超次元タッグ 大人ネプテューヌ+ローニン   作:心折れた男

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『ローニンソードをパイロットに移行、貴方に操作を委ねます』
かっこいい。
『ソードコア、レディ』
かっこいい。

『主人公ですから!ドヤァー』
かわいい。





別世界での邂逅

その機械は、忘れられた存在だった。

 

真っ当な明かりすらない、陽の光が射さない無機質な空間で、手入れされていないのだろう、鉄筋がそこかしこに剥き出しになっているコンクリートの壁に、『彼』はもたれかかるようにされて、打ち捨てられている。

 

 

胴体から頭部、という人間のような分かれ方ではなく、垂直の、ポットのような上半身、その上付近にメインカメラらしき特徴的な部分があり、頭頂部には、二つの何かしらの細長い機器が付いている。

 

関節以外の部位の装甲もとても少なく、脚部は逆関節。

 

言ってみれば、二足歩行の為の脚部と左右に一対の腕がある事から察するに、人間に似た動きができる、もしくはそれを可能とした設計と一目見て理解できる機械。

 

大きさは恐らく5〜6m程で、そこまで巨大というほどではなく、また、戦闘用であろう装甲が前述の通り切り詰められている為か、どことなくこじんまりとしているようにも見える。

 

そして、ごく最近『眠り』につかされたのだと思われる程、錆や傷の入っていないこの機械の近くには、機体自身のの綺麗さとは真逆に、年季の入った小さな傷が刻まれた、サバイバルナイフの大きさを3m程にしたかのような剣と、とても個性的な三連装バレルが目を引く大型の銃が無造作に転がっていた。

 

 

特に目立った傷もないのに、こうして孤独に放置されている機体。

 

誰にも触れられず、時間と共にそのうち朽ちていくのは、当然である。

 

 

哀れとも、残酷とも言える処刑を受け入れるのが、情のない世の常というものだ。

 

 

だが、時に世は気紛れに、救いの手を差し伸べたりもする。

 

ずる賢い悪魔の囁きから天使の屈託のない救済までそれは分かれているものの、今回、『彼』に訪れようとしているものは──

 

 

 

 

足音。

 

聞き慣れた戦場のそれではなく、まるでステップを踏まんばかりの、軽く、柔らかい...そう、『戦いを産む兵器』が作られるような世界にはあまりに不釣り合いな、若く純粋なものだ。

 

 

「『彼女』と逸れた瞬間、こういう怪しい基地跡みたいなところ...お宝の匂いがする!」

 

 

可愛らしく、甲高い。

 

どう聞いても、死の場に木霊する野太い戦士どもの声とは聞き間違えることはない。

 

そして、いつ殺されるかもわからない荒廃した世界で、ここまでに呑気なテンションで居られるのもである。

 

 

 

「主人公ってこういうところでなんかすごいものを見つけたりするのが定石だからね!見つけちゃうよー!」

 

 

 

 

明らかにどこかネジが数本頭から跳ね飛んで行ってるような謎過ぎる言葉を放っている声の主の姿が、暗闇の中からようやく顔を出した。

 

 

横が特徴的に跳ねた、紫のロングヘア。

 

横髪には、黒十字に謎の細工を施された髪留めが左右に一つずつ。

 

紫と黒を基調としたパーカーを着ているようだが、胸元当たりまで開かれたファスナーの中身を見るに、まるで裸の上にそのままパーカーだけを着たような、その特異過ぎる見た目。

 

少女というには多少は身長が高い気がしなくもないが、その見た目の愛らしさは、やはり無機質なモノクロの『棺桶』には不相応に感じられる。

 

 

 

「ふふふーんふふーん♪...ん、あれ?」

 

 

 

やがて鼻歌交じりの行進が終わったと思えば、彼女の目には打ち捨てられた軽装の機体。

 

 

「なんだろ、これ...『あっち』でもこんなの見たことないや...」

 

 

 

しかも、こんな大きい銃や剣も、そうぽつりと呟きつつ。

 

警戒することなく、垢抜けない純粋さを醸し出しながら、てくてくという効果音が合いそうな歩みで近づいていく少女。

 

 

「というか、そもそもなーんか雰囲気が『こっち』に来てからは違う気がずっとしてたし...おっかしーなぁ、クロちゃんってこんな能力もあったのかな...」

 

 

