯨は立てずに、笑みを崩さなかった。
「まあ学園でのあの子の様子を見れば、昔から知ってなければ、そう思うのも無理もないだろう。だが、それも蓮なんだよ」
黒乃は鳴を抱き上げながら、話を続ける。
「蓮は人との縁を大事にする。
それは家族は勿論のこと、友人も同様だ。
それに、中学では友達が出来なかったからな。破軍でできて嬉しいんだろう」
「え、中学生の時はお友達居なかったんですか?」
黒乃の話を聞いていた一輝が、そんな疑問を黒乃に投げかけた。
「お前達ほど仲のいい友達は中学の時にはいなかったな。
まあ当時は色々あってな、そう言った話はまた別の機会に蓮に聞くといい」
とにかく、と黒乃は話題を戻す。
「何も百戦錬磨、常勝無敗の最強騎士の姿だけが蓮の姿だけでは無い。こうして人との繋がりを大事にする、友達が出来て喜ぶような、そんなどこにでもいる一人の人間なんだよ。そのあたりをどうか覚えておいてくれ」
全員が全員、別の一面を持っていたりする。
それは、蓮とて例外では無い。
家族を愛し、友人との繋がりを大事にする、そんなありふれた一面を蓮だって持ち合わせている。
そして、黒乃の言葉にはどうかその優しい一面を知ってもらい、蓮を受け入れてほしいというふうにも聞こえた。
それを感じ取ったのかは定かでは無いか、レオ達全員が笑みを浮かべた。
と、その時タイミングよく蓮がリビングに戻ってくる。部屋着に着替えたのだろうと思い、そちらを振り向いたレオ達は一瞬固まった。
「待たせたな。…ん?どうしたお前ら」
「いやどうしたって、何で蓮もサンタの格好してんだ?」
そう、蓮は部屋着に着替えたのではなく赤と白のもこもこのサンタ服なら着替えていたのだ。
なまじ、顔がいいだけにサンタコスでも十分絵になる。
クリスマス特集の雑誌の表紙を飾ってそうだ。
蓮はレオの疑問にさも当然であるかのように答える。
「何でって、せっかくのクリスマスなんだからな。格好から楽しまないと損するだろ。
それに、去年鳴にお揃いにしたいとせがまれてな。毎年着ることにしたんだよ」
「…あぁなるほど」
レオはそう若干げんなりとした様子で答える。
そういえば、蓮はハロウィンでも楽しんでいたなと思い出す。どうやら、蓮はイベントごとは楽しむタイプのようだ。
ちなみに、二ヶ月前のハロウィンでは、レオ達がそれぞれコスプレをするなか、蓮は魔王のコスプレをした。
似合ってるというか、似過ぎていたので笑いどころか全員が咄嗟に霊装を構えたのは余談だ。
だって、今にも世界を滅ぼしそうに見えたから。
それで、一瞬で魔王VS勇者とその仲間達のような構図ができて、破軍学園でもちょっとした話題になった。
それから、しばらくして料理が全てテーブルに並べ終わった。所狭しとならぶ料理はよりどりみどりでどれも美味しそうだ。
そして、全員が二つのテーブルに散らばってシャンパンやジュースの入ったグラスをもち、蓮はその二つの間でグラスを片手に持って立っている。
「えーじゃあ、せっかくのクリスマスだ。色々と話すのは無しとして、食べて騒いで聖夜を楽しもう。メリークリスマス!」
蓮は笑みを浮かべながら、まどろっこしい前置きはなしに、グラスを掲げ言った。
『メリークリスマース!!!』
そうして聖夜の宴が始まった。
▼△▼△▼△
「ねぇ、鳴ちゃんはお兄ちゃんのどこが好きなのかなー?」
宴が始まり、しばらくした頃、やはり予想通り近所に住む寧音が乱入してきた。
サンタ帽子を被って、尋ねてきた寧音は当然の如く宴に参加した。
そして、寧音と盛り上がり酒を飲んで少しでき始めているマリカがリンゴジュースをごくごくと飲んでいる鳴に、そう尋ねた。
どうやら、パパのどこが好きみたく、子供によくする質問をしていた。
ジュースを飲んでいた鳴は、グラスから口を離すと満面の笑みを浮かべて答えた。
「かっこいいところですの‼︎あと、優しいところもですの‼︎」
「ん〜〜、もう、鳴ちゃん可愛すぎ‼︎‼︎」
可愛らしい反応にマリカは思わず鳴の頭を撫でる。もう完全に悩殺されている。
というか、酒が入ってきて気の強いキャラが崩れかかっているが、誰もそれには触れない。
酔った女豹はめんどくさそうだから。
そして、頭を撫でられて目を細める鳴に今度はマリカとは反対側から那月が尋ねた。
「じゃあ、鳴ちゃんにとってお兄さんはどんな人?」
那月の問いに鳴はほぼ即答で答えた。
