機動戦士ガンダムSEED 理想の従者   作:傍観者改め、介入者

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ついにアラスカ篇終了。


第43話 灼熱のアラスカ 後編

アラスカ基地にサイクロプスが仕掛けられ、それを図らずして知ることになったアークエンジェル。

 

脱出のために離脱を試みる面々だったが、襲撃を受ける状況下での友軍の撤退を支援するなど、苦境に陥っていた。

 

 

だが、そんなピンチをさっそうと消し去ってしまった存在が、ラミアス艦長の眼前にたたずんでいる。

 

 

「―――――――まさか―――――――」

 

ニコルの危機を救った、トリコロールの機体。その機体の系譜は間違いなくストライクに連なるモノ。

 

そして、その動きは自分たちが間近で見続け、常に勝利を齎すエースの動き。

 

 

「さて、まだ粘っていたようだな。アークエンジェル」

 

リオン・フラガの駆る、ストライクグリントが戦線に到着したのだ。

 

アラスカ組にとっては初見に等しいリオンの戦闘。自分たちが苦戦した相手を全滅させた存在に息を呑んだ。

 

「まさか、あれが傭兵―――――赤い彗星!!」

 

「どういう目を、どういう頭を―――――」

ホリソン少尉と、テネフ少尉は、その動きに目を奪われ、

 

「あれが、赤い彗星と呼ばれた男の力―――――」

アップトン中尉はその速さに感銘を受けていた。その場に降臨しただけで、もう状況も気持ちも、何もかもが安定する。

 

 

ただそこにいるだけで敵を恐怖させ、味方に希望を齎す絶対的なエース。

 

「―――――本当に、今が危機的状況なはずなのに、」

ニコルは生命の危機を直接救ってくれたリオンに対し、複雑な想いを抱く。

 

――――敵じゃなかったら、こんなにも頼もしいんだ―――――

 

溺れてしまいそうになる。その強さに。

 

 

「状況は俺のほうも理解している。アラスカ基地にサイクロプスがあること、そして友軍を救出しつつ、離脱行動に入っていることも」

辺りを見回し、輸送行動に入っているニコルを尻目に、やや傷ついているアークエンジェルを見やるリオン。

 

「何もかも、お見通しなのね―――――」

しかし後の言葉が続かない。ラミアス艦長もさすがそこまで図々しくなれない。

 

「リオン。俺たちがオーブに亡命って、可能なのか?」

そして聞きづらいことをあえて尋ねるエリク。この際恥も何も関係ない。生き残るにはどうすればいいのか、それを考えると目の前の彼にこのことを言うべきである。

 

「話が早いな。実は、貴方方をスカウトするのも目的の一つだ。後はサイクロプスの映像を映すだけだが―――――」

 

ザフト軍の中で、ただ一機動かない存在がいた。それはニーナの乗るゲイツだ。

 

「君はどうするのかね、ザフトの兵士? どうやら、サイクロプスが仕掛けられているようだぞ?」

通信を入れたリオン。ここでは必要以上に敵対行動をするつもりはなかった。先ほどザフト軍を撃墜したのは、アークエンジェルという金の成る木を失わないためだ。

 

「―――――下手な脅し、というわけでもなさそうね。貴方がオーブから遥々ここにいる。その理由を説明できない」

ニーナは、ここで戦闘行為をすれば死ぬということを理解している。だから迂闊に手を出せないし、人質を取ろうとも思わなかった。

 

「だからこそ、少し質問したいことがあるわ」

 

 

「フッ―――――あの時から君達は、好奇心が強いな。そんなにも聞くことがあるのかね?」

不敵な笑みを浮かべるリオン。モニターにはばっちりと彼の顔が映っている。

 

「ニコルさんを――――ニコル・アマルフィがその船にいるのは知っています」

そしてリオンのモニターには、紫色の髪の少女であるニーナの顔が映っていた。

 

「なるほど。で、もし彼女がいるとすれば、どうする?」

リオンもそこまでは状況を飲み込めていないので、彼女の言葉を信じ、探りを入れる。猪突猛進な彼女がここでどんなことをするのか、純粋に興味がわいたのだ。

 

 

「―――――それは―――――」

もし、彼女が自分の意志でそこにいるなら、強く言えない。あの戦闘機のパイロットに抵抗するそぶりも見られなかった。

 