ぶつぶつと解せない言葉を呟きながら、眠りについている機体に優しく触れる。

 

彼女の手に伝わるのは、脈動するはずがない死体の肌のような、冷たい感触のみ。

 

しばらく首を傾げて居た少女だったが、そのうちその機体の『カメラ部』が目に入ったらしい。

 

『あまりに人間離れした跳躍』により、簡単に少女はその部位へと縋り付くと、何かを企む悪い顔。

 

 

「ここか、ここか〜?」

 

 

楽しそうに『彼の眼』に触れた、その瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

「...んん?」

 

 

 

ぐらり、と『彼』が、揺らめいた。

 

 

 

『...き...キド...移行...敵...』

 

 

「あれ、喋った」

 

 

 

ノイズが混ざり合った機械的な声を漏らす機体に興味をさらに強く示したのか、更にカメラ部分をぺちぺちと叩く手を強くする少女。

 

 

更に揺れ動く早さは増し、機体の背後の排出口からは薄く陽炎と黒煙を吐き出し始める。

 

それがエスカレートし、カメラだけでは飽き足らず、機体の上部の何かを入れるような穴や、そこに連なるすでに『何か』が入っている部分までぺちぺちしだす少女...この好奇心は、一体どこから湧いてくるのだろうか。

 

そも、自身の身体の数倍はある巨大な機械を、壊れたテレビを直すゴリ押し戦法のように、しかも丁寧に斜め45度のチョップでぺしぺしとしている姿は愛らしくもあるが、どこか物怖じしない信念の強さすら感じられるものであり。

 

 

 

『敵の攻撃を感知...フェーズダッシュ起動確認...発動まであと数秒...』

 

 

 

さらに、ガコンという何かのスイッチが入る音が響き、腕や脚といったものが起動しだしたのを見て、頭部に張り付いている少女は歓喜の声を上げた。

 

 

 

「すごい!動いた!声もなんかカッコいいし!『あの子』に見せたら絶対喜びそう!」

 

 

今はそこにはいない、自身の『妹』に想いを馳せる少女だったが。

 

 

『カウントダウン開始。5』

 

『4、3』

 

 

 

「...なんのカウントだろ!」

 

 

どんなものが来るのかとワクワクした表情を見せながら、上部でその時を待つ。

 

 

脚部関節に強い負担がかかり、排気口からの煙は更に激しいものへと増す。

 

そのうちこの個室に煙が蔓延するだろうが、そんなことは少女にとっては二の次らしい。

 

 

 

『2、1──』

 

 

ヒュン、という風を鋭く切り裂くような音が響き、一瞬、少女は見た。

 

 

 

「ねぷっ!?」

 

 

 

自身の視界が、ボヤけた黒と白のみに刹那のうちに変換された事、そして、自分の『位置』が、さっきまで『機体に乗っていた場所』と違うことを。

 

豪胆だった彼女にも初めての経験だったのか、眼を丸くして驚きの表情で言葉を漏らす。

 

 

 

 

「な、なにこれ!?わたしはどこ!?ここはだれ!?」

 

 

 

 

そんなことを言っている間にカウントダウンは最期の時を迎え始める。

 

バチリバチリ、電気が弾ける音が少女の耳に届いたその時。

 

 

 

 

 

 

 

『0、フェーズダッシュを始動』

 

「ね、ねぷーっ!?これってクロちゃんの...いやでも明らかに違うしこんな無理矢理じゃなくてわーーーーっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

聞いている方がびっくりしそうな悲鳴を少女があげた時、モノクロで出来た『ゴミ捨て場』は、恐ろしい静寂に包まれた。

 

 

 

何故一瞬で静かになったのだろうか。

 

あの少女がいれば、きっと常時やかましいはずだし、先程までそれに加えて機械の稼働音もしていたはずなのに、全ての音が消えてしまったのだ。

 

 

音だけが消えたのか。

 

否。

 

 

消えたのは、彼女達の方だ。

 

まるで、初めから存在していなかったかのように。

 

近くに転がっていた剣、銃も完全に消え去り、その個室は、完璧に何も無い広場へと早変わりしてしまったのだ。

 

 

 

 

一体、彼女達はどこへ消えてしまったのだろうか...