「かっこいいヒーローですの‼︎にぃにはどんな悪い敵も倒しちゃう強いヒーローですの‼︎」
それは子供の憧れにも似たものだろう。
鳴にとって蓮は悪い敵をやっつける正義のヒーローらしい。七星剣武祭での戦いも見ていてなおそのイメージが強くなったらしい。
その返答に女子達は全員が表情が緩んでしまっている。マリカどころか、全員鳴の笑みにやられている。
それを遠目で見ながら、レオは蓮の肩を肘で小突く。
「だってよ、強くてかっこいいヒーローさん」
「レオ、喧嘩売ってるならいい値で買ってやるぞ?」
「ジョーダンだって、ジョーダン」
蓮とレオはそんなことを言っている。
レオも酒が入ってきて若干酔ってきている。
「ハハハ!皆良い感じに酔ってんじゃん‼︎いい酒持ってきた甲斐があったぜ」
「寧音さんも酔ってるでしょ。明日二日酔いになっても知りませんよ」
「いいっていいって、れー坊もそんなかてーこと言わずに飲もうぜー」
「まあいいですけど」
そして、しばらく談笑をした後、蓮が徐に立ち上がって、ぱんぱんと手を叩き全員の注意をこちらに向ける。
「じゃ、事前に予告した通りプレゼント交換でもするか。持ってきてるプレゼントを並べろ」
「やったー、待ってましたー‼︎」
「待ってました!」
蓮の提案に、マリカとレオが一番に歓喜の声を上げ、自分のカバンのところに向かった。レオ達もそこに向かい、鞄の中からそれぞれ用意したプレゼントを取り出す。
全部が綺麗な包装を施されていて中身がわからない。
しばらくして、那月の言霊で出したロープを蓮達八人が手に握っている。
ロープの先にあるプレゼントは何か分からない。プレゼントにくくりつけたロープを引っ張ってそのプレゼントをもらうという内容のようだ。
「それじゃ引くぞ。せーの!」
蓮の合図に合わせて、黒乃達大人三人と鳴が見守る中、ロープが引っ張られ、それぞれの手にプレゼントが渡る。
包装紙を破り、中を開ければプレゼントが現れた。蓮が手にしたプレゼント、それは……
「ほぉ、マグカップか」
蓮が手にしたのは、赤に白い文字でMerry Christmasと綴られたマグカップだ。
誰のものなのか尋ねようとした時、それよりも先に名乗り出てきた。
「あ、それ私が選んだものです」
陽香だ。どうやら、マグカップのプレゼントは陽香が選んだものらしい。
そして、そういう陽香の手元には水色の花の装飾がついたヘアアクセサリがあった。
「そのアクセサリー、陽香が選んだのか」
「じゃあこれって、蓮さんが選んだものですか?」
「ああ。ということは、俺と陽香はお互いのを交換したというわけか」
「そう、みたいですね」
そう答える陽香は若干酔ってるからか嬉しさが隠しきれず、満面の笑みを浮かべ頬を赤らめていた。
好きな人に自分のプレゼントが渡り、なおかつ好きな人のプレゼントが自分の手元にあるなんて嬉しいに決まっている。
「ありがとう、大事に使わせてもらうよ」
「私も。大事に使わせてもらいます」
お互いにそう笑みを浮かべた。
ちなみに、それぞれプレゼントを貰ったが、一部変なのもあってマリカが大笑いし、かつ軽くキレたのは余談だ。
それからも宴は続き、今は家にあるゲーム機で四人での格闘ゲームに興じている。
対戦は白熱し、酔ったレオとマリカ主催の格闘大会まで始まる始末。
そして1グループまで予選突破し、決勝進出を果たした蓮は他のグループでの対戦を見ていた時、ふと端末が震えていることに気づいた。
「すまない、電話だ。少し席を外す」
「はい、わかりました」
蓮は那月にそう言うと、ベランダを開けて庭に出る。
「もしもし、カナタか」
電話の呼び出し相手は幼馴染の貴徳原カナタだった。
『夜分にすみません。蓮さん、パーティーでもされてましたか?』
「ああ、レオ達も誘って家でな。そっちも賑やかそうだな」
蓮は電話越しにでも聞こえてくる子供達の笑い声に笑みを浮かべる。カナタもクスクスと笑っていた。
『ええ、今は若葉の家でクリスマスパーティーをしてますの。うたくんったら今はカラオケで熱唱中ですわ。しかも、酔っ払った刀華ちゃんまで参加してもう面白いったらありませんわ』
「へぇ、泡沫はわかるけど、刀華もか。後で動画くれないか?面白そうだ」
『勿論。後でお送りいたしますわ。それと、東京では雪だとか』
「ああ、まさにホワイトクリスマスだよ」
『そうですか…こちらは降ってませんので羨ましいですわ』
