異世界転生でメタルギアというチートは大丈夫か?   作:コレクトマン

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〈ボス、貴方が回収してきた兵士や雇用した傭兵達と共にレクリエーションを行なっては如何でしょうか?〉

「急だな、何か利点があるのかヴェスタ?」

〈はい。これには二つの利点があります。一つ目はこちら側に引き入れるきっかけを作る事と、射撃能力を確認するという点があります。そして二つ目は、仲間になる事を想定しての交流を深めるのが二つ目の利点です〉

「気が早すぎるのだが……まぁ、出来るだけのことはするつもりだ」

〈その意気です。……第六話始まります〉

「ん?……セリフを取られたような……?」


この世界の月光は生物兵器か何かだ

 

 

スネークが武器商人兼ギルド“ヴァナルガンド”とビジネスパートナー?関係になってから数日が過ぎたある日のこと。マザーベースには人材確保した者達を収容する専用のプラントが存在する。そのプラントの甲板上に建てられているのは収容所という名ばかりのホテルが存在する。そこではスネークによって回収されたエルフの姉妹と傭兵達は男女別と個室に分けられていた。個室内はウォシュレットにシャワーとバスタブ、ふかふかのベットに海一面を見渡せるバルコニーが存在する。なおバルコニーには脱走防止の為か指紋が付きにくい強化ガラスで出来たボックスに包まれいた。そこはまるで実験動物が逃げ出さない為の檻の様に。食事に関してはスタッフの中にシェフに向いている人物が数人いた為、その人等を配給班として配置した。三つ星とはいかないが味には期待できる料理を振舞っている。そんな収容所とは似つかない場所でエルフの姉妹の長女であるリーナは、マザーベースからどうやって脱出すべきなのか考えていた。

 

 

「この鉄で出来た島に連れられてから既に数日……此処の兵士達が私達に対する待遇といい、此処の警備も他の国とは比べ物にならないほど厳重……此処の組織は一体何なの?」

 

「お姉ちゃん、考えすぎだよ。此処の人たちは悪い人たちじゃないし、此処まで待遇が良いのも理由があるかも知れないよ」

 

「その理由が分からないからあまり信用が出来ないのよ。此処の組織は私達や他の傭兵や兵士達を誘拐して何をするのか分からないし、だから一刻も早くこの鉄の島から脱出する手段を見つけないと……」

 

 

リーナはそう考えているとドアが開かれ、そこから女性スタッフが入って来た。

 

 

「貴女達、出かける用意をして。ボスが此処にいる全員に会いたいとの事よ」

 

「ボス?此処の組織のボスはどういう風の吹き回しなのかしら?」

 

「それはボスに直接聞くといいわ。ボスは今、一階のロビーで貴女達や他の者達を待っているから」

 

 

リーナは相手の事情などどうでもよく、ただ単にそのボスの行動に理解できなかった。もし私達がこの鉄の島から脱出する手段を持っているかも知れないことを承知の上で私達や他にも捕まった兵士達に会ったとして何のメリットが得られるのかを今の私には分からなかった。仕方なく私達はその女性兵士の指示に従って一階のロビーに向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は今、収容所と名ばかりなホテルの地下に作られた射撃演習場で人材確保という名の拉致したギリスとマナカの兵士達に“M1911A1 コルト ガバメント”ハンドガンを渡して演習用標的(ターゲット)で得点を競っていた。これは俺が個人的で考えついた物で理由が二つある。一つはプチ射撃大会というレクリエーションでこちらに勧誘し、引き込もうというのが狙いである。そしてもう一つはちょっとした兵士達の射撃評価でもある。特にマスケット銃を扱っていた兵士は飲み込みが早く、標的のマーカーの急所である頭部に二回も当てた。他は胴体か肩部といった所しか当たらなかった。他にはM1911A1の反動(リコイル)の衝撃を肘を曲げて吸収する者もいた。

 

 

「ヘヘッ…!楽勝だぜ!」

 

「そこのお前、もう一度撃ってみろ」

 

「おっ?良いぜ…俺の早撃ちを見とけよ!」

 

 

先ほどその肘曲げによるリコイル吸収法を行った自信満々な兵士が同じことをすると一発目の銃弾は正確に的の頭部に直撃させ、二発目の銃弾は出ずに排莢口で.45ACP弾の不発弾が詰まる。この兵士は弾詰まり(ジャム)を起こしたのだ。

 