 

そこにある静寂だけが、唐突に静かになってしまった空間を、清々したと占拠する時間だけが、この場所では過ぎていくばかりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『...システムを再起動』

 

 

 

眩しい太陽。

 

晴れ晴れとした視界に満ちる緑の草原。

 

 

どこまでも冴え渡る世界。

 

完全なる平穏が存在する、自然溢れる世界。

 

 

そこで、膝を崩して地面に伏せるようにして機能停止して居た機体が、ノイズのない、とても老練されている剣士を絵に描いたような、渋い機械音声を再生した。

 

 

 

『周囲環境をスキャン完了、レッドウォール、ブロードソードを発見。敵パイロットおよび敵タイタンの痕跡なし』

 

『バッテリー残量、一本目問題なし、二本目少々の減少、三本目...ロスト』

 

『活動限界、凡そ10時間23分21秒』

 

 

 

ゆっくりと、複雑な逆関節を持つ脚で立ち上がり、使い込まれた傷が垣間見える剣、ブロードソードを背にとりつけ、レッドウォールと『彼』が呼称する銃を両手に抱えるように、かつ、いつ接敵しても反応出来るように構える機体。

 

 

 

『...周囲に熱源反応確認』

 

 

 

先程──とは言っても、『あのゴミ捨て場』に居た時からどれだけ経過したかは分からないが──好き放題にぺちぺちと叩かれたカメラ部分の中央が青く光り輝き、視覚すべき『熱源』を捜索する。

 

探すのには時間がほぼかからなかったものの、目に映った存在は、『彼』には途方もなく考えにくいもの。

 

 

 

その熱源とは、先程まで『彼』の上で遊びに遊んでいた、あの少女である。

 

青々と生い茂る草原の中、一人あの格好でうつ伏せに倒れている姿は、どことなくシュール──

 

...いやいや、シュールなんてものではない、薄過ぎる服装で無防備に倒れているのだ、普通は羞恥くらい感じないものだろうか...とは言え、当の本人の意識はここにあらずなのだが。

 

 

 

『...意識はありますか?』

 

 

 

少し身を屈め、ぐでんと寝転がる少女へと話しかける機体。

 

ぴくりと身体を震わせてころり、一旦寝返り。

 

柔らかな草をその華奢な身体で押し潰しながら仰向けに。

 

 

「ん...んー?」

 

 

とっても眠いです、と顔にでかでかと貼り付けられているように、じわじわと指で擦りながら、薄眼を開けていく少女。

 

改めてぽーっとした頭で視界を得て見ればあら不思議。

 

 

『意識を確認、身体に支障はありませんか?』

 

 

 

特徴的なカメラ部分が視界いっぱい、『彼』から見ればそうではなくとも、小さな少女の価値観からはそれはあまりにも衝撃的だった。

 

 

 

「お、おっきい...それにしゃ、喋ったーーー!!!」

 

 

『?自機は元々AI会話インターフェイスを備え付けられています。自機のみでの思考、提案が可能ですが...』

 

 

「...えー...あ、あい...えふ...ふぇぃす?」

 

 

『...つまり、自機、BM-8145はあなたと会話できますし、考えるという事が出来るということです』

 

 

「あーなるほど、そういうことね!完全に理解したよ!」

 

 

今でもまだ少し頭にハテナが浮かんでいそうな、怪訝な表情を浮かべながらも、ぴょこん、とまるで小さい兎のような飛び上がりをしながら、すっと立ち上がる少女。

 

ふんす、と両手を腰に手を当てて、胸を張る姿は、先程から二重三重に記載しているが、重ねて言おう、やはりどこか愛おしい。

 

 

それに応対するBM-8145と名乗る、無骨で、愛らしいという言葉は不相応過ぎる機体は、メインカメラを少し狼狽するかのように、左右に何回か揺らすと、改めて言葉を作る。

 

 

 

『では...付近を捜索しましょう、パイロット』

 

 

「うん!...ん?パイロットって誰?」

 

 

『パイロットとは、貴方のように私達タイタンを起動、および稼働させる事が出来る一握りの人員のことを指します、そして───』

 

 

 

問いの返しをつらつらと、文字通り機械的に返していくBM-8145。

 

しかし、違う、そうじゃないと言わんばかりにうがーと唸った後、少女が自身の意見を吐き出した。

 

 

 

「私はパイロットって名前じゃないよー!ネプテューヌ!それが私の名前!ネプチューヌでもネプチューンでもない!」

 