「それは残念だな。……そういえば、電話なんてどうしたんだ?」
『……貴方の声を聞きたかったから、というのはダメですか?』
「………」
蓮は電話口で告げられた言葉に思わず、驚き一瞬言葉に詰まった。だが、すぐに笑みを浮かべると応える。
「いや、別にダメじゃないよ」
『ありがとうございます。それはそうと、近いうちにそちらに伺ってもよろしいでしょうか?』
「ああ、構わないがどうしたんだ?」
『貴方にクリスマスプレゼントを渡したいのですけど、今はこちらにいますから、近いうちに東京に戻るのでその時に渡そうと思うのですが、宜しいですか?』
「なんだ、そんなことか。全然いいよ。むしろ楽しみにしてる」
『ええっ、では、近いうちに必ず伺いますわっ』
電話口でも伝わるカナタの嬉しさは伝わった。
どうやら、相当嬉しいようだ。
そして今度は蓮が言った。
「実は俺も用意してるんだ。プレゼントを」
『本当ですか?』
「ああ、紅茶を用意して待っておくよ。もっとも、お前が普段飲んでいる紅茶に比べれば安いだろうけど」
『いいえ、貴方の入れてくれた紅茶ならきっとどんな紅茶よりも美味しいですわ』
「そうか」
そして、二人はしばらく電話越しで談笑を続ける。やがてそろそろ電話を切ろうとした時、カナタが呟く。
『ああ、そう蓮さん最後に一つ』
「ん、なんだ?」
『メリークリスマス。楽しい聖夜を」
蓮はそれに一層穏やかな笑みを浮かべると、雪が降る夜空を見上げながら、
「メリークリスマス。そっちも楽しい聖夜を」
勿論、同じようにそう返した。
▼△▼△▼△
蓮がカナタと電話している頃、鳴が睡魔の限界が来てウトウトとしたことで黒乃がベッドへ運んで寝かした後、レオ達の格ゲー予選がやっと終わり一区切りついて、ふと拓海はレオ達に向けて呟いた。
「皆、今日は本当に来てくれてありがとう」
「どうしたんすか?拓海さん」
「蓮の前では言えなかったけど、どうしても君達には蓮のことでお礼を言いたくてね」
そうして拓海は全員が耳を傾ける中、話し始める。
「蓮が友達を、しかも今日みたいな特別な日に家に呼ぶのは小学生の頃以来なんだ。中学生の時は招集を受けて、時々学校を休むことがあったし、なまじ何でもできちゃう子だから同級生達とはあまり親密ではなかったんだよ。放課後もひたすら黒乃さんやネネちゃんとトレーニングしていたから、遊びに行くことも本当に少なかった」
蓮は中学生の頃、必要以上に親しい友人を作らなかった。
その時は、まだ『黒川事件』でのことを抱えていて、自分のせいで誰かを傷つけてしまうことを極端に嫌い、心に壁を作って必要以上に友人を作らなかったし、髪も黒く染めて自分が伐刀者であることを隠し、深い関わりを持つこともなかった。
それに蓮は天才で、勉強でもスポーツでも一位を取っていたから、それでも一目置かれたりしていた。
誰もが蓮ではなく、蓮の才能を見るようになってしまっていたのだ。そして蓮も、深く関わろうとはせずに、そのまま三年間を終わらせてしまった。そんな蓮だったが破軍に入ってからは変わった。
「電話でもだけど、夏休みに家に帰ってきた時も君たちの話をいつも楽しそうに話してたよ。
あの子にとっての中学生時代は、ずっと戦ってばかりの日々だったし、自分を隠し続けてた日々でもあった。
それでも、破軍に行ったら蓮をちゃんと見てくれる友達に出会えた。そのことが、あの子にとっては本当に嬉しいことだったんだ」
拓海も蓮を幼い頃から知っている。
そもそも妻である黒乃と出会ったのは破軍学園であり、彼はランクこそEランクだったが大和やサフィア、黒乃の三人と同級生だったのだ。
黒乃と付き合うようになった後、自然と大和達との関わりも増えて、黒乃が蓮を引き取った当初の事も知っている。
そして、《黒川事件》の暫くした後、黒乃と拓海はついに結婚して拓海は蓮の義父になった。
だから拓海は蓮のことをよく知っている。
過去にどんなことがあって、何に傷つき、何のために戦っているのかということも全て。
でも、それでも黒乃と同じように血の繋がりがなくとも蓮を息子として愛した。
鳴と同じように自分達の掛け替えの無い宝物として、愛情を注いだ。
そうして、育った宝物も同然の息子が、破軍に入ってからは友達のことを楽しそうに話したりし、今日は友達を家に招待した。
その事実が、今まで成長を見てきた拓海は何よりも嬉しかった。