――――違うじゃない。私が今、ニコルさんに言えることは―――――

 

「無事で、無事でよかったと、伝えてください」

ニーナは他にもいろいろ聞きたいことがあった。しかし、今はもうそんな時間もない。

 

「そうか。君の誠実な言葉、彼女に必ず伝えよう。餞別にこれをもっていくがいい」

リオンは、ニーナが見たこともないような穏やかな笑みで、あるデータを送信したのだ。

 

それは、彼女の言葉を真実にするための道具だ。

 

「あ、ありがとうございます―――――」

こんな人が、こんな強い人がいれば、ニコルは大丈夫だと思ってしまった。

 

ラクス・クラインが頼りにしてしまうのも、実は相当優しいということも。この瞬間に彼と話をすることで、理解してしまった。

 

――――こんな人が、私たちの周りにいれば―――――

 

アークエンジェルのことを、少し羨ましく思ってしまう。

 

オーブにいれば、彼女は安全かもしれない。あそこは、本国と同等に安心できる場所だ。彼という剣があれば、連合すら追い払うだろう。

 

「オーブは、プラントと事を構えますか?」

そしてその剣は、こちらに向いているのか。それを聞きたかったニーナは彼に尋ねる。彼女の想い人が、敵になるのは避けたかった。

 

「それは、地球を滅ぼそうとしない限り、在り得ない話だ」

嘘を言っているようには見えない。あの時とは違い、彼は柔らかい表情を浮かべているだけだ。

 

「そう、ですか――――――」

 

それだけを聞いて安心したニーナは、アークエンジェルから離れていくのだった。

 

 

 

ニーナが去っていくのを見て、リオンはラミアス艦長らに話す。

 

「―――――ザフト軍にサイクロプスの情報は知られたが、好都合だろう?」

離脱中に攻撃されるのは回避したいところだろう。ゆえに、敢えてリオンはザフト軍にサイクロプスの情報を流したのだ。

 

「え、ええ。もう積極的に敵対する必要性もありませんし―――――」

ラミアスも特に異論はない。事実、アークエンジェルはほぼ素通りするような形で現在航行出来ている。

 

「ま、仕方ないよな。襲われるよりはましだ」

エリクもアークエンジェルに帰投し、ブリッジにてリオンとの通信を開いており、彼の話に頷く。

 

「だが、彼女が友軍にサイクロプスを教えたところで、もはや手遅れの部隊はいるだろう。」

 

「―――――そして、そもそもの守備軍はもう―――――」

防衛戦にいた友軍はザフトの猛攻に遭い、ほぼ全滅に近い状態だ。アークエンジェルが通り過ぎた海域の船はいくらか生き残っているが、通信途絶した船舶多数。上層部のシナリオ通り、壊滅したのだ。

 

 

つまり守備軍の生き残りは、アークエンジェルとレゲートの乗組員以外に存在しないということだ。

 

「――――――」

 

 

アークエンジェルとレゲートの乗員は、アラスカ基地の姿を目に焼き付けながら、この戦線を離脱する。

 

そして、生贄を多くため込んだアラスカの大地に、その運命の瞬間が訪れる。

 

「サイクロプス起動!」

ノット曹長がそのタイミングと中心点を観測したのだ。

 

「っ!!」

その報せによって、表情が強張るアークエンジェル、レゲートの面々。すでにモビルスーツはリオンのストライクグリント以外は収納されており、格納庫にてその様子を見守っていた。

 

「範囲外とはいえ、機関最大! 現宙域を離脱します!」

 

「―――――――」

指示を与えるラミアスと、項垂れたままのナタル。やはり連合に切り捨てられたショックが大きいのだろう。

 

 

そして――――――

 

攻め込んだザフト軍とわずかに生き残った守備軍は、そのサイクロプスが起動した瞬間に世界から消失した。

 

次々と僚機が謎の力によって爆散し、周囲に強烈な磁場に近いものが発生しているのが分かる。

 

体が沸騰するように熱い。強烈な痛みを一瞬感じただけで、その直後に意識が消失していく。

 

 

もはや敵味方関係ない。我先にとその破壊の範囲から逃げ延びようとするが、次々と呑まれていく。

 

 

それはザフト軍の艦隊からも観測された。

 

