機動戦士ガンダムSEED 理想の従者   作:傍観者改め、介入者

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遅れました。


第11話 紅の闘争

整備班の長であるコジロー・マードックはいきなり現れた少年に驚きを隠せないでいた。

 

「すぐにモビルスーツで出る。道をあけてもらう」

 

「これ以上この船を傷つけるわけにはいかないでしょう!? 出させてください!!」

 

高圧的なリオンと、必死な様子のキラ。対照的な態度だが、その目的はどちらも同じだ。

 

そして、曹長でしかない自分が判断できるものではない。

 

 

「どうしやすか、艦長!! 坊主どもがモビルスーツに乗るといって聞きませんぜ!!」

 

 

そして、戦闘中に頭痛がするような問題を投下してきたマードックに対し、

 

「後にしろ!! 今は戦闘で手が空けない状態だ!! 子供のままごとに付き合う余裕はない!!」

怒鳴るような声でナタルが、キラたちの要望を切り捨てた。

 

「ええ。民間人を戦場に出すわけには――――」

マリューも、ナタルに同意しかけた。だが――――

 

 

「ブロードウェイ中尉はイージスと交戦中!! 身動きが取れません!! 直掩のフラガ大尉もジンを抑えきれません!! 迎撃が追いつきません!!」

ジャッキー・トノムラ伍長がCICを担当しているが、まだ調整中、戦闘など想定していないアークエンジェルでは限度があり、被害が拡大しつつあると叫ぶ。

 

直掩のフラガ機、イージスを足止めしているエリク機も劣勢を強いられており、このままではジリ貧だ。

 

「――――――」

マリューは現在自分たちが置かれている状況を思い知らされている。理解していたつもりだった。だが、現実はその通りだった。

 

 

想定していた苦戦のレベルを超えていた。アークエンジェルがまともに動かない。イージスを押さえているとはいえ、エリクのメビウスでは決定打を与えることが出来ない。

 

ムウも危険な役回りをさせている。

 

「艦長!! 指示を!! このままでは沈みますよ!!」

悲鳴に近い声でナタルが叫ぶ。

 

「弾幕を張って! とにかく距離を詰めさせないで!!」

 

「しかしっ!! それではコロニーへのダメージが!」

 

「――――悔しいけど、今は手段を選んでいられる立場ではないわ。責任は私が取ります」

艦長として、すべての船員、避難民の命を預かる身として、理想を追い求める場合ではないのかもしれない。

 

「――――それと、ストライクと他に出せる機体はありますか、マードック伍長?」

藁にも縋る思いであり、情けない気持ちでいっぱいだった。だが、自分が指示をしなければ、きっと誰も動かない。このままこの船は沈むだろう。

 

「艦長!?」

わかっているのだ。戦闘に参加しているものとして、ナタルも現状が厳しい戦闘であることを痛いほど理解している。

 

 

「――――特例として、本艦への脅威が消えるまで、二人には軍事行動に参加してもらいます。それで―――」

 

 

超法規的措置であることは明白だ。マリューは簡単な決め事を決め、リオンとキラがそれを了承するという形で、特例が生まれた。

 

 

 

「わ、分かった。ではすぐに準備してくれ。情けないことだが、あまり持ちそうにない」

ナタルも最終的には折れ、リオンの主張を容認した。

 

 

「賢明な判断、感謝する。」

 

 

「―――――」

リオンは、非常事態において自然体なままだ。キラはそんな姿を見て自分がなぜ慌てているのかが分からなくなりそうだった。

 

――――この人は、いったい――――

 

 

 

しかし出撃の際にトラブルが発生。

 

 

現状鹵獲したジン以外はすぐに動かせることが可能だが、ストライクに関してはストライカーパックに限りがあり、デュエル二号機を優先して動かしてもらいたいらしい。

 

 

よって、ストライク二号機は使えないということだ。

 

 

 

代わりにリオンが搭乗するのは、赤い基調で装甲が変色するデュエル二号機。一号機とは色違いのものだ。

 

「分かった。では俺がデュエル二号機に乗る。ストライクはキラに任せた」

 

 

 

コックピットに先に乗り込んだリオンを見ながら、キラは思う。

 

 

―――――おかしいよ。この人は―――――

 

 

 

 