『了解しました、初回起動者の呼称をパイロット固定からネプテューヌへと変更...完了、では改めまして、ネプテューヌ』

 

「うんうん、よしよし、良きに計らえー」

 

 

言葉の淀みなく、しっかり自身の名前を言ってもらえたことに、ちょっと感動を覚えたのか、微妙にふわふわとしたほっこりな雰囲気を纏い始めた少女、ネプテューヌ。

 

 

 

『ネプテューヌ』

 

「ねぷ?」

 

『これからの行動を決めて下さい、現在周囲に敵影、及び不明の熱源反応はありませんので、ネプテューヌの提案に自機は身を委ねます』

 

「...えー...うーん、どうしよっかなー...」

 

 

 

可憐に首を傾げて、少女の頭の中にふっと思い当たるのは。

 

 

 

「なんかちょっと変わった虫がいたりしないかなー...」

 

『ネプテューヌ。どの程度の昆虫類を捜索しますか?』

 

 

「んーと、カブトムシとかクワガタみたいなくらいの...」

 

『了解しました、発見次第自機がネプテューヌに報告します』

 

 

「えっ、びーちゃん手伝ってくれるの!?」

 

『びーちゃん、とは自機BM-8145のことでしょうか?』

 

 

 

ちょっと大袈裟に頷き、天真爛漫な彼女にしては少しはにかんだ様子の笑顔を見せる。

 

 

 

「うん、びーえむだからびーちゃん...えーと、ダメかな?」

 

『...いえ、素晴らしい愛称だと自機は判断します』

 

 

 

そこまで言われるとは思わなかったと、照れたように頰を軽く掻きながら、嬉しさと恥ずかしさが入り混じった面持ちになるネプテューヌ。

 

普通、急にどんと現れた機械に色々言われて、それでもこれほど優しく、そして親しく付き合えるのは、本当にこの少女の類い稀で愛らしい性格故なのだろう。

 

 

「そ、それならよかった...なんて...それで、虫取りの方は...」

 

『勿論です、自機のパイロット認定されているネプテューヌに追従、及び補佐をしますので』

 

 

昆虫捜索は現状全くと言っていいほど必要性がありませんが、と付け足すBM-8145。

 

少し頰を膨らませて、我異議ありとばかりにネプテューヌの表情はちょっとした怒りのものに。

 

なんとも忙しないものである。

 

 

 

「む、それは余計だよびーちゃん」

 

『失礼しました、しかし、伝えておくべきかと思ったので』

 

 

「びーちゃんは結構いじわるだねー」

 

 

 

まだまだぷくーっとしているネプテューヌを宥めつつ、ゆっくりと二人は歩を進めていく。

 

慣れ親しむのがとても早く、それでいて度胸が広い彼女に『拾われた』のが、BM-8145の最も幸運な、『天使の救いの手』だったのだろうか。

 

 

 

不明な事はお互い多々ありつつも、その新天地にて、道中見つけた虫をネプテューヌが歓喜しながら謎の手帳に『収めている』のを見て、BMが機構を質問したり、そこそこ呑気に進んでいくのだった。

 

 

 




BMというのは、ローニンのイージスランク最終解放のスキル、ブレードマスター の略称です。
ソードコアというスキルを使うと、近接攻撃が2.75倍になり、回避行動リロードが4分の1になり、ガード軽減率が9割カットになるチート効果を得るのですが、ブレードマスターはその効果時間を倍増、おまけに殴ると脆いはずのローニンがシールドを得るので、死なない突撃が出来ます。
女神化、ネクストフォームもびっくりです。
8145は、私が初めてブレードマスター を使った時のスコアですね。四人プレイなのですが、自身だけで敵部隊を50%以上殲滅しました...頭おかC。

文中のフェーズダッシュですが、私的考察だと、『自身の世界にとても似ているが、相対する生物や機体が存在しない世界に1秒程度転移する』ものだと思ってます。

効果中は無敵、かつ敵、味方機体や兵士などが消えた白黒のマップが映るので、そんな感じではないか、と。

なので、大人ネプ子さんの設定を細かく知らないので確実とは言えませんが、彼女の『次元移動』とは似て非なるものだと思います。

もし続きを書いたときはどうぞ宜しくお願いしますね。




あと大人ネプテューヌさんのほかにもブランちゃんがとっても好きです、特に無印の性格はもーっと好きです(小声)
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