「な、ばかなっ」

副司令官は、味方がその破壊の厄災に飲み込まれていく様子に絶句する。こんなはずではなかった。こんなことになるなど考えていなかった。

 

連合軍はアラスカを捨て石に、ザフト軍の地球での軍事行動という強力なカードを捨てさせたのだ。

 

 

それに見合う適切な代価を支払うことで、連合軍はその目的を達成した。

 

「してやられましたな、ナチュラルどもに」

クルーゼは、そんな悲嘆にくれるザフト軍兵士を励ましつつ、心中では笑みを浮かべていた。

 

――――ニーナ・エルトランド、だな。あれを流したのは――――

 

それは逃げ延びている連合軍から奪い取ったデータだそうだ。彼女曰く、拿捕した敵前逃亡の戦艦レゲートは撃沈したようだが、その中にとんでもない機密があったことで急いで戦線から離脱し、主力艦隊のいる座標まで後退したという。

 

やはり激戦の最中、離脱を始めていることに疑問を持ったようで、彼女もいろいろとおかしいと感じていたようだ。

 

以上の証言が、彼女の言い分。

 

「エルトランドの言葉がなければ、もっと多くの兵士を犠牲にしていたところだった」

 

「ああ。不幸中の幸いだ。ナチュラルどもめ、卑劣な手段を!!」

 

「しかし、今後の軍事作戦に大きな痛手となったな、これは――――」

 

 

そして、ザフトの友軍を少なからず救ったニーナは、リオンの話たことすべてが事実であることを知り、彼に対する恨みが薄れていた。

 

―――利害が一致していた、だから真実を話したのね

 

そうでなければ、彼はまともに話してくれなかったはずだ。だというのに、なぜ彼はあんな穏やかな顔をしていたのだろうか。

 

もしかすると、あの顔が本来の彼で、仮面をかぶっていた姿の彼に出会っていただけなのだろうか。

 

――――ニコルさんも、無事でよかった――――ニコルさんだけでも――――

 

ザフトと連合は疲弊し、オーブはその中で存在感を見せ始めている。単純に考えれば、オーブを取り込んだ勢力が、この戦争の勝者になり得る。

 

しかし、単純にどちらかの味方はしないだろう。彼らはきっと自分たちの予想を超えた手段を取ってくる。

 

 

「リディアがいてくれれば、何か考えもまとまるんだけど―――――」

 

彼女は今、本国にいる。ラクスとともに一時の平穏を過ごしている。恐らく、彼女の主戦場は宇宙なのだろう。

 

しかし、脳筋なフィオナと自分とは違い、よく知恵の回る彼女がいると助かるのは事実だったのだ。

 

 

 

 

一方、安全圏を通り過ぎ、オーブ近海の外側にまで進んだアークエンジェルは、これからの指針についてリオンに意見を求めていた。

 

「まずは朗報とあまりよくないニュース。どちらが聞きたい?」

 

「――――――よくないほうから聞くわ」

ラミアスはまずよくないニュースから尋ねる。

 

「アラスカのことは情報操作でザフトの仕業ということになっている。これはあとで覆せる見込みがあるからまだいいのだが―――――」

リオンもリオンで少し苦々しい顔をする。

 

「問題は、事なかれ外交をしていた我が国への処置に、穏健派と急進派で意見が分かれてしまいましてね」

 

「え?」

エリクは、いつからそんなことになったと首をかしげる。

 

「―――――ユーラシア連邦は国力がすでにボロボロだが、大西洋連邦が二つに割れたのだ。停戦を目指す穏健派と、戦争継続、プラント殲滅を謳う急進派で」

 

つまり、リオンが意図した時期とは異なり、連合軍の分裂が起こってしまったのだ。

 

「ハルバートン提督が!? まさかクーデターを……」

ラミアス艦長はまさか彼がそこまでのことを考えていたとはと、驚愕した。

 

 

なお、穏健派の旗頭はデュエイン・ハルバートン大将と、ネビル・ビラード中将。主に第八艦隊と第三艦隊、第五艦隊を主力とする勢力。政治的にもゴップ・オルバーニ事務総長、そしてジョージ・アルスター副代表もつくなど、かなりの支持勢力を集めた。

 

 