 

「あ……あれっ!?弾が出ねえぞ?何で?」

 

「…貸してくれ、直してやる」

 

 

俺は兵士からジャムったM1911A1を回収しマガジンキャッチボタンを押してマガジン(弾倉)を抜き取り、スライドを何度も動かして不発弾を取り除く。

 

 

「今お前が撃っていたのはオートマティック……つまり自動拳銃だ。パーカッションロック式やシングルアクションとは違い、反動を逃がす撃ち方には向いていない。どちらかというとリボルバー向きだ」

 

 

そう言いながら俺は不発弾を取り除いたM1911A1をジャムらせた兵士に渡す。だが当の本人は少し落ち込んでいた。兵士はこの射撃演習場にあるパーカッションロック式拳銃をリボルバーの撃ち方でコツコツと磨いて来たのだ。だがその技術が自動拳銃には向いていないことがショックだったのだろう。

 

 

「マジかよ……」

 

「だが早撃ちは見事だった。…いいセンスだ」

 

 

早撃ちに関して褒められたことに嬉しかったのかその兵士は右手で小さくガッツポーズをするのであった。するとエルフの姉妹を迎えに行っていた女性スタッフがエルフの姉妹と共に連れて此処にやって来た。そして女性スタッフは自分の任務を全うしたことを兼ねて敬礼をする。

 

 

「ボス、エルフの姉妹を連れて来ました」

 

「あぁ…ご苦労。お前はいつも通りの配置に戻ってくれ」

 

「了解」

 

 

返事を皮切りに女性スタッフはそのまま射撃演習場を後にした。そして俺はエルフの姉妹に挨拶を交わすのであった。エルフの長女だけは俺に対して警戒をしているけどな。

 

 

「はじめまして……と言えばいいか?俺は此処(ジェフティ)のボスのリョウ・スネークだ」

 

「貴方が此処の?まだ若いのね」

 

「まだ13だからな。……君らの名は?」

 

「そう言えばまだだったね。私は“リーナ・フェルト”。基本的にはリーナと呼ばれているわ。こっちは妹のルーナよ」

 

「ルーナだよ。よろしくねおじさん」

 

 

エルフの次女ことルーナに俺のことをおじさん呼ばわりされる。…俺ってそんなに老け顔だっけか?

 

 

「…すまないが俺はおじさんほどの歳じゃないのだが」

 

「え、そうなの?」

 

「ルーナ、あまり相手を揶揄わないの。ごめんなさい、うちの妹が…」

 

「いやっ気にしてはいない。ところで俺が君達を呼んだ理由なのだが…」

 

「えぇ、大方私達を勧誘でしょうけど私達は貴方の仲間にはならないわ」

 

「えぇ〜、お姉ちゃん…別におじさんの仲間になってもいいじゃん」

 

 

リーナの返答は既に決まっていた様で仲間になるつもりはない様だ。ルーナの方は仲間になっても良いと意見が分かれた。俺は無理強いせずリーナの意見を尊重することにした。

 

 

「…君が言うなら無理強いはしない。此処を離れる際には俺達が船でマナカまで送るつもりだ」

 

「あら、以外ね。てっきり無理にも仲間に引き込もうと思っていたのだけど」

 

「そこまで俺は落ちてはいない。兎に角、此処を出る準備が出来たら俺のところに来てくれ。今しばらく俺は此処にいるつもりだ」

 

 

俺の問いに“そうっ…”と答えた後にリーナ達はそのまま荷物を取りに戻る。そして俺は無線機にある周波を合わせて通信を入れる。

 

 

『あらっスネーク?私達に何か用かしら?』

 

「あぁ…この前人材確保の時に回収したエルフの姉妹をマナカに送るために君達の船にエルフの姉妹を乗せてもらいたいのだが…」

 

『へぇ〜、スネークの誘いを断る人なんているのね』

 

「フルトン回収……向こうからすれば異質な回収法で此処に連れてこられたんだ、誰だって警戒もするさ」

 

『そういうものかしら?』

 

「そういうものだろう。……それで君達の報酬は何を望む?」

 

 

俺は美帆にビジネスとしてエルフの姉妹を送るという仕事を依頼の報酬についての事を話しだした。

 

 

『そうね……私達のところにはイメージを物質として具現化し、生成させる“錬金の壺”があるから良いのだけれど、やっぱり貴方のスタッフが作った武器の設計図が欲しいところね。設計図があれば部品などは錬金の壺で生成できるしね』

