機動戦士ガンダムSEED 理想の従者 作:傍観者改め、介入者
第23話 強襲! 砂漠の王者
アフリカ大陸での戦線を有利に進めるバルドフェルド隊に激震が走る。
あの足つきと呼ばれる連合の新型戦艦が降り立ったのだ。他ならぬこのアフリカに。
さらに、その戦艦には赤い彗星と呼ばれる連合きってのエースパイロットが存在し、他にも新型MSが2機積み込んであると聞く。
砂漠のど真ん中に居座るその戦艦を双眼鏡で監視しているものがいた。
砂漠の虎、アンドリュー・バルドフェルド。ザフトきっての智将。クライン派の将校でもある。
「――――その足つき。名称はアークエンジェルというらしいけど、今は降下直後でまともに動く様子はないな」
ハッカーたちの活躍により、アレの名前が判明した。アークエンジェル。大天使の名を冠した連合の新型戦艦。ラミネート装甲をふんだんに使った高い耐久力を有し、その機動性もなかなか侮れない。
「――――隊長、今日はコーヒーを持ってきていないんですね」
「まあ、最近よくないニュース続きだし、俺も本腰を入れないとね」
やや暗い表情のバルドフェルド。最近ラクス・クラインの捜索が打ち切られ、クライン派もいよいよ過激派になろうとしていた。
バルドフェルドは、このままでは殲滅戦争になりかねないと危惧しており、どうにかならないものかと考えていたのだ。
「それにしても、やはりあの戦艦はいつまでたっても動きませんね」
「地上はNJのせいで電波状況がズタズタだからな。無理もない」
その後、砂漠の陰に隠してあったモビルスーツ部隊の前に移動した二人。
「ではこれより、地球軍新造艦、アークエンジェルに対する作戦を開始する。目的は、敵艦、及び搭載モビルスーツの、戦力評価である」
バルドフェルドの戦力評価という単語に反応する部下たちがいた。
「倒してはならないのですか?」
「NJの影響下に、奴らは慣れていないはず。今ならば――――」
「ん~その時はその時だが…あれは遂にクルーゼ隊が仕留められず、ハルバートンの第八艦隊とともにこちらの戦艦3隻、20機近いMSを落とした部隊だ。慎重になるのがちょうどいいのさ」
その言葉に異論はなくなった。あのクルーゼ隊が仕掛けて、逆に追い込まれたのだ。その強さはこの地上でも聞き及んでいる。
「―――――」
バルドフェルドのお付きとしてついてきたリディア・フローライトは、低軌道戦線でフィオナたちが赤い彗星相手に生き残ることで精いっぱいだったことを聞いている。
―――あのフィオナが防戦一方になる相手。危険だわ
「各員、搭乗!!」
バルドフェルド隊が行動を起こす前、リオンは引き留めようとする医者を振り切り、個室にいるであろうラクスの下へ向かう。
「――――あの時は急ぎの案件があったとはいえ、これは計算外だ。アフリカという場所に降り立ったのは、運がいいのか悪いのか」
肩を落とすリオン。
「ごめんなさい。ですが、ピンクちゃんを置いてきてしまったので――――」
ラクスは申し訳なさそうにしているが、聡明な彼女のことだ。まずその大切な機械を忘れるという行動自体が怪しい。頭の回転が速い少女だ。
―――それが計算づくだとすれば、よっぽど気に入られたみたいだな、俺は
「――――まあ、そういうことにしておくさ。今の貴女は民間人で、アフリカにいる以上オーブへの航路もとれないことはない。何とかそこで降ろしてもらうことにするさ」
「その代わり、迂闊な行動はもう慎んでほしい。君のことをよく思わない人も、いないとも限らないのだから」
念を押すように忠告するリオン。今度こそオーブにわたってもらう。
「分かりましたわ、リオン様」
今度はしっかりとした目で、首を縦にうなずいたラクス。ふんわりとした雰囲気はなく、リオンの狙いもわかったのだろう。