急進派はウィリアム・サザーランド少将、そしてその背後にはムルタ・アズラエルというブルーコスモスの最大の出資者。地球軍の主力を保持していたが、アラスカ陥落と、その非道な作戦がオーブから流されたことで、混乱が起きている。しかし、それすらコーディネイターへの憎しみが勝り、残っているのは本物の狂気を持つ者たちばかりだ。

 

 

「オーブは揺れている。この時期を逃せば、和平の希望を失うことになる。サハク家はこの時期を逃すのは悪手だと主張したが、他の氏族は理念を前に臆している」

リオンは、オーブの国内でも戦争に参戦するか否かで揺れていることを口にする。

 

サハクは参戦を支持。セイラン家と他の氏族はオーブの理念を盾に反対を表明。アスハとミツルギはその対応に苦慮している。

 

しかし、反対派の中にはこのまま穏健派を見殺しにしていいのかと迷う意見も出ていた。

 

「つまり、オーブも戦渦に巻き込まれると?」

アイマン曹長が、オーブがやや苦しい立場に追い込まれているのかと尋ねる。

 

「そういうことだ。敵前逃亡の君らには辛い時期が続くことになる。もしかすれば、君らにも矢面に立ってもらう必要がある」

 

リオンのプランでは、まだまだ穏健派には我慢してほしかった。しかし、アラスカの一件が余程堪えたのだろう。ユーラシア連邦も穏健派につく見通しで、これはリオンの考える戦争終結に近づいているのだ。

 

しかし、穏健派を出来る限り死なせたくなかったリオンは、まだ待ってほしかったとハルバートンを恨む。

 

―――――提督。もう少し我慢してほしかった。

 

 

「わかり、ました。それで、良いニュースというのは」

 

 

「キラ・ヤマト、アルベルト・ロペスは生きている。キラ君とアルベルト君は片眼を失い、今は機械の眼になっているが、それ以外は無事だ」

 

「な、あの子たちが―――――生きて―――――」

眼を大きく見開き驚いているマリュー。まさかあの状況下で生きているとは考えていなかった。しかも、二人も無事だった。

 

「我々オーブ軍は、貴殿らの受け皿になりたいと考えている。オーブにわたるつもりはないだろうか?」

 

「坊主どもが生きている、のか? まじかよ。そっか、そうなんだな……」

二人が生きていることに安堵するエリクだったが、やはりムウはもうこの世界にはいないと悟ったのだ。その実感が彼を襲う。

 

「え、エリクさん!? ちょっ!」

ほっとしたのか、体が少しよろめいてしまったエリクを支えるニコル。今まで無理をしていたのだろう。そして、限界が一瞬だが訪れていたのだ。

 

————彼を支える。それが、私の償い、なんだ

 

上官をこの手で殺した。そして、彼は戦争なのだと割り切った。どれほどの葛藤があったのかを彼は悟らせてくれない。しかし、もし彼が良ければ彼を助けたい。

 

ニコルの想いはそれだった。

 

 

「――――ふむ、どうやらアラスカで人員が増えたみたいですね。改めて自己紹介をしたい。場所は格納庫辺りがいいだろう」

リオンはそれだけを言うと、ブリッジから去るのだった。

 

 

ノット曹長、オズウェル曹長、テネフ少尉、ホリソン少尉、アップトン中尉らアラスカ組と、レゲートのクルーらが格納庫の広く空いたスペースに集まる。

 

そしてそれを見守るラミアス艦長、ブロードウェイ大尉とニコル・アマルフィ。なし崩し的に彼女もリオンの自己紹介を聞くことに。

 

「知らない人も多数いるだろう。私はフラガ家の次期当主、リオン・フラガだ。この度は、我々の提案を受け入れてくれたこと、感謝する。」

 

そしてまずは一礼するリオン。本来助けた側のリオンだが、スカウトの話は別だ。この件はあくまで彼らの意志が重要であるためだ。

 

「オーブ軍は知っての通り、戦争経験者が少ない。つまり実戦に出たものがあまりにも乏しい。それはそれでいいことなのだが、この時代ではそうもいかない。今回貴殿らをまた戦場に送ることになりそうだが、後ろから背中を討つ真似はしないと誓おう」

 

さらに、オーブ軍は連合とは違い、基本的に味方を見捨てる戦術を取らない方針だと宣言する。

 