 

「そうか。……で、具体的にはどんな設計図が欲しいんだ?」

 

『M72 LAWよ。最近耳にした噂なんだけど、ドーヴァ帝国の方で巨大な魔導兵器を作っているとの事らしいから対戦車ロケット弾が必要なのよね。貴方のスタッフから聞いたことあるでしょう?』

 

 

美帆が言うようにドーヴァ帝国では兵士や騎士団以外にも魔導兵器と呼ばれる物を使う魔導士を中心とした部隊が存在する。諜報班のスタッフからその話を聞いていたのだが、まさかアレがこの世界で独特な姿で存在していることには驚いたけどな。

 

 

「あぁ…まさかMGS4の“IRVING(アーヴィング)”…元い、月光擬きがドーヴァ帝国で開発されていたとはな」

 

 

IRVINGこと月光はアームズ・テック・セキュリティ社が創り出した無人二足歩行兵器。MGS4では歩兵にとっては厄介な敵であり、その上“ブローニングM2重機関銃”や“TOW対戦車ミサイル”、“発煙弾発射機”などを搭載できるハードポイントがあり、特に人工筋肉で出来た脚を使っている為に高い機動力と脚で行う格闘ができる分、味方にとっては最強の無人兵器であり、敵にとっては最凶の無人兵器であるのだから。唯、この世界の月光は重機関銃や対戦車ミサイルは俺たちジェフティにしかない為に代わりとして魔力を帯びた触媒結晶を埋め込んだ杖を取り付けられており、火力に関してはその杖の魔法で補っているそうだ。…というか、無人機に魔法を使わせる以前にこの世界には無人機の概念があるのか?

 

 

『そうね。それと貴方の言うその月光と呼ばれる兵器なんだけど、此処の世界では合成獣戦車(キメラタンク)と呼ばれているわ。その合成獣戦車なんだけど、黒い噂ではエルフやドワーフの筋肉を剥いでその合成獣戦車の脚の材料にしたり、脳も同様に剥いでAIでいう頭脳ことスーパーコンピュータ代わりに使われているわ』

 

 

これを聞いた俺は流石に血の気が引いた。ドーヴァ帝国が創り出していたのは生物兵器に近い存在だったのだ。それも亜人であるエルフやドワーフの脳や筋肉を使っているのだ。恐らくドーヴァ帝国は、亜人は人にあらずと言わんばかりにこの様な非人道的なことを平然とやってのけているのであろう。

 

 

「合成獣戦車……鉄の歯車(メタルギア)とは違うコンセプトか。それも亜人達を材料扱い……これは国として駄目な方ではないのか?」

 

『そうね……本来なら駄目なんだけれど、ドーヴァ帝国の皇帝が作り出した条例であるが故にドーヴァ帝国の国民は何とも不自然に思わないのよ。…いえっ、そうせざる終えないと言う方が正しいかしら』

 

「そうなると……その皇帝が転生者という可能性は?」

 

『不明よ。……少なくとも白でも黒でもない灰色なのは確かね』

 

 

美帆からドーヴァ帝国の皇帝が転生者であるかを聞いてみたが、結果は不明だった。もしも自国の民が皇帝に反乱を起こした時には見せしめとしてその反乱を首謀者やそれらに加担した者を処刑するということも美帆から聞いた。

 

 

『それと…あなたのスタッフから聞いていると思うけど、ドーヴァ帝国では内部分裂が起こっているということは聞いている?』

 

「あぁ……何でも亜人の扱いや反乱者の処理に嫌気をさして二つの派に分かれたことはスタッフから聞いている。亜人を見下さず、人種同様に扱うことに抗議するハト派。亜人を見下し、道具や何かしらの材料としか見ないタカ派。俺から見ればハト派はKGBで、タカ派はGRUと言ったところか…(そのタカ派にはヴォルギンみたいなそっくりさんがいそうだな。……なんてな)」

 

 

スタッフから聞いてた情報だとドーヴァでは内部分裂が三日前に起きたそうだ。主な原因はおそらく、あの月光擬きの生産に関係しているのであろう。何せエルフやドワーフを月光を作り出す為の材料、脳と筋肉が必要とするのだ。魔族滅ぶべしと唱えるドーヴァ帝国らしからぬ行動だな。もしろ何方が魔族なのやらと訴えたくなるほどである。

 

 