「では、オーブへ渡るまでは、おとなしくしておきますわ(戦争を終わらせるため、わたくしとあの方は繋ぎであるということですのね)」
あの方、というのはハルバートン提督のことだろう。ラクスはすべてをやはり理解していた。
「いい子で待っていてくれ。仕事が終われば、すぐに戻るさ(さすがに露骨過ぎたか。君の正体を知る者ならば、危害を加えない利用の仕方は限られるからな。絶滅戦争になど、させはしない)」
そして、シャトルに乗りそびれたヘリオポリスの面々は、
「ドジったかなぁ」
トールはさっさとシャトルに乗るべきだったと考えていた。まさかあのタイミング、あの大艦隊にザフトが喧嘩を振るとは考えていなかったのだ。
連合軍は勝利を想定していなかった。ゆえに、トールたちを放置し先にシャトルは先行してしまったのだ。置いてけぼりを食らった彼らはアークエンジェルから物理的に離れることが不可能となり、なし崩し的に戦闘に参加する羽目に。
しかし結果は予想を覆す連合軍の勝利。たった一人のエースが戦場を掌握し、意のままに操ったのだ。
「そうねぇ。今頃シャトルでオーブについていたかも――――」
ミリアリアも珍しくぐったりした表情でトールの肩に身を任せていた。いつもはそのような隙だらけの行動はしないのだが、よっぽど先ほどの戦闘が堪えたのだろう。
「仕方ねぇよ。あ~あ、これで除隊許可証がパーだよ。乗り掛かった船だし、落とされても寝覚めが悪いし」
アルベルトももはや無価値と化した除隊許可証を見て嘆息する。
「フレイは無事に事務次官のシャトルで地球に降りたし、いいんだけどな。何とかオーブで降りないと。俺のツテで何とか掛け合ってみるさ」
サイは、ジョージ・アルスターのお声で何とかオーブで除隊できるよう手配することを考えていた。
「サイがいてくれてよかった~!! けど、キラの方も頑張らないとな!」
トールは、今はベッドで休んでいるキラのことを気にかけている。
そう、問題はキラなのだ。彼が無事にオーブで降りられるかがわからない。ハルバートンは確かに階級の高い軍人だが、彼一人では限界がある。
キラの技術力は連合にとって喉から手が出るほど欲しいものだ。彼を囲い込みする動きも今後は発生するかもしれない。
アラスカまでついていけば、死ぬまで使いつぶされる。
「ああ。キラの方も俺がちゃんと説得する。あいつは今まで頑張ってきたんだ。だから、幸せにならなきゃいけないんだ」
サイは強い意志を感じさせる声で、宣言する。オーブでみんな降りる。
だが、彼らは後に知ることになるだろう。
第八艦隊の提督、ハルバートンの人望に当てられた学生が一部いることを。
目の前で戦ってきた少年は、無垢なままではいられなかったことを。
ベッドの上で意識を失っているキラはいろいろな何かが頭の中で浮かび、そして消えていく、深い深層意識の中にいた。
――――どうして、アスランが―――――
なぜ、戦争が嫌いだった彼がザフト軍に参加していたのか。彼が戦争に加担する理由があるのか。
そして、ヘリオポリスを襲ったメンバーの中に、彼がいたという事実。それがキラの心を少しずつむしばんでいた。
―――――オーブは、なんで――――
疑問を投げかけても誰かが答えをくれるわけではない。だからすぐに考えることが出来た。
オーブは力を欲していた。何のために?
それは中立を維持するための力だ。リオンも言っていたではないか。
それでも、オーブのやり方は好きになれなかった。それが国を守るということだとしても。
―――そう、だったんだ
そこまでの無茶をしてまで、オーブは自らの在り方を守りたかったのだ。コーディネイターもナチュラルも関係なく、穏やかな暮らしができる国づくりをする。
――――だからさ、お前は絶対に、幸せになれよ!