「カタパルト接続。装備はエールストライカーを選択。システムオールグリーン。進路クリア、発進を許可する」

パル伍長の声とともに、まずはストライクに乗るキラが出撃する。

 

キラは発進前にフェイズシフトをその場で展開させる。すると、灰色の色が赤、白、青と部位ごとに色付けされ、鮮やかな色合いに変化したのだ。

 

「―――――ッ! キラ・ヤマト、ガンダム、いきますっ!!」

考え事をしていたキラは意識を切り替えるのにまだまだ決心がついていなかった。余計な雑念を抱いたまま、機体とともにカタパルトから飛び立っていく。

 

 

 

「ストライク、なんだけどな」

ぼそっとパルがつぶやいた。

 

「OSの頭文字がガンダムなんです。彼が愛称として呼ぶ理由ですよ」

リオンはキラが言い放った愛称について軽く説明した。

 

「なるほどな。それと、坊主。機動戦は頼んだぞ。」

 

 

「分かりました。」

 

 

「カタパルト接続、システムオールグリーン、進路クリア、発進を許可する。」

 

 

「リオン・フラガ。デュエル、出ます」

 

 

出撃と同時に、フェイズシフトを展開するリオン。こちらは白い肢体と赤を基調とした部位が強調されており、メインカメラは一号機とは違い、黄色く光っており、V字アンテナも金色に輝いていた。

 

 

初期装備のビームライフルとラミネート素材で出来た、対ビームシールド、そして背中に収納されているビームサーベル。

 

「――――十分だ。」

 

 

モニターに映る大型ミサイルを発射しようとしているジンを見つけたリオンは、薄く笑う。

 

 

 

「よし、これでとどめをさせ!! オロールっ!!」

 

「任された!! これで終わりだ、ナチュラルめ!!」

 

ザフト軍兵士が乗るジンがアークエンジェルを追い詰めていた。大型ミサイルで傷ついたとはいえ、耐久力に関しては並の戦艦ではない。

 

油断なく念入りに攻撃を加えようとしていた。

 

 

「がっ!」

 

レーダー警報もなく、ジンのコックピットにビームの閃光が通り過ぎたのだ。大きな穴を開けられたジンがスパークを起こしながら爆散した光景を見て、残された僚機が辺りを警戒する。

 

「くそっ! どこから?」

その際に、僚機から敵MSが二機出撃したとの報告が来た。

 

「マリオとヘリックは何やってやがる!!」

 

目の前の赤い機体はそんな甘えを許してくれない。この機体がたった今、オロールを殺した敵なのだ。

 

目の前の敵は、ロックオン機能を使わずに、マニュアルで照準を合わせたのだ。これを異常と呼ばずして何という。

 

 

「この、なめるな!!」

 

突撃銃で攻撃するも、横に逃げられてしまう。このままでは回り込まれる。

 

「させるかっ!!」

回り込ませないように接近しながら突撃銃で猛追するジン。敵は相当勘が鋭いらしく、不規則な機動ですべての攻撃を回避して見せる。

 

右へ行くと思えば左へ、左と思えば下に。反転して確実に距離を詰めてくる。

 

まるで、動きを確かめるかのように。そんな相手をなめたような雰囲気すらある赤い機体。

 

 

「お前たちが、俺たちを――――」

コーディネイターである自分たちが見下されている。こちらの正義を阻む敵がいる。

 

正面から馬鹿正直に突き進んでくる。どこまでも舐めている。

 

「見下すなぁぁぁ!!!!!」

 

実体剣を引き抜き、横薙ぎに振るう。今までの動きから、縦の回避が得意そうに見えたのだ。

 

 

ガンっ!!

 

しかし目の前の赤いデュエルは、盾を使ってその斬撃を逸らし、ジンの体勢を崩した。

 

「な、あぁ――――」

 

気づいた時には、モニターに桃色の光が迫っていた。

 

 

「サーベルは振るうよりもこれか。本当に使いにくい仕様だ」

サーベル同士が今は鍔迫り合いが出来ない仕様なのだ。ならばわかりやすく軌道を悟らせるのではなく、攻撃と同時にサーベルを発生させる。

 

いわば、スタンガンのような使い方に近い。

 

これで2機撃墜。ザフト軍の間でも、戦況有利だったはずが押し込まれつつあることに気づき始める。

 