「……とにかく、エルフの姉妹を乗せる船を頼む。M72 LAWの設計図は船の船長に渡す」

 

『商談成立ね。毎度武器商人ヴァナルガンドご利用くださいましてご贔屓に、有り難うございます。またどうぞ♪』

 

 

美帆と商談を終えて通信を切ってリーナ達がまだ戻って来ない事に気付いた。

 

 

「遅いな………少し様子でも見に行くか」

 

 

そう言って俺は荷物を纏めに行ったリーナ達の様子を確認するためにホテルに向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はリーナ達の様子を確認する為にホテル内のリーナ達の個室前に着くとその個室のドアが開きっぱなしであった。あからさまに不自然だった。俺はM1911A1を引き抜いて構えを取り、そのまま警戒しつつも個室内に入る。個室に入って五、六歩くらいゆっくり歩くと押入れから足音らしい音が聞こえ、その方角に銃を向けると背後から声が聞こえた。

 

 

「武器を捨てなさい」

 

 

背後にはリーナが弓を持っていつでも射抜ける様にと矢を弦に掛け、そのまま俺に武器を捨てる様に命じる。俺はそのままリーナの言う通りに武器を地面に置いた。

 

 

「こっちを向きなさい。ゆっくりと…」

 

 

今度はリーナの方に向けと命じられて俺はそのままリーナの方に向ける。

 

 

「……何のつもりと言いたいが、何が目的だ?」

 

「貴方のことは完全に信用していないことは知っているでしょ。私達を船が停泊している所まで案内しなさい」

 

 

流石の俺は呆れの言葉が尽きなかったのか顔が表に出た。そのことに気が触れたのかリーナは俺を少し脅す。

 

 

「貴方……巫山戯ているの?いいから私達を……っ!?」

 

 

リーナが言い切る前に俺は既に行動していた。左手で弓を掴み、右手でリーナに裏拳をかますと同時に左腕を掴みそのまま背負い投げをした。リーナが投げ飛ばされると同時に弓を手放してしまい、俺はその弓を使って倒れ込んだリーナの首元に弓のリム部分を当てて拘束した。

 

 

「一体…何が……っ!」

 

「信用できないのは分かるが、俺たちを敵に回すのはまだ早い」

 

 

リーナを拘束中に先程足音が聞こえた押入れからルーナがリーナのありざまに呆れつつも両手を上げて降伏してきた。

 

 

「はぁ〜っ……だから此処の人たちは悪い人たちじゃないって言ったのに。だからそんな感じになったりするんでしょ?……この駄姉ちゃん」

 

「ちょっ…ルーナ!?」

 

「……お前の妹さんはこんなにも腹黒い性格だったか?」

 

 

ルーナの意外な裏の性格を知ってしまった俺は、リーナを拘束から解放してそのまま弓を返してリーナ達を船の停泊所であるドックまで案内する。リーナ達を連れてドックに到着すると美帆が用意してくれたと思われる船が停泊していた。俺はその船の船長に会うために船に乗りこむ。そして船長と会い、確認をしたと同時に俺はM72 LAWの設計図を渡した。その後はリーナ達を船に乗せて、その船はそのままマナカまで出航するのであった。その光景を見届けた俺は、いつもの様にファントムシガーを取り出して今日の1日を終えたかの様に一服するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リーナ達をマナカに送り返してから一ヶ月が経ったある日、俺やライデンはいつも通りにスタッフを集める為に現地回収や傭兵達の雇用をしながら日々スタッフ達を集めるのであった。そんなある日、ライデンからあるエルフの姉妹がジェフティに雇用して欲しいと申し出があった為、俺はそのエルフの姉妹と面接する為に出向くのであった。唯…そのエルフの姉妹は一ヶ月前と数日前にフルトン回収したあの姉妹であることは今の俺には知る由もなかった。

 

 

「お久しぶりだねおじさん!私、“ルーナ・フェルナンド”っていうの。そしてこっちは私のお姉ちゃん!」

 

「……“リーナ・フェルナンド”よ。その……あの時はごめんなさい」

 

 

このエルフの姉妹は一度ジェフティの誘いを断って一ヶ月後には今度は自らジェフティに雇われる為に戻ってきたのであった。……正確にはルーナの我儘でリーナを巻き込んで此処に戻ってきたと言う方が正しいだろうか。この何とも言えない光景に俺は一言呟いた。

 

 

「……何だこれ?」

 

 

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