同じコーディネイターの彼は、自分の意志で、連合の立場で戦っていた。同胞の味方をするのではなく、彼とともに生きてきた人たちの無念を晴らすために、戦っていた。
同胞である彼に刃を向けられるプラントは何なのだ。エリクの言葉を知って、短い時間ながらいろんなことを思い出した。
漠然と受けていた歴史の勉強。直近で報道されていたニュース。
―――君は、アスランは、捕虜すら取らない軍隊にいるの?
基本的にコーディネイターはナチュラルの捕虜を取らない。しかし、思い当たる節はいくつかある。
――――得手不得手はあるのに、僕たちにだって、できないことはあるのに。
コペルニクスにいた時からそうだ。コーディネイターはナチュラルを見下している。なぜそんなことをするのか。
そしてコーディネイターは、間違った生まれ方をした命と言われている。でも、そんなことを言われても、自分にはどうにもならない。
望んでこんな力をもって生まれたわけではない。
――――僕は、なんでコーディネイターに生まれたのだろう
いったいどんな夢を、どんなエゴを押し付けられたのだろう。
そして目覚めた。予想通り、自分は医務室の中にいた。あの後リオンが自分を助けてくれたことだけは、朧げだが覚えていた。
「―――――僕、は」
誰もいない医務室で、キラはあの光景を鮮明に思い出した。
民間シャトルを打ち落とそうとしたデュエルの存在。
――――これが、君たちザフトのやり方なんだね
暗い決意が、キラの背中を押す。あの中には、罪もない、何も知らない民間人がいたのだ。それをザフト軍は討とうとした。
―――自分たちだけが、自分さえよければいい。それがプラントのやり方なんだね
エイプリールフールクライシスの件は、当事者のエリクから聞いた。だからこそ、同胞のために立ち上がったと謳うプラントが、こんな非道なことをしたのが信じられなかった。
―――宇宙に上がらなかった、プラントにいないコーディネイターは、違うんだね
止まらない。もう止まることがなかった。アスランはそうではないかもしれない。だが、その中にいる時点で同じことだった。
――――なら僕は、君たちを討つ。
暗い殺意が完成した。キラの瞳は濁り切っていた。あの無垢な、ゆりかごのようなコロニーにいたころとは違う、世界を知った目だ。
――――何もかも壊すプラントのやり方を、認めるわけにはいかない。
もはやキラには、プラントがコーディネイターの総意を担っているとは思えなかった。
――――見極めるんだ、アラスカで。
地球連合軍の司令部がある場所。戦争の真意を聞くべきなんだ。
オーブの在り方をどう思っているのか。ハルバートン提督のような人が何人もいるかもしれない。
―――あの人のような人がいるなら、僕は
その時、警報が鳴る。
「――――敵、襲―――?」
キラは、まともに動けない体を引きずり、上着を着て医務室から出る行為を始める。しかし、彼が受けたダメージは大きく、足元はふらついている。
「何をなさっているのですか!?」
その時、シャトルにいるはずの桃色の髪の少女が医務室にやってきた。そしてその横には
「おい!! 君はまだまともに動ける状態ではないんだ!! 早くベッドに!!」
医師がキラを軽く叱る。こんな状態で出撃しようとしたことは目に見えている。だからこそ、彼を止めなければならない。
「――――ザフトは、あっちゃいけないんだ」
かすれた声で、キラはうわごとのようにその言葉を口にした。
「――――え?」
ラクスはその言葉に目を見開いた。
「なんで? ザフトは、プラントは―――コーディネイターを守るために、あったはずなのに」
膝をつくキラ。体力が戻り切っていない彼は、すぐに底が見えた。安静にしなければならないのは明白だ。
「なんで、エリクさんの大切な人を、共存を図るオーブを―――」
「キラさん!? すぐに横にならないと――――」
慌ててキラに自分の肩を貸すラクス。今の彼は普通じゃない。正気ではない。
「プラントは、自分が可愛いだけなんだ――――地球にいる同胞のことなんか、何も………何もっ……何も考えていないんだッ!!」
そして力尽きたキラは膝から崩れる。だが、ラクスの体から力が抜けそうになる。