「どうなっている、ジンが二機やられた!?」

アスランはエリクを相手にしながら、味方がやられたことを知る。

 

「敵の抵抗が弱まったか。ならば!!」

エリクもこの状況の追い風を受け、アスランに逆襲。決定打を与えられないが、地道に攻撃を当て続け、エネルギー切れを狙う戦法に切り替えた。

 

「くっ、いい加減!!」

ガンバレルの攻撃方法に苦戦するアスラン。まだここを離れることが出来ないでいた。

 

 

そして、ムウの救援に向かったキラは、4機のジンを相手に踏ん張っていたムウに通信を入れる。

 

「戦列に参加します!! 僕が前に出ます!!」

 

 

「最高のタイミングだ!! 後ろは任せろ!!」

 

 

ストライクが前衛に出て、ライフルで相手をかく乱。陣形を取ってムウを倒そうとしていたので、その陣形がまず乱れた。

 

「新型!? 出られないんじゃなかったのか!!」

 

「今更逐次投入かよ!! なめやがって!!」

 

ライフルの射撃にまだ不慣れなキラ。なかなか攻撃が当たらない。

 

「牽制だけでいい!! 後は任せろ!!」

 

しかし、キラの放ったビームを回避することに意識し過ぎたジンが死角から忍び込んでいたガンバレルの直撃を腹部に食らったのだ。

 

「ぐわぁぁ!!」

レールガンによってコックピットを貫かれたジンが高度を落としながら落下し、爆散する。

 

「エミルッ!!! うわぁぁぁ!!!!」

仲間の死に動揺したジンが、今度はキラのライフルの餌食となった。

 

「――――っ」

無我夢中だったとはいえ、人を殺した。その事実がキラに重くのしかかった。

 

「隙ありっ!!」

 

そして、戦場で止まった敵を見逃すほどクルーゼ隊は甘くない。残り二機となったとはいえ、何とかストライクだけでも倒そうと意気込むジンが一機、キラの前に躍り出たのだ。

 

「っ!!」

シールドを前にすることで、何とか寸前で防御できたが危なかった。

 

「後退しろ、坊主!!」

 

そのまま押し負ける形となり、キラがジワリジワリと後退すると、おびき出されたジンは、網に張られた魚のごとく、ムウの四方からのガンバレルの餌食となった。

 

「あぁあっぁ!!!」

避けようともがき、右翼の攻撃は避けたが、背後と正面、左翼の砲撃が直撃してしまったジンは、突撃銃をストライクにうちながら爆散した。

 

「――――!!」

死の間際であっても攻撃をやめなかったジンに気おされたキラは、しばらく動けなかった。

 

 

「残り一機――――おろ?」

 

ムウが残り一機のジンを撃墜しようと動いたが、目の前で下からコックピットを撃ち抜かれた敵機の姿を見た。

 

 

「――――こんな敵に苦労しているとは、先が思いやられる」

 

「ハハハ、痛いところを付くなぁ」

リオンの皮肉に苦笑いのムウ。実際、リオンが参戦したことで、アークエンジェルに攻撃を加えた二機が瞬殺され、ストライクの危機にすぐに駆け付けて最後の一機を一撃で仕留めた。

 

――――お前が強すぎるだけなんだよなぁ

 

心の中で、ムウはリオンの規格外を感じていた。

 

「後は、あの赤い可変機。すぐに仕留める」

 

そう言って、イージスへと向かうリオン。血気盛んなことだとムウはお気楽な気持ちになった。

 

 

「そんな!? ジンが全滅!? この短時間で!?」

 

モビルスーツが出撃したことで、瞬く間に2機が、そして残るすべての僚機が撃破された。アスランにとっては驚きの連続だ。

 

「後は俺が引き継ぎます。中尉は下がってください」

 

「助かる、弾薬が心もとなかったんだ」

 

エリクはリオンの言葉に従い後退。代わりにリオンがアスランの前に対峙する。

 

「新型!!」

アスランは悟る。間違いない、あの時ラスティを殺した奴だ。はっきりと証拠があるわけではない。だが、目の前の敵から感じる強烈なプレッシャーは忘れることが出来ないあの雰囲気とよく似ている。

 

 

「――――機体だけ返してもらうぞ、それはモルゲンレーテで有効活用するべきものだ」

 