「だからどうか、これからも蓮の友達でいてくれないかな」
そう言って、拓海は頭を下げる。
黒乃と寧音がシャンパンを飲みながらも、無言でことの成り行きを見守る中、やがて拓海に、声がかかる。
「当然っすよ、拓海さん。俺達はずっと蓮のダチでいるつもりです」
「そうね。私も蓮くんに会えたから今が楽しいわけだしね。一緒にいると退屈しないわ」
「はい。蓮さんと会ってなければ、私はこんなに楽しい生活は送れていなかったと思います」
「僕も同感です。彼のおかげで僕は日常が楽しいと思えました」
入学式の日に蓮に出会ったレオ、マリカ、那月、一輝がそう答えた。
「むしろ私達の方が感謝を伝えたいくらいです。私は蓮さんのおかげでみんなと友達になれましたし、強くなることもできました」
「……うん、蓮さんのおかげ」
「そうだね。蓮がいたからここにいるみんなが繋がることができた」
次いで、陽香、凪、秋彦がそう言う。確かに蓮が中心にいたからこそこのグループは出来上がったとも言える。蓮がいたからここにいる全員が繋がったのだ。
もしもいなかったら、バラバラのままだっただろう。
そして最後に、レオが言った。
「拓海さん。俺達も蓮には感謝することばかりっすよ。いろんなことを教えてくれて、いろんな刺激をくれた。
あいつはいつも俺たちのことを引っ張ってくれるリーダーです。
そんなすごくてかっこいいリーダーに出会えたことに感謝したいぐらいすよ」
レオの言葉にマリカ達は全員が無言で頷く。
その様子を見て、蓮は本当に素晴らしい友達に恵まれたんだと拓海は目の端に涙を浮かべる。
それは黒乃も寧音も同じで、黒乃は拓海同様嬉し涙を浮かべてしまっている。
当然だ。親としてこれほど嬉しい事はないから。
拓海は朗らかな笑みを浮かべ、改めて頭を下げる。
「蓮は、本当にいい友達を持ったね。うん、ありがとう。これからもあの子のことをお願いします」
拓海の頼みに、レオ達は笑顔を浮かべて引き受ける。そのタイミングでちょうど蓮が電話から戻ってきて、ベランダから戻ってきた。
「今戻った…って、どうしたんだ?皆揃って」
蓮は本日二度目になる全員の視線を浴びる経験に首を傾げて疑問を浮かべる。
心なしか、空気も変わってるように感じた。
先程まではまさに楽しい活発な空気だったのに、今はそれに何か優しさのようなものが混じっている。
だが、その真意を尋ねる前に拓海がコントローラーを持ちながら言葉を被せた。
「ああ蓮、戻ったんだね。
もうすぐ決勝を始めるから、準備急いでね」
「分かったけど、その前に少し飲んでくる」
蓮は拓海にそう言って、テーブルにある自分の分のグラフにシャンパンを注ぎ喉を潤した。
その時、椅子に座り拓海達を見ている黒乃がふと蓮に尋ねた。
「蓮」
「何?母さん」
「今は楽しいか?」
蓮は黒乃の問いにしばらく口を閉じると、やがて笑みを浮かべて答えた。
「ああ、とても楽しいよ」
「そうか」
そう答えた蓮に黒乃は嬉しそうに言った。
そして、テレビ側の方からは蓮を呼ぶ声が聞こえる
「おいれー坊‼︎飲んだならあんたも早く来なー!決勝戦でボコボコにしてやっから!」
「ははっ、負けるつもりはありませんよ。優勝は俺がもらいます」
「へっ、リアルでは負けっけどゲームはリアルと違うってことを教えてやるぜ!」
「言うじゃないかレオ。俺はゲームでも強いと言うことを見せてやろう。精々頑張れ」
蓮は寧音とレオの挑発にそう答えて決勝戦を制覇すべくテレビ前に移動する。
そして、家からは少年少女の笑い声が響き、外では雪が降る中、楽しい聖夜は更けていった。
どうでしたか?お楽しみいただけましたか?
今回父親の拓海さんと妹の鳴ちゃんを出させていただいたのですが、いかんせん情報が少ないので自分の理想を混ぜて書かせていただきました。
格闘ゲームの対決、すなわちスマ○ラ。スイ○チで皆さんは遊んでいます。
そして、現在コロナが猛威を払い、さらに脅威を強める中、自分達個人でもできる事はまだあるはずです。
手洗いや消毒、マスクなど基本的なことをすれば少しでも影響は減らせることができると思います。
いつか、普通の生活に戻れる日を願って、今皆さんで頑張るしかないのではないでしょうか。
色々とご高説を垂れてしまい、申し訳ありません。
とりあえず、皆さんいい聖夜をお過ごし下さい!!
それではまた次回、お会いたしましょう!!
さようなら!!