「わたし、は――――」
情報統制の取られていたプラントでは、そんなことはあまり広まらなかった。事実を伏せていたわけではない。ただ、あまり目立っていなかっただけだ。
「すみません。僕をストライクまで―――」
「何を言っているんだ!! 医者として、そんなことは認められない!!」
その実際の被害を見ていなかった彼女は、キラの叫びを聞いてその現実を始めて認識することになる。
―――慰める、資格もありません。わたくしには――――
その悲劇を実行したのは誰だ。
怨念染みた呪詛の念を吐いたキラを見て、ラクスはプラントの行った罪深さを自覚してしまった。
核を撃たせなかったからまだまし? いいや、そんなことはない。
どちらも悲惨の一言だという事実だということだ。核を撃てば地球は滅び、NJをばら撒けば、苦しんで死ぬ人間が増えた。
「ごめん、なさい」
―――なんて、なんて罪深いのでしょう、わたくしたちは
これからアークエンジェルはアラスカまで回る。その途中で自分はオーブに降りる。
―――コーディネイターを苦しめているのは、
目の前のコーディネイターの少年を見て、ラクスは思う。
―――わたくしたち、なのかもしれません
コーディネイターではない。プラントの人間が、コーディネイターの未来を奪っている気がしてならない。
一方、砂漠での襲撃でブリッジに揃う学生たちと軍人たち。
「砂漠の陰から攻撃されているわ! NJの影響でレーダーはまともに使えない。すぐに機動部隊を出撃させて!!」
マリューがモビルスーツの出撃を急がせるが、
「といってもまだ宇宙仕様ですよ! まともに動かすなんて―――」
パルが反論する。こんな準備もまだまだな状況で彼を死地に飛び込ませるなど、
「心配はご無用。すでに準備は出来ています」
「ほかにやることがなかったからな!! 俺も出れるぞ!」
リオンとエリクはすでに出撃体制を整えていた。その事実にブリッジの面々から強張っていた表情が消える。
この二人がいるなら、何とかなる、という安心感がクルーを守る。
「ハウ二等兵、すぐに出撃許可を!」
「はいっ! カタパルト、接続。APU、オンライン。エールストライカー、スタンバイ。火器、パワーフロー、正常。進路クリアー。ストライク二号機、発進どうぞ!」
「リオン・フラガ、ストライク二号機、出撃する」
「続いてデュエル二号機。カタパルト、接続。進路クリアー、発進、どうぞ!」
「エリク・ブロードウェイ。デュエル二号機、出るぜっ!!」
赤いモビルスーツが二機、アークエンジェルから出てきたことで、ザフト軍からはいきなりの大物に警戒を最大限にする。
「ブロードウェイ中尉はアークエンジェルの直掩に。何か嫌な予感がする」
「ま、そうだわな。けどお前もアークエンジェルから離れるなよ。どう考えてもヘリ部隊だけで俺たちを襲うとは思えねぇ」
リオンとエリクは、敵部隊は現在掃討中のヘリだけではないと予想していた。こんな規模で自分たちを襲うわけではないという予想。
一方、戦地に出向いていたバルドフェルドは、二機のモビルスーツが出てきたことを視認した。
「出てきました! あれが、X-105Aストライク、X-102Aデュエルです!!」
「ともに強化型の機体。赤い色が特徴的だな。バクゥを出せ、反応が見たい」
リディア・フローライトは、宿敵赤い彗星が乗るであろう赤いストライクを凝視していた。
―――あれが、フィオナを苦しめた、アスランさん以上の力量を持つ敵
彼らの推測通り、その予想はすぐに当たることになる。
「なっ!?」
砂漠の陰から現れた大きな影が、エリクのデュエルに体当たりをかましてきたのだ。何とかシールドでガードをした上で、スラスターを吹かせ、体勢を立て直したのだが、早すぎて正体がつかめない。
「四足走行!? モビルスーツなのか!?」
リオンも初見でそんな動きをする敵機動兵器には面食らったのか、驚きの声を上げる。
リオンの機体の中でアラームが鳴り響く。
「!?」
桃色の刃が迫っているイメージが脳裏に浮かんだリオン。とっさにシールドでその予想された軌道を防御した。
―――ダブルセイバー型!? いったいどんな機体なんだ!?