ただし、パイロットの命は知らない、とリオンは独り言をつぶやいた。

 

 

その際、相手のイージスから通信が入る。

 

「聞こえるか、デュエルのパイロット!!」

 

「???」

敵のかく乱か、油断なくライフルを構えるリオン。

 

「キラ、キラ・ヤマトを知っているか!!」

 

そこで、信じられない、敵が本来なら知るはずのない名前が出てきた。

 

「――――キラを知っているのか?」

彼の過去はよく知らないが、キラのことを知っている人物。リオンのキラへの疑念が少しだけ深まった。

 

「――――キラがいるのか!? どこにいる!!」

キラを知っているそぶりを見せただけで、相手方のアスランは動揺し、その所在を尋ねてきた。

 

「投降すれば教えてあげるよ」

冗談でもその言葉を言ってみるリオン。おそらく許容できないだろうが。

 

「――――それは出来ないっ!!」

 

サーベルで斬りかかるイージス、そしてそれを盾で防ぐデュエル。ぐるぐると回り、互いの有利な場所を探し回る。

 

 

埒が明かないとリオンが距離を取る。それを追うアスラン。彼には聞かなければならないことがある。

 

キラのことを知っている。それはアスランにとって重要なことだった。

 

「っ!!」

 

頭部バルカン砲で牽制を入れてきたデュエル。イージスの頭部を狙う攻撃に、アスランの背中に冷たいものが流れた。

 

――――まさか、メインカメラ付近を狙って撃ってきたのか!?

 

ロックオン警報もなし。今度はライフルを構えてきたが、こちらも警報が鳴らない。

 

「ちいっ!!!」

 

回避運動を取るアスラン。とにかく避けないといけない。これはもう生身での白兵戦と同じだ。

 

イージスのコックピットを狙った一撃を何とか回避したアスラン。その反動で機体が大きく揺れる。

 

「ぐぅぅぅ!!」

ここまで相手の攻撃に神経を使うのは初めてだ。避けられたのは運が良かったというしかない。

 

 

「ほうっ、避けるか。だが、これならどうだ?」

 

 

よろけているイージスに容赦のない攻撃を加えるリオン。それを何とか防いではいるが、攻撃のタイミングを失うアスラン。

 

「――――くそっ、このままでは!!」

 

 

 

その戦闘の様子を見ていたアークエンジェルは、

 

「瞬く間に戦況が一変した――――」

ノイマン操舵手がリオンの駆るデュエルの圧倒ぶりに息をのんだ。

 

「これが、新型MSの力。」

 

「ここまで、なんて――――」

マリューも、そしてナタルも苦渋の決断だった。だが、蓋を開けてみればリオン一人で戦況を一変させた。

 

圧倒的な戦闘能力で敵を圧倒し、今もコーディネイターが乗っているイージスを圧倒している。リオン・フラガのパイロット適性は自分たちでは測りきることが出来ない。

 

まさに鬼神。モビルスーツの操縦に関して言えば、天才という単語で片づけることが出来ない異質な強さ。

 

まるで誰かの戦いをなぞっているような動きだ。

 

 

モニターでリオンの奮戦ぶりというよりは、無双ぶりを見ていたカガリとアサギは、

 

「ほら、リオン君は約束を守りますって」

 

「あ、ああ。だが、あんなに――――」

 

カガリは不気味なほど器用に、そしてうまくMSを扱うリオンに不安を感じていた。

 

――――あんなリオンは知らない。リオンは、技術者として優秀で――――

 

今のようなモビルスーツの腕が良かったという話は聞いたことがなかった。

 

「――――リオン……」

 

 

自分の知らない彼がいる。リオンが抱える何かを、以前から薄々感じてはいた。

 

――――けど、これはお前のやりたかったことじゃないだろ?

 

 

 

 

カガリの眼前でも行われているイージスとデュエルの戦い。戦況は明らかにリオン有利で、イージスが追い込まれつつあった。

 

不意にデュエルの攻撃の嵐が弱まる。回り込む動作に比重が重くなった。

 

――――これなら……っ!?

