30分クオリティかつ書き殴りしたから色々とぐちゃぐちゃですわw
30分クオリティです。
幼いころ、それも幼稚園に入る前ぐらいの時に初めて箱の向こうで戦う戦士を見た。
その戦士に”変身”する青年は親指を立ててこちらへ向けて笑っていた。
俺はそれを見ていまいちよくわかっていないながらもピースサインをして笑った。
その次の年、記憶喪失の青年が変身して戦っていた。
幼いながらも俺は、その青年が戦う戦士の敵が行う人の殺し方を恐れた。
そのまた次の年、鏡の向こうの世界で戦士たちが戦っていた。
その戦士に変身する青年たちは自分の望みをかなえるために人を倒し、利用し、そして最後に死んでいった。
その中で紅い龍騎士に変身する青年は、最後に自らの身を犠牲にして少女を守った。
俺はその時、”自己犠牲”という概念を知った。
そのまた次の年、人を化け物に変化させることができる能力を持った怪人たちと戦う紅い光を放つ戦士を見た。
夢を持っていなかったその戦士に変身する青年は、最後に多くの犠牲を払いながらも自らの夢を見つけ、目を閉じた。
俺はその時、『人間というのは”化け物”でもある』と、そんな間違った認識を抱いてしまった。
原因はたった一つのあるシーン。
自らの都合よく怪物たちを殺すために、人の心を持った優しい怪物を改造して平気そうにしている人間を見てしまったからだった。
そのまた次の年、古代からの戦いを続けるために暴れる怪物と、それから人を守るために戦うトランプのマークを模した姿の戦士たちを見た。
俺はその時、『誰かのために戦うのはよいことで、人間はけして化け物ではない』と、間違ってしまった認識を正しい方向へ治すことができた。
そのまた次の年、自らの身体を極限まで鍛えて戦う鬼を見た。
鬼へと変じる青年の渋さ、格好良さに、”幼い”から既に脱却したその心は震え、憧れた。
そのまた次の年、音速を超えて光の速さで動く優しい戦士と、戦いの神の名を与えられながら優しさを常に持っていた戦士を見た。
俺様系とでもいえるその青年にあこがれ、そして泥臭くても必死に戦う青年の姿を見て自分はこちら側だろうなと思った。
そのまた次の年、不幸でありながらも常に優しく、人のことを考えることができる青年と、その青年を支える個性豊かな怪人たちが変身する戦士を見た。
時を駆ける電車。その設定に心を躍らせ、その電車に乗ろうと、不甲斐ない過去を変えようとぞろ目の時間を見計らって扉を何度も開き続けた。
そのまた次の年、父と息子、その二つの時間軸で展開される
時を超えて繋がる父と息子の絆に、自分のことを優先して家庭を顧みない父のことを考えてうんざりした。
そのまた次の年、それまでの10の戦士たちの世界をめぐる写真家の青年と、半熟卵な探偵とそのブレインが変身する戦士たちを見た。
それまでの10の戦史の世界をめぐる戦士を見てその能力にあこがれ、半熟卵な探偵の師匠を知って鬼の時のようにあこがれた。
そのまた次の年、一寸のお金と、明日のパンツさえあればいいという青年と、アイスが好きなちょっと変わった怪人を見た。
その生き方にあこがれて、中二病と学校でからかわれた。
そのまた次の年、青春まっしぐらを目指す今では有名俳優となった青年が演じた高校生を見た。
そのような青春を送りたいと願ったが、蓋を開けると常に勉強を強制されてほとんど遊んだ記憶もない真っ暗な高校生活を送っていたと卒業式で気づいた。
そのまた次の年、絶望を希望に変える指輪で変身する魔法使いを見た。
絶望で終わる物語なんてないと、その物語を見て俺は知った。
そのまた次の年、俺と同様に”変身”を望んでいた青年が変身する鎧武者を見た。
彼は最終的に”変身”することができた。それに比べて自分は変身することができなかったと、卒業式の時に気付いた。
そのまた次の年、車に乗る刑事さんの仮面ライダーを見た。
俺は一度、そこで仮面ライダーから手を引いた。
…………が、結局戻ってきて最後はチェイスの死に涙を流していた。
そのまた次の年、幽霊になった青年が戦う戦士を見た。
親に「いい加減卒業しろ!!」と激怒されたこともあって俺はまた、仮面ライダーから手を引いた。
…………が、なんだかんだと理由をつけて結局見ていた。
それまでに比べて学べたことは少なかった気がするが、命の価値を知った。だけど、自分自身の命の価値を見出すことはできない。
そのまた次の年、医者として人の命を救おうとする研修医を見た。
その必死な姿に、幼いころの自分が重なり、自然とテレビの前にかじりついて視るようになっていた。
大学入学を記念して親から譲ってもらった型落ちのDVDレコーダーで録画をし、HDに好きな話を今でも残している。
そのまた次の年、三つに分かれた日本で戦争が始まった。
俺は、その中で死ぬ人達を見ることしかできない。
誰かが死ぬ。これまでの経験のせいでそれを予想するのは簡単で、だけどそれを変えることはできない。
そんな権限なんて俺にはないから。
………そして今。
目の前で、箱の向こう側ではなく現実の世界の中で、道路に子供が誰かに突き飛ばされるような形で飛び出た。そこに来ているのは自動車。
『放っておけ。お前は無力だ。』
これまでの人生で抱えてきた無力感が耳元でささやく。
子供に気付いた車がクラクションを鳴らす。子供は身をすくめて全く動かない。
『どうせお前が動こうがあの子は死ぬ。』
耳元でそう誰かが囁く声がする。
「うるさい。」
俺はそれを振り切って子供の方へと飛び出した。
子供を抱えたのと同じタイミングで火花が爆ぜ、体に激痛が走る。
抱えた子供が怪我をしないように、少しでも自分自身の身も守れるように、俺は身を丸める。
最後に視界に真っ赤な花火が咲いて、俺の視界は真っ暗になった。
「これがあなたのこれまでの全てですね。あなたが救った少年はかすり傷程度で済みました。この少年が救われたのは私たちからすれば大変助かりました。この少年がいないと世界は滅びますので。では、彼を救ったあなたにお尋ねします。」
目の前で背中に羽根を生やした少女は笑う。
「あなたは何を望みますか?」
異世界への切符をちらつかせながら。
俺はその問いに不敵に笑いながら告げた。
「なにも。何もいらない。」
目の前で少女の顔が驚きでゆがむのを見ながら、俺の視界は真っ白になって俺と言う存在自体も消滅した。
自分自身の空っぽさに気づいていたから俺は何も望まない。
其処が抜けた空の器に何を注いでも何もたまらない。
それなら俺はせいぜい、誰かの記憶に残る程度の名無しの
まぁ、死んでこそいませんがこうやって育ったのが俺ですよ。
個人情報につながりかねないのであえて名前は伏せた状態で投稿しますけど。