暗がりのせいであまりよく見えない。一つ目の赤い瞳に、四足歩行の機動兵器。
思わぬ高速機動兵器に苦戦を強いられる二機のモビルスーツ。アークエンジェルでは機種の特定を急いでいた。
「ザフト軍モビルスーツ、バクゥと確認!」
チャンドラ二世の報告で、地上用MSが現在自分たちを苦しめていることが判明した。
TMF/A-802バクゥ。連合軍の地上機動兵器を蹂躙する恐怖の兵器。圧倒的な機動性能、戦車を上回る火力、そして近接格闘能力も備える地上特化のモビルスーツだ。
「なっ!? バクゥだと!?」
ナタルも、思わぬ強敵の出現に驚きを隠せない。この一帯はNJでまともに通信が届かないような場所だ。
ザフトの勢力圏に降下したというのはこういうことだ。
――――情報が早すぎる、ザフト勢力圏ではこうも。さすがは砂漠の虎か!
この一帯の戦線を任せられているザフトの智将、アンドリュー・バルドフェルド。抜け目のない存在だ。
「四足走行にレールガン、サーベル。オプションとして連装ミサイルか」
リオンは迫りくるミサイルをバルカンで迎撃しつつ、その動きに早くも順応していた。
だが、敵は意外にも深追いもせず、踏み込んでこない。
「ちっ! 気流のせいで真っ直ぐに飛ばねぇ! ビームが減衰する!!」
エリクは戦闘中にライフルが当たらないこと、そしてビームが真っ直ぐに飛ばないことで焦りを感じていた。
「近接戦闘で、こいつらを捉えられるのかよ!? 初見じゃ無理だぜ!」
そして次第に構えるだけのしぐさになりつつあるエリク。
包囲されつつある。自分とエリクは格好の獲物だろう。
―――舐めるなよ。
リオンも嬲り殺しのような状態にされているのは気に食わなかった。
苦戦中のエリクとリオンの姿を見ていたキラは、医者の制止を振り切り、興奮剤を強引に自分に突き刺し、尚も止めようとする桃色の少女の追撃を振り切り、ストライクまでたどり着いた。
「マードックさん!! 急いでランチャー装備!! 僕も出ます!!」
いきなり現れたキラの存在に整備班は驚くも、
「敵がいるんだ!! 全部僕がやっつけてやる!!」
マードックとしては、止めなければならないのだが、戦況が思わしくないのは知っている。
「ど、どうしますか!?」
「――――キラ君!? 貴方は医務室に―――」
いきなり通信を入れられたマリューはキラの姿を見て動揺を隠せない。
「そんなことをしている場合ですか!! エリクさんとリオンがやられる!! そんなこと、させるもんか!!!」
「――――やむを得ん、有線型コンデンサーを装着し、二人の援護に回れ! こちらの目がどうにもならん状況だ。直掩につけ!」
「了解!!」
「バジルール中尉!?」
けが人を出させるのか、とマリューは反論するが、
「ここで二人を見殺しになどできません!! そうなれば、アフリカに降りた意味がないでしょう!!」
「―――そう、ね。ストライクもすぐに準備させて!!」
「キラッ! 無茶だけはしないでね!」
ミリアリアが気遣うような言葉を彼に投げかける。その言葉で不意を突かれたキラは驚いたような顔をするが、すぐに笑顔になる。
「うん! 必ず守る、アークエンジェルも、みんなも!」
強い意志を感じさせる彼の声色。
少年のそれではなく、覚悟を決めた青年へと変貌しつつある風格を感じさせる。
満身創痍のキラが戦場に出る。この戦闘が彼にとっての一つの分岐点となる。
目覚め始めた因子の運命からは逃れられない。驚異的な実力が、砂漠を照らすのだ。