 

スラスターを限界ギリギリまで吹かせ、デュエルの前に先回りしたアスラン。そのままライフルで狙おうとするが、

 

「おっと」

頭部を狙ったライフルのビームを最小限に動きで躱された。しかも、スラスターをあまり使わず、頭を動かすだけでだ。

 

その直後にバルカン砲がイージスのライフルを捉えたのだ。

 

「しまった!!」

 

スパークを起こすライフルをとっさに投棄し、シールドで爆風から機体を守るアスラン。その瞬間に正面が爆風で覆われ、一瞬だけデュエルの姿が見えなくなる。

 

「くっ、デュエルは……下っ!?」

驚きとともに盾をした側に構えるが、サーベルの一撃が其れ、イージスの右肩を貫いたのだ。

 

「うわぁぁぁ!!!」

そのまま機体ごと体当たりをされた衝撃で、激しく揺れるコックピット部分。強い嘔吐に襲われるアスラン。

 

 

――――ここまで、なのか

 

薄れゆく意識の中、自分よりもはるかに格上の相手にとどめを刺されそうになっている光景を見て、アスランは走馬灯のようにこれまでの記憶が流れてきた。

 

 

――――フィオ、ナ……

 

銀色の髪の少女を悲しませることになる。それだけが分かった。

 

 

 

そして、同じ部隊の同僚で、自分を気遣ってくれる優しい少女が涙を流してしまう。

 

 

――――そう、だな……

 

 

 

―――でき、ない……な。そんな、ことは――――

 

 

彼女らを残して、死ぬわけにはいかない。

 

 

 

「っ!!」

 

その瞬間、アスランの頭の中で何かが目覚める。

 

 

「――――っ!?」

戦いを有利に進めていたリオンに初めて驚愕の表情が現れた。同時に感じた背中を刺すような寒気。

 

 

――――雰囲気が、プレッシャーが変化した!? 何っ!?

 

リオンがその勘を頼りに回避しなければ、イージスの三本のサーベルによって撃墜されていたという事実が残る。

 

目の前のイージスは、両足と右腕からサーベルが出ていたのだ。とすると、寒気の原因は両足のクロー。

 

「隠し腕ならぬ、隠し脚、か。足癖の悪い奴だな」

 

 

急に動きが読みにくくなった。流れるようなサーベルの斬撃。きりもみキックのように連続で足のサーベルを振るい、デュエルを後ろに退かせる。バレルロールしながらバルカンで牽制を入れつつ、袈裟斬りがリオンを襲う。

 

「まるで獣だな、それはっ!!」

 

その袈裟斬りを盾で逸らしたリオン。これまではそれでとどめをさせたが、その直後に足の一撃がデュエルに襲い掛かる。

 

「!!」

その一撃を完全に回避することが出来なかったリオン。ライフルを両断され、すぐに投棄するリオン。

 

――――なるほど、これは鹵獲なんて余裕はないな

 

 

「なら殺してやるよ―――――むっ」

 

 

目を細めるリオン。これは間違いなく殺す必要がある。しかし、爆風を見た瞬間にイージスはMA形態に変形し、速やかに現宙域から離脱していったのだ。

 

「―――――退くタイミングも完璧だな。手ごわい相手だ」

追撃をしてもいいが、外にはナスカ級がいる。迂闊に飛び込むわけにはいかない。

 

 

対してアスランのほうは、

 

 

「ハァ、ハァ、ハァ………ぐっ」

荒い息をしながら、頭を押さえていた。急に思考が鮮明になり、反射的に動いていたような感覚。かなりの疲労感を感じていた。

 

――――フィオナとニコルに、助けられたな

 

あのままあのよくわからない状態で戦っていても、勝てていたかどうかもわからない。敵は鹵獲を主体としていた。だが、かなり刺激したせいで完全に排除対象に変わったことが予測できた。

 

しかし、そのトリガーを引けなければ間違いなく負けていた。その引き金だったかもしれない彼女らに感謝しかなかった。

 

――――何とか帰れる……

 

 

アスランは、気持ちを落ち着かせながら帰投する。だが、このことは恥ずかしくて上官にも、そしてニコルやフィオナにも一生言えない事柄だと苦笑いする。

 

 

――――けど、フィオナとニコルは、俺にとって――――――

 

 

一体何なのか。死ぬ間際に彼女らが思い浮かんだ理由に首をひねるアスランだった。

 

 

 

 

 

 




アスラン君のほうが主人公している・・・・

本作のアスランは、無駄に鋭く、無駄に鈍感で、無駄に気配りができます。
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