「尤も、私と同じ戦場なら、先に敵を殲滅するほうが速い」

さらりと常勝を語ってしまうリオンだが、その言葉が出任せではないことを彼らは知っている。クルーの中には、「まあ、リオンだからなぁ」と納得する声も。

 

 

「さて、貴殿らにしていただきたいことは複数ある。まずは整備班の面々にはオーブ軍にそのまま籍を置く形となる。現在進行中のプロジェクトは何も戦争方面ばかりではない。オーブは技術者を歓迎している。連合よりも待遇の良さをまずお約束しよう」

 

それを聞いた瞬間に、整備班の面々から笑みが零れる。戦争だけではなく、その先の計画にも自分たちは必要とされている。リオンが技術者出身であるためか、彼らに対して礼節を失さないことで、他のクルーらにも好印象を与えた。

 

――――なるほど、あれで19歳か。

 

ケストラル大尉は、リオンの人格と雰囲気を感じ取り、彼が英傑になり得る存在だと悟る。

 

「続いて艦船を動かし続け、今日まで生き残ったクルーについてだ」

 

次は、オズウェル中尉らに視線を動かしたリオン。

 

「私を知るものには説明不要だが、貴方方には改めてお願いしたいことがある。オーブ軍は、実力行使における人材があらゆる面で不足している。前線に出る者もいれば、教官として後方にて教鞭をとってもらうこともあり得る。我々は、貴方方の軍歴を高く評価していることをまず理解してほしい」

 

「今や世界の中心となっている、ハルバートン提督の精強な兵士を意図せず招くことになり、幸運に感じている」

 

 

「そして最後に、アラスカ戦線を生き残った、機動部隊の諸君らにもだ」

 

最後に、モビルスーツ部隊として軍歴をスタートした面々に向き直るリオン。

 

「貴方方は連合軍における次世代の力となり得る人材だった。しかしながら、上層部の駆け引きに巻き込まれ、軍籍を失ったことはとても残念に思う」

連合軍としての席を失い、気落ちしているだろう兵士に対して気遣いを忘れないリオン。彼らのアイデンティティーだったものを無視し、自らの提案をするだけでは分かり合うことも難しい。

 

 

「しかし、今回の我々とのコンタクト、思いがけない邂逅が待ち受けていた。私はこれを新たなるチャンスと捉え、貴殿らにオーブ軍初代モビルスーツ部隊のモデルケースになってもらうことを希望する」

 

 

「オーブ軍の、モビル、スーツ?」

テネフ少尉は信じられないほど目を大きく見開いていた。連合がようやく量産し始めたものを、すでにオーブは開発しているのだ。

 

アストレイは機密の塊だったことがうかがえ、最低限そこは死守されたのだとリオンは判断した。

 

「M1アストレイ。オーブが最初に量産に成功したモビルスーツ。運動性能はザフトのシグーをも圧倒し、汎用モビルスーツの中では現行のモノを凌駕する」

 

シグーを機動力で圧倒する、というフレーズに、連合軍からはどよめきが起きる。単純な加速力ではディンに軍配が上がるが、操作性、即応性はアストレイが圧倒的な性能を誇る。

 

「航行速度はディンが上だが、瞬間的な加速、機動性は自信をもって製造させてもらった。ザフトは最近連合の技術で新しい一つ目の機体を開発し、少数を実戦投入していたが、あれよりも上だな。私の眼から見ても、君達はどの勢力よりも上のステージに立つことになる」

 

 

「――――そ、そうなのか?」

ホリソン少尉は、

 

「無論だ。オーブを舐めないでいただこう。必ず、君達の想像を超える」

 

これが決め手となった。エリクを含め、アップトン中尉、テネフ少尉、ホリソン少尉の3名を加えた陣容。この戦艦もにぎやかになったものだとリオンは思う。

 

しかし、初心者2名は連れていけないなと感じた。

 

――――まだ粗さがある。彼らは訓練校だな

 

まだ、彼らには戦場は早かった。それだけのことだ。

 

 

 

灼熱のアラスカ。後の歴史家はこの戦いをそう名付けた。この戦いこそが、世界の転換期であった。

 

混迷を極める世界にバランスを齎すもの。それは、英雄ではなく、一人一人の意思が積み重なることで、実現したのだ。

 

平和を求める者たちの反撃が始まる。

 

 

 

 




実は、フライング投稿していた話です・・・・

知っている人は知っていると思います・・・・
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